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第二章:王都学園編~初年度前期~
第9話:カーラとレイチェル
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「レイチェル、みーつけたぁ……」
「ひぃっ!」
ひぃって酷いな、ひぃって。
そりゃないよ。
傷つくよ。
後ろから声を掛けたら、レイチェルが思いっきりびっくりして声を上げていた。
周囲の子たちがこっちに注目する。
そして、ひそひそと何やら話している。
本気を出したら、全て聞き分けられるけど。
大した話じゃなさそうだか、そこまで労力を割く気はない。
「それは流石に酷くない?」
「申し訳ありません。ただ、さきほどまで目の前のちょっと先にいたのに、消えたと思った瞬間に後ろから声を掛けられたら、誰だって驚くと思います」
「凄いね、声だけで私って分かったんだ」
普通なら目の前にいた人が後ろから声を掛けてくるわけないから、違う人が声を掛けてきたと思うはずなんだけど。
どうやら、声だけで私だと確信していたらしい。
レイチェルったらなんだかんだ言って、結局のところ私の事好きなんじゃないかな?
「いえ、校内で私に声を掛けてくださる方なんて、数えるほどしかいませんし」
あっ、なんか重い。
でも、数えるほどはいるのか。
「エルザ様以外だと、先生と、先生に私への言付けを頼まれた方くらいですし」
大丈夫。
今のところ私もカーラと、クリントと先生くらいしか……あっ、そういえば殿下やその友達にも声は掛けられるかな?
クラスメイトと全然打ち解けてないけど、恵まれてる方かも?
「そんなことより、一緒にごはん食べよ」
「そんなこと? いえ、私なんかと一緒にいたら、エルザ様の評判に関わります」
それこそ、そんなことだね。
私の評判?
そんなもの、私自身が知っていればいいだけだし。
犬にでも食わせておけばいいと思うよ。
「それこそ、レイチェルが気にすることじゃないよ。他人が私をどう思おうが関係ないし」
「関係ない事はないです」
「いいからいいから! あそこ空いてるから、あそこに座ろう」
困惑するレイチェルの背中を押しながら、空いている席へと向かう。
周囲からのひそひそ話に、彼女が恐縮するように小さくなっている。
うーん、あまり良くないな。
周囲を見渡す。
皆が目を反らす中で、一人だけこっちを睨んでいたため反応が遅れた男の子がいた。
うん、彼には悪いけど人身御供になってもらおう。
「そこの貴方」
「えっ?」
そっちを睨み返して声を掛けながら近づくと、明らかに狼狽し始める。
周囲の人が距離を取るのが、少しイラつかせる。
「何か言いたいことがあるなら、はっきりとおっしゃってはいかが?」
「いえ、別に」
別にってなんだ、別にって。
「別に?」
「何もありません」
少し声を低くすると、今度は面倒くさそうに答えてくれた。
うん、ありがたい。
こんな感じで対応されると、こっちも遠慮なく文句が言える。
「こちらを睨んでいたでしょう? 私に文句があるなら、堂々と言いなさい! 陰でコソコソなんて、みっともないですよ」
「失礼ですが、勘違いでは?」
「勘違いねぇ……はっきりと、私を睨むあなたと目があったのですが?」
なにガンくれてんだオラァって、私はヤンキーか。
まあ、事実だから仕方ない。
言いがかりではない。
「それにそのように遠慮のある態度を取られるということは、私が誰か分かっているのですよね」
「それは、当然です。それと睨んだわけではなく、将来王妃殿下となられるエルザ様をしっかり見ようと、つい目を細めてしまったのでそのように見えてしまったのかと」
よく口が回る男の子だった。
うん、人選を間違えた。
この子は、ボロを出しそうにない。
「こっちを見ながらひそひそと話をされるのは、気分が良いものではないですよ。お気を付けなさい」
「はい、失礼いたしました」
こっちを見ていたという言質だけだと、これが精いっぱいかな。
しっかりと謝ってもらえたから、これでいい。
言っていた内容もある程度は言い当てられるけど、それだとレイチェルに対して言ったことを彼女の前で暴露することになる。
それはちょっと……
仕方ない、この辺りで勘弁してやるか。
「なんであの豚が、エルザ様と一緒に……」
あぁん?
男の子を解放して、レイチェルの元に向かったら後ろからそんな声が聞こえてきた。
思わず振り返って声のした方を睨みつける。
物凄く可愛い子だった。
なんか、ショックだ。
そして、私と目があったその子は慌てて顔を背けていた。
くっ、可愛らしい子だけど仕方ない。
これは周囲にも聞こえていたはずだし!
と思ったら、腕を掴まれた。
「エルザ様、行きましょう! 早くしないと席を取られますよ」
レイチェルが必死に私の腕を取って、先に向かう様に懇願してきた。
そんなに私と一緒に、ごはんが食べたいのか。
だったら仕方ないなぁ。
本当ならここで、舌打ちの一つでもするべきなんだろうけど。
流石に、それはご令嬢がやることじゃないというのは分かる。
いそいそと歩き出したレイチェルを追って、空いている席へと向かった。
「レイチェルも気紛れメニューなんだ」
「はい」
レイチェルの前には気紛れメニューと日替わりの肉のランチが置かれていた。
やはり、よく食べる。
「はしたないですよね」
「ううん、そんなことないよ。しっかりと食べて、よく寝る子は立派に育つっていうし」
「育ってほしくないところも育ってますけどね」
私の言葉に、レイチェルがお腹を見て少し悲しそうにしている。
そのお腹に顔を埋めてみたいと思っている私としては、気にしないようにしてほしい。
「それにしても、エルザ様はお姉さまと同じようなことをおっしゃるのですね」
「そうなの?」
少し重くなった空気を取り払う様に、レイチェルが笑顔でそんなことを言い出した。
思わず、首を傾げる。
「お姉さまも成長期の間はしっかりと食べるようにと。コルセットも使わなくて良いって。しっかりとした身体を作ってから、体重管理は行いなさいって」
「それで?」
「太り過ぎは良くないけど、お肉の元をたくさん取りながら運動をすれば大丈夫って」
「ああ、鍛えて筋肉をつけることを優先してるってことね」
なんだろう……お姉さんはジムトレーナーか何かだろうか?
「そうです! で、無駄なお肉の下に必要な肉がしっかりとついたら、背が伸びるにつれて細くなるはずだって」
食事量を今のままで、基礎代謝を上げる方針か。
確かに身長が伸びれば、その分スタイルもよくなるだろうし。
へぇ……って、そうじゃない。
そういった話も大事だけど、まずはレイチェルを遊びに誘うのと何の選択科目を取るのかと、それからソフィアのことを聞かないと。
「それで、レイチェル「失礼します」」
早速話題を変えようと思ったら、テーブルに影がさして声を掛けられた。
まさかのカーラに。
「どうしたの?」
カーラの姿を見たレイチェルが顔を伏せたのを見て、ちょっと困ったけど。
返事は返すべきだろう。
「私も、ご一緒させてもらっていいですか?」
どういう風の吹き回しだろう?
つい、さっきまで他の子と一緒にレイチェルのことを貶めてたのに。
「貴女だけ?」
「はい」
まさか、ここまで突撃してくるとは。
しかも、他の子をおいて一人だけで。
遠くから、さっきまで一緒にいた子がカーラを睨んでいるけど。
気にしないのかな?
クラスメイトに嫌われるのは、あまりお勧めしよいよ?
表情からして、ある程度は分かってるのかな?
