『ブラックボックス』

うどん

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〜第2章〜

㊿『〜ポチの鎖編〜繋がり』

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みつれのGPSを追って、
GPSが途切れたトンネルまで来たしおんとよつば。
トンネルの真ん中に別の細い道を発見したが先は行き止まりだった。

2人は一度トンネルを抜けた。


しお「くそっ…このトンネルで途切れたきり、ここを出た形跡は無いのに…」
しおんは焦っていた。

みつれが拐われて4時間。
追跡が出来なくなって自分たちがこうしてる今、
みつれはスイに何をされているのか想像にかたくなかった。

しお「みつれさんは僕を信頼して危ない橋を渡った。僕はそれに応えないといけないのに……クソ!!」

よつ「・・・一度事務所に戻りませんか?」
よつばはしおんに提案する。

しお「けど!みつれさんがすぐ近くにいるかも知れない!戻るわけにはッ…」

よつ「しおんさんの気持ちは分かります。けど一度落ち着いて作戦を考えましょう。ご主人様を助けに急ぐワタシにそう言ってくれたのはアナタですよ。しおんさん。一旦落ち着きましょう。」

しお「・・・そうですね。ありがとう。よつばさん。」
しおんは冷静になるよう自分を落ち着かした。

しお「一度事務所に戻りましょう。そこでもう一度作戦を考えなおします。」

よつばはフッと笑った。
よつ「じゃあ乗ってください!ぶっ飛ばしますから!」

時刻は19時。
2人は事務所へと戻った。


トンネルから事務所まで飛ばして1時間。
あたりはすっかり暗くなっていた。

よつ「着きました。」

しお「う、運転お上手ですね………」
しおんは少し生きた心地がしなかった。

しお「とりあえず今からもう一度情報を整理します。よつばさんはどうしますか?」

よつ「ワタシは一度ご主人様と連絡をとって指示をもらいます。」

しお「分かりました。」
しおんはモニターに向かった。

一度冷静になって、いつも通りに情報を整理する。
それが今のしおんがやるべき事だった。


するとよつばが事務所に入ってきた。

よつ「ご主人様と連絡がつきました。しおんさんのそばに居て全力でサポートしなさいと仰せつかりました。」

しお「そうですか。ありがとうございます。けど今日はもう休んでください。」

よつ「え?お手伝いしますよ。」

しお「情報収集は僕の仕事です。それに今日はよつばさんめっちゃ暴れ……頑張ってたじゃないですか!少し休んでください。」
しおんは口が滑りつつも、よつばを労った。

よつ「そうですか?分かりました。シャワー、お借りしていいですか?汗くさくて…」

しお「どうぞ好きに使ってください。お湯溜めますからゆっくり入ってください。タオル用意しますね。」
しおんはタオルを用意しに行った。

よつ「ありがとうございます。お借りします。」
よつばは風呂場にむかった。

よつばが風呂に入ってる間、しおんは一から情報を集め、整理した。



しおんたちがカオリを救出に行ったのが約13時。
そしてみつれがスイに連れていかれたのが約13時30~40分。
あのビルから例の旧トンネルまでバイクで飛ばしても1時間。
車なら交通状況をふまえるともっと時間がかかる。
みつれのGPSはその旧トンネルを入ったのを最後に途切れた。
発信が途切れた時刻は14時30分。

もしトンネルがただの通過点だとしたら、
近くに出来た新トンネルを使うはず。
旧トンネルより新トンネルの方が早く通過出来るし、旧トンネルで通過するとなるとかなり遠回りだ。
しかも旧トンネルを抜けて合流する道は結局新トンネルから続く道だ。

だが、スイは旧トンネルを選んだ。
つまり、旧トンネルには何かある。

しおんは旧トンネルについて調べた。

旧トンネルは古くから作られたトンネルで、
建設会社は『ナムラ組』と『シロサキ組』。

しお「『シロサキ組』……まさか!?」

しおんは『シロサキ組』を調べる。

『シロサキ組』の当時の社長は『シロサキ ジロウ』。
しおんは更に『シロサキ ジロウ』について調べる。


しお「・・・繋がった…。」

『シロサキ ジロウ』を調べると、孫の代にあのテロリストの『シロサキ』がいた。

旧トンネルが完成した時は孫のシロサキはまだ生まれてない。
そしてシロサキが3歳になった頃に『シロサキ ジロウ』は亡くなった。

しおんは警察のデータベースを使ってシロサキの両親を調べた。

父親は『シロサキ ジロウ』の息子。
旧トンネルを施工中の頃は27歳。
経歴をみるとその頃には『シロサキ組』に勤務していたことから施工には関わっている。

しお「もしかして旧トンネルに非公式の道を造ってその先に隠し部屋的な物を造り、それを娘に教えた……。そしてテロリストになったシロサキはそれを利用し、仲間のスイにも教えた…?」

確かにシロサキが見つからないのもその場所にいるなら納得出来る。
しかしそれはもはやテロ組織のアジト。
トンネル内だったらそんなに広さは無いはず。
雑居ビルのように簡単には救出出来ない。

しお「・・・」

作戦を考えようにも雑居ビルみたく見取り図がある訳では無い。
全く情報が無いのだから考えようが無い。



とりあえずもう少し調べれることは調べよう。
スイはみつれを殺さないことはわかっている。

慌てても状況は悪化するだけだ。

しおんは少し肩の力を抜き、椅子にもたれかかる。

しお「ふぅ………」

するとよつばが風呂から上がった。

よつ「お風呂お借りしました。ありがとうございます。それと…服に血がついてて洗いたいんですけど洗濯機借りてもいいですか?」

しお「あぁ、いいですよ。好きに使ってくださ…いッ!?」
しおんは振り返ると、タオルを頭にかけただけの裸のよつばがいた。

しお「ちょッ!?よつばさん!身体隠してください!!」
しおんは顔が真っ赤になり目を逸らした。

よつ「あ、ごめんなさい。いつもの癖で…」
よつばはそっとタオルで裸体を隠した。

しお「今代わりの着替え持ってきますから!僕の服でもいいですか?」

よつ「はい。ありがとうございます。」


しお「((なんで僕の周りの人はデリカシーの無い人ばかりなんだ……))」

しおんは少し前屈みになりながら服を取りに行った。。。


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