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第一章:お嬢様爆誕
第8話:謁見 王と王妃と王子様のすれ違い
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うーん、ダリウス殿下と話しながら長い廊下を突き進み、ようやく目的の部屋へ。
立派な扉を前に、少し緊張してきた。
両脇に控えている近衛の騎士も、立派な装備も相まって高圧的に感じるし。
レベルがそれぞれ100弱しかないけど。
こんなので、王族の護衛が務まるのかな?
私なら、秒で無力化できるんだけど。
レベル80もあれば人としては相当強い部類に入るから、大丈夫なんだろうけど。
まあ、装備が魔法武具っぽいし、それなりの素材だからそのレベルでもかなりやれそうではあるけど。
拳でその上等な素材の鎧を貫通できるほどのSTRが、私にもおじいさまにもあるからなぁ。
それに実力的にも、うちの正規の騎士達の方が強い気がする。
いや、街の治安維持の兵の方がマシな気がしてきた……レベル三桁の兵士がそれぞれの詰所の兵長を務めているし。
それどころか元野盗をしていた犯罪奴隷を集めて作った騎士達の方が、遥かに優秀な気がする。
捕まって奴隷落ちしたあとで、私とおじいさまがゴリゴリ鍛えたってのもあるけど。
もともと荒事が得意な連中も多かったし……
生活苦の農民さんから野盗にジョブチェンジした人たちは、農奴にしたけど。
リアルにプランター政策みたいな状態になったけど、野盗の時よりは暮らしやすいって喜んでるし。
荒事が得意で野盗に成り果てた連中は、顔がね……
実力さえ伴えば、色々と便利なんだよね……強面って。
とりあえず、目の前の2人はうちの直轄の騎士になったら、新兵に混じって鍛えなおしかな?
そう思って近衛の騎士の方を見上げると、目があった。
すぐに優しく微笑んで会釈をしてくれたので、こっちも笑顔で会釈を返す。
そこそこ強い上に、人も良さそうだ。
「どうぞ。中で陛下がお待ちです」
それから向かって右側に立っていた騎士の方が、扉を開けてくれたので目礼をして中に入る。
「あらあら」
殿下と腕を組んで室内に入ると、少し高めの華やいだ声が聞こえてくる。
国王陛下、まさかのおネエ?
というわけではなく、王妃殿下がこちらに微笑ましい視線を送っていた。
横に座る立派な服装の男性が咳ばらいをすると、少し鬱陶しそうにそっちに視線を映していたけど。
「よくぞ参った、エルザ嬢よ。息子とは楽しい時間を過ごせたか?」
挨拶もそこそこに本題に入ってきたけど、親しみやすい印象は受けた。
柔和な雰囲気の笑みを浮かべた男性が立ちあがって、こちらに近づいてくる。
「ええ、私の詰まらない話でも、殿下が楽しそうに聞いてくださったので退屈はしませんでしたわ」
「なるほど。うちの息子にも、女人の話をちゃんと聞く程度の甲斐性はあったか。それは、結構だ」
嬉しそうな笑みを浮かべた男性を前に、私も片足を引いて軽く膝を曲げて挨拶をする。
「お初にお目にかかります、ギース・フォン・レオハートが孫のエルザと申します。この度は拝謁の機会を賜り、恐悦至極に存じます。陛下におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます」
「これはご丁寧に痛み入る。余とその方は親戚筋でもあるからな、そう畏まる必要はない」
なるほど、なかなか立派な方のようだ。
どこぞの王子様と違って、第一印象はかなり良い。
私のことも好意的に受け入れてもらえているようで、少しだけ気が楽になる。
「ダリウスとはどのようなお話を?」
気が付けば王妃殿下も、こちらの側まで来て話に入ってきた。
殿下が少し恥ずかしそうにしているが、嬉しそうに話を始める。
「エルザ嬢からは色々なことを教わりました。ドラゴンの討伐方法から素材の剝ぎ取り方、さらには商売の秘訣など、経験に裏打ちされた彼女の話はとても分かりやすく思わず聞き入ってしまいました」
「えっ?」
ダリウス殿下の言葉に、王妃殿下が困ったような表情に変わった。
国王陛下も、苦笑している。
乙女との密談をあっさりとばらすなんて、ダリウス殿下はまだまだですね。
「あら、お恥ずかしいですわ。それでも小娘の戯れ事と馬鹿にすることもなく、真摯に質問まで重ねてくださった殿下には感謝しかございません」
「ふむ……見た目の印象とはだいぶ懸け離れた内容の話だったようだが、レオハート叔父上の孫ならさもありなんか。なかなかの女傑のようだな」
なぜか、国王陛下は納得されたけど。
それでいいのか?
