72 / 102
第三章:王都学園編~初年度後期~
第10話:お迎え
しおりを挟む
「エルザ様、どちらに向かわれるので?」
授業の後、教室を出て上の階に向かおうとしたらカーラに呼び止められた。
本当は、こっそり行きたかったのに。
「ダリウスを迎えに行くだけだよ」
「あら、まぁ! 今日は、お二人で帰られるのですか?」
私の言葉に、カーラが花開いたような笑顔を見せる。
そんな、ロマンチックなものじゃない。
だから、別にみんなと一緒でも良いか。
「いや、とりあえず迎えに行くだけ。カーラもついて来る?」
「いえ、お二人の邪魔をしてはいけませんので、私は今日はレイチェル嬢たちと帰りますわ。全員、きっちり揃えて連れて帰りますのでご心配なさらずに」
なんの、心配だよ。
そこ、強調しなくてもいいから。
本当に、しょうもない理由なんだから。
むしろ、全員で取り囲んで帰りたいくらいだよ。
「勿論、ジェイやジェーンの様子も見にいきますし、二人も一緒に連れて帰りますから」
「気を遣わせてごめんね。いや、ほんと」
余計な気遣いだけどね。
気が重くなる。
「しっかりと、仲直りしてくださいね」
「ん? 仲直り?」
仲直りとは、なんぞや?
別に、私とダリウスは喧嘩なんかしてないけど?
「どういうこと?」
「えっ? 殿下の両方の頬が腫れていたの、エルザ様がやったんじゃないのですか?」
「あっ、いや……まあ、右はね」
「右は? では、左は?」
「ミレニア王妃殿下だけど?」
ああ……その件ね。
いや、それは確かにそうだったんだけどさ……
そうなのだ。
あのあと、私は王城に乗り込んでダリウスに詰め寄った。
***
私の友人を使ってまで、あんなくだらない茶番を見せてきたのは何のつもりだと!
ただでさえ学校で微妙な立場のレイチェルを、さらに追い込むとは!
レオハートを敵に回す気かと!
気が付けば、王城でダリウスの襟首を掴んで文句を言っていた。
「わっ、私は……その方に、何かある前にどうにかしたかったのだ!」
と真剣な目で見てきたので、盛大に溜息を吐いてジトっとした視線を向けてやった。
かなりたじろいでいたけど、それでも必死に何やら言い募っていた。
呆れて何も言えなくなるかと思ったら、マシンガンのように勝手に言葉が出たわ。
「王族ともあろう方が、おとり捜査まがいのマッチポンプに手を染めるなんて……自身に威厳がないと、自己紹介されているようなものですよ」
「そっ、そんなこと……」
「父君であられる陛下を見習いなさい。行き過ぎた行為があっても静観をしつつ、その裏で証拠を集めて色々と手を回しているのを知らないと?」
「そうなのか?」
知らなかったのか……
いや、これ……陛下も悪くないか?
国として身分至上主義派にどう対処するかを、息子と共有していなかったのか。
その最たるものが、私という婚約者なのに。
スペアステージアが簒奪を目論んでいることなんて、王家ではとっくにお見通しに決まってるだろう。
でなければ先代陛下が弟である祖父をレオハートに婿入りさせたりなんかしないし、その孫を王太子の婚約者にしようなどと考えないだろう。
レオハートとのパイプを強くすることで、西側の勢力をまとめようとしているのだ。
二代に渡って準備をしているなら、次代のダリウスにもしっかりと引き継いでおいてもらいたかった。
だからこそシャルルや、胡散臭いロータス先輩を殿下の近くに付けたりしたのに。
周りの人間を上手く使ったつもりかもしれないが、まったく生かし切れていない。
そのうえ、そこにあまり影響力のない令嬢を不必要に危険に巻き込むなんて。
「痛いではないか!」
「反省する前に、現状を理解しなさい!」
レイチェルの顔を思い浮かべた瞬間に、ダリウスの右頬をひっぱたいていた。
軽くたたいたつもりだったけど、かなりのダメージを負っているのが笑える。
王族なんてのはあるだけで、伯爵家以下の貴族を抑えられるのに。
わざわざ自分で揉め事の種を用意して、それを他人に撒かせて素知らぬ顔で刈り取ろうとするとか。
「恥を知りなさい!」
「それは、あんまりではないか! 私なりに一生懸命にエルザのことを考えて、どうすれば手助けできるか「私だけじゃなくて、私の周囲にも気を配りなさいって言ってるんですよ! 私の友達を巻き込むことが、なんで私の手助けになるんですか? これで、レイチェルが逆恨みされて直接危害を受けたら、相手の命の保証はしませんよ?」」
私の言葉に、ダリウスが項垂れた。
少しだけ納得いってなさそうだけど。
そういうのには、敏感なんだよ私は。
気配探知を極めると、そういった感情の機微も微妙に伝わってくるんだ。
敢えて無視することが多いけど、今回は看過できない。
ここで徹底的に絞めておかないと、こいつはまたやらかす。
「レイチェル嬢なら大丈夫だと思ったんだ……1年で、エルザの次に強いし」
「馬鹿ですか? レベルや剣の腕はそうかもしれませんが、内面は私と違ってお嬢様なんですよ?」
「えっ?」
「えっ、じゃねーよ! 普通に考えたら、分かるでしょうが!」
「うっ! 二度もぶつことはないだろう!」
「私の友達を、侮辱するからですよ!」
今回は割と強めにいったから、ダリウスが倒れこんでこっちを睨んで来た。
今のも、ダリウスが悪いと思うのは私だけだろうか?
私の考えがおかしいのだろうか?
「話は全て聞かせてもらいましたよ」
そんなやり取りをしたあと、どう言い聞かせたものかと硬直状態に陥った。
その瞬間を見計らうように、ミレニア王妃が入室してきたけど……
ミレニア殿下……息子さんと同じような言葉を言うのですね。
親子で流行ってるんですか? それ……
「本当に、うちのバカ息子が情けない」
「は……母上?」
「なんで、あんたはこんなに怒られているのに、ごめんなさいが言えないのですか! 悪いと思ってないのですか?」
「私はエルザのためにと思ってやったのです。それは悪い事なのでしょうか」
あっ……
こいつ、本当に駄目だ。
私のためという言葉に全てが集約されてる。
どんな手段を取ろうが、私のためになれば私が喜ぶとでも?
ミレニア殿下が登場して早々にフリーズしてしまった。
「この馬鹿息子がぁっ!」
「痛いです」
あっ、右頬を殴ろうとして止めたから、てっきり親心か何かかと思ったけど。
左頬を思いっきり、グーでぶん殴っていた。
右の頬がすでに腫れていたから、反対にしただけか。
厳しい、お母様だ。
「本当に情けない! なんで、普段は賢くて冷静で聡明なあなたが、エルザ嬢が絡むとおバカで間抜けになるのですか」
おおう……親ばか乙。
あと、流れ弾がこっちに凄い勢いで、飛んできたんだけど?
それだと、私のせいでダリウスがおバカになったみたいじゃないですか。
「エルザを侮辱するのですか?」
「そうじゃない! こんな簡単なことも分からないなんて……エルザ嬢を侮辱してるのではなく、貴方を叱っているのですよ!」
そうだったの?
いや、なんか……私のでせいでダリウスがおバカになったって意味合いのことを……というか、ほぼストレートにそう言ったよね?
というか、ここでそういう返答をするあたり、本当にダリウスがおバカになっている。
普段は、こんなこと全然ないのに。
「私の何が悪かったのでしょうか……」
「それが自分で分からないから、母は貴方を情けないと思ってるのです!」
もうだめだ、この子……何が彼を焦らせたのかが分からないけど。
周りが見えなくなるほどに、不安になることでもあったのか?
