『ブラックボックス』

うどん

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〜第4章〜

107.『次の一手』

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ユウゼンに返り討ちにされたことをハナに話したリンとみつれ。

しばらくの沈黙の後、ハナが口を開いた。


ハナ「しおん君の入院先…教えてくれませんか?」


リン「いいよ。スマホに送っとく。」

リンはハナに病院の住所を送信した。

ハナ「ありがとうございます。んじゃ今日はこれで失礼させてもらいます。」

リン「待ってハナちゃん!」
リンは立ち上がったハナの腕を掴む。

リン「妙な気は起こさないでね?」

ハナ「なぁに言うてんのぉ…そんなわけ無いやん。大丈夫ですよ、リン先輩。」

リンは掴んだ腕を離した。

ハナ「ほなまた明日。お疲れ様です。」

ハナはリンの家を出た。


みつ「・・・よかったのか?行かせて。」


リン「・・・わからない。大丈夫とは思うけど…。」

みつ「・・・とりあえず私たちももう休もう。」

リン「そうだね。今日はもう泊まっていったら?夜遅いし。」

みつ「助かるよ。そうさせてもらう。」

みつれはリンの家に泊まることにした。


ハナは1人で帰り道を歩く。

ハナ「しおん君……」

ハナはしおんのことが心配と同時にショックを受けていた。

自分が鍛えあげたリンとしおんがいとも簡単にやられた。
指導してる側にとってはそのことがショックだった。

ハナ「・・・アカン!ネガティブになったらアカン!!」
ハナは自分の頬をバチンと叩いた。

ハナ「とりあえず今日は帰ろ。明日しおん君のお見舞い行ってから仕事行こっ。」

ハナは帰宅することにした。



翌朝。

ハナはしおんが入院している病院に来た。

しおんの病室に通されるハナ。

しおんは目を覚ましていた。

しお「ハナさん……」

ハナ「しおん君……身体大丈夫なん?」

しお「みつれさんとリンさんから聞いたんですね。」

しおんはスマホを持っていた。
みつれかリンがしおんに連絡したんだろう。

ハナ「せやで。心配過ぎて朝はよ来てもうたわ。」

ハナは空笑いをした。

しお「・・・すみません。」

ハナ「なんでしおん君が謝んねや。…こっちこそごめんやで…」

ハナはしおんのベッドの横の椅子に座る。


しお「・・・父さん……凄い強かった。手も足も出ませんでした。」

ハナ「それも聞いたで。…ウチの指導が足らんかったんや…」

しおんは首を横に振る。

しお「そんなことありません。3人がかりでも全く歯が立たなかったんだ……ハナさんのせいじゃない。」

ハナ「しおん君……ウチがやる。居場所、教えてくれへん?」

しお「・・・」

しおんは教えなかった。教えれなかった。

いくらハナでも勝てないと理解していた。


しお「・・・もうすぐみつれさんとリンさんが来ます。…僕からのお願い…聞いてくれますか?」

しおんはハナの目を見た。

ハナ「ん?なに?なんでも言うて。」


しお「あの2人を守って欲しい。…あの2人はまた父さんのところに行くでしょう…今度こそ殺されてしまう。…僕の父さんに………。」

しおんはハナにみつれとリンを守って欲しいと頼んだ。
しおんは2人の性格を分かっているからきっとまたユウゼンの元に行くと思っていた。


ハナ「・・・わかった。任しとき。せやからしおん君はゆっくり休んでや。」

しお「ありがとうございます。ハナさん。」

しおんはハナの手を握った。

しお「タイムリミットまであと4日です。それまでにカエデちゃんの彼氏と家族を助けないと……。僕の父さんは後回しです。」

ハナ「カエデちゃん…ってあの中学生の女の子やな?」

しお「はい。なんとしても助けないと。…例の動画を見ました。多分本当に殺す気だ…。」

ハナ「ウチも見たよ。確かに…要求が通っても通らんくても殺りかねへんな…そんなこと絶対させへん!」

ハナは力強く言った。

しお「もちろんです。誰も死なせない。」

ハナ「とりあえずしおん君は身体治しぃや。……話しやったらなんでも聞いたるさかい、話したくなったったら話してな。」

しお「ありがとう、ハナさん。」


すると病室のドアが開いた。
みつれとリンがやって来た。

リン「しおん君、ハナちゃん。おはよ。」

ハナ「おはようございます。」

しお「おはようございます…昨日はすみません。」

みつ「具合はどうだ?しおん。」

みつれとリンはしおんの具合を心配していた。


しお「大丈夫…とは言えないね。しばらくは動けそうにない。」

みつ「そうか…。ゆっくり休め。」

しお「ありがとう。…そんなことより…」

リン「うん。自体は思ったより深刻になってるよ。」

昨晩の動画流出から一夜明けたが依然と話題になっていてテレビニュースにもなっていた。

そして当然報道関係は防衛大臣に迫る。
政府関係者各地でパニック状態になっていた。


リン「この動画で大臣は国民に理由も知られずに辞任ってことが出来なくなった。辞任には賛否両論出るだろうね。…テロに屈する国になるのか否か…て感じに。」

ハナ「ほなやっぱり人質を救出して辞任もさせへんってカタチが1番まとまるなぁ…。」

みつ「だがそれも今となっては難しい。ユウゼンが居る以上、情報は盗み出せないし掴めない。必ず阻止される。…しおんのように。」


しお「そうだね…。父さんさえ抑えればこっちは動きやすくなる…。僕たちに出来るのはそれしかないけど……けど……」

しおんは俯いた。

心情を察する3人。

リン「とりあえず警察は全面的に動いてる。また新たな突破口が見つかるかも。」


みつ「・・・そうだな…だがあまり悠長にはしてられない。……私はもう一度ユウゼンのところへ行く。」

みつれはユウゼンの居る廃ビルに行くことを告げる。

ハナ「ッ!?アカンでみつれさん!まだ腕治ってへんやんか!!そんなんでどないするつもりなん!?」

ハナは反対した。

ハナ「今回はそれで済んだかも知れんけど、次は殺されるかもしれへんねんで!?」

リン「ハナちゃん、言ってることはわかるけどちょっと待って。……私もみっちゃんについて行く。私たちに出来ることはそれしかない。」

ハナ「リン先輩までなに言うてんの!?アカンって!!」

ハナは必死に止めようとする。


リン「次は武装して行く。もちろん危険なのは分かってる。けどこれが事件解決の近道なの。」

ハナ「・・・」

ハナは言葉が出なかった。


しお「2人ともちょっと待って。」

聞いていたしおんが口を開いた。

しお「父さんを抑えたところで情報を引き出せるのは僕だけだ。…僕も行く。」

みつ「お前は無理だろ…」

しお「いや、行く。僕に考えがある。けど準備が必要なんだ。少し時間が欲しい。」

しおんは真剣な眼差しでみつれを見つめる。


みつ「・・・わかった。夕方には戻ってくる。それまで準備しておけ。」

みつれは病室を出た。

リン「ちょっ!?みっちゃん!!」

リンはみつれを追いかけた。


病室にはしおんとハナだけになった。

ハナ「しおん君…考えってなんなん?」

ハナはしおんに質問する。

しお「ハナさん、少し手伝って欲しい。いいですか?」

しおんはスマホで電話をかける。


ハナ「誰に電話するん?」





しお「・・・父さんです。」

スマホからコール音が鳴り響いた。。。
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