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第二章:王都学園編~初年度前期~
閑話:2ー8 ポーラ・フォン・ピーキー
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もう!
もう! もう! もう!
家でベッドに飛び込むと、枕をひたすら叩く。
なんなのよ、あいつはもう!
悪役令嬢の分際で、なんであんなに人が集まるのよ!
てか、あの余裕はなんなんだ!
大体こういった物語に転生したら、もっとイージーモードなはずでしょう!
私は転生者なのよ!
それなのに、全然いいことがない。
前世の知識を利用した、内政チートも上手くいかないし。
ミッシェルとかっていう子爵令嬢が、色々とやってるお陰で私の知識で太刀打ちできるようなものはないし。
せいぜいが、領内でペン回しを流行らせたくらい。
一番最初は、インクのついたペンでやって服や顔がインクまみれになったけど。
つい癖で、手紙を書いてる時にペンを回してしまっただけなのに。
そもそも、私が知ってるゲームの世界と全然違うんだけど。
登場人物とか、地名とかはあってるのに。
私は主人公なのよ!
もし、これが転生物の小説の世界なら。
いや、最近は複数の転生者がいるパターンもあるし。
でも、私はそんなに強引なことはしないように、控えめにやってきたのに。
というか、私の知ってる話と違って、ヒロインと成り替わろうにも難しいし。
出会いイベントとかも、ことごとく発生してないし。
そもそも、私には聖属性の適性が無い。
一応、細々とレベル上げだけは頑張ったけど。
そこまで常軌を逸したレベルってわけでもない。
周囲よりは、かなり高い程度。
何故か悪役令嬢と、その取り巻きのレイチェルが異常にレベルが高いけど。
隠し攻略キャラのクリントも、ずば抜けて高いらしい。
どういうことなの。
そもそも、男爵家の令嬢っていう立場も微妙よね。
それも、身分至上主義派に入れないレベルの、下位の男爵家。
のし上がろうにも、私の知識でできることなんてたかが知れてるし。
うーん……料理は得意だけれども、普通に美味しいものも多いんだよね。
そういえば、敵情視察と称してお父様にレオハート領の領都に連れて行ってもらった時は、楽しかったな。
異国情緒あふれる街並みなのに、きちんと道も町も整備されてて歩きやすかったし
衛生環境も抜群に良かった。
それになにより、料理が美味しかった。
うん、私程度の家庭料理の腕前じゃ、どうにもならない。
たまに作ると、お父様が喜んで食べてくれる程度。
家庭環境も普通だ。
お父様が凄く厳しいとか、冷たいってこともない。
お母様が、継母ってこともない。
普通の仲の良い家庭の、普通の子供に転生した。
うーん……特徴がないなぁ。
せめて、チートの一つか二つでもあればいいのに。
そういえば、異世界翻訳のスキルというか特典は、凄く役に立った。
主に、言語系の授業で。
でも、理科とか地理とかはさっぱりだったなぁ。
王都であった学生関係の舞踏会では、ものの見事に玉砕してしまった。
攻略対象の中では、一番安パイのダリウスに近づこうと思ったけど。
思いのほか、悪役令嬢のエルザとの仲が良すぎる。
っていうかゲームの世界と違って、そんなに性格悪くないんだよね……彼女。
この辺りも、私の知識が役に立たない理由の一つだ。
いや、ごめん……言い過ぎた。
性格が悪くないどころか、かなり良い。
常に余裕がある感じも、かっこいい。
あの容姿と合わさって、凄く大人びて見える。
そもそもが、別にヒロインになり替わって、有能な男性と結ばれようなんてことは考えてなかった。
むしろ王妃になる可能性が高い、ヒロインのソフィアに近づいて仲良くしようとすら思ってたのに。
それで王妃付きの侍女になって、そのまま王宮で中の上くらいの男性と結ばれればいいかな程度に考えていたのに。
しかし、そのヒロインが悪役令嬢やその取り巻き、元々味方になる予定の人物たちに囲まれているのを見てこれも難しくなった。
じゃあと思って、攻略対象を探したけれども……
いや、分かるけどさ。
確かに現実的に考えたら、分かるけどさ。
……髪の色が、ありきたり過ぎて見つからないんだよ!