視野狭窄に陥った人間の悪循環を目の当たりにすると、こっちまで自身の考えがあってるか揺らいでくる。
現にミレニア王妃も、混乱し始めているようだし。
「もうよさないか、みっともない。部屋の外まで声が聞こえているぞ」
「貴方も、なんとか言ってください」
あっ、陛下が部屋に飛び込んで来た。
どうやら、外に丸聞こえだったらしい。
どこからかな?
私とのやり取りより、後なら良いな。
できれば、ミレニア王妃の下りくらいからが理想。
「こんなところで、王子の評判を落とすようなことを大声で喚くようなことではない」
「今は、そんなことを言ってる場合ですか」
「落ち着け! 母子揃って話がおかしな方向に向かってる。少し、お互いに距離を取って頭を冷やせ。ほら、お前も自分の部屋に行け」
おお、流石陛下。
上手い事、まとまりそうだ。
陛下がダリウスに、自分の部屋に戻るように命令する。
「嫌です!」
なんでやねん!
そこは、素直に引き下がりなさいよ。
「……父は、部屋に行けと言ったぞ」
「何故ですか?」
「三度は言わん……」
結局陛下に睨まれたダリウスは、何度も振り返りながら部屋から出ていったけど。
そして、その後の話し合い。
結論から……私がダリウスと距離を詰めて、私が何を嫌がって何を喜ぶかを教えてやって欲しいと頼まれた。
独りよがりな考えを、正すためにと……
ミレニア王妃、絶対に私のせいでダリウスが馬鹿になったと思ってるよね?
だからって、親が匙投げて婚約者に押し付けるってどうなのさ?
しかも12歳の少女に。
***
「はぁ……」
溜息を吐いて、重い足取りで階段を上がる。
廊下でにやにやしているロータス先輩とすれ違った。
すれ違いざまに、腹に一発入れたくなってしまったけど我慢。
周りの目があるし。
無かったら、本当にやってたかもしれない。
「大変ですね」
うん……本当にやってただろう。
すれ違いざまに、面白がった様子でそんなことを呟くロータス先輩を睨みつける。
気が重い。
強制的に、ダリウスと下校とか。
本人が、嬉しそうなのが余計に腹立つ。
なぜ、こんなにも好かれてしまったのか……
「久しぶりに、一緒に帰れるな」
どうしてやろう、この脳みそお花畑王子様……
授業の後、教室を出て上の階に向かおうとしたらカーラに呼び止められた。
本当は、こっそり行きたかったのに。
「ダリウスを迎えに行くだけだよ」
「あら、まぁ! 今日は、お二人で帰られるのですか?」
私の言葉に、カーラが花開いたような笑顔を見せる。
そんな、ロマンチックなものじゃない。
だから、別にみんなと一緒でも良いか。
「いや、とりあえず迎えに行くだけ。カーラもついて来る?」
「いえ、お二人の邪魔をしてはいけませんので、私は今日はレイチェル嬢たちと帰りますわ。全員、きっちり揃えて連れて帰りますのでご心配なさらずに」
なんの、心配だよ。
そこ、強調しなくてもいいから。
本当に、しょうもない理由なんだから。
むしろ、全員で取り囲んで帰りたいくらいだよ。
「勿論、ジェイやジェーンの様子も見にいきますし、二人も一緒に連れて帰りますから」
「気を遣わせてごめんね。いや、ほんと」
余計な気遣いだけどね。
気が重くなる。
「しっかりと、仲直りしてくださいね」
「ん? 仲直り?」
仲直りとは、なんぞや?
別に、私とダリウスは喧嘩なんかしてないけど?
「どういうこと?」
「えっ? 殿下の両方の頬が腫れていたの、エルザ様がやったんじゃないのですか?」
「あっ、いや……まあ、右はね」
「右は? では、左は?」
「ミレニア王妃殿下だけど?」
ああ……その件ね。
いや、それは確かにそうだったんだけどさ……
そうなのだ。
あのあと、私は王城に乗り込んでダリウスに詰め寄った。
***
私の友人を使ってまで、あんなくだらない茶番を見せてきたのは何のつもりだと!
