俺の番は噛み跡を消す

夢野みすぐ

文字の大きさ
上 下
30 / 45

目を開ける

しおりを挟む
「ジャビエル!!!」

「ああ、本当にうるさいですね、コレの方がよっぽど静かでいいですよ」



そう言いながら抱えていたユイを乱雑に地面に投げた



「お前っっ!!」



ドンッッッ!!!

と大きな音と揺れ莫大な魔力を投げつけられているような感覚に膝をつく



「くっ」



「王よ、興味本位で聞いてみたいのですが、この終戦は私を倒すためでしょうか」



なんて分かりきってる事を人間国の王に投げつける



「っっっどんな手を使ってでもコレを殺せ!!!」



人間国王の命令に従おうとするが膝をついてるのも精一杯な者

気絶している者がほとんどだ



「アレハンド、なんとしてもユイだけは取り戻そう」

「当たり前だ!」



父上と作戦を立てようと話始めようとしたが



「ふむ、ここにいるのは全員いらないですね、弱すぎる」



ジャビエルがそう言うと魔力が今まで以上にデカい塊になって視認出来るようになる

まずいな・・・

このままではユイを守るどころか、誰一人助からねぇ!

なんて思ってたらいきなり魔力が消えた



「は?なにが・・・」



ジャビエルが何か言ってるが今がチャンスだ!

駆け出す俺にジャビエルが鉱石を懐から取り出す

どちらが先か・・・















「助かったわジャビエル」















流暢なユイの声が聞こえた





「な、な、なんで、あ、ありえない、魔力など、あれから吸い取っているというのに!!!」



「分かるーびっくりするよねー、でもそれって簡単な話じゃない?」



「な、なにが」



ユイの言葉に恐怖を抱いているのか

顔が青ざめながら問いている







「ジャビエルがいつも見下してる人間共と同じ立場になったって事」







傷だらけの体でやつれてる体で一人で立ち上がって誰も立ち向かうことの出来ない相手を真っすぐに見つめる

そして、目を閉じ口から音を出す







「世界の根源世界の理高く高く広く広く私の元へ」



その音は詠唱だったらしくジャビエルを土の檻入れる

限界だったのか体の緊張を抜いて倒れる



「ユイ!!!!!」



抱きしめたユイは今にも死にそうな程弱っている



「人間国王よ、こいつは俺の番で伴侶だ、持ち帰って構わないな?」



利用価値に気付いたのか、惜しい顔をするが



「分かった、コレの処分は任せてくれ」

「最終決定には呼んでくれ」

「約束しよう」



腕の中の熱に安堵の息を吐く



「帰ろう」



獣化して1日中走った

城に着けばすぐに治癒師に見せる



「これは・・・・・」



体中にミミズ腫れ、切り傷に火傷の跡

首には焼きごてに青あざ、傷がない部分を探すのが難しい



「綺麗な髪だったのにな」



ざんばらに切られた髪と、男どもの匂い



「ミッシェルの番を呼んで来い、治させろ」

「かしこまりました」



お前のお陰で終戦になったぞ

お前のお陰で番の傍に居られる奴がいる

俺たちの、多くの命を救った

お前に助けられた奴らがたくさんいるのに、お前はどうしてこんなに傷ついてるんだ





俺を寂しくするんじゃねぇって言っただろ



その日からずっと着いていたかった

が、到底無理だ

終戦のあれやこれにジャビエルの処遇

人間国との国交も待ってくれねぇ

唯一父上の跡を継ぐのはもう数年待ってくれる事になったが



「もう、10日よ・・・まだ覚めないのかしら」



母上がユイの顔を見ながら問いかける



「色々疲れてんだろ、やっと休まるとこに来たんだ、寝かせてやれ」

「それもそうね」



痕は残るところもあるが、粗方治してもらった



「色々聞きたい事がたくさんあるのよ?私だけユイさんのお喋り聞いてないんだもの、ずるいわ」



そうやって母上も父上も、もちろん俺も毎日毎日話しかけた

傷は問題ないからと俺の部屋で寝かせてる

こびりついた匂いも少しずつ薄れてきて、毎日魔法で栄養も与え続けた

ジャビエルはあの檻に居ると魔力が封じられるらしく

あの中に居ながら何も食わせず飲ませずで餓死させた

その時だけはユイから離れじっと観察してた

ジャビエルの日記が見つかったからユイと会った時からなら見せられると言われ

見せてもらったが、あいつを殺した事に後悔した

もっといたぶって死にたいと懇願する毎日を送らせれば良かったと本気で今も後悔している



あいつが眠り続けて90日目

終戦も浸透してこれからの民らの生活水準をあげていかなければならないと毎日出来る事を最大限動いていた



「ユイ、ただいま」



「今日も孤児のガキ共がうるさかったぞ」



「ユイが着いてきたらもっとうるさいかもしれねぇな」



「・・・明日も早い、寝るか」



ユイを引き寄せて抱きしめる

もう目を開けねぇんじゃないかって不安になる

この世界に召喚されて嫌な事ばっかりだ

起きたいと思う方がおかしい

起きない方がこいつにとって幸せなら・・・



「ユイ・・・」



声が震える



「悪かった、ちゃんと嫌な事は嫌って言うし母上達と飲む約束もまだ果たせてねぇぞ」



「ユイ・・・」



駄目だ、こいつのやっと伸びてきた髪を濡らしちまう



「ユイ・・・頼むから、俺を寂しくさせるなっっ・・・」























「アレハンド・・・?」

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

セックスが注文できるお店

BL / 連載中 24h.ポイント:1,072pt お気に入り:127

長命種の愛は重ため

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,264pt お気に入り:589

アナルスタンド

BL / 完結 24h.ポイント:894pt お気に入り:204

嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:39,173pt お気に入り:5,246

ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:135,355pt お気に入り:8,610

寛太疾走

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:220pt お気に入り:6

後宮に咲く薔薇と冷酷皇帝の寵愛

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,143pt お気に入り:740

繊細な早坂さんは楽しむことを知らない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:4

【完結】私だけが知らない

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:1,221pt お気に入り:2,368

処理中です...