すぐには。
ゲームだと、主要なキャラは特徴的な髪形や髪の色をしていたから。
緑とか、青とか、赤とか……
それ以外は、茶や金髪。
でも、特殊な色は主要キャラだけだったから、すぐに分かるはずだった。
遠目で見ても分かるだろうから、こちらから見つけやすく偶然を装って何度も会うのも簡単かなと。
でも、基本この国だと茶色い髪が多い。
金髪や、赤茶……いわゆる赤毛も少なくない。
珍しいところで、濃紺や黒くらいかな?
珍しいだけで、いるところにはいる。
そして、主要キャラも例にもらさず、この普通の髪色のどれかなのだ。
分かるか!
現実的に、パッと見で集団の中から攻略対象をすぐに見つけられないのだ。
似たような、髪型も多いし。
ただヒロインだけが、原作通りの白髪だ。
そして、ヒロインの染髪イベント。
攻略対象の前で、色々な色を試して見せるイベントがあるのだ。
その時に選んだ色で、相手の好感度が上がる。
ダリウスの場合は、青色だったから……私も青くして、舞踏会に行ったよ。
ダンスイベント。
長期休暇に入って、ここで染めた色でダンスの相手が変わるイベント。
いや、ドレスも送られてこなければ、迎えの馬車も来なかったけどね。
当然だ。
だって、ダリウスと会ったのは、王城でのパーティでお父さんに連れられて挨拶したときだけだからね。
でも、何かしら反応があるかなと期待して行った。
見事に無反応だったよ。
ちくせう!
だから、強引に声を掛けてアピールしてみた。
「最初も最後も、婚約者であるエルザ嬢としか踊るつもりはないから。ごめんね」
と言われて、横を素通りされてしまった。
こうなると、もう意地だ。
意地でも、ダリウスと踊ってやるという思いが沸々と湧き上がってきた。
攻略対象の誰もが、そこそこ裕福だし見た目も良いからね。
誰でもいいから、相手になってくれないかなと思ってた。
思ってたけど、せっかくダリウス色の髪に染めてやったというのに、この対応。
この染髪に、小遣い二か月分使ったというのに!
闘争心に火が点いた私は最初のダンスこそは悪役令嬢に譲ったけど、次こそはとまた声を掛けた。
正直、こいつと踊ってやるというのが目的になっていて、周りが見えていなかったのもある。
楽しそうに悪役令嬢と話していたダリウスが、私が声を掛けたとたんに眉間に皺を寄せて面倒くさそうにあしらってきた。
はいキタこれ、カッチーン!
めちゃくちゃ、食い下がった。
何がなんでも、踊ってやると。
言質を取ってやると。
気が付けば、敵に囲まれていた。
でも素直じゃない私は、ここぞとばかりにエルザ下げ自分上げを……直接的な言葉でやった。
やってやった。
回りくどい、マッチポンプ的な感じじゃなく。
ダイレクトに、私の方が綺麗だと言ってやった。
いや、前世日本人の私からしたら、外人の子供なんてみんな可愛いからね。
あの、ゲームの世界では目つきの悪い白豚のレイチェルですら、ぷっくらとしたお人形さんみたいで可愛かった。
ドギツイ感じの睨みと口の強いカーラですら、凄く可愛い。
でも、私も十分可愛い。
というか、皆可愛いから……私の中の価値観が崩壊していたというか。
綺麗の基準とかが、わやわやになってたわけで。
たぶん、転生物の主人公補正とかの関係で、私ってもしかしてこの国基準でトップクラスに可愛いのではなかろうかと自惚れていた。
親も、私のことを世界一可愛いと言ってたし。
執事のオーバーンも、従者の皆も、侍女たちですらお姫様みたいですって言ってたから。
そうなんだと思ってた。
なんか、微妙な反応だった。
いや、真っ向から否定してくれてもいいんだよ?
私も、この世界の美醜の感覚の再認識が出来たから。
でも、なんていうか周りの反応がさ……確かに綺麗ではあるんだけれども、言うほどか? みたいな?
少なくとも、エルザほどではないというのがよく分かったよ。
分かったからさ、もうちょっとちゃんとした反応というか、反論しろください。
凄く、気を遣われてる感じが、心に痛いです。
臨戦態勢だったカーラが、戦意を喪失するレベルで白けるとか……
はは、笑うなら笑えよ。
この道化を!
と、さらに言葉を重ねた結果、余計に傷つくだけだった。
見かねたエルザに、気を遣われるというか……違う意味で、素直に可愛いと思われた感じが居た堪れなくて……逃げ出してしまった。
てか、カーラとか、セリフなんて「何様?」「エルザ様に逆らうの?」「身の程を知りなさい!」「この下級民が!」「エルザ様の言う通りですわ」の6パターンしかない、特徴のないキャラだったはずなのに。
いや、実際問題これしか喋らない人っていないわけで。
やっぱり、ゲームと現実は違うよね。
というか、もはやこれは夢じゃないかな?
ゲームの世界なのに、展開が全然違う。
キャラが自身で考えてリアルな反応と動きをするから、そりゃ齟齬もあるわな。
NPCのいない、乙女ゲーなんてこんなもんさ。
攻略法なんてないんだよ。
レイチェルも実行犯を常にやらされて、最後は切り捨てられて断罪されてボロボロになるのに。
滅茶苦茶、エルザに溺愛されているっぽいし。
彼女なんて「オーホッホッホ!」と「ざまあみなさい」の2パターンが、セリフの殆どだった。
長台詞なんて、一度もないキャラだ。
最後に「エルザさまー!」と叫んで、連行されて退場したくらいかな?
実物は凄くシャイな感じが、私から見ても可愛い。
そして、頬っぺた触りたい。
……とりあえず、後期の学校どうしよう。
よくよく考えたら封建社会のトップのご子息と次点の家格のご令嬢に、ご迷惑を掛けまくったわけだ。
現代社会でも、皇太子と財閥のご令嬢に喧嘩を売ったら……恐ろしくて、想像したくない。
新学期、間違いなくはぶられそうだ。
下手したら、ヒロインポジションいけちゃうかもしれない。
いじめパートのみの……
あぁぁぁぁ、短気は損気とはよくいったものね。
今更ながら、後悔しまくってるわよ。
もう! もう! もう!
家でベッドに飛び込むと、枕をひたすら叩く。
なんなのよ、あいつはもう!
悪役令嬢の分際で、なんであんなに人が集まるのよ!
てか、あの余裕はなんなんだ!
大体こういった物語に転生したら、もっとイージーモードなはずでしょう!
私は転生者なのよ!
それなのに、全然いいことがない。
前世の知識を利用した、内政チートも上手くいかないし。
ミッシェルとかっていう子爵令嬢が、色々とやってるお陰で私の知識で太刀打ちできるようなものはないし。
せいぜいが、領内でペン回しを流行らせたくらい。
一番最初は、インクのついたペンでやって服や顔がインクまみれになったけど。
つい癖で、手紙を書いてる時にペンを回してしまっただけなのに。
そもそも、私が知ってるゲームの世界と全然違うんだけど。
登場人物とか、地名とかはあってるのに。
私は主人公なのよ!