ただでさえ学校で微妙な立場のレイチェルを、さらに追い込むとは!
レオハートを敵に回す気かと!
気が付けば、王城でダリウスの襟首を掴んで文句を言っていた。
「わっ、私は……その方に、何かある前にどうにかしたかったのだ!」
と真剣な目で見てきたので、盛大に溜息を吐いてジトっとした視線を向けてやった。
かなりたじろいでいたけど、それでも必死に何やら言い募っていた。
呆れて何も言えなくなるかと思ったら、マシンガンのように勝手に言葉が出たわ。
「王族ともあろう方が、おとり捜査まがいのマッチポンプに手を染めるなんて……自身に威厳がないと、自己紹介されているようなものですよ」
「そっ、そんなこと……」
「父君であられる陛下を見習いなさい。行き過ぎた行為があっても静観をしつつ、その裏で証拠を集めて色々と手を回しているのを知らないと?」
「そうなのか?」
知らなかったのか……
いや、これ……陛下も悪くないか?
国として身分至上主義派にどう対処するかを、息子と共有していなかったのか。
その最たるものが、私という婚約者なのに。
スペアステージアが簒奪を目論んでいることなんて、王家ではとっくにお見通しに決まってるだろう。
でなければ先代陛下が弟である祖父をレオハートに婿入りさせたりなんかしないし、その孫を王太子の婚約者にしようなどと考えないだろう。
レオハートとのパイプを強くすることで、西側の勢力をまとめようとしているのだ。
二代に渡って準備をしているなら、次代のダリウスにもしっかりと引き継いでおいてもらいたかった。
だからこそシャルルや、胡散臭いロータス先輩を殿下の近くに付けたりしたのに。
周りの人間を上手く使ったつもりかもしれないが、まったく生かし切れていない。
そのうえ、そこにあまり影響力のない令嬢を不必要に危険に巻き込むなんて。
「痛いではないか!」
「反省する前に、現状を理解しなさい!」
レイチェルの顔を思い浮かべた瞬間に、ダリウスの右頬をひっぱたいていた。
軽くたたいたつもりだったけど、かなりのダメージを負っているのが笑える。
王族なんてのはあるだけで、伯爵家以下の貴族を抑えられるのに。
わざわざ自分で揉め事の種を用意して、それを他人に撒かせて素知らぬ顔で刈り取ろうとするとか。
「恥を知りなさい!」
「それは、あんまりではないか! 私なりに一生懸命にエルザのことを考えて、どうすれば手助けできるか「私だけじゃなくて、私の周囲にも気を配りなさいって言ってるんですよ! 私の友達を巻き込むことが、なんで私の手助けになるんですか? これで、レイチェルが逆恨みされて直接危害を受けたら、相手の命の保証はしませんよ?」」
私の言葉に、ダリウスが項垂れた。
少しだけ納得いってなさそうだけど。
そういうのには、敏感なんだよ私は。
気配探知を極めると、そういった感情の機微も微妙に伝わってくるんだ。
敢えて無視することが多いけど、今回は看過できない。
ここで徹底的に絞めておかないと、こいつはまたやらかす。
「レイチェル嬢なら大丈夫だと思ったんだ……1年で、エルザの次に強いし」
「馬鹿ですか? レベルや剣の腕はそうかもしれませんが、内面は私と違ってお嬢様なんですよ?」
「えっ?」
「えっ、じゃねーよ! 普通に考えたら、分かるでしょうが!」
「うっ! 二度もぶつことはないだろう!」
「私の友達を、侮辱するからですよ!」
今回は割と強めにいったから、ダリウスが倒れこんでこっちを睨んで来た。
今のも、ダリウスが悪いと思うのは私だけだろうか?
