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〜第4章〜
92.『似たもの同士』
しおりを挟むしおんとハナはホテルの部屋に入った。
しお「大丈夫ですかハナさん?」
ハナ「うん……ほんまごめんなぁ…しおん君…」
しおんはハナをソファに座らせた。
しお「シャワー浴びてベッドで寝てください。では僕はこれで。」
しおんは部屋を出ようとする。
ハナ「え!?しおん君泊まらんの!?」
しお「僕が居たらダメでしょ?」
ハナ「ウチを1人にしんといてぇ~!!」
ハナはしおんの脚に抱きついた。
しお「ちょッ!?ハナさん!?」
ハナ「それにこんな遅い時間に未成年を外に出せへんやんかぁ~!頼むわァ一緒に居てぇ!!」
ハナはしおんの脚にスリスリと頭を擦り付けた。
しお「・・・わかりましたよ。」
しおんはなくなく了承した。
ハナ「やった!ほんまおおきに!!」
ハナは満面の笑みをしおんにむけた。
それを見たしおんはハナによこしまなきもちがよぎるがグッと我慢した。
ハナ「実はウチこういうとこ来るの初めてやねん…せやからちょっと……な?しおん君はこういうとこ慣れてそうやけど…」
ハナは恥ずかしそうにしおんに言った。
しお「ぼ、僕も初めてですよ!」
ハナ「え!?ウソやん!?…ウチめっちゃ失礼なこというたやん……ごめんなぁ……」
ハナは土下座までして謝った。
しお「や、やめてください!気にしてませんから!!」
しおんは土下座をやめさせ、ソファに座らせる。
ハナ「ウチあかんわぁ…ほんまこういうとこデリカシー無いって言われるねん……」
しお「大丈夫ですよ。デリカシー無いのは慣れてますから。それにもっとデリカシーが無い人もいます。」
しおんはみつれのことを言ったがそれはやめておいた。
ハナ「ほんましおん君優しいなぁ…。彼女さんも誇らしいやろなぁ。」
しお「いや、彼女とかでは……」
ハナ「あれ?ちゃうの?大事な人って言ってへんかった?よつば…ちゃんやっけ?」
しお「・・・よつばさんは彼女ではありません。でも大事な人です。」
しおんは少し優しい顔になる。
ハナ「・・・なぁ、絶対誰にも言わんから、しおん君の大事な人の話、聞かせてぇや。」
しお「絶対誰にも言わないでくださいよ。あと絶対詮索しないでください。絶対ですよ!?」
ハナ「えらい念押しやなぁ。余計気になるやんかぁ。」
しお「・・・よつばさんは………」
しおんはよつばのことをハナに語った。
ハナ「しおん君……ほんま優しい男やなぁ……」
ハナはしおんの話を聞いて泣いていた。
しお「なんでハナさんが泣いてるんですか!?」
ハナ「だって……しおん君いい子過ぎるやん……」
ハナは泣きじゃくる。
しお「ちょッ!?泣かないでハナさん!!ほらティッシュ!」
しおんはハナの涙を拭う。
ハナ「ありがと……ウチがその子やったら完全に惚れてるわぁ……」
しお「あ、ありがとうございます…なの?」
しおんは首を傾げた。
ハナ「ふふっ…話してくれてありがと。しおん君。」
ハナは笑った。
ハナ「けど会われへんのは寂しいなぁ。その人の元に帰ってったんやろ?」
その人はカオリのことだった。
しお「そうですね…。もう一生会うことは無いかもしれません。…けどそれがよつばさんの選んだ道ですから。僕は応援したい。」
ハナ「しおん君……。ええ男やなぁ……。好きになってまいそうやわ…」
しお「ハナさんにはリンさんがいるでしょ?」
一瞬しまったと思ったしおん。
ハナの表情は少し暗くなった。
ハナ「ウチじゃ無理や……。絶対実らん……」
ハナはまた泣き出しそうになる。
しお「大丈夫ですよ。話なら僕が聞きますから。ね?」
ハナ「しおん君……。ほんま優しくて罪な男やなぁ…」
ハナはしおんに抱きついて泣いた。
ハナ「ウチな……警察学校の時からリン先輩のこと好きやってん。けどその時からリン先輩はずっとみつれさんのことが好きやったんや……」
しおんも知らなかった事実。
リンは警察学校時代からもずっとみつれを想っていたのだった。
ハナ「そんな一途な人がウチに振り向くわけないやんか……」
しおんはまた気の利いた言葉が出なかった。
しおんもリンがそんな昔からみつれを想っているのを知らなかったからだ。
しお「ハナさん…こう言っちゃあれですけど、僕達似てますね。」
ハナ「・・・そうかもしれへんな…。」
しおんの想うよつばはカオリを想い、
ハナの想うリンはみつれを想っている。
2人は似たもの同士だった。
しお「お互い頑張りましょう。想い続けることに、きっと意味はあります。」
しおんはハナの顔を見て言った。
ハナ「そうやな…お互い頑張ろ!!」
ハナはガッツポーズをした。
しお「じゃあ今日はもう寝ましょう!ハナさん先にシャワー浴びてください。」
ハナ「え?!なにしおん君いきなり誘ってんのぉ?」
しお「そ、そんなわけないでしょ!!いいから先に入ってください!」
ハナ「おっけー!ほな先入らしてもらうわ!」
ハナはとたとたと浴室にむかった。
しお「ふぅ……」
しおんはひと息ついた。
まさか刑事とラブホテルで一夜を過ごすとは夢にも思っていなかった。
すると浴室からハナの声が聞こえた。
ハナ「すごぉい!ジャグジーや!!しおん君見てみぃ!!ジャグジーやで!!」
ハナは大はしゃぎしてしおんに駆け寄った。
しおんは手を引っ張られ浴室に連れていかれる。
しお「ホントだ。凄いですね。」
ラブホテルに初めて来た2人はジャグジーに驚いた。
ハナ「なぁ!お湯溜めようや!ジャグジーやろや!!!」
ハナは初めてのジャグジーにテンションが上がっていた。
しお「どうぞどうぞ。ゆっくり入ってください。」
ハナ「やった!!ほな湯溜めるでぇ!!」
ハナは蛇口を捻って湯を出した。
しおんはソファへと戻っていこうとしたその時、ハナがしおんの袖を引っ張った。
ハナ「・・・一緒入らへん?」
しお「ふぁ!?」
しおんは思わず変な声が出た。
ハナ「せ、せやから!…一緒に入らへん?」
ハナは上目遣いでしおんにせまった。
しお「うっ……だ、ダメです!お互い大事な人がいるでしょ!?」
しおんはなんとか断ろうとした。
ハナ「えー!はいろぉやぁ!!こういうの一緒に楽しみたいタイプやねん!!」
ハナは謎のカミングアウトをする。
しお「ダメです!ハナさんだけ入ってください!」
しおんはハナに背を向けた。
ハナ「・・・そっか。わかった。」
ハナはしゅんとなって湯が溜まっていくジャグジーを見ていた。
しおんはソファに戻る。
しお「((これでいいんだ!!一緒に入っちゃさすがにマズイだろ…ッ!!))」
しおんは理性をおさえた。
しばらくしてから浴室からハナの叫ぶ声が聞こえた。
ハナ「うわぁぁぁあ!!!」
しお「ッ!?ハナさん!?」
叫び声からただ事では無いと感じとり、しおんは浴室に走っていった。。。
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