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第1章:仮冒険者と魔王様、冒険者になる!~エンの場合~
第8話:E級冒険者レイド
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あっという間に話題をカナタさんに搔っ攫われて、若干いじけているとカナタさんがチョイチョイと肩をつつく。
「なんすか?」
思いっきり不機嫌な声で返事をしたのに、全く気にしていない様子のカナタさん。
常に平常運行ですね……
まあ、貴方みたいなあ? 大金持ちで実力もある人からしたらあ? 僕なんて塵数多の存在ですもんねえ?
おかわりドンで、さらに不機嫌オーラをぶつけてみるが、全く気付いて貰えない。
お願い気付いて……
イースタン風に言うと暖簾に腕押し、糠に釘ってやつだな……暖簾も糠も知らないけど。
「あの娘知り合い?」
そう言ってカナタさんが指さした方向には、目深にフードを被った一人の剣士の姿が。
ああ、彼か……
3ヶ月くらい前に入って来て、ギルドの事案内したんだっけ。
それから、ちょろっとこの周辺を案内して、あとは薬草採取に一度付き合ってあげたくらいだったかな。
すぐに頭角を現して、3ヶ月でE級まで上り詰めた優秀な子だったね。
「ああ、彼はレイドさんですよ。ここに入ったばっかりの頃に、ギルドの案内と安い宿とか良い武器屋とか紹介してあげたんですよ……つっても、とっくに追い越されて、今じゃ殆ど会話もしてないんですけどね」
といっても、そんな冒険者は結構いる。
色々とお節介を焼く事は多いが、いかんせん僕も万年仮冒険者化しつつあったからな。
当然、まだまだ仮冒険者の子達の方が多いが、中にはあんな風にとっとと僕を置いていってしまう子もいる。
寂しいけど、しょうがない……これが現実だ。
「彼? 彼女じゃなくて?」
「やだなーカナタさん、どっからどう見ても男の子じゃないですか」
えっ? なんでそんなに悲しそうな目で見てくるんですか?
とはいえ、レイドさんどうしたんだろう。
ジッとこっちを見たまま、動こうとしない。
あっ、カナタさんが気になるのかな?
そりゃ、1日でF級になった冒険者なんて200年続くこのギルドの中でも二桁居るか居ないかだしね。
と思ったけど、完全に僕の事見てるよね?
もう一度彼の方を見ると、完全に目が合ってしまった。
それから早歩きで彼がこっちに歩いてくる。
なんですか?
「エンさんおめでとうございます!」
と思ったら、普段あまり感情を表に出さない彼にしては、珍しく笑顔で僕の昇進を祝福してくれる。
なんだろう……めっちゃ嬉しい。
「あっ、ありがとう……って言っても、レイドさんはまだまだ先ですけどね」
「怒りますよ?」
普通にお礼を言っただけなのに、めっちゃ凄まれてる……なんで?
「エンさんは冒険者になったんです! ちゃんと前みたいにレイドって呼んでください!」
えっ? そこ?
なんで?
いやまあ、確かに僕の方が先輩だけど、レイドは既にE級冒険者だ。
どっちしろ、レイドの方が上なのに。
「いやでも、ランクが……」
「ランクなんて関係ないです! パーティ組んでる人達だって、D級の方がB級の方を呼び捨てにしたりしてるでしょ?」
いや、それはまあ……パーティだからね。
仲間だからね……皆がさん付けで呼び合うような、他人行儀なパーティとか連携取れて無さそうだし。
「いや、まあそうだけど。それでも、その人達だって他のパーティの上位者に話しかける時はちゃんとしてるよ?」
「誰?」
この人はああああ!
いま、大事な話してるんだから黙っててくださいよ。
普通に割り込んできたカナタさんに冷たい視線を送るが、当の本人はニコニコとレイドを見つめている。
いや、ニヤニヤとと言った方が正しいかな?
「あっ、すいません、レイドって言います。E級冒険者をやらせてもらってます。エンさんには昔お世話になりました」
「そうか、俺はカナタだ。現在エンにお世話になってる身だ。宜しくな」
そう言ってカナタさんが手を差し出すと、レイドが遠慮がちにその手を握る。
「(羨ましい)」
レイドがボソッと何かつぶやいたような気がしたが、良く聞こえなかった。
「しかしエンにこんな可愛い娘が知り合いに居たとはな……」
「ちょっとカナタさん失礼ですよ! 彼は男の子ですよ?」
「エッ?」
横から変な声がしたので、見てみるとレイドさんがこっちを睨み付けている。
「僕……女です……」
それから泣きそうな声でってえええええええええええ!
うそ、マジで?
はっ? だって胸も無いし、声は確かに中性的な感じではあったけど、髪も短いし。
確かに可愛いなと思ったけど、それって少年的な感じが残っててちょっと美形だからって感じだと……ってはああああ?
MA・JI・DE?
「馬鹿め……」
あっ! 馬鹿って言った!
いま、カナタさん普通に僕の事馬鹿って言った!
馬鹿って言った方が馬鹿なんですよ? はい、僕が馬鹿ですよ。
だから、そんな目で見ないでください。
「えっと、その……ああ、そうだよね? どうりで男の子にしては可愛すぎると思ったよ」
「えっ? 可愛い? 僕が?」
急にレイドが顔を真っ赤にして俯いてモジモジし始める。
……まじか
―――――――――
「僕は凄く悲しかったんですよ! F級に昇格して、凄く喜んでくれたのに! これからはレイドさんだなとかって言い出すし!」
「うんうん」
「今まで通りレイドって呼んで下さい! って言ったら、冒険者が仮冒険者とつるむと軽く見られるぞって言って、それから態度もそっけなくなるし……僕嫌われたのかなーって思って。でも困ってる時はいつの間にかフラッと現れて、声も掛けてくれるし、ちゃんと助けてくれるし意味分かんないですよ!」
「うんうん」
「それで、ずーっと待ってたんですよ? エンさんがF級に昇格するの! ようやく、今日エンさんが冒険者になって今まで通りレイドって呼んでもらえると思ったのに!」
「うんうん」
「しかもですよ! 言うに事欠いて僕の事を男だと思ってたんなんて! あんまりです!」
「酷い奴だな……まあ、飲め」
「うう……エンさんと一緒に冒険したくて、今までパーティの勧誘断って来たのに……あっ、すいません頂きます」
「酷い奴だなー」
「本当ですよ!」
「すいません……」
なんでこうなった?
いま、僕達3人は町の中心にある居酒屋に来ている。
めっちゃレイドが愚痴ってる。
グチグチ言ってる。
そしてひたすらカナタさんが笑顔でうんうん相槌打ってる。
うう……めっちゃ肩身狭い……
僕とカナタさんの昇進祝いじゃなかったのか?
ちなみにだけどここはエールの誓いという、冒険者御用達の飲み屋だ。
冒険者ギルドが支援していて、店主も店員も冒険者上がりの強者ばかりだ。
というのも、冒険者が飲み屋で暴れるという事がたまにあるため、冒険者同士でもめ事があっても対処できるような冒険者専用の飲み屋があった方が良いだろうという事で全国の冒険者ギルドがある町に作られたらしい。
事実、ここで暴れたところで多少は放置され、度が過ぎると店主を始め、元冒険者のスタッフによってボッコボコに叩きのめされる。
他のお店に行く事もあるが、冒険者は主にここを利用する。
何故かって? ギルドカードがあると大幅に割り引きが利くからさ!
「聞いてますか?」
「あっ、はいすいません」
「どっちのすいませんですか?」
「聞いてませんでした……」
「カナタさーん!」
「うんうん」
レイドはすっかりカナタさんに懐いているけど、気を付けろよ?
この人、お前の愚痴を肴に美味しく飲んでるだけだからな?
むしろ、お前の不幸を楽しんでるからな?
まあ、原因は僕なんですけどね……
「というわけで、パーティ組んでくれますよね?」
「なんで?」
僕の返事に時が止まる……
「カナタさーん!」
そしてレイドがカナタさんに泣きつく。
「仕方の無い奴だな……まあ、俺もエンとパーティを組むためにF級を急いんだだけどな。どうせなら、3人で組んだ方が色々と効率も良さそうだし」
この人はいつまで僕に取りつくつもりなんですか!
