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第二章:王都学園編~初年度前期~
第27話:長期休み突入
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補習も無事全員が、一週間で終えることが出来た。
おかげで、とても清々しい気持ちで朝を迎えられた。
ああ、全員と言うのは私の周りの話ね。
二週目に突入した子たちも当然いる。
この程度の授業で躓いていたら、先が思いやられるよ。
「お嬢様、お目覚めですか?」
「うーん……もう少し、寝かせて」
私が起きた気配を感じたのか、侍女が声を掛けてきた。
適当に返事をして、頭から布団をかぶる。
やっぱり、休みの日は二度寝に限るよね。
清々しい気持ちで朝を迎えて、学校に行かなくていいんだとまた惰眠を貪る。
学生の特権だよ。
当然付き合いの長いハルナは、このタイミングでは起こしにこなかったようだ。
かといってまだ寝てるとも思えないから、何か仕事でもしてるんだと思う。
そういうことにしておこう。
目覚ましを気にせずに、二度寝をする。
至高の瞬間だ。
それから2時間程、追加の睡眠を取って本格的に起きる。
うん、寝過ぎで少し頭と身体がだるい。
【リフレッシュ】の魔法を自分に掛けてから、気合を入れて起き上がる。
「今度こそ、お目覚めですね」
「うん……もう少し寝ようか、考えてるところ」
声を掛けてきたのはハルナだった。
相変わらず私の行動は、お見通しのようだ。
「いい加減、起きてください」
「分かったよ。私も、そのつもりだったんだけどね……寝られると思うと、つい」
ちなみに学校を気にせずに寝られるのは嬉しいことだけど、別に王都の学園に通うことは苦じゃない。
授業も楽しく受けられているし、学食も楽しい。
友達もいるから、休憩時間も退屈しない。
使用人がいない分、家よりは気楽に過ごせる。
とはいえ、いつまでもダラダラとしていてもしょうがないか。
「ちょっと遅いけど、早朝訓練してくるね」
「もう、昼前ですよ。朝食はどうされるのですか?」
「運動の後に、昼食と兼ねて食べるから厨房にはそう伝えておいて」
それから庭で素振りと、形稽古。
クリントはすでに早朝訓練をお兄さまと行って、外に出かけているらしい。
昼前には帰る予定とのことだ。
兄ではあるけれども、護衛の役割も兼ねて王都に来ているからね。
流石に、行動はなるべく共にするつもりらしい。
しかし、お兄さまと訓練は少し羨ましい。
私も、早起きするべきだったかな?
いや……寝てる方が、幸せかもしれない。
ちなみに、補習後には理科の先生にあれこれと教えてもらえた。
知っていたつもりでも、魔石について知らないことが意外と多かった。
お互いに。
私の領地でやっている研究の成果を伝えたら、先生も驚いていたし。
互いに得るもののある、有意義な時間だった。
三日間で、色々と使える情報も貰えたし。
やっぱり王都の学園の先生だけあって、優秀だ。
「はあ、疲れ……ては、いないか」
体力お化けだからね。
レベルのお陰で。
魔法で身体を綺麗にしてから、湯あみをする。
髪の毛は……魔法で、乾かせば良いか。
長いから、短く切りたいんだけどね。
周りがそれを許してくれないんだよねぇ。
フローラのことを言えないか。
でも、私は魔法の腕もそこそこ以上あるし。
髪が長くても、戦えるよ?
なんなら髪の毛に強化魔法を掛けて、それを武器にするくらいには魔法は得意だもんね。
「ようやく起きたか、寝坊助さん」
「良いじゃない、たまの休みくらい」
「たまの休みというか、これからしばらく休みだぞ」
食堂に行くと、クリントが先に座って私を待っていてくれた。
テーブルにはすでに食事が用意されていたけれども、彼は手を付けなかったようだ。
こういうところは、律儀だよね。
「一人で食べるよりは、誰かと一緒の方が俺は美味しく感じられると思う」
「そうだね。そういうこともあるよね」
ちなみに私は気にしない。
一人で黙々と食べても美味しいし、皆でワイワイと騒ぎながら食べても美味しい。
気の知れた友人と二人でのんびり食べても美味しい。
とにかく、どんな状況でも美味しく食べる自信はある。
「で、今日からの予定は?」
「とりあえず、今日はレイチェルと会う約束をしてるよ? 昼過ぎにうちに来てもらうように、手紙を送ったから」
「ちゃんと返事は貰えたのか?」
「勿論! ちゃんと、行きますって返事が来たよ」
「昼過ぎか……もう、すぐじゃないか? というか、もう来てもおかしくない時間だけど」
「やばっ、少しのんびりしすぎた」
慌てて食事を口に運ぼうと思ったら、ロンが呼びに来た。
「お嬢様、ご友人の方がお見えですよ」
流石に貴族令嬢だから、家令であるロンが対応してくれたのか。
「まだ、食事を終えてなかったのですね」
「というよりも、始まってもいない。レイチェルがまだ食べられるようだったら、こちらにお通しして。あと、シェフに同じものを用意してもらって」
「はっ、分かりました」
私の言葉を聞いたロンが踵を返して、食堂から出ていくのを見送るとフォークをテーブルに置く。
レイチェルが一緒に食べるなら、もう少し待ってもいいかなって。
「迷惑じゃないか? 流石に食事は済ませてきているだろう」
「彼女なら、もう少し食べられるんじゃないかな?」
「確かに人よりは食べるかもしれないけれども、相手の家はそんなこと百も承知だと思うよ。だから、それなりにしっかりと食べてきているはずじゃないか?」
なるほど。
そうだよね。
彼女の家なら、彼女に見合った量の食事を提供しているはずだ。
ということは、お腹いっぱいでここに来た可能性は否めない。
だったら、デザートを用意してもらった方が良いかな?
「かなり恐縮されておられましたが、ご一緒してくださるようですよ」
うーんと唸りながらどうしようかと考えていたら、ロンが彼女を連れて来てくれた。
どうやらというか、やっぱり食べられるらしい。
消化も速いのかもしれない。
「お邪魔いたします。申し訳ありません、お食事中に」
「いえ、私が起きるのが遅かったのが悪いんだから気にしないで。ほら、そこに掛けて」
「は……はい」
レイチェルが少し緊張した様子でテーブルの方に近づくと、ロンがスッと椅子を引いてあげていた。
流れるような動作で彼女を座らせると、すぐにベルを鳴らして給仕に料理を届けさせていた。
優秀な使用人で、鼻が高いよ。
「何度か会ってるから、クリントは分かるよね」
「ええ、存じております」
ははーん。
どこか余所余所しいと思ったら、クリントが居るからか。
このお邪魔虫め。
でも慣れてもらわないと、こんなことはこれから先しょっちゅうあるからね。
「直接話したことはないけど、この屋敷でも会ってるしね。お嬢がいつも迷惑を掛けて、申し訳ない」
「いえ、お誘い頂いてとても嬉しく思ってます」
おい、クリント。
せめて、世話になってるとか、親しくしてもらってとかにしろ。
迷惑を掛けてることを前提に挨拶するなんて、失礼じゃない?
