『ブラックボックス』

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〜第2章〜

62.『〜ポチの鎖編〜カーチェイス』

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しおんとよつばはバイクでみつれの現在地に向かっていた。

猛スピードで車と車のあいだをすり抜けるよつば。

しお「よつばさん!!事故だけはしないでください!!!」

よつ「えぇ!?聴こえなぁい!!」

しお「だーかーら!!事故はしないでぇ!!」

よつ「そうですねぇ!!竹刀とか武器になる物持ってきたらよかったですねぇ!!」


唸るバイク音と風で2人の会話は全然成立していなかった。

しお「((ダメだ。こんなんじゃリンさんに電話出来ない……。こうなったら直接……))」

ちょうど信号待ちになったタイミングでしおんはよつばに旧トンネルで止まるように指示を出した。


事務所から旧トンネルは1時間程掛かるが、
よつばの運転のおかげで早く着いた。

2人は旧トンネルで捜索してるであろうリンを探す。

リンは例の階段のところにいた。


リン「少年!?どうしたの!?」
リンはビクッと驚いた。

しお「電話繋がらなくて直接来ました!みつれさんの現在地が分かりました!!埠頭です!!」

リン「埠頭!?それは何時の話!?」

しお「僕らが11時頃ここに来たより少し先にみつれさんは移動したようなんです。入れ違いだったんです!」

リン「くそっ!今スグ向かおう!!」

一行は埠頭へ向かい始めた。





スイとみつれは旧トンネルに向かって車を走らせていた。


スイ「帰ったらお風呂入りたいな。」

みつ「ねぇ、わたしも一緒に入っていい?」

スイ「もちろん。一緒にはいろ♡」

みつ「うん!」
喜ぶみつれをみてスイは微笑む。

スイ「途中で車の燃料入れるね。」
スイはガソリンスタンドに寄って給油した。



しおん一行は埠頭へ向かっている。

しおんはリンの車に乗って、よつばはバイクで移動していた。

しお「ッ!?GPSが動き出してる!こっちに向かって来てます!」

リン「どこかですれ違うかもしれない。少年!GPSをしっかりみててね!!」

しお「・・・今止まりました。ここは…ガソリンスタンドですかね…。」

リン「給油してるんだろうね!急ぐよ!!」
リンは車の上に赤灯をつけて飛ばし始めた。

リン「みっちゃんは絶対助ける!!」

サイレンを鳴らし、みつれの元に急ぐ。


給油中のスイは遠くからサイレンの音に気付いた。
サイレンはこっちに向かって来ている。

嫌な予感がしたスイは給油を終え車に乗り込んだ。

みつ「スイ?どうしたの?」

スイ「ポチ。ちょっとしばらくの間屈んでてくれる?」

スイはアクセルを踏み込み、ガソリンスタンドを出た。

みつ「わっ!どうしたの!?」

スイ「いいから屈んでて!!」

片側2車線の道路に入った。
そこでスイの車とリンの車がすれ違う。

しお「はっ!?さっきすれ違った車!スイだ!!」
リン「なんだって!?」

しおんはタブレットでみつれの現在地を見る。

しお「すれ違ってる。間違いない!さっきの車の中にみつれさんがいる!!」

リン「追うよ!!!」

リンは後輪を滑らせながらUターンをした。

リンはスイの車を追った。


スイ「くそっ!!気付かれた!?なんでわかった!?」
スイはさらにアクセルを踏み込む。

みつ「どうしたの!スイ!なにが起こってるの!!」
突然のことで戸惑うみつれ。

スイはみつれの質問に答えなかった。


リン「各車両!黒のセダンを追え!ナンバーは……」
リンは無線で他の警察官に指示する。

次々と警察車両がスイの車を追い始める。

スイ「くそっ!!」
スイは猛スピードで車をとばす。

しかし、行く先は渋滞中だった。
スイ「くっ!渋滞か!…なら!!」

スイは路地に曲がっていった。

リン「路地に入っていった!!先回りして封鎖しろ!!私はこのまま後を追う!!」

「了解!」

警察車両4台が先回りの為、違う道を進む。


リンの車とよつばのバイクはスイの後を追って路地に入った。



リン「そこの車!止まりなさい!!」
リンは拡声器を使って呼びかけた。

その声はみつれの耳にもはいった。

みつ「((あれ……この声……どこかで……))」

振り切ろうと必死のスイ。

スイは銃を取り出して後ろのリンの車に発砲した。

リン「くそっ!銃を持ってるのか!?」

リンは無線を飛ばした。

リン「ヤツは銃を所持している!警戒せよ!!」

「了解!」

各車両から返事が返ってくる。

スイの車はさらに狭い路地に入っていった。


リン「くそっ!これ以上は危険過ぎる!!」
リンは速度を落とした。

するとよつばのバイクは狭い路地に入っていった。

よつ「ワタシが追う!!しおんさん達は先回りして!!」
しおんのインカムからよつばの声がした。


しお「わかった!!リンさん!先回りしよう!よつ…みつばさんが追ってくれます!」

リン「くっ…わかった!!」

リンは別の道に車を進めた。


スイ「なんだ!?次はバイクか!!くそがっ!」
スイはよつばに向かって発砲する。

よつばは銃弾を交わし距離を縮めていく。


スイ「あぁ!!鬱陶しい!!!」
スイは急ブレーキを踏む。


よつ「ハッ!?ヤバッ!!!」


距離をつめていたよつばは避けるのに間に合わずスイの車に追突し身を投げ飛ばされた。

よつばの身体が宙に浮く。

だがよつばの視線はスイの車内を見ていた。
運転席にスイ、助手席には屈んだみつれが見えた。

よつ「コイツだ……」

よつばはアスファルトに叩きつけられた。

よつ「うぐぅ!!」


スイは再びアクセルを踏み、よつばを轢こうとする。
よつばは間一髪で避けた。


スイ「ちっ!仕留め損ねた!!」
スイはそのまま路地を進んだ。

よつ「はぁ、はぁ、…マジで轢く気だったな。」

よつばはしおんに報告する。

よつ「しおんさん。ごめん。急ブレーキ踏まれてバイク駄目になっちゃった。けど助手席にみつれさんが乗ってた。」

しお「えぇ!?よつばさんは大丈夫ですか!?」

よつ「地面に叩きつけられて今はちょっと動けない…かな……。後は任せましたよ。みつれさんは助手席に乗って…ます……」


しお「よつばさん!?よつばさん!!」

リン「どうしたの!?」

しお「よつばさんがやられました!僕を降ろしてください!!」


リン「よつば?どういうこと?」

しお「後で説明します!だから僕を降ろしてください!!リンさんはスイの後を追って!!」

リン「わ、わかった!」
リンは車を止め、しおんはよつばの元へ走り出した。


しお「絶対に誰も死なせない!!よつばさん!無事でいて!!」


しおんは猛スピードでよつばの元に走っていった。。。
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