魔王となった俺を殺した元親友の王子と初恋の相手と女神がクズすぎるので復讐しようと思ったけど人生やり直したら普通に楽しかった件

へたまろ

文字の大きさ
上 下
120 / 124
EX章1:学園編

第10話:ジェファードの扱い

しおりを挟む
「さてと、色々と言いたいことはありますが。まずは、ようこそヒュマノ王立学園へ」

 そう言って、学園長が両手を広げてジェファードを歓迎する。
 ジェファードはキョトンとしているが。
 今度は何を考えているのやら。

「私のことは、存じていらっしゃるのでは?」

 ジェファードの質問に、今度は学園長の方が首を傾げる。
 ジェファードの言いたいことが分からないようだ。

「私が魔王であることを、ご存じないと?」

 うわあ。
 ド直球で突っ込んできたよこいつ。
 確かに魔王ではあるけども。
 こいつが魔王となると、俺はなんだ?
 大魔王とか、裏ボスになるんじゃないのか?

 いや、某シリーズだと裏ボスが神様とかってパターンもあるけどさ。
 
「何を言ってるんだ? 君は人だろう。そして、我が校の生徒だ」

 学園長強い。
 ジェファードの目を見て、はっきりと言い切った。
 かっこいい。

「はあ、ルーク様……この学園のセキュリティは大丈夫なのでしょうか? 魔王を手放しで歓迎するなど」

 これは、俺の命令に従っている状態なのか?
 礼儀正しい生徒を演じるよう命じたはずだが、取り繕った言葉遣いの無礼者にしか見えないが。
 こいつ、本当にポンコツじゃないか?

「ああ、問題ありませんでしたね。ルーク様がいらっしゃれば、七難八苦すらも楽の一言で片付きますもんね」

 ジェファードの言う通りなら、とんだマゾ野郎だな俺は。

 よしっ、殺しても良い気がしてきた。
 うん、魔王を倒すんだ。
 俺が真の勇者ってことだな。

「ルーク様? 顔が少し」
「なんだ?」
「凛々しくなっておられます。当時を思い出しますね。私もその目で睨まれて、何度竦みあがったことか。本当に感動で身震いする思いです」

 くっ!
 殺意すらも懐かしむようなやつとか……てか、最初の世界でも俺に殺気を向けられていたのか。
 本当に大丈夫かこいつ。
 リカルドと一緒にいた時が、かなりまともな状態に思えてきた。
 なんか、状態異常とかに掛かってないよな?

「話の続きをしてもいいかね?」
「はい! お願いします」

 学園長が困った様子で声を掛けてきたので、元気よく返事を返す。
 ジェファードにも、とりあえず叩いて合図を送る。
 
「はい……おなしゃす」

 この野郎。

 よし、帰ったら3回は殺そう。
 うん、アリスに頼んだら、そのくらいなんとかなるだろう。

「お前……ふざけてるのか?」
「いえ、つい声が小さくなってしまったようですね」

 ていうか、こいつも実は日本にいたりしなかったよな?
 なんか、色々と不安になってきたが。

「まあ、ジャストールの言うことは一応だけど、ちゃんと聞くようだな」

 ……ジャッカス先生。
 学園長室にノックもせずに入ってきて、いきなり後ろから声を掛けてくるとか。
 唐突に頭の上から降ってきた声に振り返ると、ジャッカス先生が難しい顔をして立っていた。
 流石に、教師がそれってどうなのかな?
 上司というか、組織の長に対してさ。
 しかも、王族相手に。

「ジャッカス先生。生徒の目の前ですよ? 入室の作法くらい、ちゃんとしてください」
「はい、申し訳ありません。扉の外まで不穏な空気が漏れておりましたので、気が急いてしまいました」

 俺のせいか?
 俺のせいなのか?

