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3話
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タップした時に最終確認的なタブが出てきたけど気にせずにOKを押す。
「本当によろしかったのですか?正直エルフ族の方がオススメでしたのですが」
「いやぁ、やっぱり色々と試していきたいじゃないですか」
「そういう物なんのですか?」
美女さんは不思議そうな顔をして俺を見る。
大体の人は察したと思うが人族を選んだ。まあ理由としてはさっき言った通り色んなことをしてみたいから。それにコツコツと育てるの楽しそうじゃん。
「まあ、進化先は人族の方が多いですのでちょうどいいかもしれませんね」
「どれぐらいあるのですか?」
「正直私達でも把握しきれてないのです」
「え?そんなに?」
「はい、量としましては100は余裕で超えますよ」
うーん。悩みそうだなぁ。
「お次は職業をお選びください」
さっきのとは違うタブが出てくる。そこには魔法使い、獣使い、戦士、錬金術士など様々な職業が出てきている。
「お!!死霊術士!!」
「え!?」
俺が目当ての職業があったから叫んだら美女さんも驚いた声を出す。
「何かありましたか?」
「いえ、本当に死霊術士と出ておりますか?」
「はっはい。何かダメなことでもありましたか?」
「いえ…一応説明しておきます。職業というのはスキルの獲得やステータスの1部の上昇率をあげるなどの作用があります。そして中には特異職業というものが存在しており、ある条件をクリアしてないとつけない職業もあるのです。条件はゲーム内、もしくはゲームを始めるまでに獲得条件を満たすことができます。死霊術士というのはゲームを始める前に幽霊を見つけてコミュニケーションをとり自分に憑かせることで発現する職業です」
結構凝ってるな。というか特殊すぎるだろ。
「うん?というかなぜ私が幽霊に取り憑かれてコミュニケーションが取れてることを知ってるんですか?」
「脳波を受け取る時に記憶も読み込むのです。その結果が反映されたのでは。そして恐らくいらっしゃいますよ」
「え?」
「バレましたか」
俺の体の中から白葉が出てくる。
「いたの!?」
「はい。何故か幽霊の私に眠気が出てきたと思ったら敏夫さんとここにいました」
マジかよ。
「幽霊というのはハッキリと判明はしておりませんがとある科学の世界では実在はすると言われております。その結果ゲーム内に侵入ができたのでは?」
何を言ってるのか分からない。
「まあ、一緒にプレイすることが出来るってことですよね?」
「ええ、まあ」
俺は迷わず死霊術士を押す。
「えっと、死霊術士を選ばれた方限定の特典が来ます」
職業のタブが消えて白葉の目の前にタブが現れる。
「なんのタブですか?」
「えっと、選びたい種族はって。このゲーム凄いですね!!幽霊の私にも選択肢が出るなんて!!」
すごい興奮しているけど…え?この頃の技術発展しすぎだろ。
「選択肢は何があるんですか?」
「えっと、まずはタイプを選ぶみたいです」
ほう、タイプ。
はい、聞いてまとめました。どうやらすごく興奮しているようで色んな話をして結構長くなった。
というわけでタイプどん!!
ゴーストタイプ:主に魔法が得意。進化していけば武器を操ることが出来る。1番のメリットは物理無効である。ただし魔法面は紙耐久でレベル1なら初級魔法1発でやられてしまう。魔力が付与された武器によるダメージもある。
ゾンビタイプ:物理、魔法どちらも対応している。体力と防御力が高い。火の魔法が弱点。火の魔法にさえ対応していれば使いやすい。
スケルトンタイプ:物理、魔法どちらも扱える。俊敏力と攻撃力が高い。ただし物理には弱い。魔法はある程度耐性を持っている。
とまあこの3つから選ぶ。ゴーストは後衛、ゾンビは前衛、スケルトンは遊撃的な感じだな。
もし俺なら…
「ゴーストを選ぶ」
「ゴーストで!!」
同じタイミングで言った。
「ゴーストでよろしいですね」
俺と白葉が見合ってる間に美女さんが言う。
「はい。お願いします」
美女さんが何か操作をすると目の前にスロットが現れる。
「えっとこれは?」
「タイプの後は具体的な種族を決めていただきます」
「へえ、その種族も豊富なんですか?」
「はい。およそ100はあります」
「え?」
「なのでスロットで決めてもらいます」
それでいいのか運営。
「とりあえずスタートします」
スロットが回り始める。3つ回転してるけど、なにか意味あるのかな?
