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〜第4章〜
100.『協力者』
しおりを挟む昼間には晴れていた空も雲が太陽を遮り曇天となった夕方頃、みつれとカエデは事務所に戻ってきた。
みつ「戻ったぞ。……しおん?どうした?」
しおんはモニターの前で沈黙していた。
しお「あぁ、みつれさんおかえり。…あれ?カエデちゃんは?」
みつ「夕方だし自宅に帰した。それよりなんかわかったか?」
しお「・・・わかったというかわからなくなったというか…」
歯切れの悪い返答をするしおん。
しおんはみつれに起きた出来事を話した。
みつ「お前の親父が!?確かなのか!?」
しお「そうだと思う。僕の名前を出していたし、あんなトラップ貼れるのは父さんくらいだ……」
みつ「・・・それでPCをやられたというわけか。」
みつれは画面が黒いモニターをトントンと触った。
しお「かなり厄介なウイルスなんだ。しばらくこれは使えそうに無い。どうしようか…」
みつ「使えるのにどれくらいかかりそうなんだ?」
しお「多分1週間くらい…やられたよ。タイムリミットの1週間の間ハッキング出来ないように仕向けられたんだ…」
しおんはギリっと噛み締める。
みつ「しおんがそこまで行き着くのは計算のうちだった…てことか。」
調べる手段が無くなった2人。
みつ「とりあえず、これで組織が関わってるのは確実だとわかった。リンに連絡しよう。」
みつれはリンに連絡をとる。
みつ「リン。私だ。…あぁ、それが困ったことになってな…。……わかった。頼む。」
みつれは電話を切った。
しお「リンさんはなんて?」
みつ「とりあえずこっちに来るらしい。」
しお「りょーかい。それまでに今後の作戦を考えよう。」
みつ「そうだな…。といっても情報が無ければ難しいな。」
2人はいい作戦が浮かばなかった。
そうこうしてるうちにリンが事務所に到着した。
リン「待たせたね。それで?どうしたの?」
しお「リンさん!それが……」
しおんはリンに事情を説明した。
リン「なるほど…しおんのお父さんが……」
しお「すいません。それでPCなウイルスをいれられて使えなくなりました。」
しおんはリンに謝った。
リン「しおん君は悪くないよ。けどこれで確定したね。」
みつ「あぁ、組織の仕業に間違いない。」
しお「でも情報が引き出せない以上、どう動いたらいいかわかりません。」
リン「こうなったら……」
リンはなにか案があるのかどこかに電話をかけた。
リン「もしもし、私。ちょっと頼みたいことがあるんだけど……。…うん、そう。……ごめんね。……ありがとう。じゃあそっち行くよ。」
リンは電話を切った。
みつ「・・・誰にかけたんだ?」
リン「会えばわかるよ。とりあえず行こっか。私の車に乗って。」
リンはみつれとしおんを連れ、とある場所に向かった。
着いた先はリンの行きつけのbarだった。
みつ「お前…ここって…」
リン「とりあえず入るよ。」
3人は店の中に入っていった。
「リンさん。待ってたよ。奥の部屋で待ってて。すぐ行くよ。」
リン「ありがとマスター。」
リンはマスターに挨拶していつもと違う奥の部屋に入っていく。
しお「まさかあのマスターが電話相手?」
みつ「そうらしいな……」
2人はひそひそ話しながらリンの後を追う。
奥の部屋に入り、席に座る。
「待たせたねリンさん。」
マスターが部屋に入ってきた。
マスターは3人にコーヒーを出した。
リン「マスター、改めて紹介するよ。便利屋『カモミール』のみつれさんとしおん君。」
リンはマスターに2人を紹介した。
会釈をするみつれとしおん。
リン「みっちゃん、しおん君。こちらはマスターの『オキ』さん。」
オキ「マスターのオキです。どうも。」
オキは会釈をする。
リン「マスター、それでさっきの件だけど……」
オキ「わかってるよリンさん。防衛大臣の親族誘拐の件だろ?」
オキは状況を分かっているような顔だった。
リン「そう。なにかわかった?」
オキ「まぁ例のテロ組織の仕業だろうね。それも今回はデカいヤマだ。この国を揺るがしかねないヤマだろう。」
しお「あの…オキさんは何故そのことを?」
しおんがオキにたずねる。
オキはしおんにニコッと微笑む。
リン「マスターはね…私の協力者なんだよ。」
リンの協力者であるbarのマスター オキ。
いったい何者なのか。。。
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