5 / 6
【ジェイク】
しおりを挟む
空いている部屋を使え宣言から意識を取り戻し渡された、だいぶ古びている何度も何度も読んだであろう絵本を読んだ
・・・・・これを読んでこの街の住民は番つがいという生態について学び良き隣人になろうとしているのか
これだけでは確信を得られなかった、だから他にも探した
人様の家を勝手に探るなんて罪悪感が込み上げてくるが、本を探すだけだと自分に言い訳して先ほど番が向かったであろう部屋に俺も足を踏み入れる
いくつか軽く読んでみたが、獣人や竜人の生態についてよく書かれてる
そしてそれを当然のように受け入れてきた人達の生活についても描えがかれていた
もう深夜に回ろうとしている
明日は仕事だし、もう寝ておかないといけないと思い立ち上がった
立った先に古びたノートが見えた
なんとなしに捲ると、どうやらレシピ本だった
番はこのレシピが好きなのだろうか・・・分からなかったけどとりあえず作って様子をみよう
1つ2つレシピを頭に入れて番の居る寝室に向かう
一緒に寝るなんて事はしない、嫌われたくないから
だから少しだけ顔を見ておこうと思った
本当にそれだけだったんだ
けれど、気が付いたら腕の中に番を囲っていた
俺が近づいてもすやすやと寝息を立てて眠る無防備な番
腕を首に回せば嫌がるかと思いきや、すり寄ってくる可愛い番
見ていて飽きない、ずっと見ていたい・・・
けれど寝なくては・・・そして離れなくてはと思うのに
離れがたくて結局抗えなくてその場で眠った
途中番が起きて離れようとするから抱きしめる
諦めたのか力を抜いて、大人しく抱きしめられる
『ふふ』という声にドキっとする
喜んでいるのかと思い恐る恐る顔を覗けばすでに眠っている
俺もゆるんだ口元を直しもせず一緒に眠る
朝になって市に買いに行くが、ここはどうやら街の中でも端にあるようで市までは遠かった
皆が乗っている魔動とかいうのでも買おうかと思案する
昨日のレシピにあったメネメンとピタパンを作る
スクランブルエッグが少し失敗したが、まぁ許容の範囲内かと心で誤魔化し書き置きをする
番はまだ起きてこない
いつも何時に起きているんだろうか・・・
とりあえず寝顔をぎりぎりまで見て家を出る
街の中央にある警ら所に着くと入り口で隊長と副隊長が話していた
「おはようございます!本日付けでベイウィンティアの警ら隊に移動しましたジェイクと申します!」
大きな声でそこに居る全員に向かって挨拶をする
すぐに訓練が始まり、その後街に慣れる為に巡回をする事になった
隊長が着いてきてくれるらしい
どうやら俺に番の匂いがついていたのに気付いて安心したらしい副隊長は信頼して一緒にしてくれた
街を見回り街の人達にも顔を覚えてもらう為に交流する
午後を過ぎた頃に隊長から番について聞かれる
「その、番はこの街の人間かい?」
「そうですね、そのようです」
「番休暇は取らないの?」
「実は・・・」
軽くだが、自身の境遇と昨日の番の態度について話していたが最終的には相談になってしまっていた
「そうだね、他の街から来た獣人は割とびっくりするよね」
「ええ、おとぎ話を見せてもらいましたが、それでもあの態度にはやはり困惑します」
「そうみたいだね、けれどあまりにも日常的にある事だから慣れているんだ、むしろ慣れすぎてしまっているのかな」
「慣れすぎている・・・」
「きちんと番相手にどう思うのかどうしたいのか知っているしそれを拒めば死んでしまう事も知っている、僕たちはなにも優しい君たちに死んで欲しくはないんだ、だから自分に出来る最大限を与えようとしているだけなんだ」
「それは・・・生態を知っているだけで、好意を抱いて招き入れた訳ではないという事ですね」
分かってはいたが、期待してしまっていた自分もいる
「それはどうだろうね、番が分からなくても番を待っている人間も多く存在するんだ」
「待つ?」
「そう、そうやって一途に愛されるというのはとても素敵な事だと思う人間も少なくない、そして僕たちは番が分からない、だから待つしかないんだ、ここで」
「待ち望まれている・・・」
「そういう人間も居るって事だよ」
「隊長は、副隊長が男で戸惑ったりはしませんでしたか?」
「ジェイク君の相手も男なのかい?」
「はい」