「で、レイチェル嬢も来られたことだし、さっきの続きだけどこの後の予定は?」
「ん? とりあえず、レイチェルが来てから話しながら考えようと思ってたから。とりあえず、食事しながら何するか考えようよ」
「はい、分かりました」
うーん、堅いなー。
男子の前だと、やっぱり緊張しちゃうか。
「はぁ……何も決めてないのに呼びつけるとか、ホストとしてどうなんだ?」
「本当は食事をしながらじゃなくて、お茶を飲みながら話そうと思ってたの。だから、当初の予定としては……お茶会?」
「疑問形になってる時点で、駄目だろう」
私とクリントがこんな感じて、言い合っていると横からクスクスと笑い声が聞こえてきた。
「本当にお二方は仲の宜しい、ご兄妹なのですね」
「まあ、お互い生まれた時から一緒ですからね。旦那様と奥様が寛容な方で幸運でした」
「旦那様って、いっつもお父様って呼んでたじゃない。最近は父上とかって言うことも増えてきたけど。お母様のことも、エルザのママって小さいときは呼んでたのに」
「いつの話を持ち出して来ているんですか! 第二夫人の息子ではありますが、奥様の侍女の息子ですよ? 外では、流石にそれは不味いでしょう」
「照れちゃって可愛いんだから、もう!」
「はぁ……」
ちょっと、友達の前でくそでか溜息やめろ。
まあ、レイチェルが楽しそうだから別に良いけどね。
とりあえず食事を終えたら、街に買い物にでも出かけようかという話になった。
美味しい物を探しがてら。
「あら?」
「オルガ……」
そして、例のチョコレートのおいてあるお菓子屋さんを覗いたら、見たことのある巻き髪が。
あの日から毎日、何かしらのお菓子を学園に持って来ていた新しい友達。
「補習中もほぼ毎日寄っていたのに、休日初日も来てるなんて」
「本当に気に入ったので、とりあえず全種類制覇するまでは通うつもりですわ」
少し気恥し気に扇子で口元を隠して、オホホと笑う様は本当にお嬢様だ。
いや、本物のお嬢様だけどさ。
しかも、トップの方の。
「そちらの方は、レイチェル嬢ですね。お久しぶりですね」
「オルガ嬢も、お元気そうで何よりです」
そして、レイチェルとも面識があったようだ。
「同じクラスですから」
「あぁ……」
一週間会ってないだけの、お久しぶりに聞こえなかったけど。
一週間ぶりという意味か。
「レイチェル嬢は満点合格でしたからご存知ないでしょうが、私は補習でエルザ様と知り合いましたの」
それから、お互いに近況報告を始めた。
オルガはレイチェルにも忌避感は抱いていないようだ。
本当に、良い子なんだな。
「これからレイチェルと街をブラブラと見て回って、気に入ったお店や気になるお店を覗くんだけどオルガも一緒にどう?」
話がどれくらい続くか分からなかったので、取り合えず割って入ってみた。
オルガがまた扇子で口元を隠しながら、嬉しそうに微笑んで頷いていた。
「ええ、私も話し相手が欲しいと思っていましたの。ぜひ、ご一緒させてくださいな」
友達の友達というか、それぞれが友達だから話がスムーズに進んだ。
これは、良い三角関係だね。
意味合いは違うけど。
おかげで、とても清々しい気持ちで朝を迎えられた。
ああ、全員と言うのは私の周りの話ね。
二週目に突入した子たちも当然いる。
この程度の授業で躓いていたら、先が思いやられるよ。
「お嬢様、お目覚めですか?」
「うーん……もう少し、寝かせて」
私が起きた気配を感じたのか、侍女が声を掛けてきた。
適当に返事をして、頭から布団をかぶる。
やっぱり、休みの日は二度寝に限るよね。
清々しい気持ちで朝を迎えて、学校に行かなくていいんだとまた惰眠を貪る。
学生の特権だよ。
当然付き合いの長いハルナは、このタイミングでは起こしにこなかったようだ。
かといってまだ寝てるとも思えないから、何か仕事でもしてるんだと思う。
そういうことにしておこう。
目覚ましを気にせずに、二度寝をする。
至高の瞬間だ。
それから2時間程、追加の睡眠を取って本格的に起きる。
うん、寝過ぎで少し頭と身体がだるい。
【リフレッシュ】の魔法を自分に掛けてから、気合を入れて起き上がる。
「今度こそ、お目覚めですね」
「うん……もう少し寝ようか、考えてるところ」
声を掛けてきたのはハルナだった。
相変わらず私の行動は、お見通しのようだ。
「いい加減、起きてください」
「分かったよ。私も、そのつもりだったんだけどね……寝られると思うと、つい」
ちなみに学校を気にせずに寝られるのは嬉しいことだけど、別に王都の学園に通うことは苦じゃない。
授業も楽しく受けられているし、学食も楽しい。
友達もいるから、休憩時間も退屈しない。
使用人がいない分、家よりは気楽に過ごせる。
とはいえ、いつまでもダラダラとしていてもしょうがないか。
「ちょっと遅いけど、早朝訓練してくるね」
「もう、昼前ですよ。朝食はどうされるのですか?」
「運動の後に、昼食と兼ねて食べるから厨房にはそう伝えておいて」
それから庭で素振りと、形稽古。
クリントはすでに早朝訓練をお兄さまと行って、外に出かけているらしい。
昼前には帰る予定とのことだ。
兄ではあるけれども、護衛の役割も兼ねて王都に来ているからね。
流石に、行動はなるべく共にするつもりらしい。
しかし、お兄さまと訓練は少し羨ましい。
私も、早起きするべきだったかな?
