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〜第1章〜
⑧『トドロキ』
しおりを挟むみつれの過去を知っているようだった犯罪者ウエノ。
警察署でカエデを待つみつれとしおん。
しお「大丈夫?みつれさん。」
みつ「あぁ。」
みつれは俯いたままじっとしていた。
しお「あの男、みつれさんを知っていたみたいだったけど心当たりは?」
みつ「・・・」
しお「もしやテロ組織となにか関係を持っているとか…?」
みつ「・・・いや、恐らく有益な情報は出ないと思う。」
しお「そっかぁ…」
しおんは気になって仕方なかった。
みつれのあんな姿をみたのは初めてだからだ。
しおんはみつれと出会う前の過去を知らない。
共通して『テロ組織を追っている』ことしかお互い知らないのだ。
だからお互いの過去は知らない。
いや、しおんだけはみつれの過去について少し知っている。
『元軍人でテロ組織に飼い殺しにされていた。』
どんな扱いを受けていたかは分からないが、そこまでは知っている。
だからみつれはテロ組織に送りこんだ軍人の上司を探している。
その男に復讐するために。
カエデを待っているとカエデの両親がやって来た。
しお「多分カエデちゃんのご両親だね。」
みつ「恐らくな。」
両親が来たと同時にカエデが事情聴取から戻ってきた。
「カエデ!!!」
カエ「お父さん!?お母さん!?」
カエデは驚いたと同時に緊張の糸が切れたのか泣き出した。
親子3人が抱き合う。
リン「流石に中学生だからね。親御さん呼んだの」
リンがみつれとしおんに話しかける。
リン「2人とも今日はご苦労さま。後は警察の仕事だから。」
しお「お疲れ様です。」
みつ「・・・」
リン「少年。ちょっとみっちゃんと話がしたいんだけど、いいかな?」
今日の出来事で察したしおん。
しお「じゃあ僕先に帰りますね。」
リン「ありがとうね。」
しおんは警察署を出ていった。
リン「みっちゃん。場所変えようか。」
みつ「・・・あぁ。」
2人は以前行ったリンの行きつけの店へと向かった。
リン「マスターこんばんは。また奥の部屋借りるよ。」
「リンさんいらっしゃい。どうぞ。いつもの持っていくね。」
リン「ありがとう。みっちゃんこっちへ。」
リンとみつれは個室に入り腰を下ろす。
リン「さて、とりあえず乾杯しよか。」
カンっとグラスをかわし、ひと口飲む。
リン「・・・みっちゃん。今日のあれ…」
みつ「・・・」
リン「ウエノはみっちゃんの何かを知っているみたいだった。それは多分私の知らないみっちゃんの過去のこと……だよね?」
みつ「・・・」
リン「話してくれない?あんなみっちゃん初めて見たよ。」
みつ「・・・」
リン「そうだったね。みっちゃんが話してくれるまで待つんだったね…。こないだ言ったばかりなのにね」
リンは軽い笑いを出す。
みつ「・・・私の過去の話だ。リンは知らない。私が軍人だった頃の話だ。。。」
みつれは自分の過去について語り始める。
・・・3年前。
みつれは努力の末、軍人になった。
軍に入ればテロの際直接やり合える、復讐のチャンスが生まれる。
テロで亡くなった家族の無念を晴らす一心で、
無事軍に入れた。
しかしまだまだ非力な彼女。
そんな彼女にはサポートする上官がいた。
上官の名は『トドロキ』。
その上官は女のみつれを甘やかす事はなく厳しく指導し、また時に優しく、みつれはそんな上官を尊敬し慕っていた。
厳しい日々が続いた頃、みつれに転機が訪れる。
テロ組織の一味がとある場所に潜伏していて、
その一味を摘発、ならびに壊滅せよと命令が下る。
みつれはまだ現場入りは許されて無かったが、勉強の名目で上官の少数部隊に加わり上官の傍にいることで突入の了承を得た。
みつ「((ようやく一歩近づいた。))」
しかしその任務がみつれを地獄へと導いた。
※『~みつれの過去編~』は過激な内容を含みます。苦手な方は『~みつれの過去編~』をスキップしてください。
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