てっきりここでお別れだとばかり……
「良いですね! カナタさん大人の余裕があってカッコいいですし。何より僕の味方ですもんねー」
「うんうん」
この人、めっちゃどうでも良さそう……
うんうんって、たぶん面白い事になりそうだってくらいにしか考えてないでしょ?
そもそも、この祝勝会にレイドを誘ったのだってカナタさんだしね。
そして支払いもカナタさんだ。
ちなみにカナタさんが持ってた宝石を一個、商業ギルドに持ってったら280万ジュエルになった。
金貨2800枚だ……まあ2750枚は商業ギルドが発行するバンクカードを作ってそこに入れていたから、手持ちは50枚だけど……
商業ギルドと提携を結んでいる商店だと、このバンクカードを利用して買い物することも出来る。
便利な世の中になったもんだ。
「また聞いてない」
「うんうん、仕方の無い奴だ」
えっ? 何がですか?
「3人でパーティを組む事が決定したから、明日から頑張ろうな?」
「えっ?」
何それ? 聞いてないんですけど?
いや、この場合聞いてない僕が悪いのか……
てか、決定したってなに?
僕に選択権は無いのですか?
そりゃ、カースト的に一番立場は下ですけどね? はは……はあ。
詳しい話としては、取りあえず明日僕の装備を整えるらしい……カナタさんのお金で。
いや、断ったんだけどね……金なら腐る程あるから、腐らせるのがもったいないとかなんとか。
万年金欠の僕は、このあんちくしょーなブルジョアジーには軽く殺意沸いたよ。
そして何故かダンジョンに潜る事になった。
なんかダンジョン踏破したら、一気にランクが2階級上がるらしいという話を聞いたカナタさんがノリノリなのだ。
この人が決めたら、絶対に結末が変わらない事をこの短い付き合いで知ってしまった。
だから、パーティを組む事も、僕の装備を買ってもらう事も、ダンジョンを制覇する事も確定した未来だ。
ダンジョンに挑むじゃなくて、制覇が確定してそうで本当に怖い……
ああ、拾う神じゃなくて悪魔を拾ったのかも……
本当に魔王だったりして……
「なんすか?」
思いっきり不機嫌な声で返事をしたのに、全く気にしていない様子のカナタさん。
常に平常運行ですね……
まあ、貴方みたいなあ? 大金持ちで実力もある人からしたらあ? 僕なんて塵数多の存在ですもんねえ?
おかわりドンで、さらに不機嫌オーラをぶつけてみるが、全く気付いて貰えない。
お願い気付いて……
イースタン風に言うと暖簾に腕押し、糠に釘ってやつだな……暖簾も糠も知らないけど。
「あの娘知り合い?」
そう言ってカナタさんが指さした方向には、目深にフードを被った一人の剣士の姿が。
ああ、彼か……
3ヶ月くらい前に入って来て、ギルドの事案内したんだっけ。
それから、ちょろっとこの周辺を案内して、あとは薬草採取に一度付き合ってあげたくらいだったかな。
すぐに頭角を現して、3ヶ月でE級まで上り詰めた優秀な子だったね。
「ああ、彼はレイドさんですよ。ここに入ったばっかりの頃に、ギルドの案内と安い宿とか良い武器屋とか紹介してあげたんですよ……つっても、とっくに追い越されて、今じゃ殆ど会話もしてないんですけどね」
といっても、そんな冒険者は結構いる。
色々とお節介を焼く事は多いが、いかんせん僕も万年仮冒険者化しつつあったからな。
当然、まだまだ仮冒険者の子達の方が多いが、中にはあんな風にとっとと僕を置いていってしまう子もいる。
寂しいけど、しょうがない……これが現実だ。
「彼? 彼女じゃなくて?」
「やだなーカナタさん、どっからどう見ても男の子じゃないですか」
えっ? なんでそんなに悲しそうな目で見てくるんですか?
とはいえ、レイドさんどうしたんだろう。
ジッとこっちを見たまま、動こうとしない。
あっ、カナタさんが気になるのかな?
そりゃ、1日でF級になった冒険者なんて200年続くこのギルドの中でも二桁居るか居ないかだしね。
と思ったけど、完全に僕の事見てるよね?
