23 / 27
23【リアレルア・ウィルキ】
しおりを挟む6日ほど経った時にまだこもるのかと聞いたところ…
「い、いやか?」
「わざとですね?」
「出来るか!」
どうやらへにゃ耳はわざと動かせないようです。
「まだなら食事を作り置きしたいです、おじいさんもそろそろ食事がなくなりますから」
「ああ、そうか…」
少しうんうんと唸った後に、保存している肉と魚と畑から採れた野菜を持って来てくれるというので、お言葉に甘えて寝ていました。
それから更に……
「今日は何日経ちましたか?」
「25か?」
「そうですか」
25日経ったようです。
相変わらず廃れた毎日を送っていますが特に変わった事はありません。
あ、いえ、気絶するのが多くなったくらいでしょうか?何故か慣れていけばいくほど気絶してしまいます…
私は構わないのですが。
「ミルトンは不満ではありませんか?」
「ないぞ?どうした」
「気絶をする機会が多くなりましたので不満に思うかと」
「ならないよ、むしろ嬉しい」
そういうものですか。
更に5日経った頃おじいさんが訪ねてきました
。どうやらこもりすぎて城から遣いがやってきたらしく、出て来いと言われたそうです。
「行かなきゃならない」
「そうですか」
「ぅっ…寂しくないのか」
「寂しいですよ」
「本当か!?」
「はい」
そこから何故か丸一日こもる事になりましたが、次の日の朝は久しぶりに朝ご飯を一緒に作っておじいさんの家に向かう事になりました。
「嫌です」
「駄目だ」
「嫌です」
「………」
どうやら首輪をつけなければならないらしい
…ツガイになったのだからもう必要ないとは思うのですが…
「リアの首を晒したくない」
「重いのは嫌いです」
「………」
ツガイとなっても人に首を見られるのは嫌なのだとか…そうは言われてもつけなくていい物をつけたくはありません。
「せめて首が隠れる服にしてくれ」
「分かりました」
「お、おい!どこに行く!」
「?おじいさんの家ですが」
「とりあえず首輪を着けてくれ!」
「………」
おじいさんでも駄目なのですか。
隣の家なんですけどね。
首輪をつけたくないので結局マフラーを巻いて外に出ました。
「おはようございます」
「なんだもういいのか」
「良くないが仕事だ」
「民の生活を良くしようと働いているミルトンは素敵です。尊敬します」
「っっ~~」
朝ご飯を食べさせようとするので遠慮しておきました。
体に力が入らない時以外は遠慮して欲しいです、迷惑です。
「……いってくる」
「はい、いってらっしゃい」
「いいのか!?」
「久しぶりに骨付き肉にしましょう」
「…分かった」
騒がしい朝を迎えるのは久しぶりで廃れた毎日もいいですが、こんな日があるのも幸せです。
今日はお店をおじいさんにお任せして、2つの家の掃除をしました。
だいぶ汚れていましたから、終わるのは夕方頃になってしいましたが、夜ご飯の時間には間に合いそうです。
「墓参りに行ってきた」
おじいさんがキッチンの後ろから声をかけてきました。
「そうですか」
お別れが出来たのはいい事です。
「すまんな」
「それは私の台詞です」
「そうだな、だが私は生きてる」
「いい事ですか?」
「たまに笑う日がある」
「“だから言ったでしょ”と言ってもいいですか?」
「やめろ」
「はい」
そこから早めの晩酌を始めたおじいさんのアテを作り机に置く。
「お前さんミルトンの家に行け」
「せっかくですからおじいさんを看取ってからにします」
「いいから行って来い、お前さんの幸せも掴まなきゃならん」
「私は今幸せです」
おじいさんの顔を見ると昔より柔らかくなった気がする。
もう…大丈夫なのでしょう。
つらい日が多いかもしれませんが、それでもくすっと笑える瞬間が1日でもあればそれでいいと思うのです。
「見張ってればいいだろ」
「いいのですか!?」
「そっちの方がお前さんは安心なんだろ」
「そうですが、いえ、せっかくです。食事もきちんと取ってもらいたいので」
「頼む事にした」
「そうですか」
おじいさんは私離れを始めていたようです。
「店もそのうち閉める」
「そうですか」
「あれの故郷に行こうと思う」
「環境が変わると死が早まると」
「うるせぇな!お前さんはどうしてそう恐ろしい事ばっかり言いやがる!」
「事実です、きちんと受け止めましょう」
「………」
やはり最期はツガイの傍に居たいのですね。
「それでもいいだろ」
「幸せならいいですよ」
それからぽつぽつと話をした。
強がっている訳ではなく本当に寂しくはないのです。
おじいさんが幸せになれる日々を見つけられたなら、私はそれが大切なのですから。
「最期は傍に居ます」
「勝手にしろ」
「あっという間でした」
「………」
「私を1人にしないでいてくれてありがとう」
「そのうち1人にならないように子供でもたくさん産んどけ」
「はい」
バタバタと足音が聞こえる。
この日常もまた変わる。
だけど、それは幸せになる為に変わる事。
「ただいまっ!はぁっ!はぁっ!」
「おかえりなさい」
「付き合え」
「あん?おお」
私に抱き着いてからおじいさんと晩酌をするらしい、きっとおじいさんはミルトンにも話をするのでしょう。
私はキッチンに戻り夕ご飯を完成させてしまいます。
結局首元まである服を着ている私はこれから先こういう服を着るから首輪をしないと宣言するつもりですが、了承して下さるでしょうか?
あんなに重い首輪は嫌です。
「リア!」
ドタドタとうるさい足音を立ててキッチンに来るけれど、すぐそこです。
「いいのか!?」
「どういう意味でしょう」
「屋敷に来てくれるのか!?」
「はい」
「本当か!?」
「…じゃぁ、やっぱり」
「いや!今のはなしだ!」
興奮しているのか頬が赤い。
お酒のせいもあるのでしょうが…
「………いいのか」
「どういう意味でしょう」
「じいさんと離れたくないだろう?」
「おじいさんが幸せになる為の道を邪魔したくはありません」
「そうか…」
「それに」
「ん?」
相変わらず私に巻き付く尻尾は誘惑が多いです。
お腹に回った尻尾を撫でてミルトンに伝える。
「私も…私の幸せを掴む為にミルトンの傍に居たいんです、だめですか?」
「ぐるるるる!」
問題ないそうですよ。
35
あなたにおすすめの小説
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
番ではなくなった私たち
拝詩ルルー
恋愛
アンは薬屋の一人娘だ。ハスキー犬の獣人のラルフとは幼馴染で、彼がアンのことを番だと言って猛烈なアプローチをした結果、二人は晴れて恋人同士になった。
ラルフは恵まれた体躯と素晴らしい剣の腕前から、勇者パーティーにスカウトされ、魔王討伐の旅について行くことに。
──それから二年後。魔王は倒されたが、番の絆を失ってしまったラルフが街に戻って来た。
アンとラルフの恋の行方は……?
※全5話の短編です。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!
ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。
前世では犬の獣人だった私。
私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。
そんな時、とある出来事で命を落とした私。
彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる