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第一章

デコピン一つでポーンだ!

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 ブローチを買ってご機嫌の私。高い買い物だったが、後悔はない。キレイな石で日にかざすと、中の傷?が更にキラキラして表情が変わる。取り出しては、日にかざして楽しむ。

 街を出たところで、騎士?のおいちゃんに呼び止められる。手にしている物は何かと聞かれたので、ブローチを買ったと伝える。

 おいちゃんは、少し考えた後、見せて欲しいと言ってきたので、手に渡す。まぁ、壊さなければ見るくらいなら良いよ。

 奥さんにでも買いたいのかな?彼女かな?おいちゃんと言っているけど、目の下のクマが無ければ意外に若いかも。

 と、つらつら考えていると、失礼と言って、ブローチの台座を壊し石を外した。

 はぁ?

 はぁ?

 はぁぁ?

 え?意味がわからない。呆然としていると、ありがとうと言われて、台座の壊れたブローチを返された。

 何?異世界では、人の物を壊す風習があるの?いや、壊れたのを普通に返されても。見せては、壊すの言い換えの言葉?

 んな、はずあるかー!


 ここで毅然と伝えれたらかっこいいのだが、この人公務員っぽい(騎士?)し、体でかいし、手なんか私の2倍ぐらいあるし・・・。

 「こ、壊しましたよね?」(震え声でこれが精一杯)

 「いや、申し訳ない。代わりのものを用意させよう。」

 「いや、いいです。」(もう2度と私のものを触らせない。てか、関わらない!)


 相手はモゴモゴ行っていたが、無視して帰る。楽しかった気持ちが萎んでいく。

 理不尽な仕打ちに涙がポロポロ出る。私が筋肉モリモリのゴリマッチョなら、騎士?のおいちゃんの頭にアイアンクローするのに。ゴリマッチョなら、返してきた手ごと掴んで、ぎゅー握手してやるのに!ゴリマッチョなら、デコピン一つでぽーんだ!

 ポロポロ泣きながら、お風呂に入る。贅沢に蓬湯!全身パックもしてやる!

 お風呂から上がり、冷たい麦茶を飲みながら目をタオルで冷やしながら筋トレメニューを考えていると思い付いた!

 事情聴取!!まだ、疑われていたのか!?

 この領が嫌いになりそうだ。
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