「陛下、年端もいかぬ少女にそのように申されては、却って失礼ですよ」
「そうは言うがなミレニア、あの叔父上の孫娘なのだぞ? やはり、凡夫ではないだろう。どう考えても一騎当千の英雄の血を感じさせる」
それは、私もおじいさまのように暴れん坊だと見られたのかしら。
こちらの第一印象は、最悪のようだ。
「リチャード? もう一度、言わせる気ですか?」
「あっ、いや……すまん。たしかにこのような可愛らしい少女に対して使う言葉ではなかったな」
ミレニア王妃が目を細めると、陛下が慌てた様子で言い直していた。
もしかして、奥さんの方が強いのかな?
まさに女傑だ。
「本日の晩餐会で正式に婚約者として内定、発表がされるわけだが。今なら、まだ双方共に不満があれば、解消は間に合うぞ?」
本当にそう思っているのだろうか?
であれば、今日までにもっとたくさん交流を持たせて欲しかったよ。
初日でよく知りもしない相手にお断りですなんて、はっきりと言いにくいし。
そもそも政略結婚的な意味合いもあるのだろうから、こちらから破棄できるようなものでもない。
おじいさまが言えば、出来そうだけれども。
「私にとっては、このように優しく接してくださる王子殿下との婚約自体が勿体ないお話ですので、不満などあるはずがありません」
「そうか……その方に、そのように言ってもらえて肩の荷が下りた気がする。私も、彼女のような才女であれば、将来隣を任せるのに何の不安もございません」
おっと……ダリウス殿下の言葉に、従者と侍女が揃って首を傾げそうな雰囲気だ。
というか、傾げたような幻視が見えたけど。
「本当にお似合いのお二人のようですね」
ミレニア王妃が嬉しそうに頷いてくれたけど、陛下はどこか不思議そうな表情を浮かべている。
「その……息子は、その方よりも遥かに弱いと思うのだが、構わないのか?」
ああ、その噂。
おじいさまが、吹聴して歩いている。
……噂だけど、事実でもあるし。
常日頃から、自分より強い相手に嫁ぎたいと公言していたわけだし。
「叔父上が、将来の婿候補がわししかおらんと嬉しそうに嘆いておったのだが、大げさに言っていただけのようだな」
「えっと……その身体的な強さよりは、内面の強さの方が大事ですし。私を包み込むように優しく接してくださるということは、それだけ殿下が大きな方だということですから。ただまあ、私より身体的にも強い殿方に越したことはございませんし、正式に結婚の式をあげるまでに私よりも強くなっていただければ嬉しいですわね」
一応釘を刺しておかないと……これで、努力してくれるなら全然問題ないわけだし。
チラリとダリウス殿下の方を見上げる。
「ふむ……そのように期待の籠った目で見られたら、応えねばならんな。今の評価に慢心しないように、武の方の努力も怠らないと約束しよう」
そして殿下の公言に、陛下が頬を引き攣らせていた。
ミレニア王妃は、夢見る乙女のような表情になっているけど。
「よく言いました! それでこそ、我が息子です」
自分の息子の勇ましい姿に、ご満悦のようだ。
「息子よ、知っているのか? 人類の最高到達点にいる叔父上と、ダンジョンの踏破時間を競うような少女だぞ?」
陛下がその横で若干血の気を失った顔で、小声でそう呟いていたけど。
「頑張って!」
「きっと、やりとげます!」
みたいな会話を王族っぽく、それでいて力強くやり取りしていた母子には届かなかったようだ。
頑張ってください。
まずは、レベル三桁からですね。
一年間、本気で頑張れば意外とどうにかなりますよ。
しかし、それにしてもこの王子は、本当に乗せられやすいというか。
こんな調子で、私に対して印象をコロコロ変えて、悪い印象も簡単に好印象に好転するのはどうなのだろう?