「ジャッカス先生は、私がまだ教員だった頃に受け持った子でね。少しばかり、生徒と先生という気分が抜けてないみたいで、困ったものですよ。特に彼は、やんちゃな「学園長。その話は、今はよくないですか? それよりも、今日の本題はジェファードのことですよね?」」

 学園長が微笑ましい表情で遠い記憶を探っているのを、ジャッカス先生が遮る。
 どうやら色々と生徒に聞かれたくない話を、学園長は知っているらしい。
 これは、いくつか是非とも教えてもらいたい。
 後で聞きに行こう。

「おい、ジャストール! お前、あとで俺の話をオーランド先生から聞こうとかって思ってないよな?」

 おおう、バレテーラ。
 まあ、いいじゃないか。
 幼い子のやんちゃなんてのは、お茶うけにもってこいだしな。
 なんだかんだで、俺からしたらジャッカス先生も若造なんだよな。

 最初の世界のルークと、魔王ルークと融合してから精神年齢の適正化が楽になった。
 自然に歳相応に振舞い、思考を合わせるくらいには。
 ただ、無意識で出来るというだけで、意識次第でこれはどうとでもなる。

 第二の人生の自我を強めに出せば、伊勢海としての人格をはっきりと引き出せるからのう。
 
「なんだ、急に爺みたいに老け込んで」
「ジャッカス殿……我が主に対して、少し無礼が過ぎませんか?」

 お前は、先生と呼べと。
 思わず、学園長と顔を見合わせてしまった。
 そして、一番気になることを聞いておこう。

「で、なんで私たちは呼ばれたんですか?」

 うん、まだここに呼ばれた理由を聞いてないからね。
 
「まあ、いくつか理由はあるのだけれども、最初に謝罪からさせていただこう。この度は、我が国がジャストール一人に多大な迷惑を掛けてしまったこと、誠に申し訳なかった」
「私もジャストールの悩みや事情に気付けなかった。結局私が手助けすることなく自己解決したことは、教師として誇らしく思うと同時に担任として情けなく居た堪れない思いしかない。申し訳ない」

 おおう。
 全く関係のない2人から、謝られてしまっても。
 ジェファードだけが嬉しそうだけど……
 よしっ、2人が頭を下げているうちに。

「ぐふぇ」
 
 自身ににクイックを掛けて、周囲にスロウを施しつつ本気で12発入れておいた。
 喜ぶ間もなく、悶絶してるが。
 少しだけ目が逝ってるのが、気持ち悪い。

 こいつは真性なのかもしれない。
 だからこそ、最初の世界の俺に惹かれたってことはないよな?

「2人からの謝罪は不要です。お二方に責任は「学園の生徒に対する責任も持てないなんて、教師として失格だ。だからそれ以上は言わなくもいい」」
「そうですよ、ジャストール。貴方に非は無いのですから……問題はありますが」

 ん?

「謝罪は本心ですが、言わないといけないことも多くありますからね?」

 んん?
 何やら不穏な流れなのだが。
 
「とりあえず、説教もあるので覚悟しておいてください。それからジェファード君の取り扱いに関する話も」

 おおう……
 今日は、長くなりそうだ。
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。 次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。 時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く―― ――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。 ※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。 ※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

異世界無知な私が転生~目指すはスローライフ~

丹葉 菟ニ
ファンタジー
倉山美穂 39歳10ヶ月 働けるうちにあったか猫をタップリ着込んで、働いて稼いで老後は ゆっくりスローライフだと夢見るおばさん。 いつもと変わらない日常、隣のブリっ子後輩を適当にあしらいながらも仕事しろと注意してたら突然地震! 悲鳴と逃げ惑う人達の中で咄嗟に 机の下で丸くなる。 対処としては間違って無かった筈なのにぜか飛ばされる感覚に襲われたら静かになってた。 ・・・顔は綺麗だけど。なんかやだ、面倒臭い奴 出てきた。 もう少しマシな奴いませんかね? あっ、出てきた。 男前ですね・・・落ち着いてください。 あっ、やっぱり神様なのね。 転生に当たって便利能力くれるならそれでお願いします。 ノベラを知らないおばさんが 異世界に行くお話です。 不定期更新 誤字脱字 理解不能 読みにくい 等あるかと思いますが、お付き合いして下さる方大歓迎です。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第1巻発売です!】 早ければ、電子書籍版は2/18から販売開始、紙書籍は2/19に店頭に並ぶことと思います。 皆様どうぞよろしくお願いいたします。 【10/23コミカライズ開始!】 『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました! 颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。 【第2巻が発売されました!】 今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。 イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです! 素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。 【ストーリー紹介】 幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。 そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。 養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。 だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。 『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。 貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。 『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。 『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。 どん底だった主人公が一発逆転する物語です。 ※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

西園寺わかば🌱
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...