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〜第2章〜
61.『〜ポチの鎖編〜わたしたちの家』
しおりを挟むリカから解放されたスイ。
スイはふらふらしながらみつれの待つホテルに戻る為、駐車場に向かう。
服を着ず全裸のまま埠頭を歩き、駐車している車に乗り込む。
痛む傷に耐え、スイは車内で雑に服を着て車を走らせた。
スイ「((ポチ…今帰るよ…待ってて……))」
目が虚ろになりながらみつれの元に向かうスイ。
短時間ではあったが、リカの圧力で心身ともに衰弱したスイ。
見た目以上にスイは弱っていた。
無事にホテルに到着したスイ。
ふらふらとみつれが待つ部屋へ歩く。
スイ「つ、ついた…。ポチ……」
ガチャっと部屋のドアを開ける。
そこにはベッドで眠っているみつれがいた。
スイ「ふっ。待っててくれたんだな…。」
スイは心のどこかでみつれが逃げ出すんじゃないかと思っていた。
だが、みつれは待っていた。
スイの帰りを待っていた。
スイ「ただいま…ポチ。」
スイはみつれの頭を撫でる。
するとみつれは目を覚ました。
みつ「あっ…スイ…おかえり……」
みつれはニコッと笑った。
だがみつれはすぐにスイの異変に気がついた。
みつ「スイ!?どうしたの!?怪我してるの!?」
みつれはすぐさま身体を起こしスイの身体を見る。
みつ「脱いで!スイ!」
みつれはスイの服を脱がした。
脱がした身体には無数のミミズ腫れがあった。
スイ「だ、大丈夫…たいしたことないよ。」
スイは心配かけまいとしたが、少々無理のあるミミズ腫れの量だった。
みつ「下も全部脱いで!」
みつれはスイを全裸にさせた。
上半身だけでなく下半身も傷だらけだった。
みつ「ひどい……。」
スイ「ちょっと休めばすぐ治るよ。だからごめん。ちょっと…休ませて。」
スイはベッドに倒れ込んだ。
スイ「・・・ねぇ、ポチ。」
みつ「ん?どうしたの?」
スイ「私はポチを愛してる。」
みつ「うん。」
みつれは頷いた。
スイ「ポチのためならなんでもする。だからポチ…。私のそばを離れないでくれ…。」
スイは涙を浮かべながらみつれに言った。
みつ「・・・わたしはスイのそばにいるよ。」
みつれはスイの溢れそうな涙を指で優しく拭った。
みつ「帰ろう。わたしたちの家に。」
スイ「ポチ…。そうだね。帰ろう。」
2人は抱きしめあい、身支度を始めた。
『わたしたちの家』。
スイは嬉しかった。
旧トンネルの隠れ家をみつれは『わたしたちの家』とよんでくれたことに。
あの狭い独房のような部屋でも、今のみつれにとっては家だった。
みつれに首輪はもう必要無い。
2人は車を走らせ、旧トンネルに向かった。。。
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