なんか、覚悟を決めたような顔だ。
それでも、ここにわざわざやってきたのは凄いけど。
それは、一緒に食事が食べたい人の顔じゃないと思う……貴族の娘なら、最低限表情くらいは取り繕わないと……
何が彼女を突き動かしているのか。
「だったら、私が他に移ります」
「なんで?」
カーラが来たからか、レイチェルがここから離れようとお盆を片手に一つずつ手に取る。
しかし、それだと私にとっての本末転倒だ。
私はカーラより、レイチェルと一緒に食べたいのだ。
「いえ、私がいてはお邪魔かなと」
「邪魔なわけないじゃん。ねえ、カーラ?」
「はい。レイチェルさんがいらっしゃるのは、承知でお声がけさせてもらってますし」
なんか、意味深だから。
もうちょっと、良い感じの言い回しはできなかったのかな?
レイチェルがいたら、本来なら駄目みたいな言い方にモヤっとしたものを感じる。
「それにエルザ様をお誘いしたのは私です。それなのにたいしてもてなすことも出来ないのは、流石に礼を失することだと思いましたし」
「堅いな。そんな小難しいこと言わずに、私と一緒にごはんが食べたいって普通に言えばいいよ。レイチェルとも仲良くしてくれたら、なおいいけど」
そもそも、食堂でどうもてなすつもりだったのだろうか?
流石に、奢ってもらうわけにもいかないし。
もしかして、ヨイショ合戦による接待歓談会でもするつもりだったのだろうか?
だったら、逃げてきたのは正解だね。
「努力します」
「友達になるのに努力が必要なの? そりゃ人付き合いに努力はいるかもしれないけど、初対面同士だし私という共通の友達がいるんだから良いじゃない」
「「えっ?」」」
私の言葉に2人が同時に驚いた顔をしていた。
またしても、その反応って酷くない?
「私たち、友達じゃなかったんだ。それは、ちょっと悲しいよ」
「いえ、恐れ多いことです」
「身に余る立場ですので」
貴族の子供ってのは、そんなに小難しくて生きづらいのか。
世知辛いね。
「意味わかんない。私も2人も肩書はこの学園の1年生じゃん。立場が対等なんだから、恐れ多いとか身に余るってことはないでしょう」
私の言葉に2人が困ったような微妙な表情になり、思わず苦笑いを浮かべてしまった。
うん、この2人仲良くなれそうじゃない?
反応が似てるし。
友達100人計画の道のりは遠く険しいかもしれない。
「ひぃっ!」
ひぃって酷いな、ひぃって。
そりゃないよ。
傷つくよ。
後ろから声を掛けたら、レイチェルが思いっきりびっくりして声を上げていた。
周囲の子たちがこっちに注目する。
そして、ひそひそと何やら話している。
本気を出したら、全て聞き分けられるけど。
大した話じゃなさそうだか、そこまで労力を割く気はない。
「それは流石に酷くない?」
「申し訳ありません。ただ、さきほどまで目の前のちょっと先にいたのに、消えたと思った瞬間に後ろから声を掛けられたら、誰だって驚くと思います」
「凄いね、声だけで私って分かったんだ」
普通なら目の前にいた人が後ろから声を掛けてくるわけないから、違う人が声を掛けてきたと思うはずなんだけど。
どうやら、声だけで私だと確信していたらしい。
レイチェルったらなんだかんだ言って、結局のところ私の事好きなんじゃないかな?
「いえ、校内で私に声を掛けてくださる方なんて、数えるほどしかいませんし」
あっ、なんか重い。
でも、数えるほどはいるのか。
「エルザ様以外だと、先生と、先生に私への言付けを頼まれた方くらいですし」
大丈夫。
今のところ私もカーラと、クリントと先生くらいしか……あっ、そういえば殿下やその友達にも声は掛けられるかな?
クラスメイトと全然打ち解けてないけど、恵まれてる方かも?
「そんなことより、一緒にごはん食べよ」
「そんなこと? いえ、私なんかと一緒にいたら、エルザ様の評判に関わります」
それこそ、そんなことだね。
私の評判?
