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〜第2章〜
㊺『〜ポチの鎖編〜おあいこ』
しおりを挟むしばらく1人になったみつれ。
みつれは考えていた。
みつ「((スイのスマホの電波は通っていた。ということは私のGPSの電波もとどいているはず……大丈夫だ。あれはしおんじゃない。スイのでっち上げだ……あれはしおんじゃない…))」
みつれはしおんは死んでないと暗示をかけるように頭に念じ続けた。
しかし頭のどこかで、スイの言う通りに『しおんが死んだ。』と思ってしまっている自分もいた。
この状況下で希望を無くしたら心が完全に折れる。
みつれにとってそれは避けなければならなかった。
しばらくするとスイが食事を持って現れた。
スイ「少し落ち着いたか?」
スイはみつれの前に座り、食事を置く。
スイ「食べな。」
スープをスプーンで掬い、みつれの口元まで運ぶ。
みつ「いらない。」
スイは少し悲しそうにし、みつれに話しかけた。
スイ「仲間を失った時の気持ちは分かる。あの時、私以外はみんな死んだからな。」
みつ「・・・自業自得だろ…」
スイ「ふっ。自業自得ねぇ……」
スイは立ち上がる。
スイ「まぁけど、私はそのことを恨んじゃいない。今目の前にポチが居るだけでOKさ。」
みつ「・・・」
スイ「アンタの仲間を殺ったのは申し訳無いけど、これでおあいこだろ?」
みつ「どういう意味だ……」
スイはニヤッと笑った。
スイ「あの夜、襲撃してきたヤツらはオーディションでアンタを買ったジジイの手先だろ?」
みつ「ッ!?」
スイ「私は生き残って必死に調べたさ。そしたらあのジジイ、元ヤクザだったらしい。アンタを助ける為に襲撃したんだろう。なんでアンタを助けて、そしてどうやって場所が分かったのかは最後まで分からなかったけどね。」
みつ「ま、まさか…」
みつれは青ざめた。
スイ「そう。そのジジイは殺してやったよ。2年前にね。」
しおんの祖父が亡くなったのは2年前。
みつれはしおんからは敵対するヤクザからの闇討ちと聞いていたが、実はその犯人はスイだった。
スイ「そのジジイは私の顔を見るなり驚いていたよ。なんで生きてるんだぁ?って顔してたね。」
スイは笑いながら語った。
スイ「元軍人のアンタとヤクザが元から繋がってたとは考えにくい。だから最後まで助け出した理由が分からなかった。ジジイも死ぬ最後まで口を割らなかったよ。」
みつ「くっ……」
スイ「ねぇ。教えてよ。あのジジイとはどういう関係だった?なんでジジイはアンタを助けたの?」
みつ「・・・アンタに教えることは無い。」
スイ「つれないねぇ…。まぁいいけど。」
スイは再び座り、食事をみつれの口元へ運ぶ。
スイ「時間はたくさんあるんだ。話したくなったら教えて?とりあえず食べな。」
みつ「いらない。」
みつれは首を横に振った。
スイ「そうかい。まぁ食べたくなったら言って。」
スイは立ち上がりテーブルでパソコンを開いた。
ぐぅー。。。
みつれの険しい表情と裏腹に緊張感の無い音が聞こえた。
スイ「あははは。お腹空いてんじゃん!ほら食べさせてやるから食べな。」
みつ「うっ……」
スイはみつれに食事を食べさせた。。。
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