いや……寝てる方が、幸せかもしれない。
ちなみに、補習後には理科の先生にあれこれと教えてもらえた。
知っていたつもりでも、魔石について知らないことが意外と多かった。
お互いに。
私の領地でやっている研究の成果を伝えたら、先生も驚いていたし。
互いに得るもののある、有意義な時間だった。
三日間で、色々と使える情報も貰えたし。
やっぱり王都の学園の先生だけあって、優秀だ。
「はあ、疲れ……ては、いないか」
体力お化けだからね。
レベルのお陰で。
魔法で身体を綺麗にしてから、湯あみをする。
髪の毛は……魔法で、乾かせば良いか。
長いから、短く切りたいんだけどね。
周りがそれを許してくれないんだよねぇ。
フローラのことを言えないか。
でも、私は魔法の腕もそこそこ以上あるし。
髪が長くても、戦えるよ?
なんなら髪の毛に強化魔法を掛けて、それを武器にするくらいには魔法は得意だもんね。
「ようやく起きたか、寝坊助さん」
「良いじゃない、たまの休みくらい」
「たまの休みというか、これからしばらく休みだぞ」
食堂に行くと、クリントが先に座って私を待っていてくれた。
テーブルにはすでに食事が用意されていたけれども、彼は手を付けなかったようだ。
こういうところは、律儀だよね。
「一人で食べるよりは、誰かと一緒の方が俺は美味しく感じられると思う」
「そうだね。そういうこともあるよね」
ちなみに私は気にしない。
一人で黙々と食べても美味しいし、皆でワイワイと騒ぎながら食べても美味しい。
気の知れた友人と二人でのんびり食べても美味しい。
とにかく、どんな状況でも美味しく食べる自信はある。
「で、今日からの予定は?」
「とりあえず、今日はレイチェルと会う約束をしてるよ? 昼過ぎにうちに来てもらうように、手紙を送ったから」
「ちゃんと返事は貰えたのか?」
「勿論! ちゃんと、行きますって返事が来たよ」
「昼過ぎか……もう、すぐじゃないか? というか、もう来てもおかしくない時間だけど」
「やばっ、少しのんびりしすぎた」
慌てて食事を口に運ぼうと思ったら、ロンが呼びに来た。
「お嬢様、ご友人の方がお見えですよ」
流石に貴族令嬢だから、家令であるロンが対応してくれたのか。
「まだ、食事を終えてなかったのですね」
「というよりも、始まってもいない。レイチェルがまだ食べられるようだったら、こちらにお通しして。あと、シェフに同じものを用意してもらって」
「はっ、分かりました」
私の言葉を聞いたロンが踵を返して、食堂から出ていくのを見送るとフォークをテーブルに置く。
レイチェルが一緒に食べるなら、もう少し待ってもいいかなって。
「迷惑じゃないか? 流石に食事は済ませてきているだろう」
「彼女なら、もう少し食べられるんじゃないかな?」
「確かに人よりは食べるかもしれないけれども、相手の家はそんなこと百も承知だと思うよ。だから、それなりにしっかりと食べてきているはずじゃないか?」
なるほど。
そうだよね。
彼女の家なら、彼女に見合った量の食事を提供しているはずだ。
ということは、お腹いっぱいでここに来た可能性は否めない。
だったら、デザートを用意してもらった方が良いかな?
