『ブラックボックス』

うどん

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〜第1章〜

②『リン』

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私はこの街で便利屋をしている。
便利屋といっても一般人からの依頼は無い。
依頼のほぼ全ては汚職刑事のリンからだ。

リンとは中学の時の同級生。
昔から正義感の強いやつで、
今は組織犯罪対策部の刑事をしている。
私達との今の関係は所謂ビジネスパートナーで、
リンが流した犯罪者の情報をこちらのしおんが更に調べて私が身柄を抑えに行く。
そしてそれをリンの手柄とし逮捕する。
私達はリンから報酬を貰う。

そうした関係を持って1年。
そろそろリンが汚職で捕まりそうな気はするが、
リンなりに目的を持ってやっているみたいだ。
私と同じように。




しお「あ、おかえりなさい。みつれさん。」


事務所に戻るとしおんが待っていた。

しおんは私の仕事仲間。
彼がいなければ便利屋『カモミール』は無かったといっても過言ではない。

彼との出会いは2年前。
私を地獄から救ってくれたのが彼だ。

しお「お疲れ様。さっきリンさんから報酬の振込みがあったよ。」
みつ「あぁ。ありがとう。着替える。」

私は服を脱ぎ始める。

しお「わっ!待ってください!すぐ部屋出ますから!」

しおんはドタバタと違う部屋に移動した。
慌ただしいヤツだ。



私達はこの事務所兼自宅で共に暮らしている。
別に着替えくらい構わないのに…律儀なヤツだ。


ドア越しにしおんの声が聞こえる。

しお「みつれさん。今日の晩御飯なに食べたい?」
みつ「なんでもいいよ。」
しお「それが一番困るんだよなぁ。」
みつ「しおんが食べたいモノを食べたい。」
しお「おっけー!じゃあ買い出し行ってきますね。」

しおんはそう言って出かけていった。



私は肩を下ろした。
みつ「今回もヤツらは見つからなかったか…」

私が危険を犯してまで犯罪者をとっ捕まえる理由。
それは私を地獄に叩き落としたヤツらに復讐するため。

私は幼い頃、
テロ組織によるテロで家族の命を奪われた。
その頃から私は強くなろうと軍人の道を選んだ。
いずれテロ組織を壊滅させ、家族の無念をはらすために。


けど、軍のある人物によって私は………。





突然私のスマホが鳴り出す。リンから電話だ。
みつ「もしもし。」
リン「あ、みっちゃん!今日はお疲れ様!今回の報酬振込んどいたよ!」
みつ「あぁ。しおんが確認した。毎度どうも。」
リン「ねぇ。今から飲みいかない?しおん君も一緒に!」
みつ「珍しいな。しおんに聞いてみる。彼は今買い出し行ってるから。」
リン「しおん君はOKだってさ。今隣にいるよ。」

随分根回しがいいなコイツ。

みつ「わかったよ。しおんが行くなら行くよ。」
リン「じゃあ駅で集合ね!早く来ないとみっちゃんの可愛いしおん君襲っちゃうよぉ?」
みつ「ちっ、汚職刑事が…今から向かうから待ってろ。」

私は電話を切る。
しょうがない。着替えて向かうとするか。

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