30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま

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第一章

理不尽

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 叩かれた女の人を見て、体がすくむ。

 よく聞いてみると、男の人と女の人は酒屋の従業員。仕入れを男の人が忘れていたのを女の人のせいにしているみたい。

 部外者だからよくからない。でも、女の人を叩くのは無いよね。

 動けない私にアレンさんが気付き、女の人を助け起こす。男の人に注意してるけど…。

 あの手のタイプの男の人は、ダメだ!人前で女性に手を挙げるタイプは、ゴリマッチョのアレンさんがいなくなったら、また手を挙げる。

 もっとひどく。

 男の人が叔父とダブって見える。頭がガンガンする。助けないと、私が、私が、私を。


 お節介かもしれない、私が口を出してあの人が困ることになるかもしれない。

 でも、私はあの暴力の日々から助けてもらい救われた。


 結局、アレンさんが女の人を助けて広場まで連れて行く。私は後ろから私にできることをを考える。

 広場で女の人に話を聞くと、助けてもらってありがたいが、帰らないと仕事がなくなるとこわばった顔で笑う。優しい顔の女性だ。


 全力で止める。レースで稼いだ金貨を渡すが受け取ってもらえない。どうする?どうする?


 話をして、私が雇うことにした。レース編みを教える。服屋と話をつけて、定期的に納品してもらうことにする。


 これが正しいかなんてわからない。でも、目の前で暴力に、力に屈する人を救いたい。

 女の人は、メイさん。
 家名はない。病気のお母さんを1人で養っているそう。父は生きているが、家に帰らず、お金も入れないそうだ。クソが!


 メイさんにレース編みを教えると、不器用ながら編めた。それより、病気のお母さんが上手に編めた。レースの金額を考えると、お母さんの方が稼げそう。

 お母さんが、泣いていた。メイさんに負担をかけているのを申し訳なく思っていたそう。レースを編むことで、メイさんを助けることが嬉しいと、私より年寄りな人がポロポロ涙を零す。

 全ての人に光を、僕たちが光を!日本にいた時に見た何かの標語を思い出す。

 病気になるのが、悪い世界を無くしたい。みんなに迷惑をかけるかもしれないけれど、でも、自分の力でみんなを支えたい。

 傲慢かもしれない。でも、助けたい。




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 完結しました詐欺すみません。 結婚してめでたしめでたしでは、なんか違うなと思い。少し続きを書くことにしました。 夏休み前で、休みが終わるまで亀更新と思いますが、もう少しだけお付き合いをお願いします。
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