47 / 124
第2章:王都学園編
第18話:ジーマの森で
しおりを挟む
「しかし、フォルス殿はなんというかその……」
「ふふ、ゴウエモンと言いましたか? あなたでしたら、私の力を感じることもできるでしょ……その感覚を信じても大丈夫ですよ」
「はっ、はい! そ……そうですね、私が感じているそれが事実なら……フォルス様は、このような場所にいて良い方だとは思えないのですが」
フォルスを回収してジーマの森まできたが、それまで無言だったゴウエモンが意を決してフォルスに話しかけていた。
なにやら、恐る恐るだったが。
そして、軽く会話を交わしたあとで、真剣な表情に変わっていた。
「こここそが、私の居場所ですよ。主の横である、こここそが」
「あ……主ですか。ルーク殿がですか?」
「ええ、今はまだ感じ取れないでしょうが……いずれ、名実ともに私の主となりえる方です。真なる主の弟君でもあらせられますし」
「フォ……フォルス様の主ともなると……」
なんだろう。
フォルスのことを知っているような、そんな表情だ。
「ゴウエモン。君の正体を、主に伝えても」
「はっ!」
ゴウエモンの正体?
どういうことだ?
異国の人じゃないのか?
「彼は、ワーウルフですよ。ライカンスロープやヴァラヴォルフとも言われていますが、獣人と違い変身型の人種ですね」
まじか。
全然、分からなかった。
てか、人狼で東洋系って本気で着流しに三度笠と、へし切長谷部辺りを腰に差してもらいたい。
いや仕込み杖や、仕込み刀番傘とかも、似合いそうだな。
うん、ますます欲しい。
「へえ、凄い!」
「!」
俺の正直な感想に、ゴウエモンが面食らった表情を浮かべている。
「この国の人間は、もう少し亜人には厳しいと思っていたが」
なるほど、そういえばこの国は亜人差別が根強い地域だったな。
最近でこそ、やや受け入れられる体制になりつつあるが。
俺の反応が新鮮だったのかな?
そう思うと、ちょっとおかしかった。
この強面のちょい悪イケメンが、そんなことで驚くことが。
「みたいですね。私はナンセンスだと思いますよ」
「ナンセンス?」
「人種の違いで個々人に個性があるこの世界で、毛色が違うからと争うのは馬鹿らしい。人は文明と魔法の発展を、獣人の方々は力や敏捷、嗅覚、聴覚、視覚が優れてて、ドワーフは鍛冶や酒造りを得意としている。エルフは森を守り、生活魔法が得意……ホビットは小柄ながらも力が強く、賢いものも多い。魔族の方々は強力な魔法が使える。皆が集まって手を取り合えば、きっといまよりも良い世界になると思うのですが」
ゴウエモンが俺の話を真剣な表情で聞いている。
それから、頷くとふっと優し気な笑みを浮かべた。
「我が国の老害どもに聞かせてやりたいですな。我らは武に誇りをもっておる。だからこそ、武で劣る他の人種を見下すことが多い……」
「そのような人は、どの人種にもいますよ」
それから、ゴウエモンの国の話を聞きながら森へと向かった。
なるほどどうして、日本に通ずる文化が僅かながらにある。
狼人でありながら、狐信仰もあるとのこと。
狐が神の使いで、神からのメッセージを伝える役割だという部分も似ている。
やはり、一度訪れてみたいな。
途中で魔物に襲われることもなかったので、森の手前で食事をとって予定通り昼過ぎには森に入ることができた。
道中会話が盛り上がったこともあり、感覚的には早く感じたかな?
「で、ミシアの葉はどこにあるんだろう」
「森の奥の方ですね。割と大きな木だから見つけるのは難しくないが……厄介な魔物も多い」
「奥に行くほど、魔物の数が増えてますね……と、忘れていませんか?」
俺の質問にゴウエモンが簡単に答えてくれたが、森の奥には厄介な魔物がいるのか。
厄介てどの程度の話かな?