「えっと、ストップ!!」
叫んだ瞬間スロットが左からダンダンダン!!と音を出しながら止まる。
何が出たのかはキラキラエフェクトで一切見えない。目を細めながら見ているとキラキラが白葉に吸い込まれる。
「えっと」
「これは驚きですね。レア種ですよ。ゴーストの中でも特に魔法に適正のあるトリッキーゴーストです。進化し続ければ強力な種になりますよ」
「へえ、運が良かったんだな」
「ええ、この種が当たるのは100分の1以上ですから」
百多くね?
「では、パートナーの種も決まったことですしそろそろゲームの始まりです」
「能力値はどうなるのですか?」
よくゲームの最初には能力値を割り振ることが出来るって聞いたことがあるのだが。
「能力値は職業によって決められております。ですがレベルアップの際に何を重点的に使ったのか、使用頻度により増加します。逆に魔法と同時並行に武器などを使えばレベルアップした時に攻撃力も増加します。そして上がる値は上限がないため訓練すればするほど増加します」
へえ。なかなか面白い仕組みだな。
「ではゲーム世界にお送りします。あ、ここでのチュートリアルは終了としますがあちらの世界でも説明しますので」
「へえ、そんなにあるんですね説明することが」
「はい。そして引き続き私がそのヘルプ要員として活動させてもらいます。ヘルプと言えば反応致します」
「うーんでもそれだと味気なさすぎません?名前ってありますか?」
「個体名は存在しておりません。番号なら1275番でございます」
「えっとなら。ニナコつてどうでしょうか?ニナコさんと呼べば反応できるとか」
ネーミングセンスに関しては何も言わないでくれ。
「少々お待ちください……個体名をニナコと変更しました。よろしくお願いします」
やっぱり。この世界は何もかもが新しいからヘルプに名前をつけるという新しいことが出来る!!
「それではそろそろ飛びます」
「聞くの忘れてた。ゴーストとかゾンビとかの死霊系は日光に当たったら燃えるとか消えるとかではないですか?」
「そのようなデータは存在しません。大丈夫だと思われます」
ならいいか。
「飛び先は?」
「死霊術士を選ばれた方は死霊の町に飛ばされます」
「…襲われないですか?」
「安心してください。その町は物騒な名前ではございますが普通の町と同じです。ただ、売っている物や依頼は他の町とは異なります」
「わかりました。それじゃお願いします」
「ではこの世界を楽しんでいってくださいね」
目の前が真っ暗になる。数秒経ったら暗闇が晴れて森の中にいた。
町とは?
「町とは?」
大事なことなので2回言いました。
「えっと、ニナコさんや。ここどこでしょうか?」
『どうされましたか?』
おお、頭の中に流れる感じか。
「えっと、町って聞いてたんですけど。森です」
『…恐らくバグですね。少しお待ちください。原因の解明してきます』
「お願いします」
でもこんな所に放り出されたら魔物とか。
ガサガサ!!
フラグってあるんだね。
「グラァ!!」
音の鳴った茂みを見た瞬間大きな影が襲いかかってきた。2mぐらいかな?