もし、これが転生物の小説の世界なら。
いや、最近は複数の転生者がいるパターンもあるし。
でも、私はそんなに強引なことはしないように、控えめにやってきたのに。
というか、私の知ってる話と違って、ヒロインと成り替わろうにも難しいし。
出会いイベントとかも、ことごとく発生してないし。
そもそも、私には聖属性の適性が無い。
一応、細々とレベル上げだけは頑張ったけど。
そこまで常軌を逸したレベルってわけでもない。
周囲よりは、かなり高い程度。
何故か悪役令嬢と、その取り巻きのレイチェルが異常にレベルが高いけど。
隠し攻略キャラのクリントも、ずば抜けて高いらしい。
どういうことなの。
そもそも、男爵家の令嬢っていう立場も微妙よね。
それも、身分至上主義派に入れないレベルの、下位の男爵家。
のし上がろうにも、私の知識でできることなんてたかが知れてるし。
うーん……料理は得意だけれども、普通に美味しいものも多いんだよね。
そういえば、敵情視察と称してお父様にレオハート領の領都に連れて行ってもらった時は、楽しかったな。
異国情緒あふれる街並みなのに、きちんと道も町も整備されてて歩きやすかったし
衛生環境も抜群に良かった。
それになにより、料理が美味しかった。
うん、私程度の家庭料理の腕前じゃ、どうにもならない。
たまに作ると、お父様が喜んで食べてくれる程度。
家庭環境も普通だ。
お父様が凄く厳しいとか、冷たいってこともない。
お母様が、継母ってこともない。
普通の仲の良い家庭の、普通の子供に転生した。
うーん……特徴がないなぁ。
せめて、チートの一つか二つでもあればいいのに。
そういえば、異世界翻訳のスキルというか特典は、凄く役に立った。
主に、言語系の授業で。
でも、理科とか地理とかはさっぱりだったなぁ。
王都であった学生関係の舞踏会では、ものの見事に玉砕してしまった。
攻略対象の中では、一番安パイのダリウスに近づこうと思ったけど。
思いのほか、悪役令嬢のエルザとの仲が良すぎる。
っていうかゲームの世界と違って、そんなに性格悪くないんだよね……彼女。
この辺りも、私の知識が役に立たない理由の一つだ。
いや、ごめん……言い過ぎた。
性格が悪くないどころか、かなり良い。
常に余裕がある感じも、かっこいい。
あの容姿と合わさって、凄く大人びて見える。
そもそもが、別にヒロインになり替わって、有能な男性と結ばれようなんてことは考えてなかった。
むしろ王妃になる可能性が高い、ヒロインのソフィアに近づいて仲良くしようとすら思ってたのに。
それで王妃付きの侍女になって、そのまま王宮で中の上くらいの男性と結ばれればいいかな程度に考えていたのに。
しかし、そのヒロインが悪役令嬢やその取り巻き、元々味方になる予定の人物たちに囲まれているのを見てこれも難しくなった。
じゃあと思って、攻略対象を探したけれども……
いや、分かるけどさ。
確かに現実的に考えたら、分かるけどさ。
……髪の色が、ありきたり過ぎて見つからないんだよ!
すぐには。
ゲームだと、主要なキャラは特徴的な髪形や髪の色をしていたから。
緑とか、青とか、赤とか……
それ以外は、茶や金髪。
でも、特殊な色は主要キャラだけだったから、すぐに分かるはずだった。
遠目で見ても分かるだろうから、こちらから見つけやすく偶然を装って何度も会うのも簡単かなと。
でも、基本この国だと茶色い髪が多い。
金髪や、赤茶……いわゆる赤毛も少なくない。
珍しいところで、濃紺や黒くらいかな?
珍しいだけで、いるところにはいる。
そして、主要キャラも例にもらさず、この普通の髪色のどれかなのだ。
分かるか!
現実的に、パッと見で集団の中から攻略対象をすぐに見つけられないのだ。
似たような、髪型も多いし。
ただヒロインだけが、原作通りの白髪だ。
そして、ヒロインの染髪イベント。
攻略対象の前で、色々な色を試して見せるイベントがあるのだ。
その時に選んだ色で、相手の好感度が上がる。
ダリウスの場合は、青色だったから……私も青くして、舞踏会に行ったよ。
ダンスイベント。
長期休暇に入って、ここで染めた色でダンスの相手が変わるイベント。
いや、ドレスも送られてこなければ、迎えの馬車も来なかったけどね。
当然だ。
だって、ダリウスと会ったのは、王城でのパーティでお父さんに連れられて挨拶したときだけだからね。
でも、何かしら反応があるかなと期待して行った。
見事に無反応だったよ。
ちくせう!
だから、強引に声を掛けてアピールしてみた。
「最初も最後も、婚約者であるエルザ嬢としか踊るつもりはないから。ごめんね」
と言われて、横を素通りされてしまった。
こうなると、もう意地だ。
意地でも、ダリウスと踊ってやるという思いが沸々と湧き上がってきた。
攻略対象の誰もが、そこそこ裕福だし見た目も良いからね。
誰でもいいから、相手になってくれないかなと思ってた。
思ってたけど、せっかくダリウス色の髪に染めてやったというのに、この対応。
この染髪に、小遣い二か月分使ったというのに!
