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EX章:後日談閑話おまけ
戦勝パーティでジェニファが色々とアレ
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「あら、リック殿下じゃありませんか」
光の女神討伐? 魔王討伐の戦勝パーティで、ジェニファが俺の横に立ってリックに挨拶をしている。
その目は言外に、私を置いて俺を助けるために現地入りしたことを責めている。
会場にはキーファをはじめとして、ジャスパーやクリスタ、エルザ、ビンセント達もいる。
微妙な立ち位置ではあるが、一応リーナも呼んでいる。
こういうときに仲間外れにできない自分が、少し情けなくもある。
いや、嫌いではないが。
どうしても、子供相手に大人げないと感じるのは仕方ないだろう。
うん、前世での教育がよかったと思いたい。
罪を憎めど、人は憎まず! されど、神は憎むだ!
うん、このスタンスで行こう。
リカルドは……まあ、十分に罰を受けたようなものだしな。
この先、足が無ければもはや後継者争いからは、リタイアしたようなものだし。
とはいえ、魔法や、魔道具のある世界。
王族や上位貴族になれば、意思と連動して動く義手や義足くらいある。
それよりも、問題はジェニファだ。
常に横に付き従って、来賓の挨拶に付き合ってくれているが。
いまも、俺の横にしれっと並ぼうとしたリック殿下を、上手にあしらって追い払ってしまった。
いや、アルトのところに送り込んだだけだが、その兄のアルトもさっき彼女に追い払われていた。
ことが終わってから兄が俺にべったりだったから、助かったと言えば助かったけど。
濃紺のマーメイドドレスに身を包んだ彼女は、胸に真っ赤なバラのコサージュを付けている。
そして自慢の巻き髪を高くあげているが、冷たく拒絶的な雰囲気を感じる出で立ちだ。
俺に近づこうと娘を連れている貴族相手に、睨みをきかせているのだろう。
隠す気もない……口元を扇子で隠して、目を細めて近づくなと伝えている。
あー……娘さんを残して、本人だけ来たか。
「これはこれは、ジェニファ様、ルーク君、この度は……」
お決まりの挨拶だ。
まあ立場上、ジェニファが先に挨拶を受けるのは仕方ない。
俺……主催者側だけど。
相手は公爵家だし、しょうがないか。
「で、私のむ「コボノーン子爵? あまり、娘さんを放置されては可哀そうですよ? 一緒にあちらで料理を楽しんでこられたら」」
うん……ドストレートにあっちに行けって言ったよこの人。
貴族同士の上品な遠回しなやり取りって、物語の中だけなのかな?
「だめだな……もう、ジェニファ殿下で決定だろう」
「今回の件で、公爵家に婿入りするだけの実績はできたしな……下手したらジャストール男爵は陞爵の可能性があるし、彼自身叙爵されてもおかしくない……か」
「というかだ。経済力は王都をこえ、個人の財力も王族なみだぞ? さらに周辺領地の開発や発展にも協力的で、今や救国の英雄ときた。流石にわしらも、頭をあげれんぞ?」
「だな……しかもリカルド殿下の失点があるから、陛下もジャストールに対しては強く出られなくなっただろうし」
「これでルーク殿も晴れて王族の仲間入りか。ジェニファ殿下で確定だろう……落ち着いたら、正式に婚約が結ばれるだろうな」
「うまいこと、やったもんだ」
うん、周囲はもはやそういう目で見ている。
「いやジェニファ殿下の一目ぼれらしい。出会ってすぐから、隠す気もなく周囲から女性を排除して回ったらしい。とはいえ、彼女の先見の明が素晴らしかったとしかいいようがあるまい」
「関係各所への根回しも、あらかた終わっていたと聞いた」
終わっていた?
