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〜第3章〜
70.『振り出し』
しおりを挟むカオリの宿を出たよつばは事務所に戻る。
するとしおんはもう戻っていた。
しお「よつばさん、おかえりなさい。」
よつ「ただいま。リンさん、どうだった?」
しおんは首を横に振った。
しお「まだ意識が戻ってないらしい。一応一命は取り留めたらしいけど。」
よつ「そっか……。」
しお「そっちはどうだったの?」
よつ「うん。ご主人様に助言を貰ったよ。」
よつばはカオリに言われたことをしおんに伝えた。
しお「記憶障害!?」
よつ「うん。ご主人様が映像を観る限りではそうじゃないかって…。」
しお「なるほど…。確かにそれなら色々説明がつくね…。」
しおんは納得がいく顔をした。
よつ「どうする?ご主人様のおっしゃったことが本当なら奪還はかなり難しいぞ。」
しお「・・・」
恐らくみつれは自分たちのことを覚えていない。
そうなると助け出すのは困難になる。
しお「・・・とにかく今はリンさんの意識が戻るのを待つしか……」
よつ「そんな悠長なこと言ってる場合か?リンさんが目覚める以外のプランも考えたほうがいいだろ!」
しお「・・・そうだね。それも考えないとね。」
よつ「旧トンネルを調べた時、隠れ家があるとしたら通気口があるって言ったの覚えてる?それを探そう!」
しお「ならやっぱり施工に関わった『ナムラ組』を調べる必要があるな…。昨日は調べる前にみつれさんのGPSに気づいたからまだ調べれてない。」
しおんはキーボードを打ちはじめた。
よつばは時計をみる。
時刻は12時を過ぎた頃だった。
よつ「ワタシはお昼ご飯をつくるよ。台所借りるね。」
よつばは台所に向かって調理を始めた。
しお「『ナムラ組』……これだ。今は名前を変えて大きな会社になってるんだな……。名前は……『ネクストクリエイティブ』……社長が代わってから名前を変えたのか………いや……」
しおんはある記事を見つけた。
しお「『ナムラ組元従業員が会社と暴力団との関係を暴露』…なんだこの記事。
記事のページを開くしおん。
【ナムラ組元従業員が会社と暴力団との関係を暴露】
建設会社『ナムラ組』は古くから暴力団組織と密の関係を持ち、恐喝等で他の建設会社の仕事を横取りなどをしていたことを元従業員が暴露。
しお「ん?これは……その後の記事か…。」
【山奥で男性の変死体を発見。】
未明、山中にて男性の変死体が発見された。
男性の身元は建設会社『ナムラ組』の元従業員で、警察は男性に何らかのトラブルがあったと見て捜査を進めている。
【建設会社『ナムラ組』社長 逮捕】
本日未明、建設会社『ナムラ組』社長 ナムラ タカシ容疑者(54)を殺人、死体遺棄の容疑で逮捕。
ナムラ容疑者は暴力団組織『カサマツ組』と共謀し、元従業員を殺害し、遺体を山に捨てたと供述。
警察の調べに対し容疑者は「間違いない」と供述。
警察は暴力団組織『カサマツ組』の事務所を家宅捜査する方針。
しお「・・・なるほど、これで次に就いた社長が名前をかえたのか…。昔の話だし、当時の社長はもう生きてないよなぁ…。」
しおんは椅子にもたれかかる。
しお「社長の逮捕を機に社名を変更。事務所も新たに移転。当時の暴力団は数年後に解散。『ナムラタカシ』を調べても何も出ず。『ナムラ組』を調べてもダメそうだな……」
しおんは席をたち、トイレに向かった。
しおんがトイレのドアを開けるとよつばが用を足していた。
よつ「えっ!!?ちょっ!待っ!!」
ちょろちょろと音が響く。
しお「えっ!?ご、ごめん!!!」
しおんはドアを閉めた。
しお「ご、ごめんよつばさん。鍵掛かってないからてっきり……」
ジャーっと流す音が聞こえる。
よつばはそっとドアを開けた。
よつ「・・・エロガキ……」
よつばは少し恥ずかしそうに言った。
用を足してる姿は恥ずかしいようだ。
しお「だって…鍵してなかったから……」
よつ「ワタシはいつもしてないの。ご主人様だけだったし。ご主人様なら見られてもいいし…」
よつばが言い訳をする。
少し気まずくなる2人。
よつ「・・・ご飯はもう出来るよ。ちょっと待ってて。」
よつばは台所へ向かった。
しお「・・・」
しおんはトイレに入ろうとする。
よつ「トイレで抜くんじゃねぇぞ。エロガキ♡」
よつばは悪戯っぽくしおんに言った。
しお「しないよ!!もう!!」
しおんはバタンとドアを閉めた。
よつ「ふふふっ。」
よつばは少し笑って台所へ戻った。。。
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