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第一章

イノシシ

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 さて、問題はイノシシをどうやって運ぶかだ。結構でかい。

 生き物だし、麻袋には入らないよね?


 入りました。箱罠ごと。出したら、イノシシは気絶していた。ツンツンすると動くので生きている。

 できれば、明日にしたいけど、家に来られても怖いのでもう一度、麻袋に入れて出す。
気絶しているのを確認して、ロープで身体を固定する。

 へっへっへっ、お前はもう動けないぜ。と、バカな台詞を吐きながらイノシシだけ麻袋に入れる。

 ついでにネットも回収する。仕方がない、こんな蛍光色のネットは、不審物以外何物でも無い。アースカラーのネットにすれば良かった。可愛さで選んではいけないね。

 台車を出す。畑に行く時に使っていたもの。高校生の頃は私もばあちゃんも車に乗れなかったので、この台車に籠や肥料、おやつに水筒など乗せて行き、野菜を持って帰っていた。軽くて、数年前にかノーパンクに変えてもらった。木とステンレスとゴム。ステンレス部分には布を巻いておこう。タイヤは気にしないでくれるとありがたいな。

 ユーリさんの家にも台車があるけど、重くて私には使えない。


 台車に麻袋を乗せて、さらに上からに布をかけて運ぶ。足が疲れてくる。往復辛い。街の門には、人がポツポツ立っていた。


 うん、知っていた。麻袋から布の下にイノシシを出す。さりげなく麻袋をたたみ、ポッケの中に入れる。台車がかなり重い。


 門に着くと、熱い視線に居心地が悪い。8人の中の3人がいて肉屋に案内してくれた。初めての男の人のエスコート。肉屋だかな!

 途中でイノシシが目覚めて、ガタガタしてびっくりした。私だけでなく、3人もビクッとしたのでなんかおかしかった。


 イノシシの肉は、金貨一枚で売れた。肉屋のお兄さんが目の前で捌き、捌いた先から売れて行く。捌き終わると同時に売り切れた。お客さんもお兄さんも凄かった。なんか、凄かった。


 骨だけが残ったので、聞くと捨てるとのこと。大きい骨をもらっておく。軟骨もあったのでもらった。骨をどうするんだと聞かれたので、スープを作ると言うと、お金を払うので作り方を教えてくれと言われた。

 もう、日が沈みかけている。

 帰るのもキツいので宿を取る。宿のご飯は期待できないので、部屋でおにぎりを食べてお茶を飲む。顔を洗って、歯を磨きおやすみなさい。

 もちろん宿のベットではなく、麻袋の中に入っていたばあちゃんの使っていたベッドで寝る。ばあちゃん、腰が痛いから高さのあるベッドの方が寝起きが楽だったんだ。畳のついた高級ベッド。明日はスープ作りだ、早めに寝よう。

 あ、ドアの前に箪笥を置いて寝る。防犯防犯。

 
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