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王太子妃→王妃→王太后→后王太后……疲れた
第7話:王子から逃げ出した……しかし、回り込まれてしまった
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正門を、マリアンヌ様……というか、マリアンヌ嬢と抜けるとすぐに、他の貴族子息令嬢の方が挨拶をしてこられた。
ふむ……やはり、この頃はフィアンス侯爵家の勢力は旺盛で、あのバカとの婚約もあってか人気があるね。
「ごきげんよう、リース嬢」
おずおずといった様子で近づいてきた少女にマリアンヌ嬢が声をかけている。
「あっ、あの……そちらのご令嬢はどちらの家門の方でしょうか? お怪我もされているみたいですし」
「私? へへぇ……ただの、平民でございます。名乗るほどのものでも、ありませんよ」
「えっ?」
「……エリスさん、馬車では普通に喋ってらしたのに」
おお……どうやら、この平民っぽい喋り方は違うんだね。
村に視察に行ったときに、こんな喋り方をする人がいたが。
「平民? マリアンヌ様、そちらの平民は制服を着てらっしゃるみたいですが……もしかして、学園内専用の召使いですか?」
「さ……さすが、フィアンス侯爵家……学園生活を快適にするためなら、平民の侍女の学費くらい払っても小動もしないのか」
「ぱねぇな」
……なるほど。
それは、良い案だね。
彼女の侍女ってことにすれば、彼女の周りで色々とサポートでき……いや、無しだね。
あのバカとの遭遇率があがるのは、真っ平ごめんだね。
「そうさね。わたしゃ、マリアンヌ嬢の侍女さ」
「また、おかしな喋り方を……さきほど出会ったばかりですが、とても楽しい方で気も合うのでお友達になってもらいましたの」
なんだ……と?
いつの間に、お友達にクラスアップしたんだい?
昔の私なら、馴れ馴れしいと一喝していただろう……一番ストレス過多だった第一子出産後なら。
ガルガル期はその一度っきりだったけどね。
あのバカと、王族との縁繋ぎの下心の透けた相手限定だったけどさ。
「平民ですよ?」
「だから、私は平民だって何度も言ってるでしょうに……リース嬢でしたっけ? そう何度も同じことを確認するのは、淑女として色々と残念な方に見えますよ。一度状況を飲み込んで情報を整理してから、言葉を変えて別の場所で確認なさい」
「……平民ですよね?」
「平民のはずですわ」
リース嬢とマリアンヌ嬢が揃って首を傾げているが。
数分前にした自己紹介の内容どころか、たったいま念押しした内容を疑うとか……本当に、大丈夫かねぇ。
とくに王太子妃教育を受けているはずの、マリアンヌまで。
「なぜか、おばあさまに叱られたような気持になったのですが……」
そりゃ、わたしゃ中身がクソババアだからねぇ。
そんなやり取りをしていたら、前を歩いていた集団がパッと二手に分かれた。
なんだい、突然……
本当に、なんなんだい……
割れた人だかりの先に、仁王立ちする見覚えのある馬鹿面が。
「殿下……」
周囲の子たちもざわざわしてるから、そんな目立つ立ち方するんじゃないよ。
そういう無駄に自信過剰で自意識過剰なところが、昔から腹が立つんだよ。
「君は「マリアンヌ様! 殿下ですよ! ダーラシナス殿下! この国の第一王子で、マリアンヌ様の婚約者であらせられる殿下が、わざわざ初登校の日にお出迎えですわよ! 素敵ですわー! ロマンチックですわー! ドキドキが止まりませんね!」」
「えっ? いま、殿下はエリスさんの方を「ええ? そんなわけないでしょうに。婚約者の晴れの日に、他の女性になんの用があるんですか? 婚約者に対する入学の謝辞より先に声を掛けるべき相手、ましてや異性なんて存在するわけないでしょう!」」
明らかに嫌な予感がしたので、全力で先手を打たせてもらって流れはこっちで作らせてもらおう。
マリアンヌまでおかしなことを言いだしそうだったが、上手くいったはずだ。
これで、私に声を掛けてきたら……あのバカを本気で殴ってしまいそうだ。
今は平民だから、間違いなく社会的にか法律的に殺されるだろうが……城内の隠し通路を網羅している私なら、逃げられる気がするね。
「そ……そうだな。マリ「ちょっとリース嬢、何をしているのですか? ここは、私たちはお邪魔虫ですよ! ほら、あとは若い二人に任せて、私たちは先に行きましょう」」
「えっ? あっ……はい」
「「あっ……」」
あのバカが近づいてきたので、リースを巻き込んで戦場離脱をはかる。
ダーラシナスが何か言ってるが無視だ。
いや、マリアンヌまで寂しそうな声を出してきたのは、驚いたけど。
