104 / 124
EX章:後日談閑話おまけ
光の女神討伐後2
しおりを挟む
あくびをしながら、朝食を取る。
若干の寝不足だ。
というのも、夜中にヘンリーがいきなり起きて泣き出した。
その声で、サリアも起きてしまって。
二人そろって、夜泣きの大合唱。
5歳とはいえ、まだまだ幼児。
その状況で、別の人生の記憶をおしつけられたのだ。
精神的に不安定になっていたとしても、仕方のないことだろう。
俺の存在を確認した二人が泣きながら抱き着いてきたから、こちらも肩を抱いて背中を叩いてやった。
「おにいさま……ごめんなさい」
「おにいさま」
寝ぼけた状態で謝ってくる二人に、こっちの方が申し訳ない気持ちになる。
こういった場合は、一度しっかりと目を覚まさせた方が良い。
前世で親や祖父を体験した経験から、二人に声を掛けて一度トイレへと連れて行く。
それから暖かいミルクを、祖父の家の侍女にお願いして用意してもらった。
その際に侍女が心配して母を呼ぼうとしたのを、押しとどめる。
「子供の夜泣きには慣れてるからね。お母様も疲れているだろうし、気を遣わせたくないんだ。どうしても駄目そうならまた声を掛けるよ」
と言ったら、凄く変な顔で見られてしまった。
ちょっと、子供らしからぬ発言だとは自覚している。
ただ俺やアルトが子供っぽくないことは、彼女も重々承知しているのだろう。
何かあったらすぐに呼んでくださいといって、待機室代わりの侍女の自室に戻っていった。
再度三人でベッドに戻ると、ヘッドボードに背を預けてホットミルクを飲みながらたわいもない話をして気持ちを落ち着かせる。
起きるにはまだ早い時間だったため、童話を聞かせたあとでちょっと魔法で色々と遊んであげた。
「うわぁ、きれい」
「リーチェの村みたい」
闇の魔法でカーテンの隙間から漏れる月明りすらカットした状態で、光魔法を使って星空を再現。
そこからさらに光魔法を応用して、花火を見せてあげたり。
勿論光量は抑えてあるし、リラクゼーション効果のあるリズムで小さな音も再現してあげる。
ヘンリーもサリアも徐々に瞼が重くなってきているのが、目に見えてわかる。
だんだんと船を漕ぎ始めて、俺の肩に体重を預けてきているのを感じてようやく胸をなでおろす。
しばらく魔法を続けていると、ふと室内にふんわりとしたラベンダーの香りが漂ってくるのを感じる。
花の精霊が気を遣ってくれたのかな?
フォルスが手配してくれたのだろう。
そのおかげで、ヘンリーとサリアがしっかりと寝息を立て始めた。
そのまま二人をそっと寝かせて、自分も布団に潜り込む。
そして、そのせいで朝三人そろって、寝坊してしまった。
侍女に起こされて、慌てて着替えて食堂に向かった次第だ。
「よく眠れなかったのかな?」
「いや、逆ですよ。眠れ過ぎて、まだ眠いといいますか」
アルトに問いかけられて、思わず苦笑いで答える。
すでに朝食を終えて彼はコーヒーを飲みながら、俺たちの食事の様子を楽しそうに眺めていた。
「ヘンリーとサリアが羨ましいよ。兄も、昨日はルークと一緒に寝ようと思っていたのにな」
如何いう意味で、羨ましいのだろうか?
母の説教から一抜け出来たからではないだろうが、それも理由に含まれてそうだ。
その証拠に、父と兄と母の目の下にはうっすらと隈が出来ていた。
いつまで母の話が続いたかは知らないが、お疲れさまでしたとしか言いようがない。
「代わりに、今日は私とミラーニャの町を楽しもうじゃないか?」
「あー……えっと、でもリック殿下もこの町に来てますよね? そちらのお相手は宜しいので?」
「殿下も疲れているだろうし、今日くらいはゆっくりするんじゃないかな?」
兄よ、それはフラグというものだ。
そう思った瞬間に、ドアベルが鳴らされる。
家人の誰かがすぐに、玄関に向かっていたが。
「お坊ちゃま方! リック殿下がお見えです」
ああ、迎えに行ったのは父の乳母だったマーサか。
グリッド・ジャストール邸で侍女監査役として、特別待遇で雇われている女性。
父が頭が上がらない相手の一人だとか。
テキパキとリックを客室に案内して、アルトを急かす。
応接室は別件で使用中だから、仕方ないとはいえ。
王族を客室で待たせるのは……まあ、良いんだろうな。
先触れを出さない方が悪い。
そんなことありえるのかと思うが、友人宅に遊びに来たという感覚ならありか。
いや、周りが出させるだろう。
昨日の今日だぞ?