「僕は多少戸惑ったよ、元々異性愛者だったからね」
「そうですよね」
「けれど、どうだろうね」
「え?」
「この街の人間は些か柔軟すぎるところもある、同性愛者も多いんだよ」
「だから、あまり驚かなかったんでしょうか」
「どうだろうね、僕にジェイク君の相手の気持ちは分からないけど、誰が誰を好きになるかはあまり気にする人間はここにはあまり居ないよ」
「隊長ー!!!今日は落とし物がてんこ盛りっすー!手伝ってくださいー!」
警ら所に近くなっていたらしく、ローワン副隊長が声をかけてきて、話は終わった
これから夜中の巡回もあるみたいだが、番と仲良くなるためにとしばらくの間は時間を固定で組んでもらえる事になった
帰りは市に寄って肉を買う
帰り道でそういえば、と思い出す
家の近くに魔動が売っているところがあるから、そこに寄って買って帰ろうと店に寄る
「いらっしゃい!」
「この街に来たばかりなんだが、初めてでも乗れる魔動はあるか?」
「あー、あんたアルバートの番だろう」
「アルバート・・・」
番の名前はアルバートというのか・・・
「あーすまねぇ、気に障ったか?周りにも言っておくよ」
訂正しようと思ったが、言葉には出なかった
「あーそれでな?本人から聞いてないのを俺から聞くのも嫌だろう?だから、魔動を買ってもいいか聞いた方がいい」
「そういうものか?」
「ア、煙草屋にはそうだろう」
「そうか、助かった、ありがとう」
「構わねぇよ!隣人になるんだ、協力しような!」
なんて屈託のない笑顔で言われる
俺は隣人になれるだろうか・・・
それにしても隊長の言う通り生態を知りすぎて慣れすぎて理解しすぎている
今すぐ会いたくなり走って番の元へ帰る
店が見えると下を向いて煙草を吸っている、きっと昨日のようにチェスを指しているのだろう
帰ってもいいのだろうかと一瞬思案したが、結局店の前まで歩く
なんて声をかけようか考えていれば番から声をかけられる
『飯、手伝った方がいいか』なんて俺が生活に入り込む事を許してくれる
その提案を断り食事を作っていると部屋の汚れが目立つ
どうやら番は家事が苦手らしい
とりあえず昨日の通りだとキッチンと風呂と寝室しか使わないだろう
思い立ったら部屋の掃除もしながら食事を作っていく
明日からゆっくり掃除をすればいいだろう・・・
番を食事に呼び一緒に食べる・・・が、まさか番休暇について人間から提案されると思わなかった
本当は今すぐにでも抱きたい
けれど、両親のようになりたくないんだ
番から拒絶の言葉を出来うる限りききたくないんだ
だから、どうか俺を好きになってから抱かれて欲しい・・・
だが、そうか、やり方か・・・体を傷つけない為にも学ばなければならないな・・・
寝室に行けば番、やはり名前はアルバートというみたいだ
アルバートは編み物をしていた
よくするのかと観察してみたがそうでもない、不慣れな手つきだ
膝に乗せてもいいか聞けばなにも言わずに乗っかってくれる
アルバートは会った時からずっと楽しそうだ
次の日も食事を作ってから家を出る、どうやらアルバートは昼前まで寝ているらしい
よく寝る番は行動範囲が狭いらしくほっとする
今日はローワン副隊長と昨日回っていないところの巡回をする
「ローワン副隊長、番についてご相談が・・・」
「なんすかー?なんでも聞いて下さいっすー!一応先輩っすから!」
男同士のやり方が分からないから詳しく聞いたが、そうか洗浄か・・・
内臓を洗浄するのはやった事がない・・・それ専用の魔法があるのか
それに、そうか濡れないから潤滑油が必要なのか・・・
他にも色々と学ばなければならない事が多い
それから準備が出来るまでは同じ日々の繰り返しだ
番休暇を取るからそれまで休みはいらないから働かせてくれと願い出た
仕事以外はアルバートの傍に居る
毎日夕食時からほとんど一緒だが、風呂だけは別だ
裸を見たら絶対に襲う自信がある
そしてその10日間の間に色々な話を聞けた、決して言葉数は多くないアルバートは自分から話す事はしないけど、聞かれたらすらすらと答えてくれる
アルバートは32歳で俺の7つ上な事
メネメンは玉ねぎ入りじゃないと食べたくない事
両親は5年前に魔動の事故にあった事、店の店主に聞けと言われた意味が分かった
