魔王となった俺を殺した元親友の王子と初恋の相手と女神がクズすぎるので復讐しようと思ったけど人生やり直したら普通に楽しかった件

へたまろ

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最終章:勇者と魔王

第15話:自分喧嘩

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「ルーク!」

 うるさい……
 年嵩の男性の声がすぐ耳元でする。
 懐かしいような、おかしいような。
 まるで自分の声を録音して聞いたような、これじゃない声……
 録音?
 知らない言葉だ……

「起きろ!」
「っ!」

 耳元で大声で怒鳴られ、慌てて目を開ける。
 だが、視界は闇に覆われている。

「まったく、よくもまあここまで拗らせたものよのう」

 その闇の中でうっすらと光を放っている人間。
 かなりの、高齢のようだ。
 白髪に、長い髭。
 濃い茶色の瞳を持つ、男性。
 見覚えがある。
 だが、思い出せない。

「はあ……わしだけが幸せになっても仕方ないと思い、なるようにと身を任せたが」

 男性が溜息を吐いて、首を横に振る。
 
「わしはお主じゃよ。今のこの姿は、第二の人生の時のものじゃな」

 そう言って指を鳴らすと、見慣れた姿に変わる。
 鏡で何度も見た、自分の姿。
 しかし、決定的に違う部分がある。
 自信に満ち溢れた表情と、全身から光を放つような力強さを感じる。
 眩しい……嫌になる。

「何を言っている? 意味が分からない」
「そうか? わしの魂の根底にある、最初の世界のお主を呼び覚ましたわけじゃが……魔王となるくらいじゃから悟りでも開いておるかと思えば、ただの拗ねていじけた子供どころかルークですらないとはのう」

 他人事だと思って、酷いことを言う。
 周り全てに嫌われて、家族を殺され、愛する人を奪われたのだ。
 人生に絶望して、何が悪い!
 そして、私がルークだ!
 この偽物め!

「黙れじじい! 人の顔で、気持ち悪い喋り方をするな!」

 思わず闇の魔法を放つ……が、魔法が発動しない。
 魔力の集束どころか、発生すらしていない。
 
「精神世界じゃからのう。現実世界のような方法で使えるものではないぞ?」

 そう言って、目の前の自分が右手から炎、左手から水を出してこっちを見て笑いかけてきた。
 嫌味か。

「なら、なんでお前は使える!」
「魔法じゃないからのう。ただのイメージじゃ」

 手に浮かべた火と水を消すと、両手を合わせて弾けるような音を鳴らす。
 次の瞬間、周囲が光に照らされて白い空間へと変わる。

「まあ、わしのことは今だけカイと呼んでもらおうか」
「誰が呼ぶか! 私を元の場所に返せ!」

 自分の姿をした相手が、別の名前を名乗る。
 頭がこんがらがってくる。
 だめだ、まともに相手にするべきじゃない。
 脳みそが腐る。

「お前のいた世界は、闇の中じゃよ。もう、存在すらしていない……時空の狭間に消えた世界じゃ」

 意味の分からないことを……
 じゃあ、私がさっきまでいた世界はなんだったというのだ。
 あれこそが、私がいた世界……じゃない。
 父や兄が生きていた。
 色々と、おかしなことが多い。
 リカルドも覚えている限り、私が知る彼よりも馬鹿っぽかった気がする。
 いや、アホっぽいか?
 
「だったらお前を殺して、自力で出てやろう!」

 剣を抜いて、正面から斬りかかる。
 完全に油断して、構えてすらいない状態。
 不意打ちとして、これ以上ないタイミングだった。

 だが、剣は彼をすりぬけた。
 いや、半身になって躱されただけか。
 いや右手で、捌かれたのか?
 何が起こったのか分からない。
 特に衝撃もなく、剣の方が彼を避けていったような感覚に陥る。

 次の瞬間脇腹に、強い衝撃を感じる。
 そのまま、吹き飛ばされた。
 何が……
 衝撃を受けた方向に、視線を向ける。
 背中で体当たりをされたのか。

「まあ、色々と思うところはあるじゃろうが、お主は残念ながらルークの別人格じゃな……ルークが自分の身と心を守るために作り出したものじゃというのが、こうして見るとよく分かる」
「私が、ルークだ!」
「いんや、お前は違う。解離性同一性障害というやつじゃな……厄介なことに、その人格が変化の特性を受けて、完全に一つの人格として成立してしまったみたいじゃが」

 解離性同一性障害……初めて聞いた言葉なのに、意味が理解できる。
 私がそれだというのか?
 それも、作られた側の人格?
 何を言っている。
 私は、生まれてからずっとルークだった!
 
「本当のルークは……消えたのか、心のさらに奥に引っ込んでおるのか。じゃが、安心した。今のルークならお主のようなものは生まれんし、最初の世界のルークも本当は優しい子じゃったのかもしれんのう」

 黙れ! 
 再度、攻撃を仕掛けようと剣を握りなおし、違和感を感じる。
 手に持っていたはずの剣が、どこにもない。

「分からん奴じゃのう。ここは、ルークの精神世界じゃ。そして……この世界の主ではないお前に、出来ることなどなにもない」

 カイが指を鳴らすと、足元から地面が崩れていく。
 慌てて魔力を練ろうとするが、形にならない。
 そのまま、成すすべもなく何もない空間に落ちていく。

「ようやく、見つけたわい」

 どれだけの時間、落ち続けたのだろうか?
 深い闇の中へと沈むように落ちた先で、蹲って膝に顔を埋めている少年が見える。
 彼の周りだけ、少しだけ明るくなっていてその姿が徐々に見えてくる。
 気に入らない。
 家族や、使用人に疎まれ心を閉ざした自分だ。
 身も心も弱かった、情けない過去の姿。
 あまりにも軟弱な姿に、吐き気すらする。

「自分を軽蔑するか……それも、一つの自我なのかもしれぬがのう」

 不意に落下する速度が弱まり、フワリと幼かったころの自分の側に降り立つ。

「ルークよ、何を泣いておる?」
「あなたは?」

 カイが声を掛けると、幼い私が顔を上げる。
 作ったようなぎこちない笑顔が、心をざわつかせる。
 少しでも人から嫌われないようにと、常にあの笑顔の仮面を張り付けていたころの自分。
 忘れたい、忌々しい記憶だ。
 私は強かったのだ。
 人に遠慮する必要など、まったくないほどに。

「お主じゃよ。寄り道して、大きく成長したのう」

 カイが優しい笑みを浮かべて、手を差し出している。
 だが、私はその手を取ることをしない。
 誰しもが、最初は笑顔で近づいてくる。
 だが、魔力もなく家族に疎まれていると知ったとたんに、掌を返したかのように見下してくる。
 そうじゃなかったのは、リーナとリカルドだけだった。
 いや、リカルドは違うな。
 違う意味で、私を見下していたのだ。
 
 困ったように笑うだけの自分を見て、思わず舌打ちをしてしまった。

「僕?」
「そうじゃ。本来の姿を取り戻した、お主じゃ。自分で言うのもなんじゃが、本当のお主は多少能天気でお節介な男じゃったようじゃのう」

 無理矢理、ルークの手を取って引き起こすカイ。
 何を見せられているんだ?
 ここでも、私は除け者にされるのか?
 自分にすら、見放されるのか……

 憎い。
 本当に最悪な世界で、最低な人生だ。

「お主には幸せになる権利がある。いや、人は誰しも最初はその資格があるのじゃ。人に迷惑を掛けぬ範囲内であればのう」

 当てつけか。
 自己満足のために、世界を滅ぼそうとした私に対する。
 だが、魔王とはそういうものだろう?
 人間は敵だ。
 その敵を滅ぼすことに、なんの問題がある。

「お主も、大人しくなったのう」
「この世界で、お前に勝てないことはよく分かったからな。力も封じられ、また魔力も封じられてしまった……酷いことをしてくれるね。トラウマを抉るような真似を平気でするなんて、本当に私なのかな?」

 思わず、皮肉が口に出る。
 だが、カイは鼻で笑うだけだ。

「お主ではないよ。わしは、こっちの幼いルークの方じゃからな?」

 私を否定するか。
 ルークですらないと言いたいのか?
 そうまでして、世界は私を拒絶するのか。
 もはや、女神なんか関係ない。
 世界の意思がそうだというのなら、私は世界の敵となることになんの抵抗もない。
 まずは、この2人を消して、私こそがルークだと証明しなければ。

