俺の番は噛み跡を消す

ユミグ

文字の大きさ
上 下
23 / 45

しおりを挟む
あいつらは人間国にユイを連れ去った

んな事分かってる、問題はどこに連れ去ったんだ

あの男はなんて言った?実験?魔力?

『ありぇは、たすけて』

くそっっ!!今の光景が頭から離れない!!

早く早く助けに行ってやらねぇと

早く腕の中で守ってやらねぇと

あいつが泣いて・・・・・



「失礼致します!!」



扉前の護衛が今更入ってきた



「血の匂いが・・・いきなり部屋から魔力が充満して入ろうにも扉に触れられなく今開いたところです、番様はどうされましたか?」



「馬鹿みてぇな事聞くんじゃねぇ!人間に連れ去られた今すぐ探しに行くっっ」



護衛が顔を青くして報告する

俺でさえどうにもならなかったんだ

こいつらに何か出来る筈ねぇ

分かってはいるが、冷静になれない

威嚇する事を止められない



「「「「「アレハンド(様)!!!」」」」」



護衛が報告に行ったのか

母上とミッシェル、メイソンと双子のハドソン、エイドリアンが部屋まで来た



「ユイさんの血の匂いがするわ!なにがあったの!?」

「「魔力で扉が開かなかったと聞きました」」

「・・・・・・・・・どうしたんだ答えろ」



各々現状を把握しようと聞いてくる

俺は一刻も早く迎えに行かなきゃなんねぇのに



「アレハンド様~・・・」



人間の匂い・・・

あいつらはなんで魔力封じがあったのに入れたんだ、誰が入れた

なんで俺の番だと・・・・・



『犬の言う通り厄介な獣の番みたいですね』



ドガッッ



ミッシェルを壁に押さえつけた



「アレハンドなにをしているの!?」

「お前が内通者だな!!ミッシェル!!」

「「なっ!?」」

「答えろ!なんでユイを引き渡した!魔力封じはどうした!っっっ全部答えろ!」

「・・・・・・落ち着け、なんでミッシェルなんだ」

「あの人間は言ってたぞ“犬の言う通り”だと」



「ミッシェル?本当なの?」





「・・・・・・・ごめんなさい」



「死ね」



「お待ち下さい!」

「ミッシェルが内通者なのは分かりましたが」

「情報が少しでも欲しいです!」

「ですからどうか、殺さないで下さい」

「「お願いします・・・」」



ハドソンとエイドリアンが懇願する

情報の為だけに生かせと言っている訳ではないのは誰にでも分かる



『ありぇは』



あいつの涙する顔が離れてくれねぇ



「アレハンド、とりあえず連れ戻すにしてもどこに居るか検討をつけないと無理だわ、話を聞きましょう、ね?」



こんな事してる場合じゃねぇのに

・・・腕の中にあいつが居ない 

俺が弱くなかったら弾かれずに済んだのに

もし、連れ去られたとしても傍に居てやれたのに

っっっくそ!くそ!くそ!くそ!

ミッシェルしか今は当てがない・・・



「くそっ!全部話せ!」



「・・・知らないんだ、僕は何も聞かされてないし聞けなかったんだ、ただこの鉱石を肌見放さず持っていろと言われただけで他は何も・・・」

「そもそも何で従う!なんであいつらはこっちの内情に詳しいんだ!」

「それは・・・僕が喋ったから」

「なんで話した!」

「ごめ、ごめんなさい・・・僕の、僕の番が人質に取られたんだ」

「「「「「!?!?」」」」」

「番?」

「うん、人間の貴族だった・・・偵察に行ったら番が地下の檻に入ってたから助けようとしたら・・・」

「・・・・・・捕まったか」

「番の親がいいように利用して魔力を搾取してるみたいだった、これ以上搾取し続けると死ぬから、だから殺したくなければ黒目黒髪の人間の行方を教えろって・・・」

「ミッシェルの番は」

「どうなったのですか?」

「分からないんだ!でもでもまだ僕には利用価値があるからって、生かしてくれてるはずなんだ・・・」

「少なくとも2人の人質があちらに居るのね」

「ごめんなさいっ!でも僕どうしたらいいか分かんなくて!」



ドゴッ!



「相談すりゃいいだろ!何のための仲間だっっ!番が人間側に居るかもしれないって事は誰もが知ってる事実だ!だからこそ、最悪な事態に陥らないように最善を尽くすって決めてただろうが!!!」

「うっ、うっ、ごめ、ごめんなさっっ」

「泣くな、もっと情報がいる些細な事でいい少しの情報で俺達の番を取り戻すぞ」

「うっうあっありが、ありがとうっっ」



「・・・・・とりあえず鉱石を調べよう」

「「私達は集まっている情報を整理します」」

「俺の部屋になにか残ってないか調べさせる」

「猶予があまりないわ、いるものがあるならなんでも言いなさい、惜しまず協力するわ」



各々が動き出す

俺はしゃがみこんでるミッシェルに話しかける



「お前の浅はかな行動は許されざる行為だ」

「わ、わかってるっっ」

「間違えを正すために動け、今は立ち止まる時じゃねぇだろ」

「~~~っっっはい!」



ミッシェルも動き出す

俺も動かなきゃいけない・・・

ミッシェルがやらなくてもいずれ誰かがこうなってた

番を取られたら基本俺達は従うしかねぇ

あいつを連れ戻してもまた同じことになる

その度傷付くのはユイだ



今まで決して生温く動いてた訳じゃねぇ

手を抜いた事もねぇ

けど、甘かったんだな

歩み寄るための仲良しごっこをしてたのかもしんねぇな



もういい、もうやめだ

どこかに誰かの大切が居たとしても関係ねぇ



戦争を終わらすんじゃねぇ

蹂躙して抹殺して人間国なんてものがあった事なんて忘れさせてやる



余すことなくぶっ殺す



俺の番が二度と俺の傍から離れないよう全ての原因を排除してやる

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

【R18】愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる

奏音 美都
恋愛
シャルール公国のプリンセス、アンジェリーナの公務の際に出会い、恋に落ちたソノワール公爵であったルノー。 両親を船の沈没事故で失い、突如女王として戴冠することになった間も、彼女を支え続けた。 それから幾つもの困難を乗り越え、ルノーはアンジェリーナと婚姻を結び、単なる女王の夫、王配ではなく、自らも執政に取り組む国王として戴冠した。 夫婦となって初めて迎えるアンジェリーナの誕生日。ルノーは彼女を喜ばせようと、画策する。

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

処理中です...