『ブラックボックス』

うどん

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〜第4章〜

89.『帰還』

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スイが亡くなってから1ヶ月後。


帰省していたみつれは1ヶ月ぶりに『カモミール』の事務所兼自宅に帰って来た。

みつ「・・・なんか久しぶりだな……。」

みつれは事務所の鍵を開け、中に入る。

みつ「・・・しおんは留守か。」
みつれは荷物を置き、ソファに座る。

事務所のソファ、しおんのモニター、観葉植物、1ヶ月留守にしてただけなのにどこか懐かしく感じるみつれ。

みつ「シャワーでも浴びるか…。」
みつれは立ち上がりその場で服を脱いでいく。

するとしおんが事務所に戻ってきた。

しお「はぁ…疲れた……シャワーでも浴び……みッ!みつれさん!!?」

しおんは事務所で全裸になっているみつれを見た。

みつ「しおん、ただいま。会いたかったぞ。」

みつれはしおんに近づき抱きしめた。

しお「み、み、みつれさん!?い、いつ帰ってきたの!?てかなんで裸!?」

みつれの胸がしおんに当たっている。

みつ「さっき帰ってきたんだ。今からシャワー浴びようと思ってな。…ん?しおん。しばらく見ないうちにお前なんかガタイよくなったな。」

みつれはしおんの胸を触る。

しお「ちょ!?やめて!!」
向いた
しおんは後ろを向いた。

みつ「ふっ、すまなかったな。なんか逞しくなったな。」

しお「そ、それより先にシャワー浴びてきて!」
しおんは前かがみになりながらみつれに言い放つ。

みつ「ふふっ、わかったよ。」
みつれは風呂場へ向かった。

しお「・・・相変わらずデリカシー無いなみつれさんは………」

しおんはみつれの相変わらずぶりに少し笑った。

しお「・・・おかえり、みつれさん。」

しおんはみつれのタオルを取りに行った。


みつれがシャワーから出るとしおんもシャワーを浴びた。

みつ「珍しいな。お前がシャワーなんて。」
みつれが浴室のドア越しから話しかける。

しお「汗かいたからね。汗臭いの嫌だから。」

みつ「・・・なんかしていたのか?」

しお「まぁ……色々と。」
しおんは歯切れの悪い返事をした。

みつ「そうなのか。まぁいいけど。」
みつれは自分の部屋に入っていった。

自分の部屋に入るのも久々なみつれ。
中は綺麗に掃除されていた。

みつ「ふっ。しおんのやつ、綺麗に掃除してくれたんだな。」
みつれはベッドに横たわる。

みつ「ふぅ………。」
みつれは久々の自分のベッドが心地よくていつの間にか眠ってしまった。


しお「みつれさん、あがったよぉ。ご飯どうす………はぁ………」

しおんはみつれの部屋のドアが開きっぱなしなのに気付き、中を覗くとみつれがタオル1枚で寝ていた。

しお「ホント相変わらずだな………。」
しおんは全く変わってないみつれに少し安心した。

しお「けどせめて下着は着て欲しいな……」
しおんは大きな毛布をみつれにかけた。

しお「おやすみ。みつれさん。」
しおんは部屋のドアをそっと閉めた。


しおんはモニター前に座り、電話をかける。

しお「リンさん、お疲れ様です。」
電話先はリンのようだった。

リン「少年!お疲れ様!どうしたの?」
息を荒くして電話に出るリン。

しお「あれ?取り込み中でしたか?」

リン「いや、ランニングしてただけ。…で、どうしたの?」

しお「みつれさんが帰って来ました。」
しおんはみつれが戻ってきたことを告げる。

リン「え!?ちょ!今すぐそっち行くよ!近いし!」

しお「え!?今はちょ……もしもし?もしもーし!!」
リンは返事を待たずに電話を切っていた。

しお「えー………」

数分経つとリンが事務所にやってきた。

リン「みっちゃん!!」
ドタドタとあがりこむリン。

しお「シーッ!みつれさんは今寝てます。」

リン「え?そうなの?先に言ってよぉ」

しお「言おうとしたらリンさんが電話切っちゃたんですよ。」

リン「え、えへへぇ…」
笑って誤魔化すリン。

しお「・・・こっちです。」
しおんはリンをみつれの部屋まで案内する。

ドアを開けるとみつれはスヤスヤ寝ている。

リン「みっちゃん……帰ってきたんだね。」

みつ「ん………」

みつれは寝返りをうったせいで毛布がはだける。

リン「・・・少年、なんでみっちゃん裸なの?」

リンは裸のみつれを見てしおんにたずねた。

しお「リンさんからもなんとか言ってくださいよ。正直困ってます。」
しおんは首を横に振りながら言った。

リンは裸のみつれをずっと見つめていた。

しお「・・・リンさん?」

リンは無言でみつれの胸を触った。

みつ「んッ………」

リンはみつれの乳房を指で摘んだ。

しお「ちょ!?リンさんなにしてんの!?」
しおんはリンを羽交い締めにしてみつれから離した。

リン「ご、ごめん。ちょっとムラッときて……」

しお「そういうのは僕が居ないとこでしてください!」

リン「ごめんごめん。」
リンは笑った。

リンはみつれに毛布をかけた。

リン「・・・おかえり、みっちゃん。」

2人はみつれの部屋を出た。

2人は事務所でこれからのことを話し合った。

しお「みつれさんが帰ってきましたけど、これからどうしますか?」

リン「一応こっちでも調べてはいるけど、ここ最近は動きは無いみたいだね。」

しお「やっぱり…。僕も探ってましたがなにも情報は出ませんでした。どう動いたらいいか…」

みつれが留守のあいだも2人は組織を追っていた。
しかし、スイの件以降全く音沙汰が無かった。

リン「・・・悔しいけど向こうが動くのを待つしか無いね。」

しお「そうですね。まぁ出来ることはやりますよ。」

リン「うん。とりあえずまた明日みっちゃんも交えて話しよう。今日はもう帰るよ。」
リンは腰をあげた。

しお「わかりました。また明日。」

リンは帰って行った。




この街に帰ってきたみつれ。
3人は組織を追うために再び動き始める。。。
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