『ブラックボックス』

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〜第1章〜

㉕『スリの女』

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リンの家にお泊まりした数日後。


みつれとしおんは、リンの依頼で違う街にあるショッピングモールでターゲットを尾行していた。

ターゲットはスリ行為をはたらく女性。

被害者からの通報で、防犯カメラの映像をもとに警察でも捜索していたが足取りが掴めなかった。

そこでリンは『カモミール』に依頼し、
しおんの解析によってようやく人物像を特定した。


ターゲットの名前は『シロサキ』。
25歳独身。工場勤務。前歴なし。


警察のデータベースと照合し特定した。
しかしスリをした防犯カメラの映像では証拠としては不鮮明の為、警察は身柄の確保に動けない。

捕まえるには現行犯で抑えるしかなかった。




しお「みつれさん。ターゲットがそっちに歩いていったよ。見える?」

みつ「あぁ、確認した。1度すれ違って手を出すか試みる。」
インカムでやり取りする2人。

みつれはダミーの新型スマホをチャックを開けたポーチにギリギリスマホが見える程度に入れ、ターゲットに接近する。

人混みの中、みつれとターゲットが至近距離ですれ違う。

しお「手は出なかったね。けどすれ違った後、目でみつれさんを追ってたよ。」
みつ「よし。しおんはそのまま尾行して。私は一度ショップに入ってもう一度すれ違いを試みる。」
しお「了解。」

しおんは引き続きターゲットを尾行する。
みつれはショップに入って買い物してるフリをする。

しお「おっ。みつれさん。ターゲットが動いた。旋回してみつれさんの方に向かってる。」

みつ「了解。ショップを出てそっちに歩いていく。」

みつれはショップを出て再び歩いていく。


みつ「ターゲットを発見した。もう一度接近する。」
しお「次は多分手を出すよ。僕も少し近づく。」
みつ「了解。」

ターゲット側にポーチをかけなおす。
みつれはわざとよそ見しながら再びターゲットと至近距離ですれ違う。
その時、ターゲットは慣れた手つきでみつれのポーチに手を伸ばしスマホをポーチから引き抜いた。
そして歩き去る。
みつれはそのまましおんともすれ違って歩いていく。

しお「やっぱり。手際いいね。」

みつ「かなり手慣れてるな。これは常習犯だな。」

しお「じゃあ次は僕の番だね。」
みつ「あぁ。ひとまず着替える。しばらく尾行してて。」
しお「おっけー。」

みつれはトイレに入り上着を着替える。

みつ「しおん。準備OKだ。」
しお「ターゲットはそのまま歩いてるよ。」
みつ「了解。急ぐよ。」

みつれはしおんの後ろまで追いついた。

みつ「追いついたぞ。お前の後ろにいる。」
しお「おっけー。じゃあターゲットの前に出るよ。」
しおんはダミーのブランド財布をケツポケットに入れ、ターゲットを追い越し歩いていく。

しお「どう?隙だらけでしょ?どんな感じ?」
みつ「あぁ。盗ってくださいといわんばかりの馬鹿っぷりだ。」
しお「そう言われると傷つくなぁ…」

しおんはあえてキョロキョロして隙を見せる。
ターゲットはしおんに狙いを定めたのか少し歩くペースを早めてしおんに接近した。

みつ「ターゲットが動き出したぞ。」
しお「おっけー。」

しおんはあえて歩くペースをゆるめる。
しおんとターゲットがトンっとぶつかる。
その瞬間、ターゲットはしおんの財布を取り出そうとした。

だがその財布には細工がしてあり、糸がスボンのポケットに繋がっていて完全に抜けない仕組みになっていた。

そこにみつれはターゲットの手を掴む。

みつ「アンタ…『シロサキ』さんだな?アンタを捕まえに来た。」
シロ「!?」
しお「悪いけどこの財布は抜けないよ。『シロサキ』さん?カメラでずっと監視してたよ。」
シロ「ッ!?ちっ。」

シロサキは超小型の護身用スタンガンをみつれの手に当てた。

みつ「つッ!?」
みつれはシロサキの手離してしまった。
しお「みつれさん!?」
シロサキはその隙に走って逃走しようとする。
みつ「大丈夫だ!追うぞ!」

2人はシロサキを追いかける。

しお「みつれさん!アイツエスカレーターで1階に降りる気だ!」
みつ「あぁ!お前の出番だ!先回りしろ!」
しお「任せて!」

しおんは別ルートに走った。
人混みをかわし、得意のパルクールで先回りする。

シロサキはエスカレーターで1階へと走っていく。
しかしその先にはしおんが待っていた。
後ろにはみつれ。挟み撃ちだ。

シロ「クソっ!!」
シロサキはエスカレーターに乗ってた人を押し倒した。
しおんは咄嗟に押し倒された人を下で受け止める。
しお「このッ!!」
辺りは騒然とし、シロサキはその隙に逃走する。
みつ「ちっ。逃がさない!」



みつれはエスカレーターの手すりから飛び降り、シロサキを追った。。。
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