さすがに危ないと思い横に避ける。地面に着地したのは2mを超える大きさのオオカミだった。黒色か。
灰色の狼なら昔相手したことあるんだけどなぁ。
俺の姉さんは竹を割ったような正確というのは説明したよな?まあ説明したとして。
そんな性格なため色々と首を突っ込むのである。間違っていたら相手が不良だろうがなんだろうが突っ込んでいくのである。普通は危ないと思うだろうが私も危ないと思ったよ。姉の相手が。
姉は昔、自称総合格闘家と言っている人の所で武術を学んでいた。近接格闘から武器まで、はたまた銃にまで行っていた。もちろん、銃は外国に行って勉強していた。
母さんはまさかの強くなるならいいやと言う考えだった。
そして何故か俺もそこに入門させられて姉と一緒に学んでいた。で、ある合宿時にその先生に外国のとある森に連れられて何も持たない状態で3日間野宿しろと言われた。まあ、当然動物に襲われたよ。
その時に出会ったのが灰色の狼だ。昔から殺生はそこまで好きじゃなかったから殺しはしなかった。なんとか力の差を見せて服従した。あの子元気にしてるかなぁ。
だから、基本動物なら行けるかな?対処法は先生から散々聞かされた。
あ、一応補足として先生は自称総合格闘家の人です。
「グルルルル…」
どうやら初撃に過剰と言えるほど大きな自信を持ってたようで、避けた俺の事を警戒しながら周りをウロウロする。
えっと体は…現実のように動かせれそうだな。
俺は両手をダラっと下に向ける。別に生きるのを諦めた訳では無い。これは構えだから大丈夫。先生曰く「いかなる時も緊張が体を強ばらせる。ならばいかなる状況でも緊張を無くせば大丈夫だ!!」ということです。
まあ、要するに緊張しすぎてると体が思うように動かせず良い一撃は絶対に入らないと言うことだ。
散々姉とこんな先生に付き添った結果どんな状況でも体が緊張することはなくなった。
狼には俺が諦めたように見えたようで愚直に真っ直ぐ飛んでくる。
うん、これならいける。
「蛇」
体を限界まで柔らかくして相手の意表を突く技だ。相手の死角に突然現れるのが特徴だ。今回は背中に乗る。
狼は俺が突然消えたのに驚いている。
俺は真上にいるよォ。まあ、流石に今死ぬのはダメだな。でもこの様子だといつまでも追いかけてくるだろうし。殺るか。
掌を優しく狼の頭に添える。長く苦しめる気は無いから一瞬で殺らないとな。
「壊波」
力というのは内側に放つことが出来る。中国武術に似たような技があるけどそれと同じような物だ。だけどこの技は破壊に焦点を置いて作られた技だ。
この場合力を脳みそに放ったのである。その結果脳はぐちゃぐちゃになって生きるのが不可能になる。
この技の欠点は調整の難しさだ。体などの守る物が少ない所の臓器なら簡単なのだが、頭蓋骨で一面覆われた脳みそは力の調節を間違えると脳みそとは違う場所に力が行ってしまう。例えば頭蓋骨全体に力が行ったり、犬歯の先っぽに力が行ったりとあっちこっち行ってしまう。
それにしてもこの技を再現できるのか。いいな。
あ、それで技の名前を言う理由は俺が器用貧乏だからだ。いろんな技を使うことは出来るのだけど頭の中で選択することが出来ず、技名を言って体を動かさないと技が使えないのだ。
体も現実と同じように動くし違和感もない。さすが最新のゲームだな。
体の確認をしていると倒れた狼が光の粒になって消えた。そして消えた所に肉と毛皮、牙や爪が落ちている。
「へえ、これがドロップアイテムってやつか!!」
憧れていたゲームの世界だからこう実感できるものがあると嬉しいものだな。
「敏夫さんって武術扱えるのですね」
体の中から白葉が出てくる。見た目はいつも通りの女性の姿だ。
「まあ、そこら辺の獣なら大丈夫なぐらいだけどな」
「充分すぎる気がしますよ」
何故か苦笑いで言ってくる。
俺からしたら普通のことだからなぁ。
「このアイテムゲットできるのかな」
「触ってみたらどうですか?」
俺は恐る恐るアイテムに触れる。するとアイテムが消える。
「消えた…」
「アイテムボックスにあるのでは?」
頭の中でアイテムボックスと唱える。すると目の前に沢山空白のある枠がウィンドとして出てくる。そして左上にさっき触れた狼の毛皮、爪と牙があった。触れてみると「ハイウルフの毛皮」と名前が出てきた。
ハイイロオオカミを縮めたのかな?…あれ?確か黒色だった気が。
ハイウルフとはこの初心者向けの大陸中盤で出てくるそこそこ厄介なモンスターだ。初心者が出くわせば必ずやられてしまう。
まあ、何はともあれ雑魚だったみたいだしいいか。
「そう言えば先程の戦闘でレベル上がったのでは?」
確かにステータスを調べてなかったな。どれぐらいなんだろ。
「えっと、ステータス」
お、出てきた。
------------------
名前:(未入力)
職業:死霊術士
Lv:10
魔力量
78
攻撃力
69
守備力
23
俊敏力
45
精神力
59
《スキル一覧》
近接格闘Lv3:近接格闘をする際に能力値の上昇、技の使用が可能
死霊術Lv2:死霊の作成と強化が可能
闇魔法Lv1:闇魔法を使用する際に能力値の上昇、技の使用が可能
《従魔》
トリッキーゴースト:Lv6
------------------
えっとツッコミ所が多いな。まず最初に…名前入力してなかったやん。なんで気づかなかった!?
