30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま

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第一章

アレンサイド 下ネタ注意

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 初めて見た時、玉ヒュンした。俺だけじゃない。一緒に来ていた奴らはヒュンしたと思う。

 小柄な女が、自分より大きい男を弧を描くように投げ飛ばし男の急所を蹴り上げていた。何度も何度も。あれは、下手したら埋まったかもしれない。

 ぎこちなく近づくと、女はこちらを見た。暗がりの中でもわかる美しい女だった。若く、白い肌、髪も肌も美しく、肉付きも良い。貴族の娘かと思った。各部署に伝令を出し、貴族の娘の問い合わせを行ったが、結局街の民だった。あの若さで、名誉街民って何者だあの娘。あの動きといい、只者ではない。スパイか?

 しばらくすると、あの娘、ユーリが街に来た。見たこともない野菜を売っている。部下に買いに行かせてみるが、瑞々しくツヤのあるきれいな野菜。どこで手に入れた。スパイなら、こんなに目立った行動をするだろうか?しかし、この野菜はどこから?

 

 別の日ユーリは、隣のギンリエ領から来た行商と何かを話し購入した。ギンリエ領は、昔からこのケタイシ領と小競り合いのある領だ。そこのつながりか?

 街を出たところで声をかける。見たところ、普通のブローチだが、石に傷がある。暗号か?石を外し光に透かして見るが、ただの傷のようだ。お礼を言い返すとユーリが涙目だった。

 ユーリに言われて気付く。あ、壊してしまった。慌てて、代わりのものを用意すると伝えるが断られた。すごく、悲壮感漂う顔で言われた。


 ユーリと別れて考える。盗賊に捕まって、騎士にブローチを壊されて。うん、酷いな。その酷さに俺が関わっている。やばい、泣かしたのは俺だ。

 代わりに品にはならないかもしれないが、木製のブローチを削り出す。家具屋に行き、色を分けてもらい色を塗る。行きつけの肉屋にロープを編んで欲しいと言われていた。豚骨スープの名誉街民はユーリのことか、慌ててロープも3巻編む。

 頂いた食事は、美味しかった。すごかった。

 お詫びにはならないが、少しでも心を慰めたい。
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 完結しました詐欺すみません。 結婚してめでたしめでたしでは、なんか違うなと思い。少し続きを書くことにしました。 夏休み前で、休みが終わるまで亀更新と思いますが、もう少しだけお付き合いをお願いします。
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