『ブラックボックス』

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〜第3章〜

75.『〜しおんの過去編〜思い出のバイク』

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しおんはボロボロになったバイクを受け取った。

よつ「うわぁ…改めて見ると凄いね……」

しお「・・・よく生きてたよね…よつばさん…」

2人はバイクをみて唖然としていた。



しお「このバイクはちゃんと修理するよ。みつれさんがまた乗れるように。」


よつ「このバイク…みつれさんのだったんだね…悪いことしたなぁ…」

しお「よつばさんのせいじゃないよ。」
しおんはよつばをフォローした。

しお「このバイクは『カモミール』が出来た時からずっとみつれさんが社用車として乗ってたんだよ。あの時のみつれさんの表情には驚いたなぁ………」









便利屋『カモミール』が創設されたその日のこと。


しおんとみつれは事務所内を見て回った。

しお「事務所兼自宅って感じだね。」

みつ「そのようだな。」

事務所の奥はキッチンと浴室で、2階は部屋が2つあった。

みつ「私はここに寝泊まりさせてもらうよ。帰る家も無いしな。しおんはどうする?」

しお「僕は母さんを看ないといけないから家に戻るよ。」

みつ「・・・お母さん、病気なのか?」

しお「元々身体が弱くて病気がちだったんだけど、父さんが消えてからはずっと体調崩しててね…。」

みつ「そうだったのか…。お母さんを大事にな。」

しお「ありがとうみつれさん。」

2人は内見を終えた。
2人でも充分生活出来るが、しおんは母のこともあり、自宅から通うことにした。


しお「じゃあまずは移動手段を確保しないとね。車とかバイクとか。」

みつ「けどしおんはまだ免許持ってないんじゃないか?まだ16歳だろ?」

しお「一応2輪免許は持ってるからバイクかなぁ……。」

みつ「私もバイクのほうがいいな。」

しお「じゃあ今からバイク屋に見にいこう!!」
しおんとみつれは近くのバイク屋むかった。

しお「みつれさんはバイク好きなの?」
しおんはみつれに質問した。

みつ「車よりかは好きだな。風を感じれて気持ちいいし。しおんは好きなのか?」

しお「バイクは好きだけど運転はちょっと苦手かなぁ……」

みつ「そうなのか。なんか意外だな」
みつれは少し笑った。

バイク屋に到着した2人はバイクを見て回った。

しお「どんなバイクがいいかなぁ…ビックスクーター…オフロードバイク…ネイキッドバイク……」
しおんが辺りをぐるりと見回しているとみつれに袖を引っ張られた。

しお「ん?どうしたのみつれさん?」

みつれは1台のバイクをじっと見ていた。

みつ「・・・これがいい……」

そのバイクはフルカウルのバイクだった。

しお「速そう…なんかかっこいいね。」

みつれはこくこくと頷いた。
みつれの目は心做しかキラキラしていた。


みつ「しおん!私これがいい!」

みつれは子どもがおもちゃをねだるような表情をしおんにみせる。


しお「((みつれさん、こんな顔もするんだなぁ…なんか可愛らしいな…))」

しお「わかった。このバイクにしよう。」
しおんはそのバイクにはあまり乗り気じゃなかったが、みつれの表情に負けた。

みつれは嬉しそうだった。
昔から乗りたかったバイクだろうか。



そのバイクを購入して納車は後日となった。


しお「納車は後日だね。」

みつ「あぁ。楽しみだなぁ。」
みつれはニヤケが止まらなかった。

しお「後は生活用品とか買わないとね。」

みつ「それなら私が買っておく。もう時間も遅くなるしな。お母さん看ないといけないんだろ?」

しお「そうだね。じゃああとはみつれさんに任せます。また明日!」

みつ「また明日。気をつけてな。」

しおんはみつれに手を振って帰宅した。

新たなことの連続で少しワクワクしている16歳のしおん。

後日、バイクが納車されてみつれは超ご機嫌だった。

みつ「しおん!ちょっと乗ってきていい!?」

しお「いいよ。気をつけてね。」
みつれら行動にはしないが機嫌良くはしゃいでるのがわかるしおん。

バイクに跨るみつれは、クリスマスにサンタクロースからプレゼントを貰った子どものようにしおんは見えた。











しお「・・・このバイクのおかげでみつれさんの色んな一面をみたよ。だからこのバイクは直さないといけないんだ。またみつれさんの色んな一面を見るためにも。」

よつ「なんか可愛らしいなみつれさん。」

2人は微笑んだ。

しお「それにこのバイクに救われたことは何度もあった。母さんが倒れた時とかは特に救われたよ。」

よつ「そういえばしおんさんのお母さんはどうしてるの?」

しお「・・・亡くなったよ。カモミールが出来て数ヶ月後くらいに…。」

よつ「あ、ご、ごめんなさい!!」
よつばはきいてはいけないことをきいた気がしてすぐに謝った。

しお「気にしないで!もう3年前の話だからさ!」
気を使わせまいと優しく笑うしおん。


しお「さぁ、昔話はおしまいだ。とりあえずこれを修理するためにバイク屋に連絡しよう。」

よつ「・・・うん!」



しおんにとってみつれとの思い出のバイク。
そこによつばとの思い出もきっと刻まれることになるだろう。。。



~しおんの過去編~END.
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