5年前から煙草屋を継いでいる事
昔から眠るのが好きみたいで自然に起きるまで起きたくない事
本よりチェスが好きで今度俺とも指してみたいと思っている事
煙草は物心ついた時から側にあった事
そして聞けてはいないけれど、多分アルバートは番を・・・俺をずっと待っていた
言葉にはしないが、雰囲気が言葉の端々がそう言っている
もし待っていたとするならばこの歓迎の仕方も、近所の者からの“おめでとう”の言葉も理解出来る
そしてこの街の人間は番を待っている者も多い事をローワン副隊長から教えてもらった
『俺もこの街に移動してきたんでどうしてなのかは理解出来てないっすけど、多分この街にきた獣人か竜人が怯えさせないように知恵を振り絞ったんだと思うんす』
『どういう意味ですか?』
『洗脳した人が何を思ったかは知らないっすけど、一途に愛され囲われ縛られ続ける事は幸福な事だと思わされてる気がするっすこの街の人達は』
『洗脳・・・』
『最初に教えた人の次に来た人も多分意図を理解したんだと思うんす、だからこの街の獣人や竜人は不気味なくらい、他の街では考えられないくらい人間に殊更優しく振舞っているっす、もちろん俺も、そうして恐怖で縛り続けるんじゃなくって洗脳して幸福であると思わせて近付いて食べるんすよ』
納得した
確かに観光にくる人間達は俺たちと接する時、怯えも混じっている
それが正しいと思う
けれど、この街の人間は軽々しく懐に入れる
恐怖なんてものは見せずにただ沁みついているんだ、昔からおとぎ話で聞かされる程に
獣人は優しくて我慢強く、そして番は素晴らしいモノだと
確かにそれは洗脳だ
けど、俺はそれを聞いた時このまま一生俺の傍で洗脳され続けてくれればいいと心から思った
準備が出来てやっとアルバートを抱く事が出来る
番休暇はまだ取らない・・・
慣らして慣らして体が落ちてきた時に貪りつくせばいい
・・・・・これを読んでこの街の住民は番つがいという生態について学び良き隣人になろうとしているのか
これだけでは確信を得られなかった、だから他にも探した
人様の家を勝手に探るなんて罪悪感が込み上げてくるが、本を探すだけだと自分に言い訳して先ほど番が向かったであろう部屋に俺も足を踏み入れる
いくつか軽く読んでみたが、獣人や竜人の生態についてよく書かれてる
そしてそれを当然のように受け入れてきた人達の生活についても描えがかれていた
もう深夜に回ろうとしている
明日は仕事だし、もう寝ておかないといけないと思い立ち上がった
立った先に古びたノートが見えた
なんとなしに捲ると、どうやらレシピ本だった
番はこのレシピが好きなのだろうか・・・分からなかったけどとりあえず作って様子をみよう
1つ2つレシピを頭に入れて番の居る寝室に向かう
一緒に寝るなんて事はしない、嫌われたくないから
だから少しだけ顔を見ておこうと思った
本当にそれだけだったんだ
けれど、気が付いたら腕の中に番を囲っていた
俺が近づいてもすやすやと寝息を立てて眠る無防備な番
腕を首に回せば嫌がるかと思いきや、すり寄ってくる可愛い番
見ていて飽きない、ずっと見ていたい・・・
けれど寝なくては・・・そして離れなくてはと思うのに
離れがたくて結局抗えなくてその場で眠った
途中番が起きて離れようとするから抱きしめる
諦めたのか力を抜いて、大人しく抱きしめられる
『ふふ』という声にドキっとする
喜んでいるのかと思い恐る恐る顔を覗けばすでに眠っている
俺もゆるんだ口元を直しもせず一緒に眠る
朝になって市に買いに行くが、ここはどうやら街の中でも端にあるようで市までは遠かった
皆が乗っている魔動とかいうのでも買おうかと思案する
昨日のレシピにあったメネメンとピタパンを作る
スクランブルエッグが少し失敗したが、まぁ許容の範囲内かと心で誤魔化し書き置きをする
番はまだ起きてこない
いつも何時に起きているんだろうか・・・
とりあえず寝顔をぎりぎりまで見て家を出る
街の中央にある警ら所に着くと入り口で隊長と副隊長が話していた
「おはようございます!本日付けでベイウィンティアの警ら隊に移動しましたジェイクと申します!」
大きな声でそこに居る全員に向かって挨拶をする
すぐに訓練が始まり、その後街に慣れる為に巡回をする事になった