もう一度彼の方を見ると、完全に目が合ってしまった。
それから早歩きで彼がこっちに歩いてくる。
なんですか?
「エンさんおめでとうございます!」
と思ったら、普段あまり感情を表に出さない彼にしては、珍しく笑顔で僕の昇進を祝福してくれる。
なんだろう……めっちゃ嬉しい。
「あっ、ありがとう……って言っても、レイドさんはまだまだ先ですけどね」
「怒りますよ?」
普通にお礼を言っただけなのに、めっちゃ凄まれてる……なんで?
「エンさんは冒険者になったんです! ちゃんと前みたいにレイドって呼んでください!」
えっ? そこ?
なんで?
いやまあ、確かに僕の方が先輩だけど、レイドは既にE級冒険者だ。
どっちしろ、レイドの方が上なのに。
「いやでも、ランクが……」
「ランクなんて関係ないです! パーティ組んでる人達だって、D級の方がB級の方を呼び捨てにしたりしてるでしょ?」
いや、それはまあ……パーティだからね。
仲間だからね……皆がさん付けで呼び合うような、他人行儀なパーティとか連携取れて無さそうだし。
「いや、まあそうだけど。それでも、その人達だって他のパーティの上位者に話しかける時はちゃんとしてるよ?」
「誰?」
この人はああああ!
いま、大事な話してるんだから黙っててくださいよ。
普通に割り込んできたカナタさんに冷たい視線を送るが、当の本人はニコニコとレイドを見つめている。
いや、ニヤニヤとと言った方が正しいかな?
「あっ、すいません、レイドって言います。E級冒険者をやらせてもらってます。エンさんには昔お世話になりました」
「そうか、俺はカナタだ。現在エンにお世話になってる身だ。宜しくな」
そう言ってカナタさんが手を差し出すと、レイドが遠慮がちにその手を握る。
「(羨ましい)」
レイドがボソッと何かつぶやいたような気がしたが、良く聞こえなかった。
「しかしエンにこんな可愛い娘が知り合いに居たとはな……」
「ちょっとカナタさん失礼ですよ! 彼は男の子ですよ?」
「エッ?」
横から変な声がしたので、見てみるとレイドさんがこっちを睨み付けている。
「僕……女です……」
それから泣きそうな声でってえええええええええええ!
うそ、マジで?
はっ? だって胸も無いし、声は確かに中性的な感じではあったけど、髪も短いし。
確かに可愛いなと思ったけど、それって少年的な感じが残っててちょっと美形だからって感じだと……ってはああああ?
MA・JI・DE?
「馬鹿め……」
あっ! 馬鹿って言った!
いま、カナタさん普通に僕の事馬鹿って言った!
馬鹿って言った方が馬鹿なんですよ? はい、僕が馬鹿ですよ。
だから、そんな目で見ないでください。
「えっと、その……ああ、そうだよね? どうりで男の子にしては可愛すぎると思ったよ」
「えっ? 可愛い? 僕が?」
急にレイドが顔を真っ赤にして俯いてモジモジし始める。
……まじか
―――――――――
「僕は凄く悲しかったんですよ! F級に昇格して、凄く喜んでくれたのに! これからはレイドさんだなとかって言い出すし!」
「うんうん」
「今まで通りレイドって呼んで下さい! って言ったら、冒険者が仮冒険者とつるむと軽く見られるぞって言って、それから態度もそっけなくなるし……僕嫌われたのかなーって思って。でも困ってる時はいつの間にかフラッと現れて、声も掛けてくれるし、ちゃんと助けてくれるし意味分かんないですよ!」
「うんうん」
「それで、ずーっと待ってたんですよ? エンさんがF級に昇格するの! ようやく、今日エンさんが冒険者になって今まで通りレイドって呼んでもらえると思ったのに!」
「うんうん」
「しかもですよ! 言うに事欠いて僕の事を男だと思ってたんなんて! あんまりです!」
「酷い奴だな……まあ、飲め」
「うう……エンさんと一緒に冒険したくて、今までパーティの勧誘断って来たのに……あっ、すいません頂きます」
「酷い奴だなー」
「本当ですよ!」
「すいません……」
なんでこうなった?