怖いよ……
まあ、こんな美人にここまで思われるのは、果報者でしかないけどさ。
横で自慢げにどや顔を扇子で隠している、将来婚約者になりそうな女性を見つめる。
横から見ると、扇子の下の表情が少しわかりやすい。
可愛い……から、いいけど。
少し離れた位置にいるジェニファにとっては一番気心の知れた友人のマリアが、そんな彼女の様子を見て若干呆れた様子だが。
彼女は、キーファと常に一緒にいるからな。
あまり、人のことは言えないと思う。
どっちも、虫よけに似たオーラを出しているし。
女性相手に。
それでも、娘を伴ってこちらに来ようとする、無謀な人も少しはいる。
横から放たれているオーラに、娘さんの方がしり込みしているけど。
ふふ……そもそも、どうなのだろう。
この機会に、自分の娘を売り出したい気持ちは分かるが。
今回は関係者と、周辺領地の領主とその奥方までしか招待していない。
娘は招待してないんだが……妻が体調を崩して、その代わりにと言われてしまえば。
ただ、紹介してくれる貴族の頬に、大きなモミジが出来ているのは……
奥さんにひっぱたかれたのだろう。
そりゃ、今をときめくジャストール主催のパーティ。
そこにアイゼン辺境伯領と、ポルトガフ辺境伯領という珍しい素材や物を主流に扱う領地が協力しているのだ。
それはそれは美味しいパーティで、間違いない。
娘を紹介したいから、お前は体調を崩せと言われたら……奥さんとしては面白くないだろうな。
そのうえ、成果なしと分かれば……
家に残してきた家族用のお土産を、もう少し充実したものにさせよう。
一応は、協力しようという姿勢を見せた領地に関しては。
日和見を完全に決めていた領地の分を、そっちに回してもらおう。
いろいろと会話や、周囲の情報で分かってきたが。
周辺の領地の中には、情報が入ってすぐに軍の編成を終えていた領地がいくつかあったらしい。
あとは辺境領で対応するのか、それともそこを抜かれたときのためにジャストール領で合流して当たるのか。
はたまた、王都の防衛に回るのかで各方面に指示を仰ぐ伝令を飛ばしていたらしい。
その伝令がうちの軍と接触したときに、ことが終わったことを聞いて青くなっていたとか。
出遅れたことで、各方面に恩を売る機会を逃したこと。
また、もしかしたらあらぬ疑いを掛けられるのではないかと。
そして、それを当主に報告しないといけないことに。
仕方ないのでしっかりと調査をしたうえで、協力体制が整っていた領地に関しては感謝を形で表させてもらう旨を伝えたが。
そうじゃないらしい。
ジャストール領、アイゼン領特需で、周辺領地も色々と恩恵にあずかっているから少しは、恩を返すつもりだったらしい。
ついでに、国に対して恩を売ると。
言葉の綾と言っていた。
恩を売る機会ではなく、恩を返す機会を失ったことに面目を無くしたと言われたら。
パーティに呼ぶしかない。
盛大にもてなそう。
奥さんの代わりに娘さんを連れてきたことも、大目に見よう。
しかし、そうではなく、モタモタと王都の防衛に加わる名目で、逃げようとした領地の人達には塩対応しかない。
表に出す気は無いけど。
お土産の質が変わるくらいかな?
あとジェニファとリックと、アルトの態度が悪いくらいか。
「ベロン男爵!」
「ルーク君か! 久しぶりだな。この度は遅参すらできず申し訳ない」
「いや、すでにうちに向かって領地を起っていたことは、伺ってますよ」
彼は俺の領地運営のための色々な講義を、直接聞きに来てくれる貴重な領主の一人だ。
俺のような若造が相手だと、実績があっても家のものを寄越すのが多いからな。
直接来てくれている領主様相手には、いろいろと便宜もはかっている。
そして、横を見ればすぐに分かる。
ジェニファの表情で、俺にとって良い相手か悪い相手かが。
便利だよな彼女。
満足げな彼女の表情を見ると、彼は俺にとって有用な人物で間違いないようだ。
俺もそう思っていたから、俺の見る目もあながちまんざらでもないのだろう。
「しかし、かような綺麗な女性をすでに射止め……これは、ジェニファ殿下では! 挨拶が遅れて申し訳ございません。今日のルーク君があまりにも輝いていたため、気付くのが遅れてしまいました」
わざとらしいよ、男爵。
「ふふ、宜しいのですよ! ルーク様ほどのお方の横に立っていたら、目立たないのは分かっておりますし。今日の出で立ちは、特に素敵で」
「ええ、まだ完全に成長していないのに、騎士の正装がここまで似合うとなると末恐ろしいですな」