隊長が着いてきてくれるらしい
どうやら俺に番の匂いがついていたのに気付いて安心したらしい副隊長は信頼して一緒にしてくれた
街を見回り街の人達にも顔を覚えてもらう為に交流する
午後を過ぎた頃に隊長から番について聞かれる
「その、番はこの街の人間かい?」
「そうですね、そのようです」
「番休暇は取らないの?」
「実は・・・」
軽くだが、自身の境遇と昨日の番の態度について話していたが最終的には相談になってしまっていた
「そうだね、他の街から来た獣人は割とびっくりするよね」
「ええ、おとぎ話を見せてもらいましたが、それでもあの態度にはやはり困惑します」
「そうみたいだね、けれどあまりにも日常的にある事だから慣れているんだ、むしろ慣れすぎてしまっているのかな」
「慣れすぎている・・・」
「きちんと番相手にどう思うのかどうしたいのか知っているしそれを拒めば死んでしまう事も知っている、僕たちはなにも優しい君たちに死んで欲しくはないんだ、だから自分に出来る最大限を与えようとしているだけなんだ」
「それは・・・生態を知っているだけで、好意を抱いて招き入れた訳ではないという事ですね」
分かってはいたが、期待してしまっていた自分もいる
「それはどうだろうね、番が分からなくても番を待っている人間も多く存在するんだ」
「待つ?」
「そう、そうやって一途に愛されるというのはとても素敵な事だと思う人間も少なくない、そして僕たちは番が分からない、だから待つしかないんだ、ここで」
「待ち望まれている・・・」
「そういう人間も居るって事だよ」
「隊長は、副隊長が男で戸惑ったりはしませんでしたか?」
「ジェイク君の相手も男なのかい?」
「はい」
「僕は多少戸惑ったよ、元々異性愛者だったからね」
「そうですよね」
「けれど、どうだろうね」
「え?」
「この街の人間は些か柔軟すぎるところもある、同性愛者も多いんだよ」
「だから、あまり驚かなかったんでしょうか」
「どうだろうね、僕にジェイク君の相手の気持ちは分からないけど、誰が誰を好きになるかはあまり気にする人間はここにはあまり居ないよ」
「隊長ー!!!今日は落とし物がてんこ盛りっすー!手伝ってくださいー!」
警ら所に近くなっていたらしく、ローワン副隊長が声をかけてきて、話は終わった
これから夜中の巡回もあるみたいだが、番と仲良くなるためにとしばらくの間は時間を固定で組んでもらえる事になった
帰りは市に寄って肉を買う
帰り道でそういえば、と思い出す
家の近くに魔動が売っているところがあるから、そこに寄って買って帰ろうと店に寄る
「いらっしゃい!」
「この街に来たばかりなんだが、初めてでも乗れる魔動はあるか?」
「あー、あんたアルバートの番だろう」
「アルバート・・・」
番の名前はアルバートというのか・・・
「あーすまねぇ、気に障ったか?周りにも言っておくよ」
訂正しようと思ったが、言葉には出なかった
「あーそれでな?本人から聞いてないのを俺から聞くのも嫌だろう?だから、魔動を買ってもいいか聞いた方がいい」
「そういうものか?」
「ア、煙草屋にはそうだろう」
「そうか、助かった、ありがとう」
「構わねぇよ!隣人になるんだ、協力しような!」
なんて屈託のない笑顔で言われる
俺は隣人になれるだろうか・・・
それにしても隊長の言う通り生態を知りすぎて慣れすぎて理解しすぎている
今すぐ会いたくなり走って番の元へ帰る
店が見えると下を向いて煙草を吸っている、きっと昨日のようにチェスを指しているのだろう
帰ってもいいのだろうかと一瞬思案したが、結局店の前まで歩く
なんて声をかけようか考えていれば番から声をかけられる
『飯、手伝った方がいいか』なんて俺が生活に入り込む事を許してくれる
その提案を断り食事を作っていると部屋の汚れが目立つ
どうやら番は家事が苦手らしい
とりあえず昨日の通りだとキッチンと風呂と寝室しか使わないだろう
思い立ったら部屋の掃除もしながら食事を作っていく
明日からゆっくり掃除をすればいいだろう・・・
番を食事に呼び一緒に食べる・・・が、まさか番休暇について人間から提案されると思わなかった
本当は今すぐにでも抱きたい
けれど、両親のようになりたくないんだ