いま、僕達3人は町の中心にある居酒屋に来ている。
めっちゃレイドが愚痴ってる。
グチグチ言ってる。
そしてひたすらカナタさんが笑顔でうんうん相槌打ってる。
うう……めっちゃ肩身狭い……
僕とカナタさんの昇進祝いじゃなかったのか?
ちなみにだけどここはエールの誓いという、冒険者御用達の飲み屋だ。
冒険者ギルドが支援していて、店主も店員も冒険者上がりの強者ばかりだ。
というのも、冒険者が飲み屋で暴れるという事がたまにあるため、冒険者同士でもめ事があっても対処できるような冒険者専用の飲み屋があった方が良いだろうという事で全国の冒険者ギルドがある町に作られたらしい。
事実、ここで暴れたところで多少は放置され、度が過ぎると店主を始め、元冒険者のスタッフによってボッコボコに叩きのめされる。
他のお店に行く事もあるが、冒険者は主にここを利用する。
何故かって? ギルドカードがあると大幅に割り引きが利くからさ!
「聞いてますか?」
「あっ、はいすいません」
「どっちのすいませんですか?」
「聞いてませんでした……」
「カナタさーん!」
「うんうん」
レイドはすっかりカナタさんに懐いているけど、気を付けろよ?
この人、お前の愚痴を肴に美味しく飲んでるだけだからな?
むしろ、お前の不幸を楽しんでるからな?
まあ、原因は僕なんですけどね……
「というわけで、パーティ組んでくれますよね?」
「なんで?」
僕の返事に時が止まる……
「カナタさーん!」
そしてレイドがカナタさんに泣きつく。
「仕方の無い奴だな……まあ、俺もエンとパーティを組むためにF級を急いんだだけどな。どうせなら、3人で組んだ方が色々と効率も良さそうだし」
この人はいつまで僕に取りつくつもりなんですか!
てっきりここでお別れだとばかり……
「良いですね! カナタさん大人の余裕があってカッコいいですし。何より僕の味方ですもんねー」
「うんうん」
この人、めっちゃどうでも良さそう……
うんうんって、たぶん面白い事になりそうだってくらいにしか考えてないでしょ?
そもそも、この祝勝会にレイドを誘ったのだってカナタさんだしね。
そして支払いもカナタさんだ。
ちなみにカナタさんが持ってた宝石を一個、商業ギルドに持ってったら280万ジュエルになった。
金貨2800枚だ……まあ2750枚は商業ギルドが発行するバンクカードを作ってそこに入れていたから、手持ちは50枚だけど……
商業ギルドと提携を結んでいる商店だと、このバンクカードを利用して買い物することも出来る。
便利な世の中になったもんだ。
「また聞いてない」
「うんうん、仕方の無い奴だ」
えっ? 何がですか?
「3人でパーティを組む事が決定したから、明日から頑張ろうな?」
「えっ?」
何それ? 聞いてないんですけど?
いや、この場合聞いてない僕が悪いのか……
てか、決定したってなに?
僕に選択権は無いのですか?
そりゃ、カースト的に一番立場は下ですけどね? はは……はあ。
詳しい話としては、取りあえず明日僕の装備を整えるらしい……カナタさんのお金で。
いや、断ったんだけどね……金なら腐る程あるから、腐らせるのがもったいないとかなんとか。
万年金欠の僕は、このあんちくしょーなブルジョアジーには軽く殺意沸いたよ。
そして何故かダンジョンに潜る事になった。
なんかダンジョン踏破したら、一気にランクが2階級上がるらしいという話を聞いたカナタさんがノリノリなのだ。
この人が決めたら、絶対に結末が変わらない事をこの短い付き合いで知ってしまった。
だから、パーティを組む事も、僕の装備を買ってもらう事も、ダンジョンを制覇する事も確定した未来だ。
ダンジョンに挑むじゃなくて、制覇が確定してそうで本当に怖い……
ああ、拾う神じゃなくて悪魔を拾ったのかも……
本当に魔王だったりして……
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*主人公はダンジョン引きこもりガチ勢なので、あまり地上に出たがっていません
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