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ダブルかまってちゃん
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「どうぞ、上がってください」
「お邪魔しまーす」
「勝手に部屋、あさらないでくださいね」
「相変わらず、愛想無いなー」
うるさい。
先輩が無理矢理部屋に押し掛けてきた。
「たまたま近くで飲んでてさー、終電逃しちゃって……なに、今の音?」
「幽霊です、ラップ音です」
「ふーん、こわーいって抱きつくべき?」
「寄らないでください。あと、息臭いです」
「まあ、リノベーションしたばかりっぽいし、建材がまだ馴染んでないのかな?」
かなり、マイペース。
酔っぱらい面倒臭い。
素面でも面倒臭い人だけど。
「おっ? ムスッとした顔男前だなー」
うるさい。
「とっとと、彼氏さんに迎えに来てもらったらどうですか?」
「はは、いつの話してんの? とっくに別れたよ?」
昔から、そっち方面は派手だったけど。
今回は1ヶ月もたなかったか。
「だから、いまフリーなんだよね?」
「水どうぞ。風呂はあっちです」
「冷たっ、あと家鳴りうるさっ」
ほっぺに、氷水の入ったコップを押し付ける。
部屋の温度がどんどん下がっていってる。
鏡に不機嫌な幽霊ちゃんが映ってるし。
「昔はあんなに可愛かったのに……みことねえ! みことねえ! っていっつも後ろついてきてさ」
「そうですね。佐藤さんも昔はもっと頼りがいがあったと記憶してます」
「他人行儀!」
佐藤みこと25歳。
年上の幼馴染み。
というか、小学校卒業するまで住んでた団地のリーダー。
今じゃ見る影もないけど、当時は純粋に憧れた人。
あっ、ねえちゃんすげーって感じの。
運動神経良かったから。
よく、怪我もしてたけど。
「懐かしいねー。そういや、あんたについて回ってた子もいたっけ?」
「ああ」
「じろうちゃんのおよめさんになるー! って、いっつも言ってて可愛かったよねー」
「いつの話してんの?」
「結局、みんな引っ越しちゃったけどね」
ちょっとしんみり。
「良いから風呂入って寝ろ! ベッド使って良いから」
「それは、一緒に使っていいってこと?」
イライラ。
「昔は一緒に寝てくれたのになー」
「お昼寝な?」
みこと姉が風呂に入ったかと思うと、勝手に冷蔵庫あさりだす。
「良いのあるじゃーん」
「まだ、飲むの?」
さっきから、ラップ音がやばいんだけど?
「あははは、不良物件?」
それから、3本くらい付き合わされたところで机につっぷして寝始めたから、ベッドに運ぶ。
昔はおんぶしてくれたこともあったっけ?
まあ、良いけどさ。
シクシク……
なぜ、こっち?
いっつも、その儀式寝室でやってるよね?
ソファで横になってると、すぐ側から嘘泣きの声が。
「寂しいよ」
ずっと、部屋にいたくせに。
てか、髪垂らして見下ろしてきてるけど、短くなって顔があまり隠れてない。
「私の知らない次郎君知ってるあの人が、妬ましいよ!」
知らないよ。
むしろ、知ってたら怖いし。
「てっきり、あっちに出るかと思った」
「だって、知らない人だし……歳上だし」
いくつだよ!
てか、人見知り?
「なんか、眩しいし。怖いし」
あー、パワフル過ぎてってことかな?
てか、幽霊にビビられるとか。
「次郎君、婚約者いたんだ」
飛躍しすぎ。
いるわけないし。
なんか、こっちも今日は面倒臭そう。
「はあ、寝よ」
「怒った?」
うーん、下から見上げられるとちょっと。
いや、明日はみこと姉より先に起きないと。
色々とやばそう。
「寂しいよー」
側にいるのに?
「寂しいよー! 寂しい! 寂しい!」
酔ってる?