「魔物の存在ですか?」
「はぁ……」
俺の言葉に、ゴウエモンが溜息を吐く。
「本当にピクニック気分ですね。彼女の父親も見つけ出さないと」
ジャストール近辺で俺が狩っていた魔物と比べてどうなんだろうと考えていたが、ゴウエモンの言葉で現実に引き戻される。
そういえば、要救助者も1名いるかもしれないんだったな。
「そっちは気にしなくていい……すでに、森の中ほどで見つけてある。眠らせて結界の内に入れてあるから、葉っぱを採ったあとでゆっくりと回収しましょう」
フォルス……いや、まあ彼なりに配慮した結果なのだろうけど。
救助方法が雑としか。
ほら、ゴウエモンが呆れたような表情になっているぞ?
「それはそうと気配探知が使えるんですね……いえ、当然ですね。それで、魔物の強さとかも分かったりしますか?」
少しして考えることを放棄したゴウエモンが、フォルスに話しかけていた。
ゴウエモンはフォルスに気を遣い過ぎな気がする。
いまは、俺の専属執事で従者にしかすぎないのに。
自然と俺に対する対応も、丁寧なものになっている。
もう少し、フランクに接してもらいたいのだが。
そして、彼女の父親に対する興味もその程度に掠れるほどに、フォルスの存在が衝撃的だったようだ。
「すまない。強さと言われても子犬と子狼程度の差にしか、私は感じられないので」
「……ですか」
えらく、可愛らしい例えだけど、それはフォルスにとってってことかな?
人からしたら、どのくらい違うのか分からないな。
森に入ってすぐに狼の群れが現れたが、ゴウエモンさんを確認して耳をペタリと寝かせて頭を下げて、森の奥に戻っていったし。
「まあ、魔狼系は私がいる限りは、襲ってきませんね。彼らは上下関係にうるさく、我らワーウルフは狼からすればかなりの上位者なので」
「そっか……とりあえず、少し進むのが楽になりそうですね」
なんて言っていたのも束の間。
すぐに、大きな顎を持った百足に襲われた。
「虫は力量差を考えないですから」
すぐに、ゴウエモンに切り裂かれていたけど。
強いな。
あの硬い外皮を、一振りで斬り飛ばすとは。
直剣だけど、それなりの業物なのだろう。
うん、ジャストールで刀の生産も視野にいれよう。
斬る、突くに特化した剣だな。
「それに、森でのピクニックに虫はつきものですからね」
「そうですね」
本当に、冗談めかしてゴウエモンの言った通り、襲ってくるのは虫系の魔物ばかりだな。
毒持ちが多くて厄介ではあるみたいだが、3人とも状態異常にはそれなり以上に耐性がある。
神であるフォルスにまず毒が効くはずもないし、俺は言わずもがな森に入ってからずっと魔力武装を纏っている。
治癒と解毒を上乗せすれば、少々のことでは大事にいたらないだろう。
そして、ゴウエモンは種族特性だな。
人型の状態であれば多少は毒を受けることもあるらしいが、変身すればほぼ瞬時に解毒できるらしい。
「そろそろ、魔物の生態が変わってきます。気を付けてください」
「へえ、やっぱり奥に行くほど、強くなるんですね」
「まあ、某かフォレス様の傍にいらっしゃれば、大丈夫かと」
そんな会話をしていると、森の奥から何かが走ってくる音が聞こえてくる。
この広大な森で、歩けばすぐに魔物にぶつかるとか。
どれだけ、魔物が多いんだ。
日本の田舎の森でも、入ったからといって必ず野生動物を見られるというわけじゃないのに。
そんなことを思っていたけど、本当に可愛くない足音だ。
メキメキと木をへし折って、こっちに向かっているのが分かる。
「何かから逃げているようですね。道の脇にそれればやり過ごせそうですが」
やり過ごせるなら、やり過ごした方がいいかな?
フォルスの言葉にうなずいて、茂みの中へと3人で潜む……必要は無かった。
道の脇にそれて、フォルスが隠ぺい魔法を掛けてくれた。
茂みの中に入って、あまり汚れたくなかったのだろう。
そもそも、フォルスからすれば隠れるまでもない相手なのだろうが。
俺たちの目の前をでかい、猪が目の前を通り過ぎていく。
背中にはゴブリンが数匹張り付いていた。
そして、後ろも何匹かのゴブリンが追いかけている。
凶悪な面をしてるな……俺の知ってるゴブリンと少し様子が違うが。
チラリとゴウエモンの方に目をやる。
「レッドキャップスか……」
「レッドキャップス?」
ゴウエモンさんが、少し嫌そうな表情を浮かべている。
「ゴブリンの中でも特に残虐な種族です。血を好み、いたずらに生物の命を奪うことも珍しくない、所謂害獣ですね」
そうか……強いのかな?