というか、普通なら遠慮するもんだと思うが。
ああ、昨日の出来事の事情聴取ということかもしれない。
なら、なおさら先触れをだしそうなものだが。
もしかすると先触れと一緒に来たのかもしれない。
それだと、先触れの意味がないけど。
「おにいさま! きょうはぼくも、おにいさまとあそびたいです」
うーん、ヘンリーの言葉が少し幼くなっている。
幼児に幼児返りというのはおかしな話だけど、もう少しはっきりと喋られる子だったのに。
ちょっと、女神に対する怒りが再燃してきたが、ぶつける相手がもういないからな。
いや、この世界の方の光の女神は健在だけど。
そっちにぶつけるのは、ただの八つ当たりだし。
仕方ない。
「ヘンリーずるい! わたしが、言いたかったのに!」
サリアの方は、そこまで影響がないみたいだ。
とはいえ、二人して俺にべったりだな。
しばらくは、この状況が続きそうな予感がする。
いや、それは構わないけど。
学校が始まるまでに、どうにかこのトラウマを治しておかないとな。
最悪、王都に二人を連れていくか……そうなると、もれなくキャロラインもついてくるだろう。
父が実家にいながら、単身赴任というおかしな状況になってしまう。
それはそれで、面白いけど。
「で、ジェファード殿下は、本当にその立ち位置で宜しいので?」
「ルーク様、呼び捨ててください。他の者に対する、示しがつきません」
しれっと俺の斜め後ろに立って、食事する姿を眺めているジェファードに声を掛ける。
書類を交わしてないので正式に雇用したわけではないが、すでに従者になったつもりの彼にも溜息が出る。
せっかくだから、友人枠として付き合って行っても良いかと思っているのだが。
彼にそんなつもりはサラサラないようだ。
「そうか……現状ではその扱いをすると、知っている人からするとなかなか痛みを伴う視線を浴びそうだが?」
「そのような不敬な輩は、しっかりと排除いたしますのでご安心を」
自分で加害者を作っておきながら、それらをすべて理不尽の被害者にするのはどうかと思うが。
まあ皇族だから、下々の者のことは気にしないのだろう。
立場的に、俺もその下々の者に含まれるのだが。
「じゃあ、今日は三人でお出かけしようか?」
「はい!」
「わぁ!」
これ以上ジェファードと話しても仕方ないので、喧嘩になりそうなヘンリーとサリアに笑顔で声を掛ける。
二人の花開くような笑顔に、ほっこり。
心が癒されるようだ。
「五人の間違いじゃないのかい?」
「ルーク……兄弟の中で兄だけ除け者は、本気で泣いてしまいそうだよ」
……お早いお戻りで。
本当に、リック殿下は俺たちを遊びに誘いに来ただけらしい。
厳密には俺とアルトをだけど。
あー……気を遣わせてしまったようだ。
本当なら王族として優先すべきことは色々とあるだろうが、それよりも俺とアルトの心のケアの方を優先してくれたのか。
国の一大事だったのに、その当事者としてではなく友人として何をすべきか考えてくれたのは、本当に嬉しいと感じる。
それにヘンリーとサリアがいても、問題ないようだ。
その辺の寛容さにも、頭が下がる。
色々な意味で、優秀な人だというのを改めて実感。
ただ急遽ヘンリーとサリアが参加するような雰囲気になっているけど、こっちからすればアルトとリックが横槍なんだけどな。
数に入ってないけど、ジェファードはついてくる気満々だし。
どうあっても、一緒に行動するだろう。
しかしなぁ……
「今日は初日だし、研修も兼ねて従者としてではなく友人として同行するように」
「はっ」
固いなー。
命令として受け取った雰囲気だけど、もうこの時点から友人ぽくしてもらって良いんだけどね。
難しいか。
純粋に、最初のルークのよき理解者の彼には恩を返したいと思っているし。
もう少し、近づいてもらいたいものだけれど。
心の距離の話。
「本当に、帝国の皇子を従者にしたんだね」
リック殿下が驚いているけど、国際問題に発展したらぜひ頑張ってもらいたい。
そうはならないだろうけど。
「ならば、私にもルークの従者になる資格はあるということかな?」
アホなことを言ってないで、あっちで兄とお茶でも飲んでいたらどうだろうか?