私の考えがおかしいのだろうか?
「話は全て聞かせてもらいましたよ」
そんなやり取りをしたあと、どう言い聞かせたものかと硬直状態に陥った。
その瞬間を見計らうように、ミレニア王妃が入室してきたけど……
ミレニア殿下……息子さんと同じような言葉を言うのですね。
親子で流行ってるんですか? それ……
「本当に、うちのバカ息子が情けない」
「は……母上?」
「なんで、あんたはこんなに怒られているのに、ごめんなさいが言えないのですか! 悪いと思ってないのですか?」
「私はエルザのためにと思ってやったのです。それは悪い事なのでしょうか」
あっ……
こいつ、本当に駄目だ。
私のためという言葉に全てが集約されてる。
どんな手段を取ろうが、私のためになれば私が喜ぶとでも?
ミレニア殿下が登場して早々にフリーズしてしまった。
「この馬鹿息子がぁっ!」
「痛いです」
あっ、右頬を殴ろうとして止めたから、てっきり親心か何かかと思ったけど。
左頬を思いっきり、グーでぶん殴っていた。
右の頬がすでに腫れていたから、反対にしただけか。
厳しい、お母様だ。
「本当に情けない! なんで、普段は賢くて冷静で聡明なあなたが、エルザ嬢が絡むとおバカで間抜けになるのですか」
おおう……親ばか乙。
あと、流れ弾がこっちに凄い勢いで、飛んできたんだけど?
それだと、私のせいでダリウスがおバカになったみたいじゃないですか。
「エルザを侮辱するのですか?」
「そうじゃない! こんな簡単なことも分からないなんて……エルザ嬢を侮辱してるのではなく、貴方を叱っているのですよ!」
そうだったの?
いや、なんか……私のでせいでダリウスがおバカになったって意味合いのことを……というか、ほぼストレートにそう言ったよね?
というか、ここでそういう返答をするあたり、本当にダリウスがおバカになっている。
普段は、こんなこと全然ないのに。
「私の何が悪かったのでしょうか……」
「それが自分で分からないから、母は貴方を情けないと思ってるのです!」
もうだめだ、この子……何が彼を焦らせたのかが分からないけど。
周りが見えなくなるほどに、不安になることでもあったのか?
視野狭窄に陥った人間の悪循環を目の当たりにすると、こっちまで自身の考えがあってるか揺らいでくる。
現にミレニア王妃も、混乱し始めているようだし。
「もうよさないか、みっともない。部屋の外まで声が聞こえているぞ」
「貴方も、なんとか言ってください」
あっ、陛下が部屋に飛び込んで来た。
どうやら、外に丸聞こえだったらしい。
どこからかな?
私とのやり取りより、後なら良いな。
できれば、ミレニア王妃の下りくらいからが理想。
「こんなところで、王子の評判を落とすようなことを大声で喚くようなことではない」
「今は、そんなことを言ってる場合ですか」
「落ち着け! 母子揃って話がおかしな方向に向かってる。少し、お互いに距離を取って頭を冷やせ。ほら、お前も自分の部屋に行け」
おお、流石陛下。
上手い事、まとまりそうだ。
陛下がダリウスに、自分の部屋に戻るように命令する。
「嫌です!」
なんでやねん!
そこは、素直に引き下がりなさいよ。
「……父は、部屋に行けと言ったぞ」
「何故ですか?」
「三度は言わん……」
結局陛下に睨まれたダリウスは、何度も振り返りながら部屋から出ていったけど。
そして、その後の話し合い。
結論から……私がダリウスと距離を詰めて、私が何を嫌がって何を喜ぶかを教えてやって欲しいと頼まれた。
独りよがりな考えを、正すためにと……
ミレニア王妃、絶対に私のせいでダリウスが馬鹿になったと思ってるよね?
だからって、親が匙投げて婚約者に押し付けるってどうなのさ?