「かなり恐縮されておられましたが、ご一緒してくださるようですよ」
うーんと唸りながらどうしようかと考えていたら、ロンが彼女を連れて来てくれた。
どうやらというか、やっぱり食べられるらしい。
消化も速いのかもしれない。
「お邪魔いたします。申し訳ありません、お食事中に」
「いえ、私が起きるのが遅かったのが悪いんだから気にしないで。ほら、そこに掛けて」
「は……はい」
レイチェルが少し緊張した様子でテーブルの方に近づくと、ロンがスッと椅子を引いてあげていた。
流れるような動作で彼女を座らせると、すぐにベルを鳴らして給仕に料理を届けさせていた。
優秀な使用人で、鼻が高いよ。
「何度か会ってるから、クリントは分かるよね」
「ええ、存じております」
ははーん。
どこか余所余所しいと思ったら、クリントが居るからか。
このお邪魔虫め。
でも慣れてもらわないと、こんなことはこれから先しょっちゅうあるからね。
「直接話したことはないけど、この屋敷でも会ってるしね。お嬢がいつも迷惑を掛けて、申し訳ない」
「いえ、お誘い頂いてとても嬉しく思ってます」
おい、クリント。
せめて、世話になってるとか、親しくしてもらってとかにしろ。
迷惑を掛けてることを前提に挨拶するなんて、失礼じゃない?
「で、レイチェル嬢も来られたことだし、さっきの続きだけどこの後の予定は?」
「ん? とりあえず、レイチェルが来てから話しながら考えようと思ってたから。とりあえず、食事しながら何するか考えようよ」
「はい、分かりました」
うーん、堅いなー。
男子の前だと、やっぱり緊張しちゃうか。
「はぁ……何も決めてないのに呼びつけるとか、ホストとしてどうなんだ?」
「本当は食事をしながらじゃなくて、お茶を飲みながら話そうと思ってたの。だから、当初の予定としては……お茶会?」
「疑問形になってる時点で、駄目だろう」
私とクリントがこんな感じて、言い合っていると横からクスクスと笑い声が聞こえてきた。
「本当にお二方は仲の宜しい、ご兄妹なのですね」
「まあ、お互い生まれた時から一緒ですからね。旦那様と奥様が寛容な方で幸運でした」
「旦那様って、いっつもお父様って呼んでたじゃない。最近は父上とかって言うことも増えてきたけど。お母様のことも、エルザのママって小さいときは呼んでたのに」
「いつの話を持ち出して来ているんですか! 第二夫人の息子ではありますが、奥様の侍女の息子ですよ? 外では、流石にそれは不味いでしょう」
「照れちゃって可愛いんだから、もう!」
「はぁ……」
ちょっと、友達の前でくそでか溜息やめろ。
まあ、レイチェルが楽しそうだから別に良いけどね。
とりあえず食事を終えたら、街に買い物にでも出かけようかという話になった。
美味しい物を探しがてら。
「あら?」
「オルガ……」
そして、例のチョコレートのおいてあるお菓子屋さんを覗いたら、見たことのある巻き髪が。
あの日から毎日、何かしらのお菓子を学園に持って来ていた新しい友達。
「補習中もほぼ毎日寄っていたのに、休日初日も来てるなんて」
「本当に気に入ったので、とりあえず全種類制覇するまでは通うつもりですわ」
少し気恥し気に扇子で口元を隠して、オホホと笑う様は本当にお嬢様だ。
いや、本物のお嬢様だけどさ。
しかも、トップの方の。
「そちらの方は、レイチェル嬢ですね。お久しぶりですね」
「オルガ嬢も、お元気そうで何よりです」
そして、レイチェルとも面識があったようだ。
「同じクラスですから」
「あぁ……」
一週間会ってないだけの、お久しぶりに聞こえなかったけど。
一週間ぶりという意味か。
「レイチェル嬢は満点合格でしたからご存知ないでしょうが、私は補習でエルザ様と知り合いましたの」
それから、お互いに近況報告を始めた。
オルガはレイチェルにも忌避感は抱いていないようだ。
本当に、良い子なんだな。
「これからレイチェルと街をブラブラと見て回って、気に入ったお店や気になるお店を覗くんだけどオルガも一緒にどう?」
話がどれくらい続くか分からなかったので、取り合えず割って入ってみた。
オルガがまた扇子で口元を隠しながら、嬉しそうに微笑んで頷いていた。
「ええ、私も話し相手が欲しいと思っていましたの。ぜひ、ご一緒させてくださいな」
友達の友達というか、それぞれが友達だから話がスムーズに進んだ。
これは、良い三角関係だね。
意味合いは違うけど。
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