二人を結び付けるために頑張ろうと思ったが……マリアンヌのためには婚約を破棄させて、もっと良い男性を探してあげた方が良い気がしてきた。
改めて、この頭の軽い馬鹿の馬鹿な行動を見て……
ふむ……やはり、この頃はフィアンス侯爵家の勢力は旺盛で、あのバカとの婚約もあってか人気があるね。
「ごきげんよう、リース嬢」
おずおずといった様子で近づいてきた少女にマリアンヌ嬢が声をかけている。
「あっ、あの……そちらのご令嬢はどちらの家門の方でしょうか? お怪我もされているみたいですし」
「私? へへぇ……ただの、平民でございます。名乗るほどのものでも、ありませんよ」
「えっ?」
「……エリスさん、馬車では普通に喋ってらしたのに」
おお……どうやら、この平民っぽい喋り方は違うんだね。
村に視察に行ったときに、こんな喋り方をする人がいたが。
「平民? マリアンヌ様、そちらの平民は制服を着てらっしゃるみたいですが……もしかして、学園内専用の召使いですか?」
「さ……さすが、フィアンス侯爵家……学園生活を快適にするためなら、平民の侍女の学費くらい払っても小動もしないのか」
「ぱねぇな」
……なるほど。
それは、良い案だね。
彼女の侍女ってことにすれば、彼女の周りで色々とサポートでき……いや、無しだね。
あのバカとの遭遇率があがるのは、真っ平ごめんだね。
「そうさね。わたしゃ、マリアンヌ嬢の侍女さ」
「また、おかしな喋り方を……さきほど出会ったばかりですが、とても楽しい方で気も合うのでお友達になってもらいましたの」
なんだ……と?
いつの間に、お友達にクラスアップしたんだい?
昔の私なら、馴れ馴れしいと一喝していただろう……一番ストレス過多だった第一子出産後なら。
ガルガル期はその一度っきりだったけどね。
あのバカと、王族との縁繋ぎの下心の透けた相手限定だったけどさ。
「平民ですよ?」
「だから、私は平民だって何度も言ってるでしょうに……リース嬢でしたっけ? そう何度も同じことを確認するのは、淑女として色々と残念な方に見えますよ。一度状況を飲み込んで情報を整理してから、言葉を変えて別の場所で確認なさい」
「……平民ですよね?」
「平民のはずですわ」
リース嬢とマリアンヌ嬢が揃って首を傾げているが。
数分前にした自己紹介の内容どころか、たったいま念押しした内容を疑うとか……本当に、大丈夫かねぇ。
とくに王太子妃教育を受けているはずの、マリアンヌまで。
「なぜか、おばあさまに叱られたような気持になったのですが……」
そりゃ、わたしゃ中身がクソババアだからねぇ。
そんなやり取りをしていたら、前を歩いていた集団がパッと二手に分かれた。
なんだい、突然……
本当に、なんなんだい……
割れた人だかりの先に、仁王立ちする見覚えのある馬鹿面が。
「殿下……」
周囲の子たちもざわざわしてるから、そんな目立つ立ち方するんじゃないよ。
そういう無駄に自信過剰で自意識過剰なところが、昔から腹が立つんだよ。
「君は「マリアンヌ様! 殿下ですよ! ダーラシナス殿下! この国の第一王子で、マリアンヌ様の婚約者であらせられる殿下が、わざわざ初登校の日にお出迎えですわよ! 素敵ですわー! ロマンチックですわー! ドキドキが止まりませんね!」」
「えっ? いま、殿下はエリスさんの方を「ええ? そんなわけないでしょうに。婚約者の晴れの日に、他の女性になんの用があるんですか? 婚約者に対する入学の謝辞より先に声を掛けるべき相手、ましてや異性なんて存在するわけないでしょう!」」
明らかに嫌な予感がしたので、全力で先手を打たせてもらって流れはこっちで作らせてもらおう。
マリアンヌまでおかしなことを言いだしそうだったが、上手くいったはずだ。
これで、私に声を掛けてきたら……あのバカを本気で殴ってしまいそうだ。
今は平民だから、間違いなく社会的にか法律的に殺されるだろうが……城内の隠し通路を網羅している私なら、逃げられる気がするね。
「そ……そうだな。マリ「ちょっとリース嬢、何をしているのですか? ここは、私たちはお邪魔虫ですよ! ほら、あとは若い二人に任せて、私たちは先に行きましょう」」
「えっ? あっ……はい」
「「あっ……」」
あのバカが近づいてきたので、リースを巻き込んで戦場離脱をはかる。
ダーラシナスが何か言ってるが無視だ。
いや、マリアンヌまで寂しそうな声を出してきたのは、驚いたけど。
二人を結び付けるために頑張ろうと思ったが……マリアンヌのためには婚約を破棄させて、もっと良い男性を探してあげた方が良い気がしてきた。
改めて、この頭の軽い馬鹿の馬鹿な行動を見て……
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