しかも12歳の少女に。
***
「はぁ……」
溜息を吐いて、重い足取りで階段を上がる。
廊下でにやにやしているロータス先輩とすれ違った。
すれ違いざまに、腹に一発入れたくなってしまったけど我慢。
周りの目があるし。
無かったら、本当にやってたかもしれない。
「大変ですね」
うん……本当にやってただろう。
すれ違いざまに、面白がった様子でそんなことを呟くロータス先輩を睨みつける。
気が重い。
強制的に、ダリウスと下校とか。
本人が、嬉しそうなのが余計に腹立つ。
なぜ、こんなにも好かれてしまったのか……
「久しぶりに、一緒に帰れるな」
どうしてやろう、この脳みそお花畑王子様……
372
お気に入りに追加
2,380
あなたにおすすめの小説
【書籍化進行中】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
恋愛
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
前世の記憶がうっすら残る私が転生したのは、貧乏伯爵家の長女。父親に頼まれ、公爵家の圧力と財力に負けた我が家は私を売った。
悲壮感漂う状況のようだが、契約婚は悪くない。実家の借金を返し、可愛い継子を愛でながら、旦那様は元気で留守が最高! と日常を謳歌する。旦那様に放置された妻ですが、息子や使用人と快適ライフを追求する。
逞しく生きる私に、旦那様が距離を詰めてきて? 本気の恋愛や溺愛はお断りです!!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2024/09/07……カクヨム、恋愛週間 4位
2024/09/02……小説家になろう、総合連載 2位
2024/09/02……小説家になろう、週間恋愛 2位
2024/08/28……小説家になろう、日間恋愛連載 1位
2024/08/24……アルファポリス 女性向けHOT 8位
2024/08/16……エブリスタ 恋愛ファンタジー 1位
2024/08/14……連載開始
深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
婚約破棄にも寝過ごした
シアノ
恋愛
悪役令嬢なんて面倒くさい。
とにかくひたすら寝ていたい。
三度の飯より睡眠が好きな私、エルミーヌ・バタンテールはある朝不意に、この世界が前世にあったドキラブ夢なんちゃらという乙女ゲームによく似ているなーと気が付いたのだった。
そして私は、悪役令嬢と呼ばれるライバルポジションで、最終的に断罪されて塔に幽閉されて一生を送ることになるらしい。
それって──最高じゃない?
ひたすら寝て過ごすためなら努力も惜しまない!まずは寝るけど!おやすみなさい!
10/25 続きました。3はライオール視点、4はエルミーヌ視点です。
これで完結となります。ありがとうございました!
悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!
naturalsoft
ファンタジー
『※タイトル変更するかも知れません』
シオン・バーニングハート公爵令嬢は、婚約破棄され辺境へと追放される。
そして失意の中、悲壮感漂う雰囲気で馬車で向かって─
「うふふ、計画通りですわ♪」
いなかった。
これは悪役令嬢として目覚めた転生少女が無駄に能天気で、好きな絵を描いていたら周囲がとんでもない事になっていったファンタジー(コメディ)小説である!
最初は幼少期から始まります。婚約破棄は後からの話になります。
三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~
鳥花風星
恋愛
常に何かを食べていなければ魔力が枯渇してしまい命も危うい令嬢ヴィオラ。小柄でいつも両頬に食べ物を詰めこみモグモグと食べてばかりいるのでついたあだ名が「小リス令嬢」だった。
大食いのせいで三度も婚約破棄されてしまい家族にも疎まれるヴィオラは、ひょんなことからとある騎士に縁談を申し込まれる。
見た目は申し分ないのに全身黒づくめの服装でいつも無表情。手足が長く戦いの際にとても俊敏なことからついたあだ名が「黒豹騎士」だ。
黒豹に睨まれ怯える小リスだったが、どうやら睨まれているわけではないようで…?
対照的な二人が距離を縮めていくハッピーエンドストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる