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第一進化

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 ふぁーあ

 俺がふと目を覚ますと、そこはけっこう高い木の上だった。

 あれ……俺何でこんな所に居るんだっけ……ってそうか。
 あの後、足早を食い終わった奴らがぞろぞろと伐採した木に帰るのを見ながら近場の木の上で眠りについたんだった。
 その時落ちないように初めて【糸を吐く】を使ってみたんだが、なかなか使いやすいんだな、これ。
 お陰でスキルレベルも1上がったし、今後は戦闘の択の一つに入れてみるかな。
 っと、そんなことより今はぁ…………

 イェーーイ!!
 祝!!第一進化ぁ!!

 と言う訳でやって参りました。
 第一回進化先考察コーナーのお時間です。

 インテリジェンスキャタピラーの説明を見た時にこの世界には、進化と言う物が有り、尚且つそのルートが複数有るって事も分かってるからな。
 あとは如何に、強くて人間寄りに成れるかを見据えて進化先を考えるだけだ。

 と言う訳で早速選択肢カマン!!

―――――――――――――――――――――
ポイズマキャタピル ランク:E+

キャタピルスケイラ ランク:E

バーミキュレイト  ランク:D+
―――――――――――――――――――――


 ほぉ、なるほど。
 早速三つも進化先が有るのか。
 まぁ、これが多いかどうかは分からんが……確認用のMP足りるかなぁ。

 そう不安になりつつ確認すると、レベルアップで上限が上がったらしく、40/40で満タンになっていた。
 HPも上がってるのだろうが、もうステータスも変わるだろうにわざわざ覚えておく必要も無かろう。

 そんなわけで取り敢えず手記で各種族の特徴だけをを確認していく事にした。


 多分出来ると思うんだが……お!来た!


パラリ

―――――――――――――――――――――
ポイズマキャタピル

 身体に多量の猛毒を含んだ毒腺を持つ芋虫。
 体表には、その毒を流し込むための針が大量に生えているため接近を許した場合、並大抵の人間に待ち受けるのはグズグズに焼き溶かされる様な地獄のような苦しみだけである。
 致死率はそれ程高くは無い。(個体差有り)
―――――――――――――――――――――

 おぉう、そっかぁ。
 名前から想像は付いてたがやっぱり毒虫かぁ。
 毒虫は元人間としての勘を信じる限り無しかなぁ。
 只でさえ芋虫の見た目だけで嫌われそうだってのにわざわざ+毒虫の嫌われコンボを食らう事もないだろう。

 毒ってのは野生じゃ強いんだろうが、人間との共存を望む俺的には無しだな。

 じゃあ次。

 パラリ

―――――――――――――――――――――
キャタピルスケイラ

 身体に強固な外骨格を纏った芋虫。
 その防御力は同ランク帯なら最硬クラスで、安物の武器なら弾く程度の硬度を持つ。
――――――――――――――――――――

 ほうほう、装甲タイプか。
 なんか……この説明文じゃあまり硬さに信用は置けなさそうだが、これなら咄嗟に人間の身代わりにもなれるだろうし、その見た目以外には嫌われる要素は無いのかもな。
 ただ、不安要素としては攻撃力と素早さかな。
 防御特化ってのはその高い防御を用いての毒や、麻痺等の状態異常で持久戦に持ち込むイメージが有るのだが、そこんとこどうなのだろう。
 俺としては今のまま、大顎やロケットで戦う方が性に合っている気がするのだが……せめて素早さは落ちないと良いな。

 次……はなんか特殊らしいな。
 キャタピラーともキャタピルとも書いてないし……しかも、異様にランクが高いんだよな。
 まぁ、どのランクがどの程度の強さなんて物は分からないんだか……まぁ、取り敢えず見てみよう。

 パラリ

―――――――――――――――――――――
バーミキュレイト

 虫食いの名を冠する魔蟲。
 細長い身体に見合わぬ大きな口をもってして削る様に獲物を喰らう。
 常に餓えており、肉と見るなり、内側に入り込んで穴を穿つ。
 繁殖期に現れるバーミキュレイトの群れは、一つの群れでAランクにすら匹敵する。
―――――――――――――――――――――

 うっわ、えげつねぇ!!
 こりゃランクが高い理由が良く分かるわ。
 そりゃ身体の内側に入り込まれちゃ手出し出来ないもんな。
 こりゃ無しだわ。
 一番無し。
 生態が凶悪過ぎる。
 こんなんで「ニンゲンノミカタデスヨー」は流石に無理があるわ。

 ……てか、今のこれで改めて気付いたんだがあれだな。
 ランクが高い=人間から脅威と見られているってことなんだな。
 その点キャタピルスケイラなら、ランクも一段程低いし、毒も無いし……あれ?人間寄りを目指すなら既に進化先決まっちゃってる?