見た感じ、普通のゴブリンよりは強そうとしか感じないが。
「膂力自体はゴブリンと変わりませんが、素早さは遥かに上をいってますね。そして、知性も高く狡猾です。集団戦が得意で、数が増えるほど普通のゴブリンとの力の差は広がっていきます」
ちょっと、厄介なゴブリン程度かな?
「単体なら、新人でも狩れないことはないでしょうが、2匹いると新人が4人でも対処が難しいかと。3匹以上いるとC級以上のパーティ……10匹を超える群れともなるとC級上位が最低でも、相手の数の半分はいりますね」
なるほど。
いまここにいるのは、3人だから……で、あの猪に向かって行ってたのが8匹だから。
相手するのは厳しいかな?
「できれば、間引いておきたいところですが……」
ゴウエモンが俺とフォルスを見る。
フォルスは手伝う気はなさそうだな。
俺を見たゴウエモンが溜息を吐く。
「今回は見過ごすしかないですね」
「無理をしても、意味がないですからね……かなり離れたところに巣というか、村みたいなのがありますが」
「……ルーク様も気配探知が使えたんですか? だったら、村には近づかないルートで……」
「少しは間引いた方が良いんですよね?」
俺の言葉に、ゴウエモンが困ったような表情を浮かべる。
「まあ、奴らは人を襲うことも多いですから。森から出て、女性を攫うこともありますし」
「女性を攫う? 繁殖用にですか?」
「いえ、ただの慰み者ですよ……さんざん遊んだあとで、切り刻んでその生き血をすするのです。男は少しずつ素手で痛めつけて、なぶり殺しにすることが多いです。聞いた話だと、うまく手加減して、殺した奴が負けみたいなゲームをしているようだとか……」
うん、害獣どころの騒ぎじゃない。
凶悪な猟奇殺人集団じゃないかそれは。
ゴブリンが亜人か魔物かみたいな議論もあるが、どっちでもいい。
そんな集団は殲滅するしかないだろう。
「じゃあ、やっぱり間引くどころか、殲滅する方がいいですね」
「そうなのですが、奴らは集団戦を得意としておりまして……連携を取られるとなかなか対処が難しんですよ。下手に手を出したら、こちらが全滅する……ことは無さそうですが」
ゴウエモンが悔しそうにしているが、俺なら簡単にできそうだな。
そして、フォルスをチラリと見て、なんとかなりそうだと考えているのも分かる。
ただ、フォルスにどうやって協力してもらえばいいかが、分からないって顔だな。
頼み事するのも、気が引けるような存在に思えているのか。
間違いないけど。
「まあ、できることだけしましょうか」
「そうですね。それが冒険者としての長生きの秘訣です」
俺が諦めたと思ったのだろう。
ゴウエモンは苦笑いしながら、先へ進もうとする。
いや、出来ることならいっぱいあるんだけど?
流石フォルスは、俺が何かすると思ったのか横で楽しそうに見えているが。
ゴウエモンはちょっと、待とうか?
「ルーク様?」
「よっと……」
こっちは息をするように魔法が使えるからな。
魔力を大量のファイアーランスに変質させて、上空へと打ち上げる。
大体数にして、100発ほど。
それから集落に向かって、全て放つ
遠くから、爆音が聞こえてきた。
「む……無詠唱……というか、そういう次元の数じゃない……」
ゴウエモンの顔が少し青いけど、大丈夫かな?