ハルナの言っていた、女性にだらしないという話だけれども。
単純で惚れっぽいところが、あるのかもしれない。
となると、彼女の仕入れた王子の噂話ってのも、あながち外れでもないのかな?
「エルザ嬢! きっと、そなたを近い将来に超えて見せる。だから、楽しみに待っていてくれ! すでに決められた婚約ではあるが、その時には正式に私の言葉で再度求婚を申し込みたい」
「まあ!」
なぜ、私ではなく王妃がそんな嬉しそうにはしゃげるのだろうか?
まあ、形だけでも私もはにかんで、微笑んで見せたけど。
ついでに少し俯いたあとで、目をちょっと潤ませて上目遣いで頷いてみた。
「まあ! まあ、まあ、まあ!」
いや、将来の義母様じゃなくて、将来の旦那様に媚びてみたんだけれども。
ダリウス殿下の様子をジッと見る。
「ふ……ふむ……が……頑張らないとな」
あっ……
それだけ言うと、口を押えて顔を真っ赤にしてしまったダリウス殿下の表情を見て、ハルナの仕入れた噂が真実だと私は確信してしまった。
出会って、僅か数時間で完全に堕ちた少年の表情を見せられたら、そうなるよね?
惚れっぽいにも、ほどがありますよ殿下。
浮気性の旦那は……鉄拳制裁しかありえないので、永遠に越えられないように私もさらに厳しい鍛錬を行おうと心に決めたのだった。
立派な扉を前に、少し緊張してきた。
両脇に控えている近衛の騎士も、立派な装備も相まって高圧的に感じるし。
レベルがそれぞれ100弱しかないけど。
こんなので、王族の護衛が務まるのかな?
私なら、秒で無力化できるんだけど。
レベル80もあれば人としては相当強い部類に入るから、大丈夫なんだろうけど。
まあ、装備が魔法武具っぽいし、それなりの素材だからそのレベルでもかなりやれそうではあるけど。
拳でその上等な素材の鎧を貫通できるほどのSTRが、私にもおじいさまにもあるからなぁ。
それに実力的にも、うちの正規の騎士達の方が強い気がする。
いや、街の治安維持の兵の方がマシな気がしてきた……レベル三桁の兵士がそれぞれの詰所の兵長を務めているし。
それどころか元野盗をしていた犯罪奴隷を集めて作った騎士達の方が、遥かに優秀な気がする。
捕まって奴隷落ちしたあとで、私とおじいさまがゴリゴリ鍛えたってのもあるけど。
もともと荒事が得意な連中も多かったし……
生活苦の農民さんから野盗にジョブチェンジした人たちは、農奴にしたけど。
リアルにプランター政策みたいな状態になったけど、野盗の時よりは暮らしやすいって喜んでるし。
荒事が得意で野盗に成り果てた連中は、顔がね……
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とりあえず、目の前の2人はうちの直轄の騎士になったら、新兵に混じって鍛えなおしかな?
そう思って近衛の騎士の方を見上げると、目があった。
すぐに優しく微笑んで会釈をしてくれたので、こっちも笑顔で会釈を返す。
そこそこ強い上に、人も良さそうだ。
「どうぞ。中で陛下がお待ちです」
それから向かって右側に立っていた騎士の方が、扉を開けてくれたので目礼をして中に入る。
「あらあら」
殿下と腕を組んで室内に入ると、少し高めの華やいだ声が聞こえてくる。
国王陛下、まさかのおネエ?
というわけではなく、王妃殿下がこちらに微笑ましい視線を送っていた。
横に座る立派な服装の男性が咳ばらいをすると、少し鬱陶しそうにそっちに視線を映していたけど。
「よくぞ参った、エルザ嬢よ。息子とは楽しい時間を過ごせたか?」
挨拶もそこそこに本題に入ってきたけど、親しみやすい印象は受けた。
柔和な雰囲気の笑みを浮かべた男性が立ちあがって、こちらに近づいてくる。
「ええ、私の詰まらない話でも、殿下が楽しそうに聞いてくださったので退屈はしませんでしたわ」
「なるほど。うちの息子にも、女人の話をちゃんと聞く程度の甲斐性はあったか。それは、結構だ」
嬉しそうな笑みを浮かべた男性を前に、私も片足を引いて軽く膝を曲げて挨拶をする。
「お初にお目にかかります、ギース・フォン・レオハートが孫のエルザと申します。この度は拝謁の機会を賜り、恐悦至極に存じます。陛下におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます」
「これはご丁寧に痛み入る。余とその方は親戚筋でもあるからな、そう畏まる必要はない」
なるほど、なかなか立派な方のようだ。
どこぞの王子様と違って、第一印象はかなり良い。
私のことも好意的に受け入れてもらえているようで、少しだけ気が楽になる。
「ダリウスとはどのようなお話を?」
気が付けば王妃殿下も、こちらの側まで来て話に入ってきた。
殿下が少し恥ずかしそうにしているが、嬉しそうに話を始める。
「エルザ嬢からは色々なことを教わりました。ドラゴンの討伐方法から素材の剝ぎ取り方、さらには商売の秘訣など、経験に裏打ちされた彼女の話はとても分かりやすく思わず聞き入ってしまいました」
「えっ?」
ダリウス殿下の言葉に、王妃殿下が困ったような表情に変わった。
国王陛下も、苦笑している。
乙女との密談をあっさりとばらすなんて、ダリウス殿下はまだまだですね。
「あら、お恥ずかしいですわ。それでも小娘の戯れ事と馬鹿にすることもなく、真摯に質問まで重ねてくださった殿下には感謝しかございません」
「ふむ……見た目の印象とはだいぶ懸け離れた内容の話だったようだが、レオハート叔父上の孫ならさもありなんか。なかなかの女傑のようだな」
なぜか、国王陛下は納得されたけど。
それでいいのか?
「陛下、年端もいかぬ少女にそのように申されては、却って失礼ですよ」
「そうは言うがなミレニア、あの叔父上の孫娘なのだぞ? やはり、凡夫ではないだろう。どう考えても一騎当千の英雄の血を感じさせる」
それは、私もおじいさまのように暴れん坊だと見られたのかしら。
こちらの第一印象は、最悪のようだ。
「リチャード? もう一度、言わせる気ですか?」
「あっ、いや……すまん。たしかにこのような可愛らしい少女に対して使う言葉ではなかったな」
ミレニア王妃が目を細めると、陛下が慌てた様子で言い直していた。
もしかして、奥さんの方が強いのかな?
まさに女傑だ。
「本日の晩餐会で正式に婚約者として内定、発表がされるわけだが。今なら、まだ双方共に不満があれば、解消は間に合うぞ?」
本当にそう思っているのだろうか?
であれば、今日までにもっとたくさん交流を持たせて欲しかったよ。
初日でよく知りもしない相手にお断りですなんて、はっきりと言いにくいし。
そもそも政略結婚的な意味合いもあるのだろうから、こちらから破棄できるようなものでもない。
おじいさまが言えば、出来そうだけれども。
「私にとっては、このように優しく接してくださる王子殿下との婚約自体が勿体ないお話ですので、不満などあるはずがありません」
「そうか……その方に、そのように言ってもらえて肩の荷が下りた気がする。私も、彼女のような才女であれば、将来隣を任せるのに何の不安もございません」
おっと……ダリウス殿下の言葉に、従者と侍女が揃って首を傾げそうな雰囲気だ。
というか、傾げたような幻視が見えたけど。
「本当にお似合いのお二人のようですね」
ミレニア王妃が嬉しそうに頷いてくれたけど、陛下はどこか不思議そうな表情を浮かべている。
「その……息子は、その方よりも遥かに弱いと思うのだが、構わないのか?」
ああ、その噂。
おじいさまが、吹聴して歩いている。
……噂だけど、事実でもあるし。
常日頃から、自分より強い相手に嫁ぎたいと公言していたわけだし。
「叔父上が、将来の婿候補がわししかおらんと嬉しそうに嘆いておったのだが、大げさに言っていただけのようだな」
「えっと……その身体的な強さよりは、内面の強さの方が大事ですし。私を包み込むように優しく接してくださるということは、それだけ殿下が大きな方だということですから。ただまあ、私より身体的にも強い殿方に越したことはございませんし、正式に結婚の式をあげるまでに私よりも強くなっていただければ嬉しいですわね」
一応釘を刺しておかないと……これで、努力してくれるなら全然問題ないわけだし。
チラリとダリウス殿下の方を見上げる。
「ふむ……そのように期待の籠った目で見られたら、応えねばならんな。今の評価に慢心しないように、武の方の努力も怠らないと約束しよう」
そして殿下の公言に、陛下が頬を引き攣らせていた。
ミレニア王妃は、夢見る乙女のような表情になっているけど。
「よく言いました! それでこそ、我が息子です」
自分の息子の勇ましい姿に、ご満悦のようだ。
「息子よ、知っているのか? 人類の最高到達点にいる叔父上と、ダンジョンの踏破時間を競うような少女だぞ?」
陛下がその横で若干血の気を失った顔で、小声でそう呟いていたけど。
「頑張って!」
「きっと、やりとげます!」
みたいな会話を王族っぽく、それでいて力強くやり取りしていた母子には届かなかったようだ。
頑張ってください。
まずは、レベル三桁からですね。
一年間、本気で頑張れば意外とどうにかなりますよ。
しかし、それにしてもこの王子は、本当に乗せられやすいというか。
こんな調子で、私に対して印象をコロコロ変えて、悪い印象も簡単に好印象に好転するのはどうなのだろう?
ハルナの言っていた、女性にだらしないという話だけれども。
単純で惚れっぽいところが、あるのかもしれない。
となると、彼女の仕入れた王子の噂話ってのも、あながち外れでもないのかな?
「エルザ嬢! きっと、そなたを近い将来に超えて見せる。だから、楽しみに待っていてくれ! すでに決められた婚約ではあるが、その時には正式に私の言葉で再度求婚を申し込みたい」
「まあ!」
なぜ、私ではなく王妃がそんな嬉しそうにはしゃげるのだろうか?
まあ、形だけでも私もはにかんで、微笑んで見せたけど。
ついでに少し俯いたあとで、目をちょっと潤ませて上目遣いで頷いてみた。
「まあ! まあ、まあ、まあ!」
いや、将来の義母様じゃなくて、将来の旦那様に媚びてみたんだけれども。
ダリウス殿下の様子をジッと見る。
「ふ……ふむ……が……頑張らないとな」
あっ……
それだけ言うと、口を押えて顔を真っ赤にしてしまったダリウス殿下の表情を見て、ハルナの仕入れた噂が真実だと私は確信してしまった。
出会って、僅か数時間で完全に堕ちた少年の表情を見せられたら、そうなるよね?
惚れっぽいにも、ほどがありますよ殿下。
浮気性の旦那は……鉄拳制裁しかありえないので、永遠に越えられないように私もさらに厳しい鍛錬を行おうと心に決めたのだった。
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