 い、いやいや。
 冷静になれ俺よ。
 流石にバーミキュレイトは一考の余地も無いが毒に気を付けさえすればポイズマキャタピルならワンチャン……

―――――――――――――――――――――
接近を許した場合、並大抵の人間に待ち受けるのはグズグズに焼き溶かされる様な地獄のような苦しみである。
―――――――――――――――――――――

 あ、ハイそうですね。
 大人しく鎧着けますねハイ。

 ……と言うわけで俺の進化先はキャタピルスケイラだ。

 そう決めた瞬間、段々と体表が段々と熱で溶けて行くのを感じた。
 そのまま再形成されていく。
 表面はより硬く、より滑らかに。
 グズグズと、内面まで溶けて行くというのに不思議と恐怖心は無かった。
 逆に何処か生暖かくて落ち着く様な……

 思わずそんな感覚に耽っていると、始まった時と同様に段々とその熱は冷めて行った。

 ……お?終わったのか?
 んー、身体動かした感じは……割りと変化は無い?
 あ、いや、視点は元の二倍くらい高くなってるわ。

 一先ず辺りを見回しつつ、俺は取り敢えずステータスを確認することにした。
―――――――――――――――――――――
名前:
種族:キャタピルスケイラ
Lv:1/20

HP:125/125
MP:84/85


恒常スキル
 【ロケット:Lv3】【糸を吐く:Lv2】【大顎:Lv1】【虫食い:Lv1】

固有スキル

称号スキル
 【賢者の残滓:LvMAX】

耐性
 【毒耐性:Lv4】【火炎耐性:Lv-2】【物理耐性:Lv3】【身体装甲Lv:ー】
―――――――――――――――――――――

 お?おぉ……なんかそのまま硬くなった感じなのか?
 MPもHPも前に比べりゃ比較にならねぇ程多くなったし……うん、まだ動作確認はしてないが今んとこ後悔する要素無いぞ。
 あと、増えたスキルは……この身体装甲だけかぁ。
 もうちょい増えた方が嬉しかったが、鎧を着けただけだしなぁ、しゃーなしか。
 それにしてもこのスキル……なんだこの【レベル:ー】ってのは。
 まさか漢字の一じゃ有るまいし……手記さん答えてくれるかな。

―――――――――――――――――――――
【レベル:ー】
 レベルの上がらないスキル。
 どれだけ熟練度が上がっても一貫して効果が変わらないため、レベル0とも呼ばれる。
―――――――――――――――――――――

 おぉ、流石!
 仕事が速いね。
 ふんふん、なるほど。
 レベル0ねぇ……今更ながら良く考えたらスキルの事なんかも全く知らねぇんだよな俺。
 知ろうと思えば手記さんが教えてくれるのかな?
 だとしたら、MPが100を越えた時にでも聞いてみようか。
 きっと面白いぞ。

 ……とまぁ、新たな目標も出来た所でまた確認に戻ろうと思ったのだが、あれなんだな。
 今気付いたが、バーミキュレイトが進化先に出てきたのってこの【虫食い:Lv1】のせいなのだろうか。
 バーミキュレイトの説明にも「虫食い」の名を冠する魔蟲とか書いてたしな。
 確か大顎と一緒に入手したスキルだった筈が、一体どんな効果なのだろう。
 と言うわけで頼んだ手記さん。


―――――――――――――――――――――
【虫食い:Lv1】
 キャタピラーや、ラット等が持つスキル
 MPを消費して肉体を穿つ行為にボーナスを与える
 例外として、バーミキュレイト系がこのスキルを得た場合はこの行為が身体の一部と判断され、MPの消費を無しに、そのレベルに応じた倍率のボーナスを常時得る
―――――――――――――――――――――

 は、はぇー……ほとほとヤベェなバーミキュレイト。
 行為が身体の一部になるって意味は良く分からないが……
 ってか待てよ。
 この文言だと身体の一部に関わるスキルだとパッシブになるのか?
 だったら、俺も一つ心当たりが有るんだが……そういや確認したこと無かったな。
 頼んだ。

―――――――――――――――――――――
【恒常スキル大顎:Lv1】
 一部のキャタピラーや、カイザーインセクトの雌が持つスキル。
 大顎を使った攻撃でレベルに応じた倍率のボーナスを得ることが出来る
 このスキルの使用にMPは消費しない
―――――――――――――――――――――

 お、やっぱりか。
 やっぱ身体の一部だとMPの消費は無くなるようだ。
 って……ん?
 ちょっとまてよ。
 そういや俺、昨日のラット戦でこのスキル使ったよな?
 確かにMPを消費した感覚は有ったのだが……ならばあれは何処へ行ったのだろう。

 という訳で検証だ。
 試しに足元の木へ噛みついてみる。

 バキッ

 そう音を立てて俺の噛んだ木の一部は砕ける。
 今度はMPを5消費して噛んでみた。

 バキッ

 やっぱり今回も噛みついた部分が砕けるだけという結果に終わった。
 それに破壊の規模も……大差無しだな。
 むぅん、一体なんなのだろう。
 まぁ、明確な結果が出ない以上無駄だと思って割りきるしかないか。
 暇な時にでもボチボチ研究していくとしよう。
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