ゴブリンの方は……うーん、3分の1くらい生き残ってるな。
大体、残りは40匹くらいか。
「お見事です」
フォルスが誉めてくれるが、俺は納得いってない。
もう少し倒せるかと思ったのに。
「いや、80匹しか駆除できなかった……40匹くらいは……混乱しているな。もう一回打ち込むか? しかし、走り回っているのに当てるのは、少し骨だな」
「えっ? あ……ルーク様は、剣士や騎士では?」
「うん? 私は魔法職だよ?」
俺の言葉に、ゴウエモンが口を大きく開けている。
なるほど、犬歯が狂暴な形をしている。
ワーウルフというのは、本当だったのか。
「こっちの方がよかったか……」
「な、なにを」
俺が地面に手を付けるのをみて、ゴウエモンが心配そうな表情を浮かべている。
何を心配しているのか知らないが、そんな大したことをするつもりはない。
「いや、集落に100本ほど、アースニードルを打ち込んだ。これで残りは10匹だが……土の棘に阻まれて身動きが取れなくなっている……放っておいても死ぬだろうが、ダメ押しをいっとくか」
「今度は?」
「アースニードルを全て砕いて、ストーンショットを放っただけだ。うん、最後の一匹がいま死んだな」
「……」
「いや、嘘だ」
「からかったのですか?」
俺の言葉に、ゴウエモンが眉を寄せつつもため息を吐いている。
最後の一匹というのが嘘だっただけで、冗談を言ったつもりもからかったつもりもないのだが。
「まだ、集落の外に20匹ほど残っているな……先の8匹と同様に狩りに出てた連中か」
「そ……そういう意味ですか」
「で、もれなくこっちに向かってきているが」
いうよりもはやく、茂みからまずは8匹のレッドキャップスが飛び込んできた。
目を血走らせ、手に持ったナイフを光らせながら。
飛び掛かってきたのは悪手だったな。
狡猾だと聞いていたんだがな。
俺はそのまま魔力をウィンドカッターへと変質させて、レッドキャップスの方へと飛ばすと、もれなく首を切り飛ばすことができた。
流石に視認した状態だと、問題ないな。
これ、まともに対峙しても、負ける気がしない。
アルトでも、どうにかできるだろう。
ゴウエモンの方に振り返ると、次の団体がすぐそばに迫っているところだった。
うん、この距離ならこっちもいけそうだ。
念のために、クイックを使ってと……
「ゴウエモン先生、しゃがんで」
「大丈夫ですよ、もう殺してます」
反対側から来た12匹もすでに森から飛び出してきたので振り返ると、ちょうどゴウエモンの背後に1匹迫っていた。
すぐに、同じようにウィンドカッターを放とうとしたら、ゴウエモンが落ち着いた様子で微笑んでいる。
「お見事」
次の瞬間、レッドキャップスが2匹ほどゴウエモンに斬りつけて、追い越してきたが。
2匹とも着地した瞬間に、不自然に足を滑らせて倒れていった。
そして攻撃されたはずの彼は、微動だにしていない。
自身の時間速度を3倍にしていたおかげで、かろうじて捉えることができたが。
アルトには劣るが、それに近い速さでゴウエモンが斬撃を放っていた。
見れば2匹とも腕と足がなくなっており、すぐそばでは足首から下だけが地面に立っている状態。
まさか着地で足を滑らせたわけじゃなく、斬られていたのか。
そして、首ではなく、顔が上あごから上の部分で斬り飛ばされていたのには驚いた。
硬い頭骨ごと、斬ったのか?
膂力もアルトに近いものがありそうだな。
そしてその光景に、残りの10匹のレッドキャップスが足を止めた。
そのまま動かないレッドキャップスの群れに、俺は思わず息をのんだ。
すでに、全員が絶命している。
表情も普通というか、凶悪な表情そのままに。
流石に、今回は目でとらえることすらできなかった。
どんだ、隠し玉をもっているようだ。
思わずゴウエモンの方を見たら、彼も驚いていた。
お前じゃないのかよ。
フォルスの方を見る。
微笑んでいた。
お前かよ!
