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第一章:お嬢様爆誕
第7話:謁見の間へのエスコート
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「そうなのか……ドラゴンというのは多種多様なのだな」
「ええ、そうですね。ただ、神龍系統は別格ですよ。比較的温厚で、会話も通じるのでこちらの出方次第では友誼を結んだり、主従の関係を結べたりしますよ。もちろん、主は向こうですが」
そうだ。
私の物置を守っているのも、この神龍の一体なのだ。
いや、一柱とでもいうべきか。
天候を操り、神通力を使うとなれば神と同等だよね。
そして私の知り合いは、その見た目は東洋龍のそれだったりする。
出身も……だから、凄く仲良くなれた。
初めて目が合った瞬間に、死んだと思ったけど。
向こうから気さくに話しかけてきてくれて、本当にびっくりしたよ。
凄く物知りで、私の翻訳の仕組みを教えてくれたのも彼だ。
というのも私がもっている鑑定スキルが、パッシブで音に対して鑑定を発動している状態らしい。
どおりで、翻訳スキルだけチート染みてると思ったよ。
聞いたことない言葉でも意味が分かるし。
名前の知らないもので、名前が思い浮かぶもんだからね。
あと、翻訳スキル自体もちょっとおかしいらしい。
どうおかしいかは、教えてくれなかったけど。
「ドラゴンに仕えるのか?」
おっと倉庫番の竜神様に思いを馳せていたけど、殿下は竜に興味津々だね。
「ええ、神に等しい存在ですから、神官となんら変わらないと思いますよ」
「そういうものなのか」
思いのほか話を弾ませながら私たちが向かっているのは、謁見の間だ。
これから、国王陛下への顔見せと挨拶なのだ。
出会った頃の不遜な態度はどこへやら、ダリウス殿下がエスコートしてくれているけど。
会話の内容は、私たちには相応しくない内容。
ただ殿下の食いつきが凄く良いので、やっぱりそこは男の子なんだなとほっこり。
小学校高学年と思えば、まだまだ夢見がちか。
「他にはどのようなドラゴンがいるのだ?」
「属性竜なんかは有名ですね。あれは、素材がかなりの高額で取引されるので、見つけたらすぐに逃がさないように翼をどうにかしないといけませんよ」
「なるほど」
後ろを歩く従者が、なるほどじゃない! とでも言いたげな表情を浮かべていたのが、横を向いた際にチラリと視界に映った。
ただ、横を歩く護衛の騎士たちも興味津々なので、特に問題はないと思う。
「ドレイクやワイバーンは個体差が大きいですね。長寿の変異種になると属性竜よりは強いものも現れますが、平均はやはりレッサー種と呼ばれる程度でしかないです」
「そ……その、エルザ嬢も竜を狩ることはあるのか?」
「勿論ですわ! 私の事業の資金源でもありますし」
「事業? その歳で、もう何か仕事をしているのか?」
おおっ!
ここにきて、ようやくまともな会話に戻ってこれそうな気が。
経済や流通の話になれば、将来の国政を担う王太子とその婚約者の会話に相応しいのではないだろうか?
ここは、頑張って周囲の印象改善に繋げないと。
「総合商社のようなものですね。多種多様な商品を扱う仲卸をやりながら、そのノウハウをいかして自分でも商店を開いておりますわ」
「貴族の子女が、そんな商人まがいの真似をしているのか?」
おお?
これは、不評のようだ。
どうしたものか。
変な物をみるというか、汚らわしいものを見るような、蔑んだ視線を受けて思わず首を傾げてしまった。
「経済の発展は、国造りの基本ではないですか。経済基盤を盤石にして初めて、インフラの整備や軍備の増強、福利厚生に手をだすことができるのですよ?」
「自らの手で金を稼ぐ必要があるのか? 国民からの税金で賄えると思うのだが」
素直な疑問だし、その通りだ。
普通であれば、よほどの凶作に見舞われたりしなければ、大領地が貧困にあえぐことはないと思う。
大領地はね。
ただ、私の考える街づくりはお金がいっぱいかかるのだからしょうがない。
とりあえずあまり理解してはもらえなさそうだけど、理想を語ってみる。
「本当に凄いんだなエルザ嬢は……私なんかと違って、実務にそんなに精力的に取り組んでいるなんて。所詮、私の反論など机上の空論でしかなかったということか」
「いや、たまたまというか……やりたいこと、欲しいものが我慢できない我儘な性格なのですよ」
「しかし、それを人に頼らず自身で行うことが凄いのだ」
「人に頼ってます! 領民の皆さんにも手伝ってもらってますし」
「しかし、賃金は支払っているのだろう? そして、それを稼いでいるのもエルザ嬢自身だ。であれば、その方の力ということではないか?」
いや、素直。
この王子様、チョロイン過ぎてどう扱ったらいいものなのか。
ほとほと、困り果ててしまった。
謁見の間までの道のりが、遠すぎる。
「あっ、この絵」
「ああ、それはイーガル平原包囲網突破を描いたものだな。先陣を切っているのが、その方の祖父であるギース・フォン・レオハート大公だ」
「いや、それは存じてますが」
かっこよさ3割増しのおじいさまの絵を見て、思わず変な気持ちになってしまった。
なんか決死の覚悟でランスを前に掲げて馬を駆けさせている姿が描かれているけど、確かおじいさまから聞いたイーガル平原の話と少し違う気がする。
「レオハート大公が突っ込むと、人がまるで地割れのように左右に割れて一筋の道が出来たと」
「そ……そうなのですね」
確か、ランスを思いっきり投げて正面に道を作ったあとで、部下のランスも奪って投げ、倒した相手のランスも奪って投げ、投擲だけで正面の敵をほぼ壊滅させたってレオブラッド卿が言ってたような。
おじいさまも、照れた様子でその話を聞いていたし。
かっこよく騎馬で駆け抜けたりはしてないんだけど、神妙な顔で頷いておこう。
「ええ、そうですね。ただ、神龍系統は別格ですよ。比較的温厚で、会話も通じるのでこちらの出方次第では友誼を結んだり、主従の関係を結べたりしますよ。もちろん、主は向こうですが」
そうだ。
私の物置を守っているのも、この神龍の一体なのだ。
いや、一柱とでもいうべきか。
天候を操り、神通力を使うとなれば神と同等だよね。
そして私の知り合いは、その見た目は東洋龍のそれだったりする。
出身も……だから、凄く仲良くなれた。
初めて目が合った瞬間に、死んだと思ったけど。
向こうから気さくに話しかけてきてくれて、本当にびっくりしたよ。
凄く物知りで、私の翻訳の仕組みを教えてくれたのも彼だ。
というのも私がもっている鑑定スキルが、パッシブで音に対して鑑定を発動している状態らしい。
どおりで、翻訳スキルだけチート染みてると思ったよ。
聞いたことない言葉でも意味が分かるし。
名前の知らないもので、名前が思い浮かぶもんだからね。
あと、翻訳スキル自体もちょっとおかしいらしい。
どうおかしいかは、教えてくれなかったけど。
「ドラゴンに仕えるのか?」
おっと倉庫番の竜神様に思いを馳せていたけど、殿下は竜に興味津々だね。
「ええ、神に等しい存在ですから、神官となんら変わらないと思いますよ」
「そういうものなのか」
思いのほか話を弾ませながら私たちが向かっているのは、謁見の間だ。
これから、国王陛下への顔見せと挨拶なのだ。
出会った頃の不遜な態度はどこへやら、ダリウス殿下がエスコートしてくれているけど。
会話の内容は、私たちには相応しくない内容。
ただ殿下の食いつきが凄く良いので、やっぱりそこは男の子なんだなとほっこり。
小学校高学年と思えば、まだまだ夢見がちか。
「他にはどのようなドラゴンがいるのだ?」
「属性竜なんかは有名ですね。あれは、素材がかなりの高額で取引されるので、見つけたらすぐに逃がさないように翼をどうにかしないといけませんよ」
「なるほど」
後ろを歩く従者が、なるほどじゃない! とでも言いたげな表情を浮かべていたのが、横を向いた際にチラリと視界に映った。
ただ、横を歩く護衛の騎士たちも興味津々なので、特に問題はないと思う。
「ドレイクやワイバーンは個体差が大きいですね。長寿の変異種になると属性竜よりは強いものも現れますが、平均はやはりレッサー種と呼ばれる程度でしかないです」
「そ……その、エルザ嬢も竜を狩ることはあるのか?」
「勿論ですわ! 私の事業の資金源でもありますし」
「事業? その歳で、もう何か仕事をしているのか?」
おおっ!
ここにきて、ようやくまともな会話に戻ってこれそうな気が。
経済や流通の話になれば、将来の国政を担う王太子とその婚約者の会話に相応しいのではないだろうか?
ここは、頑張って周囲の印象改善に繋げないと。
「総合商社のようなものですね。多種多様な商品を扱う仲卸をやりながら、そのノウハウをいかして自分でも商店を開いておりますわ」
「貴族の子女が、そんな商人まがいの真似をしているのか?」
おお?
これは、不評のようだ。
どうしたものか。
変な物をみるというか、汚らわしいものを見るような、蔑んだ視線を受けて思わず首を傾げてしまった。
「経済の発展は、国造りの基本ではないですか。経済基盤を盤石にして初めて、インフラの整備や軍備の増強、福利厚生に手をだすことができるのですよ?」
「自らの手で金を稼ぐ必要があるのか? 国民からの税金で賄えると思うのだが」
素直な疑問だし、その通りだ。
普通であれば、よほどの凶作に見舞われたりしなければ、大領地が貧困にあえぐことはないと思う。
大領地はね。
ただ、私の考える街づくりはお金がいっぱいかかるのだからしょうがない。
とりあえずあまり理解してはもらえなさそうだけど、理想を語ってみる。
「本当に凄いんだなエルザ嬢は……私なんかと違って、実務にそんなに精力的に取り組んでいるなんて。所詮、私の反論など机上の空論でしかなかったということか」
「いや、たまたまというか……やりたいこと、欲しいものが我慢できない我儘な性格なのですよ」
「しかし、それを人に頼らず自身で行うことが凄いのだ」
「人に頼ってます! 領民の皆さんにも手伝ってもらってますし」
「しかし、賃金は支払っているのだろう? そして、それを稼いでいるのもエルザ嬢自身だ。であれば、その方の力ということではないか?」
いや、素直。
この王子様、チョロイン過ぎてどう扱ったらいいものなのか。
ほとほと、困り果ててしまった。
謁見の間までの道のりが、遠すぎる。
「あっ、この絵」
「ああ、それはイーガル平原包囲網突破を描いたものだな。先陣を切っているのが、その方の祖父であるギース・フォン・レオハート大公だ」
「いや、それは存じてますが」
かっこよさ3割増しのおじいさまの絵を見て、思わず変な気持ちになってしまった。
なんか決死の覚悟でランスを前に掲げて馬を駆けさせている姿が描かれているけど、確かおじいさまから聞いたイーガル平原の話と少し違う気がする。
「レオハート大公が突っ込むと、人がまるで地割れのように左右に割れて一筋の道が出来たと」
「そ……そうなのですね」
確か、ランスを思いっきり投げて正面に道を作ったあとで、部下のランスも奪って投げ、倒した相手のランスも奪って投げ、投擲だけで正面の敵をほぼ壊滅させたってレオブラッド卿が言ってたような。
おじいさまも、照れた様子でその話を聞いていたし。
かっこよく騎馬で駆け抜けたりはしてないんだけど、神妙な顔で頷いておこう。
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