「じゃが、お主を見捨てることもせんよ。せっかく生まれた人格じゃからのう。ルークのために、ルークとして矢面に立って生きてきたのも事実じゃしのう」

 それは当然だろう。
 私がルーク・フォン・ジャストールなのだから。

「まあいい、行くぞルーク」

 カイがそう言って、幼い私を連れて宙に浮く。
 ……ここでも見捨てられるのか。
 魔法も使えない私が、2人に逃げられてここから出られる術はない。
 この深い、深い闇の中で1人置き去りにされて……また、悠久の時を孤独に過ごすことになるのか。
 本当に、くだらない……

「ほれ」

 突如、私の前にも手が差し出される。
 思わず顔を上げると、満面の笑みの老人がこちらをジッと見ている。
 あまりの眩しさに、目を背けたくなるほどの屈託のない純粋な笑顔。
 
 なんだろう、その手は思わず掴んでしまいたくなるような温かみを帯びている。
 手の熱が、離れている自分の元にも届くほどに。

 引き寄せられそうになるのを、グッと耐える。
 今までだって、一人で生きてきたんだ。
 何をいまさら。

「本当に頑固じゃのう、お主らは」

 無理矢理、手を掴まれた。
 だめだ、心の中の闇が祓われるような感覚。
 まるで、カーテンの隙間から差し込む光を浴びた時のような、そんな清々しい気持ちにさせられる。

 そして、思い出した。
 母の暖かな温もりを。
 母がいたころの、父の手の温もりを。

 だが、これは私の記憶ではない。
 記憶と言うよりも、知識に近い。
 
 嫌でも、理解させられた。
 今のこの魂の主が、カイであることを。
 過去の魂の主が、あの心を閉ざした幼いルークだということを。
 私が最初からルークではなかったことを。

 なら、私は一体……

「お主も、魂の一部じゃ! グダグダ考えておらんと一緒に来んか!」

 なぜ、怒られているのだろう。
 そして、そのまま引き上げられ、混ざりあうように上空に見える小さな光に向かう。
 
 カイの記憶が、ルークの思いが、自身の行いが……全てが混ざり合っていくのを感じる。
 自分の存在感が薄れていっているはずなのに、実体を伴っていくという実感。
 相反する事象が、自然に調和されていく。
 そのこと自体が不自然なはずなのに……そして、自分が消えたのか、自分が生まれ変わったのか。
 分からぬまま、確かなことが一つだけあった。

 そうか……魔王ルークは消えたのだな。
 幼いルークも。
 いや、消えたわけじゃない。
 
 うまく統合出来たようじゃのう。
 にしても、なんとも難儀な前世どもよ。
 
 ふむ、最初の世界の記憶が、完全に自分の中にあることを感じる。
 感情のコントロールが難しいが、どうにか抑え込む。
 情緒不安定じゃな。
 強い自制心で押さえておるが、なかなか拗らせたルークも魔王ルークも人間臭い。

 今世でのルークの感情だけが、希薄になっているのを感じる。
 女神によって封じられた記憶のせいじゃろうが……

 必死に手を伸ばすアルトを見る。
 強い既視感に襲われる。
 懐かしい……
 シブーカの木に登った時も、こんなふうに必死で手を伸ばしていたな。

 思わず、その手を掴む。
 
「ルーク!」

 ああ、そうか。
 幼い頃の私の差し出した手を取った兄。
 あの時と同じような表情を浮かべた兄に、思わず目が潤みそうになる。
 立場が逆になってしまったが、私たちはこうやって手を取り合うべきだったんだ。
 さてと、あとはルークと世界に放たれた記憶の書き換えを、どうやって解除するかか……
 まだ、完ぺきではないが、少なくとも味方がいることは分かった。
 であれば、もう世界を滅ぼしたいなどと、思うことはない。

 今思うのは、女神をどうしてやろうかということだけだ。
 フォルスが苦戦しているが、どうだろう?
 今なら、私の方が強い気すらする。
 幼い頃から魔力を扱ってきた私が、魔王の力すらも取り込んだんだ。
 カイの記憶をもって。
 
 息をするように、闇の魔力を操れる。
 他の属性も……面白い。
 さてと……反撃といきますか。
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