「私だけ、見せ場がないのもと思いまして」
そう言って、フォルスが手を振ると、そよ風が通り抜けた。
お前闇の神だろう……そんな風の神様みたいことしなくても。
そして、レッドキャップスたちが、糸の切れた操り人形のようにその場に崩れ落ちる。
「主を不快にさせたので少しは反省させようかと思ったのですが、嬲るのは性に合わないので命だけ刈り取っておきました」
怖いよ。
その、一瞬で命を刈り取るのが優しさだとでもいわんばかりの、慈愛に満ちた表情が余計に。
なんだろう、神としては当然の感覚なのだろうか。
「ルーク様が心配でついてきたのですが……ただの、お節介だったみたいですね」
ゴウエモンがガックリと肩を落としていたので、その肩を優しくたたく。
「私もお節介で森の奥に、葉っぱを取りに来ただけですから……それに、いろんな話が聞けて、楽しいですよ?」
「まさか、冗談じゃなく本当にピクニック気分なのですね」
大きくため息を吐くゴウエモンに、思わず苦笑いしてしまった。
フォルスが、なぜ頷いているのかが分からないけど。
「ふふ、ゴウエモンと言いましたか? あなたでしたら、私の力を感じることもできるでしょ……その感覚を信じても大丈夫ですよ」
「はっ、はい! そ……そうですね、私が感じているそれが事実なら……フォルス様は、このような場所にいて良い方だとは思えないのですが」
フォルスを回収してジーマの森まできたが、それまで無言だったゴウエモンが意を決してフォルスに話しかけていた。
なにやら、恐る恐るだったが。
そして、軽く会話を交わしたあとで、真剣な表情に変わっていた。
「こここそが、私の居場所ですよ。主の横である、こここそが」
「あ……主ですか。ルーク殿がですか?」
「ええ、今はまだ感じ取れないでしょうが……いずれ、名実ともに私の主となりえる方です。真なる主の弟君でもあらせられますし」
「フォ……フォルス様の主ともなると……」
なんだろう。
フォルスのことを知っているような、そんな表情だ。
「ゴウエモン。君の正体を、主に伝えても」
「はっ!」
ゴウエモンの正体?
どういうことだ?
異国の人じゃないのか?
「彼は、ワーウルフですよ。ライカンスロープやヴァラヴォルフとも言われていますが、獣人と違い変身型の人種ですね」
まじか。
全然、分からなかった。
てか、人狼で東洋系って本気で着流しに三度笠と、へし切長谷部辺りを腰に差してもらいたい。
いや仕込み杖や、仕込み刀番傘とかも、似合いそうだな。
うん、ますます欲しい。
「へえ、凄い!」
「!」
俺の正直な感想に、ゴウエモンが面食らった表情を浮かべている。
「この国の人間は、もう少し亜人には厳しいと思っていたが」
なるほど、そういえばこの国は亜人差別が根強い地域だったな。
最近でこそ、やや受け入れられる体制になりつつあるが。
俺の反応が新鮮だったのかな?
そう思うと、ちょっとおかしかった。
この強面のちょい悪イケメンが、そんなことで驚くことが。
「みたいですね。私はナンセンスだと思いますよ」
「ナンセンス?」
「人種の違いで個々人に個性があるこの世界で、毛色が違うからと争うのは馬鹿らしい。人は文明と魔法の発展を、獣人の方々は力や敏捷、嗅覚、聴覚、視覚が優れてて、ドワーフは鍛冶や酒造りを得意としている。エルフは森を守り、生活魔法が得意……ホビットは小柄ながらも力が強く、賢いものも多い。魔族の方々は強力な魔法が使える。皆が集まって手を取り合えば、きっといまよりも良い世界になると思うのですが」
ゴウエモンが俺の話を真剣な表情で聞いている。
それから、頷くとふっと優し気な笑みを浮かべた。
「我が国の老害どもに聞かせてやりたいですな。我らは武に誇りをもっておる。だからこそ、武で劣る他の人種を見下すことが多い……」
「そのような人は、どの人種にもいますよ」
それから、ゴウエモンの国の話を聞きながら森へと向かった。
なるほどどうして、日本に通ずる文化が僅かながらにある。
狼人でありながら、狐信仰もあるとのこと。
狐が神の使いで、神からのメッセージを伝える役割だという部分も似ている。
やはり、一度訪れてみたいな。
途中で魔物に襲われることもなかったので、森の手前で食事をとって予定通り昼過ぎには森に入ることができた。
道中会話が盛り上がったこともあり、感覚的には早く感じたかな?