闘争心に火が点いた私は最初のダンスこそは悪役令嬢に譲ったけど、次こそはとまた声を掛けた。
正直、こいつと踊ってやるというのが目的になっていて、周りが見えていなかったのもある。
楽しそうに悪役令嬢と話していたダリウスが、私が声を掛けたとたんに眉間に皺を寄せて面倒くさそうにあしらってきた。
はいキタこれ、カッチーン!
めちゃくちゃ、食い下がった。
何がなんでも、踊ってやると。
言質を取ってやると。
気が付けば、敵に囲まれていた。
でも素直じゃない私は、ここぞとばかりにエルザ下げ自分上げを……直接的な言葉でやった。
やってやった。
回りくどい、マッチポンプ的な感じじゃなく。
ダイレクトに、私の方が綺麗だと言ってやった。
いや、前世日本人の私からしたら、外人の子供なんてみんな可愛いからね。
あの、ゲームの世界では目つきの悪い白豚のレイチェルですら、ぷっくらとしたお人形さんみたいで可愛かった。
ドギツイ感じの睨みと口の強いカーラですら、凄く可愛い。
でも、私も十分可愛い。
というか、皆可愛いから……私の中の価値観が崩壊していたというか。
綺麗の基準とかが、わやわやになってたわけで。
たぶん、転生物の主人公補正とかの関係で、私ってもしかしてこの国基準でトップクラスに可愛いのではなかろうかと自惚れていた。
親も、私のことを世界一可愛いと言ってたし。
執事のオーバーンも、従者の皆も、侍女たちですらお姫様みたいですって言ってたから。
そうなんだと思ってた。
なんか、微妙な反応だった。
いや、真っ向から否定してくれてもいいんだよ?
私も、この世界の美醜の感覚の再認識が出来たから。
でも、なんていうか周りの反応がさ……確かに綺麗ではあるんだけれども、言うほどか? みたいな?
少なくとも、エルザほどではないというのがよく分かったよ。
分かったからさ、もうちょっとちゃんとした反応というか、反論しろください。
凄く、気を遣われてる感じが、心に痛いです。
臨戦態勢だったカーラが、戦意を喪失するレベルで白けるとか……
はは、笑うなら笑えよ。
この道化を!
と、さらに言葉を重ねた結果、余計に傷つくだけだった。
見かねたエルザに、気を遣われるというか……違う意味で、素直に可愛いと思われた感じが居た堪れなくて……逃げ出してしまった。
てか、カーラとか、セリフなんて「何様?」「エルザ様に逆らうの?」「身の程を知りなさい!」「この下級民が!」「エルザ様の言う通りですわ」の6パターンしかない、特徴のないキャラだったはずなのに。
いや、実際問題これしか喋らない人っていないわけで。
やっぱり、ゲームと現実は違うよね。
というか、もはやこれは夢じゃないかな?
ゲームの世界なのに、展開が全然違う。
キャラが自身で考えてリアルな反応と動きをするから、そりゃ齟齬もあるわな。
NPCのいない、乙女ゲーなんてこんなもんさ。
攻略法なんてないんだよ。
レイチェルも実行犯を常にやらされて、最後は切り捨てられて断罪されてボロボロになるのに。
滅茶苦茶、エルザに溺愛されているっぽいし。
彼女なんて「オーホッホッホ!」と「ざまあみなさい」の2パターンが、セリフの殆どだった。
長台詞なんて、一度もないキャラだ。
最後に「エルザさまー!」と叫んで、連行されて退場したくらいかな?
実物は凄くシャイな感じが、私から見ても可愛い。
そして、頬っぺた触りたい。
……とりあえず、後期の学校どうしよう。
よくよく考えたら封建社会のトップのご子息と次点の家格のご令嬢に、ご迷惑を掛けまくったわけだ。
現代社会でも、皇太子と財閥のご令嬢に喧嘩を売ったら……恐ろしくて、想像したくない。
新学期、間違いなくはぶられそうだ。
下手したら、ヒロインポジションいけちゃうかもしれない。
いじめパートのみの……
あぁぁぁぁ、短気は損気とはよくいったものね。
今更ながら、後悔しまくってるわよ。
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