『ブラックボックス』

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〜第4章〜

110.『息子vs父親』

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しおんは車の中で作戦を3人に話した。


みつ「お前がユウゼンと!?…大丈夫なのか?」

しお「大丈夫とは言えないかもしれない。だからみつれさん達は近くに潜んでて欲しい。父さんが妙な動きしたらその時はリンさん、迷わず撃ってください。」

リン「・・・わかったよ。」

ハナ「それでほんま上手くいくんやろか?」

しお「分かりません。けどこれが1番父さんを無力化出来る方法だと思う…。」

しおんの作戦に皆賛成することにした。


リン「もうすぐ着くよ……準備はいい?」

しお「・・・よし。行こう。」


リンは廃ビルから少し離れた場所に車を停めた。

みつれとリンとハナは散らばって廃ビルに侵入する。


しおんはユウゼンに電話を掛けた。

ユウ「しおんか。」

しお「父さん……今そっちに着いた。何処にいる?」

ユウ「地下だ。待ってるぞ。」

ユウゼンは電話を切った。


しお「・・・じゃあみんな、お願いします。」


みつれとリンとハナはしおんに指示された配置につく。

しおんは一人、地下のドアを開けた。


部屋にはユウゼンが座っていた。


ユウ「よく来たな。」

しお「父さん……」

息子と父親が再び再会する。


ユウ「立ち話もなんだ。座れ。」

しおんはソファに座った。


ユウ「で、USBは?」

しおんはポケットからUSBを取り出した。


ユウ「それを渡しなさい。」

しお「父さん……僕さ、今日夢を見たんだよ。」

ユウ「夢?」

しお「父さんは昔家族で遊園地に行った日のこと覚えてる?」

しおんは昔の話をした。


ユウ「・・・覚えてるよ。お前が初めてジェットコースターに乗れた日だ。…それがどうした?」

しお「父さんはあの時、どんな気持ちだったの?いずれこうなるって分かってたの?」

ユウ「・・・USBを渡せ。」

しお「ちゃんと答えて。」

ユウ「USBを!渡せ!!!」

ユウゼンはテーブルを叩いた。

しお「・・・ハッカーは冷静さが大切だ…昔、父さんから教えてもらった。」

ユウ「・・・あぁ、言った覚えがあるな。…ふっ、お前のその冷静さは母さん譲りだな。」

ユウゼンは仕切り直そうと姿勢を正した。

ユウ「しおん、これ以上関わるな。これ以上邪魔するならお前を殺すことになる。」

ユウゼンはしおんに警告した。


しお「ふざけるな……僕は父さんを止める。アンタが捨てた母さんの分までぶん殴る!!」

しおんはUSBをポケットにしまった。

ユウ「ふっ、そういう熱くなるところは俺に似てるな。」

しお「アンタ譲りだよ。…ユウゼン。」

しおんはユウゼンの名を言った。

ユウ「・・・結構だ。」 

ユウゼンは立ち上がった。

するとテーブルをしおんのほうに蹴り上げた。


しおんは素早く避け、部屋を出ようとする。


ユウ「どうした!殴るんじゃないのか!?」

しお「アンタは僕を追わなきゃいけない。これを奪うまではね。」

しおんはUSBが入ったポケットをポンポンと叩く。

ユウゼンはしおんを追いかける。

しおんは階段を上り、1階2階へと上がっていく。

ユウ「どうする気だ…」

ユウゼンはしおんの後を追う。

しお「はぁ…はぁ…うっ……」

痛み止めでも抑えれない程の痛み。

しお「よ…よつばさん…よくあれで動けてたな……」

改めてよつばの丈夫さを実感したしおん。

しおんは痛みに耐えながら階段を走る。

3階に到達したしおんは部屋に入る。

ユウゼンも後をおった。

ユウゼンが部屋にはいろうとした時、銃声が鳴る。

ハナがユウゼンに発砲した。

弾はユウゼンの脚に当たった。

ユウ「グッ!?やはりな…」

ユウゼンは振り返り、ハナを睨んだ。

ハナ「動くなや!次は心臓狙うで!!」


ユウ「やってみろ!!!」

ユウゼンはハナに襲いかかる。

ハナはユウゼンを殺さないように腹部を撃った。

弾はユウゼンの腹部に当たったが手応えがない。

ハナ「ッ!?」

ユウ「オラァ!!」

ユウゼンは怒号を上げ、ハナに襲いかかった。

ユウゼンの重い拳をハナは受け止める。

ハナ「グッ!!…なるほど…強いわ……」

ユウゼンはハナに蹴りを入れる。

ハナは危険を感じ、距離をとった。


ハナ「そらあの3人が苦戦するわけやな。ええで。ウチが相手や。」

ハナは構えた。

ユウ「邪魔をするな!!!」

ユウゼンとハナが激突する。


しおんはその隙に3階の部屋の窓から降り、ユウゼンの部屋に向かう。

ハナは時間稼ぎ要員だった。

しおんは最初からユウゼンに勝てないと分かっていた。

ユウゼンが足止めを食らっている間にしおんはユウゼンのPCをハッキングする。

そしてデータを盗み出し、事件をくい止める。

それがしおんの作戦だった。

ユウゼンもまさか3階からしおんが降りているとは思うわけもない。

しおんはユウゼンの部屋に戻って来てPCを起動した。

持ってきたポータブルデバイスを差し込み、データを全てバックアップする。


しお「はぁ…はぁ…はぁ………」

しおんは痛みに耐えながら作業を進める。


しお「急がないと……ッ!」

しおんはキーボードを打ち込んだ。


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