『ブラックボックス』

〜第4章〜

115.『探知』

捜査本部 会議室にて。


リン「そんな！！！！」

リンは大きな声をあげ、抗議していた。

「何度も言わすな。お前はしばらく謹慎だ。」

リンの上司らしき人物がリンに謹慎を告げた。

「勝手な行動をし、部下を危険な目にあわせ、オマケに行方不明。これ以上見過ごせない。」


リン「しかし……」

「とにかくお前はしばらく謹慎だ。これ以上捜査の邪魔をするな。」

リン「…ッ！！」

リンは警察バッチと銃と手錠をテーブルに置いた。

リン「失礼します！！」


リンは会議室を飛び出した。


リンは署を出て車に乗り込む。


リン「くそ！！」
ハンドルをドンと叩くリン。

リンはみつれに電話を掛けた。

リン「・・・出ない。しおん君に掛けるか。」

リンは今度はしおんに電話を掛けた。


リン「・・・あ、しおん君？身体どう？大丈夫？」

しお「リンさん。はい大丈夫です。…あの、すみませんでした。」

しおんはリンに謝った。

リン「どうしたの急に？」

しお「いや、あの時僕がハナさんと一緒に脱出してればこんなことには…」

リン「・・・しおん君は悪くないよ。どうせハナちゃんが先に逃げぇーって言ったんでしょ？」

しお「・・・はい。でも一緒に脱出するべきでした。」

リン「しおん君は悪くないよ。先にゆっくり身体治して。ね？」

しお「ありがとうございます。」


リン「・・・それでさ…しおん君。私、謹慎食らっちゃった。だから警察の情報を使えなくなっちゃった…」

リンは謹慎を受けたことを告げた。

しお「ほんとですか……すみません。」

リン「だからしおん君のせいじゃないってば。……みっちゃんいる？」

しお「みつれさんはタブレットを取りに事務所に戻ってます。」

リン「タブレット？」

しお「はい。それでシロサキの車を追跡しようと思ってたんですが……Nシステムの情報ありきで考えてたのでこの作戦は無理そうですね…。」

リン「そうだったんだ…ごめんね。とりあえずそっち行くよ！じゃあ！」

リンは電話を切った。


リンは再びハンドルを叩く。

リン「くそ！くそ！くそぉ！！！」

リンは車の中で叫んだ。


みつれとカエデはしおんの頼まれた物を取りに事務所に到着した。


みつ「確かタブレットと外付けハードディスク、ワイヤレスキーボードとマウスだったな。」

カエ「はい。」

みつれは頼まれた物をリュックに詰め、カエデに渡した。

みつ「持ってて貰えるか？バイク出してくる。」

カエ「わ、わかりました。」


みつれはバイクを出し、エンジンをかける。

みつ「後ろに乗って。」

みつれはカエデにヘルメットを渡し、2人は急いで病院へ向かった。



みつれとカエデがしおんの病室に着くと、そこにリンもいた。

みつ「リン。来てたのか。」

リンは振り返りみつれを見る。

リン「みっちゃんごめん。私謹慎になっちゃった。」

リンは謹慎を告げた。

みつ「・・・そうか。すまなかったな。」


リン「ごめんね。せっかく次の手を考えてくれたのにNシステムの情報が手に入らなくなっちゃった…」

リンはみつれとしおんに頭を下げた。

みつ「頭上げろリン。謹慎処分は仕方ない。違う方法を考えよう。」


しお「そうだね。けどどうしようか……」


しおんが思い悩んでいるとカエデが口を開いた。

カエ「あの……こんなのはどうでしょうか……」

カエデは自分の案を3人に話した。


しお「・・・ケイ君に電話をかける？」

カエ「はい。出たらそれを探知して場所を特定する。…しおんさんなら出来ますよね？」

しお「出来るけど……。ッ！？そうか！！」

しおんは閃いたようだった。

しおんはタブレットをセッティングする。

みつ「どうしたしおん？」

しお「電話だよ！カエデちゃんが言った通り逆探知したらいいんだ！リンさん！防衛大臣の番号分かりますか？」

リン「え？知ってるけど…どうするの？」

しお「大臣の通話履歴をハッキングします。辞任を発表した後、組織からなんらかのアクションがあるはず。その発信源を辿れば……」

みつ「なるほどな。けどそれは可能なのか？」

しお「僕を誰だと思ってんの？まぁこれでどこまで出来るかわからないけどやってみる。」

しおんはリンに大臣の番号を聞き出し、ワイヤレスキーボードを打ち込んでいく。


カエ「す、凄い……」

カエデは思わず声が漏れた。


しお「大臣が辞任発表したのは朝方……。それ以降の時間帯に通話した件数は14件。通話時間が短く、電話帳登録してない番号……。非通知が3件。けど非通知設定しても電話通信会社なら出処がわかる。そしてその番号の発信源は……ッ！？」


しおんは驚いた顔をした。


リン「どうしたの？」


しお「・・・非通知の中に内閣総理大臣の自宅から掛けられてるのがあります。総理大臣がわざわざ非通知で自宅から掛けるわけが無い。多分これですね。」


みつ「ッ！？ていうことはつまり……」


しお「待って！一応ケイ君のスマホの位置も確認しよう。カエデちゃん！番号を教えて！」


カエ「は、はい！」

カエデはしおんに番号を教えた。


しお「ッ！？ちょっと待て嘘だろ……」


みつ「どこなんだ！？」


しお「大臣に電話した非通知番号はケイ君の番号だ……」



カエ「えッ！？」

3人は驚いた。


しお「多分ケイ君から奪ったんだろうね。けどこれなら……」


しおんはキーボードを打ち込んだ。


しお「電話したのが11時27分。ニュースが流れたのは10時だ。辞任発表から電話まで1時間空きがある。ということは…」



みつ「総理大臣の自宅に人質を移動させた……ということか。」


リン「今は13時30分。まだそこに居るってことは…？」


しお「・・・どうだろうね……。ッ！？待って！今大臣に着信が入ってる！ケイ君の番号からだ！」



リン・みつ・カエ「ッ！？」



しお「発信源はまだ総理大臣の自宅だ！ということはまだ自宅に居るかも！！」



リン「上司に伝えてみる！総理大臣の自宅に突入してもらうよ！」


リンは上司に連絡をした。


しお「くそ…なにを会話してるのかこのタブレットじゃ分からない！」



みつ「ここから総理大臣の自宅までどれくらいの距離だ！？」


しお「40km程…。バイクでも時間は掛かるよ。」

みつ「くっ、やはり警察の方が早いか！」




ついに居場所を突き止めた一同。
しかし一刻の猶予も無い。

みつれ達は人質を無事救出出来るのか。。。