「分かりますか? 彼のお父様やお兄様を見ていると、きっと背も大きく伸びますし……ふふ、すぐに見上げるようになると思います」
「楽しみですなー」
「ええ、本当に」
そして胡散臭いよベロンさん。
いや、抜け目ないのは知ってたけどさ。
露骨すぎて。
そして、その露骨なよいしょに、ジェニファがノリノリなのも恥ずかしい。
「主」
「いや……まだ、主じゃないけど?」
気付くと、来賓との挨拶を終えたジェファードがこっちに向かってきて、変なことを言い出した。
「申し訳ありません……ですが、彼は素晴らしい人物ですね」
そう言って、ベロン男爵を見つめるジェファード。
それから、俺の横のジェニファにも目を向ける。
「彼女も、主の伴侶に相応しい知見の持ち主かと」
ジェニファも、合格らしい。
「お初にお目にかかります。いや、この会場の太陽を目指してやってきたら、横に並ぶにふさわしい綺麗な月まで見られるとは」
「あら、ジェファード殿下ではありませんか。太陽ですか?」
「ええ、そちらにおります闇を纏い光り輝く我が太陽です」
もうやだ。
変なのが増えた。
「そしてその闇の中にあっても、その太陽の光を受けて優しく輝くさまは、まさにジェニファ様は彼の月ですね」
「ジェファード殿下とは、仲良くなれそうです」
「こちらの方も、主とその奥……ごほん、月と太陽を彩る星に相応しい方とお見受けします」
「言い得て妙ですな。確かに、私もルーク君に照らされて、どうにか小さく光始めた星のようなものですからな」
あーあーあーあーあー……
誰か、誰か助けて。
あー、そっちに行きたい。
キーファとジャスパーが、クリスたちと合流して楽しそうに食事してる。
サリアとヘンリーまで……
「ふふ、実はですね。ルーク様を支えていくために、密かに密約と同盟を結んだ貴族……」
ちょっとまって?
なにそれ、聞いてない。
勝手に派閥とか、作らないで。
「でしたら、我が帝国内にも……」
話が大きくなってる。
てか、帝国内に派閥作ったらだめだろう。
「資金源は任せてください。うちは、金が取れますし」
ベロンさん、顔が悪い! 顔が悪いことになってる!
光の女神討伐? 魔王討伐の戦勝パーティで、ジェニファが俺の横に立ってリックに挨拶をしている。
その目は言外に、私を置いて俺を助けるために現地入りしたことを責めている。
会場にはキーファをはじめとして、ジャスパーやクリスタ、エルザ、ビンセント達もいる。
微妙な立ち位置ではあるが、一応リーナも呼んでいる。
こういうときに仲間外れにできない自分が、少し情けなくもある。
いや、嫌いではないが。
どうしても、子供相手に大人げないと感じるのは仕方ないだろう。
うん、前世での教育がよかったと思いたい。
罪を憎めど、人は憎まず! されど、神は憎むだ!
うん、このスタンスで行こう。
リカルドは……まあ、十分に罰を受けたようなものだしな。
この先、足が無ければもはや後継者争いからは、リタイアしたようなものだし。
とはいえ、魔法や、魔道具のある世界。
王族や上位貴族になれば、意思と連動して動く義手や義足くらいある。
それよりも、問題はジェニファだ。
常に横に付き従って、来賓の挨拶に付き合ってくれているが。
いまも、俺の横にしれっと並ぼうとしたリック殿下を、上手にあしらって追い払ってしまった。
いや、アルトのところに送り込んだだけだが、その兄のアルトもさっき彼女に追い払われていた。
ことが終わってから兄が俺にべったりだったから、助かったと言えば助かったけど。
濃紺のマーメイドドレスに身を包んだ彼女は、胸に真っ赤なバラのコサージュを付けている。
そして自慢の巻き髪を高くあげているが、冷たく拒絶的な雰囲気を感じる出で立ちだ。
俺に近づこうと娘を連れている貴族相手に、睨みをきかせているのだろう。
隠す気もない……口元を扇子で隠して、目を細めて近づくなと伝えている。
あー……娘さんを残して、本人だけ来たか。
「これはこれは、ジェニファ様、ルーク君、この度は……」
お決まりの挨拶だ。
まあ立場上、ジェニファが先に挨拶を受けるのは仕方ない。
俺……主催者側だけど。
相手は公爵家だし、しょうがないか。
「で、私のむ「コボノーン子爵? あまり、娘さんを放置されては可哀そうですよ? 一緒にあちらで料理を楽しんでこられたら」」
うん……ドストレートにあっちに行けって言ったよこの人。
貴族同士の上品な遠回しなやり取りって、物語の中だけなのかな?