こっちの構ってちゃんも、一晩中うるさくてあまり寝られなかった。
「お邪魔しまーす」
「勝手に部屋、あさらないでくださいね」
「相変わらず、愛想無いなー」
うるさい。
先輩が無理矢理部屋に押し掛けてきた。
「たまたま近くで飲んでてさー、終電逃しちゃって……なに、今の音?」
「幽霊です、ラップ音です」
「ふーん、こわーいって抱きつくべき?」
「寄らないでください。あと、息臭いです」
「まあ、リノベーションしたばかりっぽいし、建材がまだ馴染んでないのかな?」
かなり、マイペース。
酔っぱらい面倒臭い。
素面でも面倒臭い人だけど。
「おっ? ムスッとした顔男前だなー」
うるさい。
「とっとと、彼氏さんに迎えに来てもらったらどうですか?」
「はは、いつの話してんの? とっくに別れたよ?」
昔から、そっち方面は派手だったけど。
今回は1ヶ月もたなかったか。
「だから、いまフリーなんだよね?」
「水どうぞ。風呂はあっちです」
「冷たっ、あと家鳴りうるさっ」
ほっぺに、氷水の入ったコップを押し付ける。
部屋の温度がどんどん下がっていってる。
鏡に不機嫌な幽霊ちゃんが映ってるし。
「昔はあんなに可愛かったのに……みことねえ! みことねえ! っていっつも後ろついてきてさ」
「そうですね。佐藤さんも昔はもっと頼りがいがあったと記憶してます」
「他人行儀!」
佐藤みこと25歳。
年上の幼馴染み。
というか、小学校卒業するまで住んでた団地のリーダー。
今じゃ見る影もないけど、当時は純粋に憧れた人。
あっ、ねえちゃんすげーって感じの。
運動神経良かったから。
よく、怪我もしてたけど。
「懐かしいねー。そういや、あんたについて回ってた子もいたっけ?」
「ああ」
「じろうちゃんのおよめさんになるー! って、いっつも言ってて可愛かったよねー」
「いつの話してんの?」
「結局、みんな引っ越しちゃったけどね」
ちょっとしんみり。
「良いから風呂入って寝ろ! ベッド使って良いから」
「それは、一緒に使っていいってこと?」
イライラ。
「昔は一緒に寝てくれたのになー」
「お昼寝な?」
みこと姉が風呂に入ったかと思うと、勝手に冷蔵庫あさりだす。
「良いのあるじゃーん」
「まだ、飲むの?」
さっきから、ラップ音がやばいんだけど?
「あははは、不良物件?」
それから、3本くらい付き合わされたところで机につっぷして寝始めたから、ベッドに運ぶ。
昔はおんぶしてくれたこともあったっけ?
まあ、良いけどさ。
シクシク……
なぜ、こっち?
いっつも、その儀式寝室でやってるよね?
ソファで横になってると、すぐ側から嘘泣きの声が。
「寂しいよ」
ずっと、部屋にいたくせに。
てか、髪垂らして見下ろしてきてるけど、短くなって顔があまり隠れてない。
「私の知らない次郎君知ってるあの人が、妬ましいよ!」
知らないよ。
むしろ、知ってたら怖いし。
「てっきり、あっちに出るかと思った」
「だって、知らない人だし……歳上だし」
いくつだよ!
てか、人見知り?
「なんか、眩しいし。怖いし」
あー、パワフル過ぎてってことかな?
てか、幽霊にビビられるとか。
「次郎君、婚約者いたんだ」
飛躍しすぎ。
いるわけないし。
なんか、こっちも今日は面倒臭そう。
「はあ、寝よ」
「怒った?」
うーん、下から見上げられるとちょっと。
いや、明日はみこと姉より先に起きないと。
色々とやばそう。
「寂しいよー」
側にいるのに?
「寂しいよー! 寂しい! 寂しい!」
酔ってる?
こっちの構ってちゃんも、一晩中うるさくてあまり寝られなかった。
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