『ブラックボックス』

うどん

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〜第2章〜

58.『〜ポチの鎖編〜動き』

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みつれとスイは車で埠頭に向かう。


みつれはずっと窓の外を観ていた。

スイ「どうしたの?ポチ。」

みつ「・・・いや、なんでもないよ。なんかデートみたいだなって思って。」
みつれは運転しているスイを見て微笑んだ。

スイは顔が赤くなる。

スイ「あはは。じゃあ用が済んだらデートしようか♡」

みつ「うん!」

2人は笑い合いながら目的地に向かう。






同時刻。

しおんとよつばとリンは10名程の警察を連れて旧トンネルに向かっていた。

リン「ごめんね。この間のビルの爆破で人員不足で10人くらいしか連れてこれなかったよ。」

しお「充分ですよ。ありがとうございます。」

よつ「無事見つかればいいんですが……」

そんな会話をしつつ、旧トンネルに到着する。

リンは警察官に2人1組になって捜索するよう指示を出す。


リン「私たちは3人で行動しよう。」

捜索を開始して20分。

3人は例の隠し階段の所まできた。

よつ「本当だ。壁の色が微妙に違う…。」

リン「そうでしょ。それでここの窪みに引っ掛けると…」
リンは窪みに手を引っかけると仕掛けが作動して壁が動き出し、階段が現れた。

よつ「す、すごい…」

しお「この先は行き止まりだったんですけど、もしかしたらどこかに仕掛けがあると思います。探しましょう。」

階段に見張りの警察官を立たせ、3人は階段を降りて捜索した。

壁等を触りながら仕掛けがあるか探していく。

するとリンはまたなにかをみつけた。

リン「これ…鍵穴?」
階段の下から4段目の蹴込板の部分に小さな鍵穴のような穴を見つけた。

しお「よ、よくみつけましたね……凄すぎる…。」
しおんはリンの捜査力に驚く。

リン「ちゃんと仕事できるでしょ?私♡」

リンは鍵穴を調べる。
リン「なんか変わった鍵穴だね…。」

よつ「ちょっと見せてください。」
よつばは鍵穴を調べた。

よつ「・・・駄目ですね。特殊なキーシリンダー特殊な鍵でしか開きません。ピッキングでは不可能です。」

リン「みつばちゃん詳しいんだね。」

よつ「えぇ。昔よく………ゴホン。友人が鍵屋だったもんで。よくみてたんです。」
よつばは少し誤魔化した。

恐らく半グレ時代にやってたんだなとしおんは静かに悟った。

よつ「と、とにかく!これは専用の鍵が無いとロックは解除されません。これを壊したところで多分どうにもなりません。それにここが開くわけじゃなく別のどこかが開くハズです。」

しお「まるでからくり屋敷ですね。」

リン「・・・つまりここから先は行けないってことだね。」

3人はしばらく沈黙した。

よつ「ただ、中に部屋があるなら通気口があるはずです。それが見つかれば……」

リン「なるほど。とりあえず外に出よう。どこかに通気口があるかも。」

3人は一度トンネルを出た。


旧トンネルの周りは木が生い茂っている。
警察官はそこを捜索していた。

リン「なにかみつかった?」

「いえ。とくにはなにもありません。」

リン「そうか…」

リンは警察官に聞いて回った。

しおんはしばらく考えていた。

旧トンネルを施工したのは『シロサキ組』だけでは無い。『ナムラ組』という建設会社と共同での施工だ。

もしかしたら『ナムラ組』になにか手がかりがあるかも知れないと気付いた。

よつ「しおんさん?どうしたんですか?」

しお「いや、この旧トンネルは『シロサキ組』だけでは無く、『ナムラ組』も施工に携わっている。もしかしたらそこに手がかりがあるんじゃないかと思って…」

よつ「・・・確かに。どうします?」

しお「ここじゃ調べようにも電波が弱過ぎる。ここは警察に任せて僕らは一度事務所に戻りましょう。」
しおんは事務所に戻ることを提案する。

よつ「分かりました。そうしましょう。リンさん呼んできます。」
よつばはリンを呼びに行った。


リン「少年!一度事務所戻るの?」
リンを連れてよつばが戻ってきた。

しお「はい。少し調べることがあります。『シロサキ組』と共同でここを造った『ナムラ組』をもう一度調べます。なにか手がかりが出てくるかも知れません。ここは警察の方々に任せてもいいですか?」

リン「もちろん。じゃあとりあえず事務所まで送るよ。」

3人は一度現場を離れて事務所に戻る。

リン「とりあえずトンネルの周りを調べさせたけど、木が生い茂っているだけでとくには見つからなかったよ。今も引き続き探させてる。」

リンは運転しながらしおんとよつばに報告をする。

リン「少年。みっちゃんのGPSは本当にあのトンネルで途切れたの?」

しお「はい。トンネルを抜けたらまた電波が戻ってGPSを受信出来るはずなんですけど、それが無かったんです。ならあのトンネル内にいると思うのが自然です。」

リン「確かにそうだね。でもそのGPSが故障してたら?あるいはGPSをトンネル内で落としていたら?その可能性は無い?」

しお「GPSを落とす可能性はまずないでしょう。みつれさんは体内にGPSを仕込んでると思います。故障は…あんまり考えたくありませんが、故障していたら救出は難しいでしょうね。連れ去られて日にちが経ってるから捜索範囲はかなり広がってしまいます。」

リン「・・・まさかみっちゃん、殺されたりしてないよね………」

しお「・・・分かりません。スイのあの感じだとみつれさんを殺すようには思えませんが…。」

よつ「・・・」

リン「・・・」

しお「・・・」

事務所に到着するまで車内は沈黙が続いた。


しお「ありがとうございます。またなにか進展あれば連絡ください!」

リン「うん。私はまた旧トンネルに戻って捜索するよ。また連絡する!」

リンは車を走らせ、旧トンネルへと向かっていった。

しお「僕たちもやろう。とりあえず『ナムラ組』を調べるんだ。」

よつ「そうですね。お手伝いします。」

2人は事務所に入りパソコンを起動する。
時刻は昼の12時をまわった頃だった。

しお「もう昼か…。よつばさん。すみませんが昼食買ってきてもらえませんか?」

よつ「分かりました。なにか食べたいモノありますか?」

しお「なんでもいいですよ。のり弁当でも唐揚げ弁当でも。」

よつ「分かりました。買ってきますね。」
よつばは昼食を買いに事務所を出た。



しおんはモニターをみて調べモノをする。

すると別のモニターに映していたモノにしおんは反応した。



しお「ッ!?あれ?動いてる。移動してる!?」

しおんがみていた画面にはみつれのGPSの位置情報だった。
なんとトンネルから出て移動していた。



しお「い、いつだ!?いつから移動している!?」
しおんはGPSの位置履歴を確認する。


しお「11時…トンネルから出た反応がある……。やっぱりあそこに居たんだ!!い、今は!?今はどこだ!!」

しおんは現在地を調べる。




しお「こ、ここは……埠頭?」




ついに動き出したみつれのGPS。
しおん一行は無事にみつれを救出出来るのか。。。

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