そんなもの、私自身が知っていればいいだけだし。
犬にでも食わせておけばいいと思うよ。
「それこそ、レイチェルが気にすることじゃないよ。他人が私をどう思おうが関係ないし」
「関係ない事はないです」
「いいからいいから! あそこ空いてるから、あそこに座ろう」
困惑するレイチェルの背中を押しながら、空いている席へと向かう。
周囲からのひそひそ話に、彼女が恐縮するように小さくなっている。
うーん、あまり良くないな。
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皆が目を反らす中で、一人だけこっちを睨んでいたため反応が遅れた男の子がいた。
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「えっ?」
そっちを睨み返して声を掛けながら近づくと、明らかに狼狽し始める。
周囲の人が距離を取るのが、少しイラつかせる。
「何か言いたいことがあるなら、はっきりとおっしゃってはいかが?」
「いえ、別に」
別にってなんだ、別にって。
「別に?」
「何もありません」
少し声を低くすると、今度は面倒くさそうに答えてくれた。
うん、ありがたい。
こんな感じで対応されると、こっちも遠慮なく文句が言える。
「こちらを睨んでいたでしょう? 私に文句があるなら、堂々と言いなさい! 陰でコソコソなんて、みっともないですよ」
「失礼ですが、勘違いでは?」
「勘違いねぇ……はっきりと、私を睨むあなたと目があったのですが?」
なにガンくれてんだオラァって、私はヤンキーか。
まあ、事実だから仕方ない。
言いがかりではない。
「それにそのように遠慮のある態度を取られるということは、私が誰か分かっているのですよね」
「それは、当然です。それと睨んだわけではなく、将来王妃殿下となられるエルザ様をしっかり見ようと、つい目を細めてしまったのでそのように見えてしまったのかと」
よく口が回る男の子だった。
うん、人選を間違えた。
この子は、ボロを出しそうにない。
「こっちを見ながらひそひそと話をされるのは、気分が良いものではないですよ。お気を付けなさい」
「はい、失礼いたしました」
こっちを見ていたという言質だけだと、これが精いっぱいかな。
しっかりと謝ってもらえたから、これでいい。
言っていた内容もある程度は言い当てられるけど、それだとレイチェルに対して言ったことを彼女の前で暴露することになる。
それはちょっと……
仕方ない、この辺りで勘弁してやるか。
「なんであの豚が、エルザ様と一緒に……」
あぁん?
男の子を解放して、レイチェルの元に向かったら後ろからそんな声が聞こえてきた。
思わず振り返って声のした方を睨みつける。
物凄く可愛い子だった。
なんか、ショックだ。
そして、私と目があったその子は慌てて顔を背けていた。
くっ、可愛らしい子だけど仕方ない。
これは周囲にも聞こえていたはずだし!
と思ったら、腕を掴まれた。
「エルザ様、行きましょう! 早くしないと席を取られますよ」
レイチェルが必死に私の腕を取って、先に向かう様に懇願してきた。
そんなに私と一緒に、ごはんが食べたいのか。
だったら仕方ないなぁ。
本当ならここで、舌打ちの一つでもするべきなんだろうけど。
流石に、それはご令嬢がやることじゃないというのは分かる。
いそいそと歩き出したレイチェルを追って、空いている席へと向かった。
「レイチェルも気紛れメニューなんだ」
「はい」
レイチェルの前には気紛れメニューと日替わりの肉のランチが置かれていた。
やはり、よく食べる。
「はしたないですよね」
「ううん、そんなことないよ。しっかりと食べて、よく寝る子は立派に育つっていうし」
「育ってほしくないところも育ってますけどね」
私の言葉に、レイチェルがお腹を見て少し悲しそうにしている。
そのお腹に顔を埋めてみたいと思っている私としては、気にしないようにしてほしい。
「それにしても、エルザ様はお姉さまと同じようなことをおっしゃるのですね」
「そうなの?」
少し重くなった空気を取り払う様に、レイチェルが笑顔でそんなことを言い出した。
思わず、首を傾げる。
「お姉さまも成長期の間はしっかりと食べるようにと。コルセットも使わなくて良いって。しっかりとした身体を作ってから、体重管理は行いなさいって」
「それで?」
「太り過ぎは良くないけど、お肉の元をたくさん取りながら運動をすれば大丈夫って」
「ああ、鍛えて筋肉をつけることを優先してるってことね」
なんだろう……お姉さんはジムトレーナーか何かだろうか?