「だめだな……もう、ジェニファ殿下で決定だろう」
「今回の件で、公爵家に婿入りするだけの実績はできたしな……下手したらジャストール男爵は陞爵の可能性があるし、彼自身叙爵されてもおかしくない……か」
「というかだ。経済力は王都をこえ、個人の財力も王族なみだぞ? さらに周辺領地の開発や発展にも協力的で、今や救国の英雄ときた。流石にわしらも、頭をあげれんぞ?」
「だな……しかもリカルド殿下の失点があるから、陛下もジャストールに対しては強く出られなくなっただろうし」
「これでルーク殿も晴れて王族の仲間入りか。ジェニファ殿下で確定だろう……落ち着いたら、正式に婚約が結ばれるだろうな」
「うまいこと、やったもんだ」
うん、周囲はもはやそういう目で見ている。
「いやジェニファ殿下の一目ぼれらしい。出会ってすぐから、隠す気もなく周囲から女性を排除して回ったらしい。とはいえ、彼女の先見の明が素晴らしかったとしかいいようがあるまい」
「関係各所への根回しも、あらかた終わっていたと聞いた」
終わっていた?
怖いよ……
まあ、こんな美人にここまで思われるのは、果報者でしかないけどさ。
横で自慢げにどや顔を扇子で隠している、将来婚約者になりそうな女性を見つめる。
横から見ると、扇子の下の表情が少しわかりやすい。
可愛い……から、いいけど。
少し離れた位置にいるジェニファにとっては一番気心の知れた友人のマリアが、そんな彼女の様子を見て若干呆れた様子だが。
彼女は、キーファと常に一緒にいるからな。
あまり、人のことは言えないと思う。
どっちも、虫よけに似たオーラを出しているし。
女性相手に。
それでも、娘を伴ってこちらに来ようとする、無謀な人も少しはいる。
横から放たれているオーラに、娘さんの方がしり込みしているけど。
ふふ……そもそも、どうなのだろう。
この機会に、自分の娘を売り出したい気持ちは分かるが。
今回は関係者と、周辺領地の領主とその奥方までしか招待していない。
娘は招待してないんだが……妻が体調を崩して、その代わりにと言われてしまえば。
ただ、紹介してくれる貴族の頬に、大きなモミジが出来ているのは……
奥さんにひっぱたかれたのだろう。
そりゃ、今をときめくジャストール主催のパーティ。
そこにアイゼン辺境伯領と、ポルトガフ辺境伯領という珍しい素材や物を主流に扱う領地が協力しているのだ。
それはそれは美味しいパーティで、間違いない。
娘を紹介したいから、お前は体調を崩せと言われたら……奥さんとしては面白くないだろうな。
そのうえ、成果なしと分かれば……
家に残してきた家族用のお土産を、もう少し充実したものにさせよう。
一応は、協力しようという姿勢を見せた領地に関しては。
日和見を完全に決めていた領地の分を、そっちに回してもらおう。
いろいろと会話や、周囲の情報で分かってきたが。
周辺の領地の中には、情報が入ってすぐに軍の編成を終えていた領地がいくつかあったらしい。
あとは辺境領で対応するのか、それともそこを抜かれたときのためにジャストール領で合流して当たるのか。
はたまた、王都の防衛に回るのかで各方面に指示を仰ぐ伝令を飛ばしていたらしい。
その伝令がうちの軍と接触したときに、ことが終わったことを聞いて青くなっていたとか。
出遅れたことで、各方面に恩を売る機会を逃したこと。
また、もしかしたらあらぬ疑いを掛けられるのではないかと。
そして、それを当主に報告しないといけないことに。
仕方ないのでしっかりと調査をしたうえで、協力体制が整っていた領地に関しては感謝を形で表させてもらう旨を伝えたが。
そうじゃないらしい。
ジャストール領、アイゼン領特需で、周辺領地も色々と恩恵にあずかっているから少しは、恩を返すつもりだったらしい。
ついでに、国に対して恩を売ると。
言葉の綾と言っていた。
恩を売る機会ではなく、恩を返す機会を失ったことに面目を無くしたと言われたら。
パーティに呼ぶしかない。
盛大にもてなそう。
奥さんの代わりに娘さんを連れてきたことも、大目に見よう。
しかし、そうではなく、モタモタと王都の防衛に加わる名目で、逃げようとした領地の人達には塩対応しかない。
表に出す気は無いけど。
お土産の質が変わるくらいかな?
