『ブラックボックス』

うどん

文字の大きさ
上 下
46 / 190
〜第2章〜

㊹『〜ポチの鎖編〜隠れ家』

しおりを挟む


みつ「・・・うっ…」

みつれは目を覚ます。

両腕には鎖が付けられていた。


スイ「もう目が覚めたかい?ポチ。」

独房のような部屋でスイはテーブルでパソコンを開いていた。

みつ「ス、スイ……」
みつれはスイを睨む。

スイ「懐かしいねぇ。縛られながら私を睨むその表情…。」
スイはパソコンを閉じてみつれの元に歩く。

スイ「ここは組織とは関係の無い、私だけの隠れ家だよ。いや、私とポチの…かな。」


みつ「・・・隠れ家……だと…」

スイはみつれの顎をクイッとあげた。


スイ「正直ねぇ…国をどうこうだとかそういうのはもうどうでもよくなっちゃったんだよ。」

みつ「なに……」

スイ「私はねぇ、ポチ。アンタと一緒に居れればそれでいいんだよ。また昔みたいに、3年前のように。」

スイは注射器をみつれに挿した。

みつ「うっ……この……イカレ女が……」

スイ「この日の為にずっと準備してたんだ。大丈夫…。すぐに良くなる…。」


みつ「((や、やばい…意識が……身体が…熱い……))」


スイ「しばらくおとなしくしててね。ポチ。ちょっと出かけてくるよ。」

スイは頑丈そうな扉を閉じて部屋を出た。


みつ「うぐぅ……はぁ…はぁ…」
呼吸が荒くなるみつれ。

みつ「((くそ……ダメだ…耐えろ……))」
みつれはもがき、抵抗した。




しばらくしてスイが戻ってきた。
スイ「おや、まだ頑張ってたんだね。ポチ。」

みつれは呼吸を荒くし、涎をたらしながら戻ってきたスイを睨みつけていた。

みつ「フー…フー…フー…」

スイ「んー…これ以上の投与は危ないしなぁ…。」
スイはみつれをじっと見つめる。

スイ「まぁ、いくらでも時間はある。ポチ、お話しようか。」

みつ「はぁ…はぁ…アンタと…話すことは……はぁ…はぁ…無い…」

スイ「まぁそういうなよ。じゃあ…私から話そうか。アンタの仲間のお兄さん…いただろ?」

みつ「・・・ッ!?……」

スイ「ポチが気を失った後、あのお兄さん戻ってきてね。ホントはそんな気無かったんだけど…」

みつ「あ、あいつに…なにをした!?」

スイ「殺したよ。その後、あの部屋は爆破させたから確実に…ね。」
スイは悲しい顔をしてみつれに話す。

みつ「うっ…嘘だ……騙されない……」

スイ「残念だけどホントだよ。ネットニュースにも出てた。ほら。」
スイはネットニュースの記事が映ったスマホの画面をみつれに見せた。




『13時40分頃、雑居ビルの4階の一室で爆破事故が発生。爆破原因は現在調査中で、男性とみられる遺体を発見。警察は遺体の身元の確認を急ぐと共に、以前発生した警察署爆破テロ事件とも関連があるとみて捜査中………』




みつ「う……うそだ……信じない……信じない…」
みつれは俯く。

スイ「残念だけどね。私がお兄さんの頭を撃ち抜いたんだよ。ここをね。」
スイはみつれの額をトンっと叩いた。

みつ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!ウガァァァァァァ!!!」
ガシャガシャと暴れるみつれ。

しかし両腕を鎖で拘束されていて足をじたばたするしか出来なかった。

スイ「まるで駄々っ子みたいだね。まぁお兄さんのことは残念だけど、これでまた1人になったな。ポチ。」


みつ「うっ…うっ…うっ…」
じたばたしながら涙を流すみつれ。


スイ「しばらく1人にしてあげる。またくるよ。」

そう言ってスイは部屋を出た。


独房のような部屋でみつれは1人、泣いていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

N -Revolution

フロイライン
ライト文芸
プロレスラーを目指す桐生珀は、何度も入門試験をクリアできず、ひょんな事からニューハーフプロレスの団体への参加を持ちかけられるが…

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

処理中です...