俺も、ヘンリーもサリアも外出の準備がまだなんだけど。
ちなみに、父はアイゼン辺境伯領に朝早くに向かっていた。
ベゼル帝国のポルトガフ辺境伯と、パーティに関する打ち合わせをしないといけないから。
辺境伯に用意してもらう、食材等の相談も含め。
うちの料理長を伴って。
二人と護衛の兵が揃ってエアボードで飛び立っていったと。
料理長も乗れたのか。
母は、父の代わりに来客の対応をしている。
今回の騒動の詳細を説明しないといけない相手が、数多くいるからね。
こういった時に当事者だからと、俺やアルトを前面に出さないのはありがた……
うん、そこはかとなく冷たい空気が応接室から溢れている。
母は怒っているからな。
この国の貴族と王族のほぼ全員に対して。
特に学園で俺をいじめたり、不利益を与えた相手の親には……
へたしたら、母に付いている数少ない手勢でも率いて、攻め込みそうなほどに。
いや、母が本気で声を掛ければ、かなりの数が動員できるだろうけど。
勿論、祖父のグリッドも、祖母のカーラも怒っていたから。
うーん……
まあそんな雰囲気の応接室だから、流石のマーサも声を掛けづらかったのか。
いやリック殿下も、応接室の空気には何か感じるものがあったのかもしれない。
これほど分かりやすい冷気だ。
うん、彼の方から客室で待つと言ったのかもしれない。
応接室の扉……物理的に凍ってる気がするけど、気のせいだよね?
若干の寝不足だ。
というのも、夜中にヘンリーがいきなり起きて泣き出した。
その声で、サリアも起きてしまって。
二人そろって、夜泣きの大合唱。
5歳とはいえ、まだまだ幼児。
その状況で、別の人生の記憶をおしつけられたのだ。
精神的に不安定になっていたとしても、仕方のないことだろう。
俺の存在を確認した二人が泣きながら抱き着いてきたから、こちらも肩を抱いて背中を叩いてやった。
「おにいさま……ごめんなさい」
「おにいさま」
寝ぼけた状態で謝ってくる二人に、こっちの方が申し訳ない気持ちになる。
こういった場合は、一度しっかりと目を覚まさせた方が良い。
前世で親や祖父を体験した経験から、二人に声を掛けて一度トイレへと連れて行く。
それから暖かいミルクを、祖父の家の侍女にお願いして用意してもらった。
その際に侍女が心配して母を呼ぼうとしたのを、押しとどめる。
「子供の夜泣きには慣れてるからね。お母様も疲れているだろうし、気を遣わせたくないんだ。どうしても駄目そうならまた声を掛けるよ」
と言ったら、凄く変な顔で見られてしまった。
ちょっと、子供らしからぬ発言だとは自覚している。
ただ俺やアルトが子供っぽくないことは、彼女も重々承知しているのだろう。
何かあったらすぐに呼んでくださいといって、待機室代わりの侍女の自室に戻っていった。
再度三人でベッドに戻ると、ヘッドボードに背を預けてホットミルクを飲みながらたわいもない話をして気持ちを落ち着かせる。
起きるにはまだ早い時間だったため、童話を聞かせたあとでちょっと魔法で色々と遊んであげた。
「うわぁ、きれい」
「リーチェの村みたい」
闇の魔法でカーテンの隙間から漏れる月明りすらカットした状態で、光魔法を使って星空を再現。
そこからさらに光魔法を応用して、花火を見せてあげたり。
勿論光量は抑えてあるし、リラクゼーション効果のあるリズムで小さな音も再現してあげる。
ヘンリーもサリアも徐々に瞼が重くなってきているのが、目に見えてわかる。
だんだんと船を漕ぎ始めて、俺の肩に体重を預けてきているのを感じてようやく胸をなでおろす。
しばらく魔法を続けていると、ふと室内にふんわりとしたラベンダーの香りが漂ってくるのを感じる。
花の精霊が気を遣ってくれたのかな?
フォルスが手配してくれたのだろう。
そのおかげで、ヘンリーとサリアがしっかりと寝息を立て始めた。
そのまま二人をそっと寝かせて、自分も布団に潜り込む。
そして、そのせいで朝三人そろって、寝坊してしまった。
侍女に起こされて、慌てて着替えて食堂に向かった次第だ。
「よく眠れなかったのかな?」
「いや、逆ですよ。眠れ過ぎて、まだ眠いといいますか」
アルトに問いかけられて、思わず苦笑いで答える。
すでに朝食を終えて彼はコーヒーを飲みながら、俺たちの食事の様子を楽しそうに眺めていた。
「ヘンリーとサリアが羨ましいよ。兄も、昨日はルークと一緒に寝ようと思っていたのにな」
如何いう意味で、羨ましいのだろうか?
母の説教から一抜け出来たからではないだろうが、それも理由に含まれてそうだ。
その証拠に、父と兄と母の目の下にはうっすらと隈が出来ていた。
いつまで母の話が続いたかは知らないが、お疲れさまでしたとしか言いようがない。
「代わりに、今日は私とミラーニャの町を楽しもうじゃないか?」
「あー……えっと、でもリック殿下もこの町に来てますよね? そちらのお相手は宜しいので?」
「殿下も疲れているだろうし、今日くらいはゆっくりするんじゃないかな?」
兄よ、それはフラグというものだ。
そう思った瞬間に、ドアベルが鳴らされる。
家人の誰かがすぐに、玄関に向かっていたが。
「お坊ちゃま方! リック殿下がお見えです」
ああ、迎えに行ったのは父の乳母だったマーサか。
グリッド・ジャストール邸で侍女監査役として、特別待遇で雇われている女性。
父が頭が上がらない相手の一人だとか。
テキパキとリックを客室に案内して、アルトを急かす。
応接室は別件で使用中だから、仕方ないとはいえ。
王族を客室で待たせるのは……まあ、良いんだろうな。
先触れを出さない方が悪い。
そんなことありえるのかと思うが、友人宅に遊びに来たという感覚ならありか。
いや、周りが出させるだろう。
昨日の今日だぞ?
というか、普通なら遠慮するもんだと思うが。
ああ、昨日の出来事の事情聴取ということかもしれない。
なら、なおさら先触れをだしそうなものだが。
もしかすると先触れと一緒に来たのかもしれない。
それだと、先触れの意味がないけど。
「おにいさま! きょうはぼくも、おにいさまとあそびたいです」
うーん、ヘンリーの言葉が少し幼くなっている。
幼児に幼児返りというのはおかしな話だけど、もう少しはっきりと喋られる子だったのに。
ちょっと、女神に対する怒りが再燃してきたが、ぶつける相手がもういないからな。
いや、この世界の方の光の女神は健在だけど。
そっちにぶつけるのは、ただの八つ当たりだし。
仕方ない。
「ヘンリーずるい! わたしが、言いたかったのに!」
サリアの方は、そこまで影響がないみたいだ。
とはいえ、二人して俺にべったりだな。
しばらくは、この状況が続きそうな予感がする。
いや、それは構わないけど。
学校が始まるまでに、どうにかこのトラウマを治しておかないとな。
最悪、王都に二人を連れていくか……そうなると、もれなくキャロラインもついてくるだろう。
父が実家にいながら、単身赴任というおかしな状況になってしまう。
それはそれで、面白いけど。
「で、ジェファード殿下は、本当にその立ち位置で宜しいので?」
「ルーク様、呼び捨ててください。他の者に対する、示しがつきません」
しれっと俺の斜め後ろに立って、食事する姿を眺めているジェファードに声を掛ける。
書類を交わしてないので正式に雇用したわけではないが、すでに従者になったつもりの彼にも溜息が出る。
せっかくだから、友人枠として付き合って行っても良いかと思っているのだが。
彼にそんなつもりはサラサラないようだ。
「そうか……現状ではその扱いをすると、知っている人からするとなかなか痛みを伴う視線を浴びそうだが?」
「そのような不敬な輩は、しっかりと排除いたしますのでご安心を」
自分で加害者を作っておきながら、それらをすべて理不尽の被害者にするのはどうかと思うが。
まあ皇族だから、下々の者のことは気にしないのだろう。
立場的に、俺もその下々の者に含まれるのだが。
「じゃあ、今日は三人でお出かけしようか?」
「はい!」
「わぁ!」