あとジェニファとリックと、アルトの態度が悪いくらいか。
「ベロン男爵!」
「ルーク君か! 久しぶりだな。この度は遅参すらできず申し訳ない」
「いや、すでにうちに向かって領地を起っていたことは、伺ってますよ」
彼は俺の領地運営のための色々な講義を、直接聞きに来てくれる貴重な領主の一人だ。
俺のような若造が相手だと、実績があっても家のものを寄越すのが多いからな。
直接来てくれている領主様相手には、いろいろと便宜もはかっている。
そして、横を見ればすぐに分かる。
ジェニファの表情で、俺にとって良い相手か悪い相手かが。
便利だよな彼女。
満足げな彼女の表情を見ると、彼は俺にとって有用な人物で間違いないようだ。
俺もそう思っていたから、俺の見る目もあながちまんざらでもないのだろう。
「しかし、かような綺麗な女性をすでに射止め……これは、ジェニファ殿下では! 挨拶が遅れて申し訳ございません。今日のルーク君があまりにも輝いていたため、気付くのが遅れてしまいました」
わざとらしいよ、男爵。
「ふふ、宜しいのですよ! ルーク様ほどのお方の横に立っていたら、目立たないのは分かっておりますし。今日の出で立ちは、特に素敵で」
「ええ、まだ完全に成長していないのに、騎士の正装がここまで似合うとなると末恐ろしいですな」
「分かりますか? 彼のお父様やお兄様を見ていると、きっと背も大きく伸びますし……ふふ、すぐに見上げるようになると思います」
「楽しみですなー」
「ええ、本当に」
そして胡散臭いよベロンさん。
いや、抜け目ないのは知ってたけどさ。
露骨すぎて。
そして、その露骨なよいしょに、ジェニファがノリノリなのも恥ずかしい。
「主」
「いや……まだ、主じゃないけど?」
気付くと、来賓との挨拶を終えたジェファードがこっちに向かってきて、変なことを言い出した。
「申し訳ありません……ですが、彼は素晴らしい人物ですね」
そう言って、ベロン男爵を見つめるジェファード。
それから、俺の横のジェニファにも目を向ける。
「彼女も、主の伴侶に相応しい知見の持ち主かと」
ジェニファも、合格らしい。
「お初にお目にかかります。いや、この会場の太陽を目指してやってきたら、横に並ぶにふさわしい綺麗な月まで見られるとは」
「あら、ジェファード殿下ではありませんか。太陽ですか?」
「ええ、そちらにおります闇を纏い光り輝く我が太陽です」
もうやだ。
変なのが増えた。
「そしてその闇の中にあっても、その太陽の光を受けて優しく輝くさまは、まさにジェニファ様は彼の月ですね」
「ジェファード殿下とは、仲良くなれそうです」
「こちらの方も、主とその奥……ごほん、月と太陽を彩る星に相応しい方とお見受けします」
「言い得て妙ですな。確かに、私もルーク君に照らされて、どうにか小さく光始めた星のようなものですからな」
あーあーあーあーあー……
誰か、誰か助けて。
あー、そっちに行きたい。
キーファとジャスパーが、クリスたちと合流して楽しそうに食事してる。
サリアとヘンリーまで……
「ふふ、実はですね。ルーク様を支えていくために、密かに密約と同盟を結んだ貴族……」
ちょっとまって?
なにそれ、聞いてない。
勝手に派閥とか、作らないで。
「でしたら、我が帝国内にも……」
話が大きくなってる。
てか、帝国内に派閥作ったらだめだろう。
「資金源は任せてください。うちは、金が取れますし」
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