そしてその次はレベルがもう10って…もしかしてあの狼まあまあ強かった系?うせやろ。
そして何故攻撃力が精神力より多いんだ!?…そう言えば倒し方によって変わるって。あぁぁぁぁぁ!!魔法使ってたら良かった!!
そしてスキルに格闘術っておかしいだろ!?どちらかと言えば後衛職だよ!?そしてレベルが2ておかしいだろぉ。
……はぁ、まあ叫んでも仕方ないか。
「あ!!敏夫さん!!私レベル上がってますよ!!」
「良かったね」
俺はそれどころではない。どうにか死霊術士として頑張らないと。このままだと格闘家にジョブチェンジしてしまう。
魔物図鑑NO.1
ハイウルフ
名前にハイとあるように普通の狼の上位種である。出てくるレベルは20以上が普通である。普段は群れで狩りを行う。時々単独で行動する者もいる。単独行動のハイウルフは他のハイウルフよりもレベルが高い。森林や草原などに生息している。ウルフからはハイウルフにしか進化できないがハイウルフからは様々なウルフに進化できる。繁殖可能。
攻撃行動
・飛びかかり
・噛みつき
・引っ掻く
・体当たり
・砂かけ
ドロップアイテム
・毛皮
・爪
・牙
・目玉
・頭蓋骨
・骨
・尻尾
・肉
レアドロップ
・魔石
「本当によろしかったのですか?正直エルフ族の方がオススメでしたのですが」
「いやぁ、やっぱり色々と試していきたいじゃないですか」
「そういう物なんのですか?」
美女さんは不思議そうな顔をして俺を見る。
大体の人は察したと思うが人族を選んだ。まあ理由としてはさっき言った通り色んなことをしてみたいから。それにコツコツと育てるの楽しそうじゃん。
「まあ、進化先は人族の方が多いですのでちょうどいいかもしれませんね」
「どれぐらいあるのですか?」
「正直私達でも把握しきれてないのです」
「え?そんなに?」
「はい、量としましては100は余裕で超えますよ」
うーん。悩みそうだなぁ。
「お次は職業をお選びください」
さっきのとは違うタブが出てくる。そこには魔法使い、獣使い、戦士、錬金術士など様々な職業が出てきている。
「お!!死霊術士!!」
「え!?」
俺が目当ての職業があったから叫んだら美女さんも驚いた声を出す。
「何かありましたか?」
「いえ、本当に死霊術士と出ておりますか?」
「はっはい。何かダメなことでもありましたか?」
「いえ…一応説明しておきます。職業というのはスキルの獲得やステータスの1部の上昇率をあげるなどの作用があります。そして中には特異職業というものが存在しており、ある条件をクリアしてないとつけない職業もあるのです。条件はゲーム内、もしくはゲームを始めるまでに獲得条件を満たすことができます。死霊術士というのはゲームを始める前に幽霊を見つけてコミュニケーションをとり自分に憑かせることで発現する職業です」
結構凝ってるな。というか特殊すぎるだろ。
「うん?というかなぜ私が幽霊に取り憑かれてコミュニケーションが取れてることを知ってるんですか?」
「脳波を受け取る時に記憶も読み込むのです。その結果が反映されたのでは。そして恐らくいらっしゃいますよ」
「え?」
「バレましたか」
俺の体の中から白葉が出てくる。
「いたの!?」
「はい。何故か幽霊の私に眠気が出てきたと思ったら敏夫さんとここにいました」
マジかよ。
「幽霊というのはハッキリと判明はしておりませんがとある科学の世界では実在はすると言われております。その結果ゲーム内に侵入ができたのでは?」
何を言ってるのか分からない。
「まあ、一緒にプレイすることが出来るってことですよね?」
「ええ、まあ」
俺は迷わず死霊術士を押す。
「えっと、死霊術士を選ばれた方限定の特典が来ます」
職業のタブが消えて白葉の目の前にタブが現れる。
「なんのタブですか?」
「えっと、選びたい種族はって。このゲーム凄いですね!!幽霊の私にも選択肢が出るなんて!!」
すごい興奮しているけど…え?この頃の技術発展しすぎだろ。
「選択肢は何があるんですか?」
「えっと、まずはタイプを選ぶみたいです」
ほう、タイプ。
はい、聞いてまとめました。どうやらすごく興奮しているようで色んな話をして結構長くなった。
というわけでタイプどん!!