番から拒絶の言葉を出来うる限りききたくないんだ
だから、どうか俺を好きになってから抱かれて欲しい・・・
だが、そうか、やり方か・・・体を傷つけない為にも学ばなければならないな・・・
寝室に行けば番、やはり名前はアルバートというみたいだ
アルバートは編み物をしていた
よくするのかと観察してみたがそうでもない、不慣れな手つきだ
膝に乗せてもいいか聞けばなにも言わずに乗っかってくれる
アルバートは会った時からずっと楽しそうだ
次の日も食事を作ってから家を出る、どうやらアルバートは昼前まで寝ているらしい
よく寝る番は行動範囲が狭いらしくほっとする
今日はローワン副隊長と昨日回っていないところの巡回をする
「ローワン副隊長、番についてご相談が・・・」
「なんすかー?なんでも聞いて下さいっすー!一応先輩っすから!」
男同士のやり方が分からないから詳しく聞いたが、そうか洗浄か・・・
内臓を洗浄するのはやった事がない・・・それ専用の魔法があるのか
それに、そうか濡れないから潤滑油が必要なのか・・・
他にも色々と学ばなければならない事が多い
それから準備が出来るまでは同じ日々の繰り返しだ
番休暇を取るからそれまで休みはいらないから働かせてくれと願い出た
仕事以外はアルバートの傍に居る
毎日夕食時からほとんど一緒だが、風呂だけは別だ
裸を見たら絶対に襲う自信がある
そしてその10日間の間に色々な話を聞けた、決して言葉数は多くないアルバートは自分から話す事はしないけど、聞かれたらすらすらと答えてくれる
アルバートは32歳で俺の7つ上な事
メネメンは玉ねぎ入りじゃないと食べたくない事
両親は5年前に魔動の事故にあった事、店の店主に聞けと言われた意味が分かった
5年前から煙草屋を継いでいる事
昔から眠るのが好きみたいで自然に起きるまで起きたくない事
本よりチェスが好きで今度俺とも指してみたいと思っている事
煙草は物心ついた時から側にあった事
そして聞けてはいないけれど、多分アルバートは番を・・・俺をずっと待っていた
言葉にはしないが、雰囲気が言葉の端々がそう言っている
もし待っていたとするならばこの歓迎の仕方も、近所の者からの“おめでとう”の言葉も理解出来る
そしてこの街の人間は番を待っている者も多い事をローワン副隊長から教えてもらった
『俺もこの街に移動してきたんでどうしてなのかは理解出来てないっすけど、多分この街にきた獣人か竜人が怯えさせないように知恵を振り絞ったんだと思うんす』
『どういう意味ですか?』
『洗脳した人が何を思ったかは知らないっすけど、一途に愛され囲われ縛られ続ける事は幸福な事だと思わされてる気がするっすこの街の人達は』
『洗脳・・・』
『最初に教えた人の次に来た人も多分意図を理解したんだと思うんす、だからこの街の獣人や竜人は不気味なくらい、他の街では考えられないくらい人間に殊更優しく振舞っているっす、もちろん俺も、そうして恐怖で縛り続けるんじゃなくって洗脳して幸福であると思わせて近付いて食べるんすよ』
納得した
確かに観光にくる人間達は俺たちと接する時、怯えも混じっている
それが正しいと思う
けれど、この街の人間は軽々しく懐に入れる
恐怖なんてものは見せずにただ沁みついているんだ、昔からおとぎ話で聞かされる程に
獣人は優しくて我慢強く、そして番は素晴らしいモノだと
確かにそれは洗脳だ
けど、俺はそれを聞いた時このまま一生俺の傍で洗脳され続けてくれればいいと心から思った
準備が出来てやっとアルバートを抱く事が出来る
番休暇はまだ取らない・・・
慣らして慣らして体が落ちてきた時に貪りつくせばいい
13
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。




つまりは相思相愛
nano ひにゃ
BL
ご主人様にイかないように命令された僕はおもちゃの刺激にただ耐えるばかり。
限界まで耐えさせられた後、抱かれるのだが、それもまたしつこく、僕はもう僕でいられない。
とことん甘やかしたいご主人様は目的達成のために僕を追い詰めるだけの短い話です。
最初からR表現です、ご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる