『ブラックボックス』

うどん

文字の大きさ
上 下
9 / 191
〜第1章〜

⑧『トドロキ』

しおりを挟む



みつれの過去を知っているようだった犯罪者ウエノ。
警察署でカエデを待つみつれとしおん。


しお「大丈夫?みつれさん。」
みつ「あぁ。」
みつれは俯いたままじっとしていた。

しお「あの男、みつれさんを知っていたみたいだったけど心当たりは?」
みつ「・・・」

しお「もしやテロ組織となにか関係を持っているとか…?」
みつ「・・・いや、恐らく有益な情報は出ないと思う。」
しお「そっかぁ…」

しおんは気になって仕方なかった。

みつれのあんな姿をみたのは初めてだからだ。
しおんはみつれと出会う前の過去を知らない。
共通して『テロ組織を追っている』ことしかお互い知らないのだ。
だからお互いの過去は知らない。
いや、しおんだけはみつれの過去について少し知っている。

『元軍人でテロ組織に飼い殺しにされていた。』

どんな扱いを受けていたかは分からないが、そこまでは知っている。
だからみつれはテロ組織に送りこんだ軍人の上司を探している。
その男に復讐するために。


カエデを待っているとカエデの両親がやって来た。

しお「多分カエデちゃんのご両親だね。」
みつ「恐らくな。」


両親が来たと同時にカエデが事情聴取から戻ってきた。

「カエデ!!!」
カエ「お父さん!?お母さん!?」

カエデは驚いたと同時に緊張の糸が切れたのか泣き出した。

親子3人が抱き合う。

リン「流石に中学生だからね。親御さん呼んだの」
リンがみつれとしおんに話しかける。

リン「2人とも今日はご苦労さま。後は警察の仕事だから。」

しお「お疲れ様です。」
みつ「・・・」

リン「少年。ちょっとみっちゃんと話がしたいんだけど、いいかな?」

今日の出来事で察したしおん。
しお「じゃあ僕先に帰りますね。」
リン「ありがとうね。」


しおんは警察署を出ていった。



リン「みっちゃん。場所変えようか。」
みつ「・・・あぁ。」

2人は以前行ったリンの行きつけの店へと向かった。

リン「マスターこんばんは。また奥の部屋借りるよ。」
「リンさんいらっしゃい。どうぞ。いつもの持っていくね。」
リン「ありがとう。みっちゃんこっちへ。」

リンとみつれは個室に入り腰を下ろす。

リン「さて、とりあえず乾杯しよか。」
カンっとグラスをかわし、ひと口飲む。

リン「・・・みっちゃん。今日のあれ…」
みつ「・・・」

リン「ウエノはみっちゃんの何かを知っているみたいだった。それは多分私の知らないみっちゃんの過去のこと……だよね?」

みつ「・・・」

リン「話してくれない?あんなみっちゃん初めて見たよ。」

みつ「・・・」

リン「そうだったね。みっちゃんが話してくれるまで待つんだったね…。こないだ言ったばかりなのにね」

リンは軽い笑いを出す。

みつ「・・・私の過去の話だ。リンは知らない。私が軍人だった頃の話だ。。。」


みつれは自分の過去について語り始める。







・・・3年前。
みつれは努力の末、軍人になった。
軍に入ればテロの際直接やり合える、復讐のチャンスが生まれる。
テロで亡くなった家族の無念を晴らす一心で、
無事軍に入れた。
しかしまだまだ非力な彼女。
そんな彼女にはサポートする上官がいた。
上官の名は『トドロキ』。

その上官は女のみつれを甘やかす事はなく厳しく指導し、また時に優しく、みつれはそんな上官を尊敬し慕っていた。


厳しい日々が続いた頃、みつれに転機が訪れる。

テロ組織の一味がとある場所に潜伏していて、
その一味を摘発、ならびに壊滅せよと命令が下る。

みつれはまだ現場入りは許されて無かったが、勉強の名目で上官の少数部隊に加わり上官の傍にいることで突入の了承を得た。

みつ「((ようやく一歩近づいた。))」


しかしその任務がみつれを地獄へと導いた。







※『~みつれの過去編~』は過激な内容を含みます。苦手な方は『~みつれの過去編~』をスキップしてください。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

赤い部屋

山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。 真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。 東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。 そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。 が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。 だが、「呪い」は実在した。 「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。 凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。 そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。 「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか? 誰がこの「呪い」を生み出したのか? そして彼らはなぜ、呪われたのか? 徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。 その先にふたりが見たものは——。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

処理中です...