『ブラックボックス』

うどん

文字の大きさ
上 下
101 / 190
〜第4章〜

97.『スイの日記 後編』

しおりを挟む






『今日は色んなことがあった。
リカ先生に会いに行った。凄く怖かった。シロサキの前で裸にされて靴を舐めさせられた。改めて自分が『犬』だったってことを思い知らされたよ。
けどポチのことはなんとか隠しきれたと思う。

ホテルでポチが待ってくれていた時は嬉しかったな。
正直、私は逃げるんじゃないかって思っていた。
それでポチを守れるならそれも仕方ないと思っていた。
けどポチは私の帰りを待っていてくれた。

ボロボロの私を心配してくれていた。
…本当に嬉しかった。



帰りは散々だった。
まさか警察に追われるなんて…。
それにピンポイントに追跡してくる。
なんで場所がわかるんだ?
上手く巻けたからよかったけど。

帰ってきてからは本当に幸せだった。
ポチが私の全てを受け入れてくれるって言ってくれた。凄く嬉しかった。こんな幸せなことはない。
けどまだ全ては見せれない。
いつか必ずポチにはさらけ出す。
その日まではまだ……』




このページは何故か濡れた形跡があり、文字が滲んでいた。
多分泣きながら書いたのだろう。



『初めてだった。
私の全てを受け入れてくれる人に出会ったのは…。凄く嬉しい。私はポチから愛されていいのかな……これまで私は一方的に愛していっぱい酷いこともをしてきた。そんな私に…ポチは愛してるって言ってくれた。
組織を抜けてポチと一緒に暮らしたい。愛し合いたい。けど絶対組織は抜けられない…多分殺されるだろうな。



嫌だ!死にたくない!


ポチを置いて死にたくない!

組織を裏切ったらこの国にはいられないかもしれない。けど海外に逃げる準備は出来ている。後は実行するだけ。

明日ポチに話してみよう。
ポチなら私についてきてくれる…よね。





今シロサキから電話がかかってきた。
リカ先生のポチのことを報告しろと脅してきた。
もう腹を決めるしかない。

多分この日記もこれが最後だろう。



ポチは必ず守り抜く。




私はポチを心の底から愛してる。』





それ以降は白紙だった。。。











みつ「スイ………。」
みつれはスイの日記を全て読んだ。

自然と涙がこぼれていた。

みつれは手帳と一緒に入っていた写真を見た。

みつ「これは………ふっ……」

写真に写っていたのはみつれの寝ている姿だった。

みつ「隠し撮りしてたんだな…。言ってくれればいくらでも撮ってよかったのに……」




みつれは写真と手帳をポケットにしまおうとした時、手帳から1枚の写真が出てきて床に落ちた。

みつ「ん?もう1枚あったのか……」

みつれはその写真を拾い上げる。

みつ「これは………」
その写真の場所には見覚えがあった。



『ドッグオーディション』のステージだ。


そこには首輪をつけられて全裸にされてるスイと女が写っていた。


みつ「まさか……この女が……リカ!?」

みつれはさっきの日記を読み直した。



『まずは尊厳を奪ってやらないとね。私もリカ先生にやられたなぁ……』


『ポチを『ドッグオーディション』に出すことになった。なんか懐かしいな。無事に上手くいくといいけど……』


みつ「やっぱり…。こいつが…リカ。」

リカはスイの躾役だったことを知ったみつれ。
自然と怒りが込み上げてきた。


みつ「スイも『ドッグオーディション』経験者だったのか……。本当に私と同じだな。」


みつれは写真と手帳をポケットにしまった。。。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

バレー部入部物語〜それぞれの断髪

S.H.L
青春
バレーボール強豪校に入学した女の子たちの断髪物語

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

処理中です...