「そうです! で、無駄なお肉の下に必要な肉がしっかりとついたら、背が伸びるにつれて細くなるはずだって」
食事量を今のままで、基礎代謝を上げる方針か。
確かに身長が伸びれば、その分スタイルもよくなるだろうし。
へぇ……って、そうじゃない。
そういった話も大事だけど、まずはレイチェルを遊びに誘うのと何の選択科目を取るのかと、それからソフィアのことを聞かないと。
「それで、レイチェル「失礼します」」
早速話題を変えようと思ったら、テーブルに影がさして声を掛けられた。
まさかのカーラに。
「どうしたの?」
カーラの姿を見たレイチェルが顔を伏せたのを見て、ちょっと困ったけど。
返事は返すべきだろう。
「私も、ご一緒させてもらっていいですか?」
どういう風の吹き回しだろう?
つい、さっきまで他の子と一緒にレイチェルのことを貶めてたのに。
「貴女だけ?」
「はい」
まさか、ここまで突撃してくるとは。
しかも、他の子をおいて一人だけで。
遠くから、さっきまで一緒にいた子がカーラを睨んでいるけど。
気にしないのかな?
クラスメイトに嫌われるのは、あまりお勧めしよいよ?
表情からして、ある程度は分かってるのかな?
なんか、覚悟を決めたような顔だ。
それでも、ここにわざわざやってきたのは凄いけど。
それは、一緒に食事が食べたい人の顔じゃないと思う……貴族の娘なら、最低限表情くらいは取り繕わないと……
何が彼女を突き動かしているのか。
「だったら、私が他に移ります」
「なんで?」
カーラが来たからか、レイチェルがここから離れようとお盆を片手に一つずつ手に取る。
しかし、それだと私にとっての本末転倒だ。
私はカーラより、レイチェルと一緒に食べたいのだ。
「いえ、私がいてはお邪魔かなと」
「邪魔なわけないじゃん。ねえ、カーラ?」
「はい。レイチェルさんがいらっしゃるのは、承知でお声がけさせてもらってますし」
なんか、意味深だから。
もうちょっと、良い感じの言い回しはできなかったのかな?
レイチェルがいたら、本来なら駄目みたいな言い方にモヤっとしたものを感じる。
「それにエルザ様をお誘いしたのは私です。それなのにたいしてもてなすことも出来ないのは、流石に礼を失することだと思いましたし」
「堅いな。そんな小難しいこと言わずに、私と一緒にごはんが食べたいって普通に言えばいいよ。レイチェルとも仲良くしてくれたら、なおいいけど」
そもそも、食堂でどうもてなすつもりだったのだろうか?
流石に、奢ってもらうわけにもいかないし。
もしかして、ヨイショ合戦による接待歓談会でもするつもりだったのだろうか?
だったら、逃げてきたのは正解だね。
「努力します」
「友達になるのに努力が必要なの? そりゃ人付き合いに努力はいるかもしれないけど、初対面同士だし私という共通の友達がいるんだから良いじゃない」
「「えっ?」」」
私の言葉に2人が同時に驚いた顔をしていた。
またしても、その反応って酷くない?
「私たち、友達じゃなかったんだ。それは、ちょっと悲しいよ」
「いえ、恐れ多いことです」
「身に余る立場ですので」
貴族の子供ってのは、そんなに小難しくて生きづらいのか。
世知辛いね。
「意味わかんない。私も2人も肩書はこの学園の1年生じゃん。立場が対等なんだから、恐れ多いとか身に余るってことはないでしょう」
私の言葉に2人が困ったような微妙な表情になり、思わず苦笑いを浮かべてしまった。
うん、この2人仲良くなれそうじゃない?
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