これ以上ジェファードと話しても仕方ないので、喧嘩になりそうなヘンリーとサリアに笑顔で声を掛ける。
二人の花開くような笑顔に、ほっこり。
心が癒されるようだ。
「五人の間違いじゃないのかい?」
「ルーク……兄弟の中で兄だけ除け者は、本気で泣いてしまいそうだよ」
……お早いお戻りで。
本当に、リック殿下は俺たちを遊びに誘いに来ただけらしい。
厳密には俺とアルトをだけど。
あー……気を遣わせてしまったようだ。
本当なら王族として優先すべきことは色々とあるだろうが、それよりも俺とアルトの心のケアの方を優先してくれたのか。
国の一大事だったのに、その当事者としてではなく友人として何をすべきか考えてくれたのは、本当に嬉しいと感じる。
それにヘンリーとサリアがいても、問題ないようだ。
その辺の寛容さにも、頭が下がる。
色々な意味で、優秀な人だというのを改めて実感。
ただ急遽ヘンリーとサリアが参加するような雰囲気になっているけど、こっちからすればアルトとリックが横槍なんだけどな。
数に入ってないけど、ジェファードはついてくる気満々だし。
どうあっても、一緒に行動するだろう。
しかしなぁ……
「今日は初日だし、研修も兼ねて従者としてではなく友人として同行するように」
「はっ」
固いなー。
命令として受け取った雰囲気だけど、もうこの時点から友人ぽくしてもらって良いんだけどね。
難しいか。
純粋に、最初のルークのよき理解者の彼には恩を返したいと思っているし。
もう少し、近づいてもらいたいものだけれど。
心の距離の話。
「本当に、帝国の皇子を従者にしたんだね」
リック殿下が驚いているけど、国際問題に発展したらぜひ頑張ってもらいたい。
そうはならないだろうけど。
「ならば、私にもルークの従者になる資格はあるということかな?」
アホなことを言ってないで、あっちで兄とお茶でも飲んでいたらどうだろうか?
俺も、ヘンリーもサリアも外出の準備がまだなんだけど。
ちなみに、父はアイゼン辺境伯領に朝早くに向かっていた。
ベゼル帝国のポルトガフ辺境伯と、パーティに関する打ち合わせをしないといけないから。
辺境伯に用意してもらう、食材等の相談も含め。
うちの料理長を伴って。
二人と護衛の兵が揃ってエアボードで飛び立っていったと。
料理長も乗れたのか。
母は、父の代わりに来客の対応をしている。
今回の騒動の詳細を説明しないといけない相手が、数多くいるからね。
こういった時に当事者だからと、俺やアルトを前面に出さないのはありがた……
うん、そこはかとなく冷たい空気が応接室から溢れている。
母は怒っているからな。
この国の貴族と王族のほぼ全員に対して。
特に学園で俺をいじめたり、不利益を与えた相手の親には……
へたしたら、母に付いている数少ない手勢でも率いて、攻め込みそうなほどに。
いや、母が本気で声を掛ければ、かなりの数が動員できるだろうけど。
勿論、祖父のグリッドも、祖母のカーラも怒っていたから。
うーん……
まあそんな雰囲気の応接室だから、流石のマーサも声を掛けづらかったのか。
いやリック殿下も、応接室の空気には何か感じるものがあったのかもしれない。
これほど分かりやすい冷気だ。
うん、彼の方から客室で待つと言ったのかもしれない。
応接室の扉……物理的に凍ってる気がするけど、気のせいだよね?
1
お気に入りに追加
1,538
あなたにおすすめの小説
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。
次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。
時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く――
――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。
※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。
※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。

転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる