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王太子妃→王妃→王太后→后王太后……疲れた
第10話:王族だった経験は利用させてもらおうか
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「へ……平民の癖に」
マリアンヌの手前か、小さな声で私を睨みながら呟いているが……この距離なら、皆に丸聞こえだよ。
ほら、マリアンヌも不愉快そうだけど、大丈夫かい?
「ローズ嬢? もう一度、言わせるおつもり? 彼女は、私の大事な親友ですわよ?」
……この短時間で、大事な親友にさらにクラスアップとか。
私が言うのもあれだけど、マリアンヌさんや……友人は選んだ方がいいと思うよ。
「マリアンヌ様のご友人だとしてもです! 貴族を馬鹿にしたつけは、きっちり払ってもらいます! お父様に言って、反逆罪で投獄してもいますから」
おやおや、大げさな。
子供同士の喧嘩に、親を持ち出すとか。
怖い怖い。
それにしても、本当に嘆かわしい子だよ……親子そろって、救いようがないね。
「はぁ……」
「なに、溜息を吐いてるのですか!」
思わず、溜息も漏れるってもんだよ。
「ローズ嬢? でしたら、私は全力で彼女を「結構さね。こんなことに、由緒正しき侯爵家のご令嬢が親の権威を振りかざすもんじゃないよ。侯爵の威光に傷が付くだけだよ」」
マリアンヌが何か言いかけたのを、手で制して前に出る。
あっ、リースが気まずそうに所在無さげにしてるけど、あんたは全然関係ないと思うんだけどね。
余計なことにくちばしを突っ込んでも、飛び火するだけさ。
静観しとくといい。
「反逆罪ねぇ……」
「なんですか、馬鹿にしたような顔をして」
「王国法第4条の中には、貴族の爵位を持つ者に対して、公の場でその尊厳を損なう言動を行った場合、その立場の如何に関わらず侮辱罪として罰する。また、無爵のものによる言動の場合、国王の名の下に与えられた立場を持つものへの反抗とし、場合によっては反逆罪の適用もある……とはあるね」
「ほら! 今の貴女の行動は「ローズ嬢は爵位をお持ちじゃないでしょうに」」
私の言葉に、ローズ嬢が絶句した様子だけど。
ちょっと王族オーラを出してみたりしたからかな?
そんなものが、あるのかどうか分からないけど。
偉そうな雰囲気……嫌な奴っぽいねぇ。
「私は、イジガールイ子爵家令嬢です……」
「そう、子爵家令嬢であって、子爵ではないねぇ」
そうなんだよ……あんたは貴族の娘であって、貴族ではあるけども……爵位は持ってないんだよ。
「さらに同4条の中には、この言動の範疇にその者の言葉遣い態度等は、教育の質によって差があり、また王国領内にありながら独自の文化を持つ者たちもいるため含まれない……ともあるからねぇ。別に、私ら平民がお貴族様みたいな綺麗な言葉遣いができなかったとしても、問題は無いって事さ」
「……でも、生意気なことばっかり言ってるじゃない! 私のこと、皆の前で馬鹿にしたじゃない」
「態度を弁えろと言われたから断っただけだよ。そのうえで、普段の私の振る舞いで相手しただけさ。貴族のご令嬢にしては少しお勉強が足りないという事実は、指摘させてもらったけどね」
何も言い返せなくなって、顔を真っ赤にしてるけど。
薔薇みたいといったら、さらに怒るかもしれないね。
いや、目が何やら熱っぽいというか、潤んでるから……これ以上いじめたら、泣いちゃうかもしれないねぇ。
前は、私が泣かされていたけど。
あの程度の嫌がらせで泣くなんて、当時の私は平民の癖に芯が細かったんだねぇ。
まあ、もう良いかね。
ここらで、手仕舞いにしようかね。
「何項かまでははっきりと覚えてないけど、疑うなら王国法の法律書を読んでごらん。ここの図書室にもあるはずさね」
「いえ、その必要はありませんわ」
おや?
てっきり、睨みつけてくるかと思ったけど。
すっきりとした表情だね。
ただ何やら、目付きがおかしいけど。
「法律に詳しい方が、ちゃんとした言葉遣いが出来ないわけないじゃない! ……でも、負けましたわ。確かに、私は勉強が足りなかったようですね」
ん? んんっ?
この子は、こんなに素直な娘だったかねぇ?
何か、裏があるように見えるのは、考え過ぎだろうかねぇ。
「マリアンヌ様が、ご親友とおっしゃられるだけのことはありますわね。私の方から、お願いしてもいいかしら? よろしくしてくださいと」
「妙に素直だねぇ……いや、分かってくれたなら良いけどさ」
「あとその……お姉さまとお呼びしても?」
「なんでだよ!」
まあ、中身は婆だからねぇ。
もしかしたら、そういった雰囲気を感じ取ったのかもねぇ。
プライド……高かったはずなのにねぇ。
どこに行ったんだろう?
もしかして、本当はお姉さまじゃなくて、おばあさまと呼びたかったのかもしれないね。
うるさいよ!
マリアンヌの手前か、小さな声で私を睨みながら呟いているが……この距離なら、皆に丸聞こえだよ。
ほら、マリアンヌも不愉快そうだけど、大丈夫かい?
「ローズ嬢? もう一度、言わせるおつもり? 彼女は、私の大事な親友ですわよ?」
……この短時間で、大事な親友にさらにクラスアップとか。
私が言うのもあれだけど、マリアンヌさんや……友人は選んだ方がいいと思うよ。
「マリアンヌ様のご友人だとしてもです! 貴族を馬鹿にしたつけは、きっちり払ってもらいます! お父様に言って、反逆罪で投獄してもいますから」
おやおや、大げさな。
子供同士の喧嘩に、親を持ち出すとか。
怖い怖い。
それにしても、本当に嘆かわしい子だよ……親子そろって、救いようがないね。
「はぁ……」
「なに、溜息を吐いてるのですか!」
思わず、溜息も漏れるってもんだよ。
「ローズ嬢? でしたら、私は全力で彼女を「結構さね。こんなことに、由緒正しき侯爵家のご令嬢が親の権威を振りかざすもんじゃないよ。侯爵の威光に傷が付くだけだよ」」
マリアンヌが何か言いかけたのを、手で制して前に出る。
あっ、リースが気まずそうに所在無さげにしてるけど、あんたは全然関係ないと思うんだけどね。
余計なことにくちばしを突っ込んでも、飛び火するだけさ。
静観しとくといい。
「反逆罪ねぇ……」
「なんですか、馬鹿にしたような顔をして」
「王国法第4条の中には、貴族の爵位を持つ者に対して、公の場でその尊厳を損なう言動を行った場合、その立場の如何に関わらず侮辱罪として罰する。また、無爵のものによる言動の場合、国王の名の下に与えられた立場を持つものへの反抗とし、場合によっては反逆罪の適用もある……とはあるね」
「ほら! 今の貴女の行動は「ローズ嬢は爵位をお持ちじゃないでしょうに」」
私の言葉に、ローズ嬢が絶句した様子だけど。
ちょっと王族オーラを出してみたりしたからかな?
そんなものが、あるのかどうか分からないけど。
偉そうな雰囲気……嫌な奴っぽいねぇ。
「私は、イジガールイ子爵家令嬢です……」
「そう、子爵家令嬢であって、子爵ではないねぇ」
そうなんだよ……あんたは貴族の娘であって、貴族ではあるけども……爵位は持ってないんだよ。
「さらに同4条の中には、この言動の範疇にその者の言葉遣い態度等は、教育の質によって差があり、また王国領内にありながら独自の文化を持つ者たちもいるため含まれない……ともあるからねぇ。別に、私ら平民がお貴族様みたいな綺麗な言葉遣いができなかったとしても、問題は無いって事さ」
「……でも、生意気なことばっかり言ってるじゃない! 私のこと、皆の前で馬鹿にしたじゃない」
「態度を弁えろと言われたから断っただけだよ。そのうえで、普段の私の振る舞いで相手しただけさ。貴族のご令嬢にしては少しお勉強が足りないという事実は、指摘させてもらったけどね」
何も言い返せなくなって、顔を真っ赤にしてるけど。
薔薇みたいといったら、さらに怒るかもしれないね。
いや、目が何やら熱っぽいというか、潤んでるから……これ以上いじめたら、泣いちゃうかもしれないねぇ。
前は、私が泣かされていたけど。
あの程度の嫌がらせで泣くなんて、当時の私は平民の癖に芯が細かったんだねぇ。
まあ、もう良いかね。
ここらで、手仕舞いにしようかね。
「何項かまでははっきりと覚えてないけど、疑うなら王国法の法律書を読んでごらん。ここの図書室にもあるはずさね」
「いえ、その必要はありませんわ」
おや?
てっきり、睨みつけてくるかと思ったけど。
すっきりとした表情だね。
ただ何やら、目付きがおかしいけど。
「法律に詳しい方が、ちゃんとした言葉遣いが出来ないわけないじゃない! ……でも、負けましたわ。確かに、私は勉強が足りなかったようですね」
ん? んんっ?
この子は、こんなに素直な娘だったかねぇ?
何か、裏があるように見えるのは、考え過ぎだろうかねぇ。
「マリアンヌ様が、ご親友とおっしゃられるだけのことはありますわね。私の方から、お願いしてもいいかしら? よろしくしてくださいと」
「妙に素直だねぇ……いや、分かってくれたなら良いけどさ」
「あとその……お姉さまとお呼びしても?」
「なんでだよ!」
まあ、中身は婆だからねぇ。
もしかしたら、そういった雰囲気を感じ取ったのかもねぇ。
プライド……高かったはずなのにねぇ。
どこに行ったんだろう?
もしかして、本当はお姉さまじゃなくて、おばあさまと呼びたかったのかもしれないね。
うるさいよ!
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