ゴーストタイプ:主に魔法が得意。進化していけば武器を操ることが出来る。1番のメリットは物理無効である。ただし魔法面は紙耐久でレベル1なら初級魔法1発でやられてしまう。魔力が付与された武器によるダメージもある。
ゾンビタイプ:物理、魔法どちらも対応している。体力と防御力が高い。火の魔法が弱点。火の魔法にさえ対応していれば使いやすい。
スケルトンタイプ:物理、魔法どちらも扱える。俊敏力と攻撃力が高い。ただし物理には弱い。魔法はある程度耐性を持っている。
とまあこの3つから選ぶ。ゴーストは後衛、ゾンビは前衛、スケルトンは遊撃的な感じだな。
もし俺なら…
「ゴーストを選ぶ」
「ゴーストで!!」
同じタイミングで言った。
「ゴーストでよろしいですね」
俺と白葉が見合ってる間に美女さんが言う。
「はい。お願いします」
美女さんが何か操作をすると目の前にスロットが現れる。
「えっとこれは?」
「タイプの後は具体的な種族を決めていただきます」
「へえ、その種族も豊富なんですか?」
「はい。およそ100はあります」
「え?」
「なのでスロットで決めてもらいます」
それでいいのか運営。
「とりあえずスタートします」
スロットが回り始める。3つ回転してるけど、なにか意味あるのかな?
「えっと、ストップ!!」
叫んだ瞬間スロットが左からダンダンダン!!と音を出しながら止まる。
何が出たのかはキラキラエフェクトで一切見えない。目を細めながら見ているとキラキラが白葉に吸い込まれる。
「えっと」
「これは驚きですね。レア種ですよ。ゴーストの中でも特に魔法に適正のあるトリッキーゴーストです。進化し続ければ強力な種になりますよ」
「へえ、運が良かったんだな」
「ええ、この種が当たるのは100分の1以上ですから」
百多くね?
「では、パートナーの種も決まったことですしそろそろゲームの始まりです」
「能力値はどうなるのですか?」
よくゲームの最初には能力値を割り振ることが出来るって聞いたことがあるのだが。
「能力値は職業によって決められております。ですがレベルアップの際に何を重点的に使ったのか、使用頻度により増加します。逆に魔法と同時並行に武器などを使えばレベルアップした時に攻撃力も増加します。そして上がる値は上限がないため訓練すればするほど増加します」
へえ。なかなか面白い仕組みだな。
「ではゲーム世界にお送りします。あ、ここでのチュートリアルは終了としますがあちらの世界でも説明しますので」
「へえ、そんなにあるんですね説明することが」
「はい。そして引き続き私がそのヘルプ要員として活動させてもらいます。ヘルプと言えば反応致します」
「うーんでもそれだと味気なさすぎません?名前ってありますか?」
「個体名は存在しておりません。番号なら1275番でございます」
「えっとなら。ニナコつてどうでしょうか?ニナコさんと呼べば反応できるとか」
ネーミングセンスに関しては何も言わないでくれ。
「少々お待ちください……個体名をニナコと変更しました。よろしくお願いします」
やっぱり。この世界は何もかもが新しいからヘルプに名前をつけるという新しいことが出来る!!
「それではそろそろ飛びます」
「聞くの忘れてた。ゴーストとかゾンビとかの死霊系は日光に当たったら燃えるとか消えるとかではないですか?」
「そのようなデータは存在しません。大丈夫だと思われます」
ならいいか。
「飛び先は?」
「死霊術士を選ばれた方は死霊の町に飛ばされます」
「…襲われないですか?」
「安心してください。その町は物騒な名前ではございますが普通の町と同じです。ただ、売っている物や依頼は他の町とは異なります」
「わかりました。それじゃお願いします」
「ではこの世界を楽しんでいってくださいね」
目の前が真っ暗になる。数秒経ったら暗闇が晴れて森の中にいた。
町とは?
「町とは?」
大事なことなので2回言いました。
「えっと、ニナコさんや。ここどこでしょうか?」
『どうされましたか?』
おお、頭の中に流れる感じか。
「えっと、町って聞いてたんですけど。森です」
『…恐らくバグですね。少しお待ちください。原因の解明してきます』
「お願いします」
でもこんな所に放り出されたら魔物とか。
ガサガサ!!
フラグってあるんだね。
「グラァ!!」
音の鳴った茂みを見た瞬間大きな影が襲いかかってきた。2mぐらいかな?
さすがに危ないと思い横に避ける。地面に着地したのは2mを超える大きさのオオカミだった。黒色か。
灰色の狼なら昔相手したことあるんだけどなぁ。
俺の姉さんは竹を割ったような正確というのは説明したよな?まあ説明したとして。
そんな性格なため色々と首を突っ込むのである。間違っていたら相手が不良だろうがなんだろうが突っ込んでいくのである。普通は危ないと思うだろうが私も危ないと思ったよ。姉の相手が。
姉は昔、自称総合格闘家と言っている人の所で武術を学んでいた。近接格闘から武器まで、はたまた銃にまで行っていた。もちろん、銃は外国に行って勉強していた。
母さんはまさかの強くなるならいいやと言う考えだった。
そして何故か俺もそこに入門させられて姉と一緒に学んでいた。で、ある合宿時にその先生に外国のとある森に連れられて何も持たない状態で3日間野宿しろと言われた。まあ、当然動物に襲われたよ。
その時に出会ったのが灰色の狼だ。昔から殺生はそこまで好きじゃなかったから殺しはしなかった。なんとか力の差を見せて服従した。あの子元気にしてるかなぁ。
だから、基本動物なら行けるかな?対処法は先生から散々聞かされた。
あ、一応補足として先生は自称総合格闘家の人です。
「グルルルル…」
どうやら初撃に過剰と言えるほど大きな自信を持ってたようで、避けた俺の事を警戒しながら周りをウロウロする。
えっと体は…現実のように動かせれそうだな。
俺は両手をダラっと下に向ける。別に生きるのを諦めた訳では無い。これは構えだから大丈夫。先生曰く「いかなる時も緊張が体を強ばらせる。ならばいかなる状況でも緊張を無くせば大丈夫だ!!」ということです。
まあ、要するに緊張しすぎてると体が思うように動かせず良い一撃は絶対に入らないと言うことだ。
散々姉とこんな先生に付き添った結果どんな状況でも体が緊張することはなくなった。
狼には俺が諦めたように見えたようで愚直に真っ直ぐ飛んでくる。
うん、これならいける。
「蛇」
体を限界まで柔らかくして相手の意表を突く技だ。相手の死角に突然現れるのが特徴だ。今回は背中に乗る。
狼は俺が突然消えたのに驚いている。
俺は真上にいるよォ。まあ、流石に今死ぬのはダメだな。でもこの様子だといつまでも追いかけてくるだろうし。殺るか。
掌を優しく狼の頭に添える。長く苦しめる気は無いから一瞬で殺らないとな。
「壊波」
力というのは内側に放つことが出来る。中国武術に似たような技があるけどそれと同じような物だ。だけどこの技は破壊に焦点を置いて作られた技だ。
この場合力を脳みそに放ったのである。その結果脳はぐちゃぐちゃになって生きるのが不可能になる。
この技の欠点は調整の難しさだ。体などの守る物が少ない所の臓器なら簡単なのだが、頭蓋骨で一面覆われた脳みそは力の調節を間違えると脳みそとは違う場所に力が行ってしまう。例えば頭蓋骨全体に力が行ったり、犬歯の先っぽに力が行ったりとあっちこっち行ってしまう。
それにしてもこの技を再現できるのか。いいな。
あ、それで技の名前を言う理由は俺が器用貧乏だからだ。いろんな技を使うことは出来るのだけど頭の中で選択することが出来ず、技名を言って体を動かさないと技が使えないのだ。
体も現実と同じように動くし違和感もない。さすが最新のゲームだな。
体の確認をしていると倒れた狼が光の粒になって消えた。そして消えた所に肉と毛皮、牙や爪が落ちている。
「へえ、これがドロップアイテムってやつか!!」
憧れていたゲームの世界だからこう実感できるものがあると嬉しいものだな。
「敏夫さんって武術扱えるのですね」
体の中から白葉が出てくる。見た目はいつも通りの女性の姿だ。
「まあ、そこら辺の獣なら大丈夫なぐらいだけどな」
「充分すぎる気がしますよ」
何故か苦笑いで言ってくる。
俺からしたら普通のことだからなぁ。
「このアイテムゲットできるのかな」
「触ってみたらどうですか?」
俺は恐る恐るアイテムに触れる。するとアイテムが消える。
「消えた…」
「アイテムボックスにあるのでは?」
頭の中でアイテムボックスと唱える。すると目の前に沢山空白のある枠がウィンドとして出てくる。そして左上にさっき触れた狼の毛皮、爪と牙があった。触れてみると「ハイウルフの毛皮」と名前が出てきた。
ハイイロオオカミを縮めたのかな?…あれ?確か黒色だった気が。
ハイウルフとはこの初心者向けの大陸中盤で出てくるそこそこ厄介なモンスターだ。初心者が出くわせば必ずやられてしまう。
まあ、何はともあれ雑魚だったみたいだしいいか。
「そう言えば先程の戦闘でレベル上がったのでは?」
確かにステータスを調べてなかったな。どれぐらいなんだろ。
「えっと、ステータス」
お、出てきた。
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名前:(未入力)
職業:死霊術士
Lv:10
魔力量
78
攻撃力
69
守備力
23
俊敏力
45
精神力
59
《スキル一覧》
近接格闘Lv3:近接格闘をする際に能力値の上昇、技の使用が可能
死霊術Lv2:死霊の作成と強化が可能
闇魔法Lv1:闇魔法を使用する際に能力値の上昇、技の使用が可能
《従魔》
トリッキーゴースト:Lv6
------------------
えっとツッコミ所が多いな。まず最初に…名前入力してなかったやん。なんで気づかなかった!?
そしてその次はレベルがもう10って…もしかしてあの狼まあまあ強かった系?うせやろ。
そして何故攻撃力が精神力より多いんだ!?…そう言えば倒し方によって変わるって。あぁぁぁぁぁ!!魔法使ってたら良かった!!
そしてスキルに格闘術っておかしいだろ!?どちらかと言えば後衛職だよ!?そしてレベルが2ておかしいだろぉ。
……はぁ、まあ叫んでも仕方ないか。
「あ!!敏夫さん!!私レベル上がってますよ!!」
「良かったね」
俺はそれどころではない。どうにか死霊術士として頑張らないと。このままだと格闘家にジョブチェンジしてしまう。
魔物図鑑NO.1
ハイウルフ
名前にハイとあるように普通の狼の上位種である。出てくるレベルは20以上が普通である。普段は群れで狩りを行う。時々単独で行動する者もいる。単独行動のハイウルフは他のハイウルフよりもレベルが高い。森林や草原などに生息している。ウルフからはハイウルフにしか進化できないがハイウルフからは様々なウルフに進化できる。繁殖可能。
攻撃行動
・飛びかかり
・噛みつき
・引っ掻く
・体当たり
・砂かけ
ドロップアイテム
・毛皮
・爪
・牙
・目玉
・頭蓋骨
・骨
・尻尾
・肉
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・魔石
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