「で、ミシアの葉はどこにあるんだろう」
「森の奥の方ですね。割と大きな木だから見つけるのは難しくないが……厄介な魔物も多い」
「奥に行くほど、魔物の数が増えてますね……と、忘れていませんか?」
俺の質問にゴウエモンが簡単に答えてくれたが、森の奥には厄介な魔物がいるのか。
厄介てどの程度の話かな?
「魔物の存在ですか?」
「はぁ……」
俺の言葉に、ゴウエモンが溜息を吐く。
「本当にピクニック気分ですね。彼女の父親も見つけ出さないと」
ジャストール近辺で俺が狩っていた魔物と比べてどうなんだろうと考えていたが、ゴウエモンの言葉で現実に引き戻される。
そういえば、要救助者も1名いるかもしれないんだったな。
「そっちは気にしなくていい……すでに、森の中ほどで見つけてある。眠らせて結界の内に入れてあるから、葉っぱを採ったあとでゆっくりと回収しましょう」
フォルス……いや、まあ彼なりに配慮した結果なのだろうけど。
救助方法が雑としか。
ほら、ゴウエモンが呆れたような表情になっているぞ?
「それはそうと気配探知が使えるんですね……いえ、当然ですね。それで、魔物の強さとかも分かったりしますか?」
少しして考えることを放棄したゴウエモンが、フォルスに話しかけていた。
ゴウエモンはフォルスに気を遣い過ぎな気がする。
いまは、俺の専属執事で従者にしかすぎないのに。
自然と俺に対する対応も、丁寧なものになっている。
もう少し、フランクに接してもらいたいのだが。
そして、彼女の父親に対する興味もその程度に掠れるほどに、フォルスの存在が衝撃的だったようだ。
「すまない。強さと言われても子犬と子狼程度の差にしか、私は感じられないので」
「……ですか」
えらく、可愛らしい例えだけど、それはフォルスにとってってことかな?
人からしたら、どのくらい違うのか分からないな。
森に入ってすぐに狼の群れが現れたが、ゴウエモンさんを確認して耳をペタリと寝かせて頭を下げて、森の奥に戻っていったし。
「まあ、魔狼系は私がいる限りは、襲ってきませんね。彼らは上下関係にうるさく、我らワーウルフは狼からすればかなりの上位者なので」
「そっか……とりあえず、少し進むのが楽になりそうですね」
なんて言っていたのも束の間。
すぐに、大きな顎を持った百足に襲われた。
「虫は力量差を考えないですから」
すぐに、ゴウエモンに切り裂かれていたけど。
強いな。
あの硬い外皮を、一振りで斬り飛ばすとは。
直剣だけど、それなりの業物なのだろう。
うん、ジャストールで刀の生産も視野にいれよう。
斬る、突くに特化した剣だな。
「それに、森でのピクニックに虫はつきものですからね」
「そうですね」
本当に、冗談めかしてゴウエモンの言った通り、襲ってくるのは虫系の魔物ばかりだな。
毒持ちが多くて厄介ではあるみたいだが、3人とも状態異常にはそれなり以上に耐性がある。
神であるフォルスにまず毒が効くはずもないし、俺は言わずもがな森に入ってからずっと魔力武装を纏っている。
治癒と解毒を上乗せすれば、少々のことでは大事にいたらないだろう。
そして、ゴウエモンは種族特性だな。
人型の状態であれば多少は毒を受けることもあるらしいが、変身すればほぼ瞬時に解毒できるらしい。
「そろそろ、魔物の生態が変わってきます。気を付けてください」
「へえ、やっぱり奥に行くほど、強くなるんですね」
「まあ、某かフォレス様の傍にいらっしゃれば、大丈夫かと」
そんな会話をしていると、森の奥から何かが走ってくる音が聞こえてくる。
この広大な森で、歩けばすぐに魔物にぶつかるとか。
どれだけ、魔物が多いんだ。
日本の田舎の森でも、入ったからといって必ず野生動物を見られるというわけじゃないのに。
そんなことを思っていたけど、本当に可愛くない足音だ。
メキメキと木をへし折って、こっちに向かっているのが分かる。
「何かから逃げているようですね。道の脇にそれればやり過ごせそうですが」
やり過ごせるなら、やり過ごした方がいいかな?
フォルスの言葉にうなずいて、茂みの中へと3人で潜む……必要は無かった。
道の脇にそれて、フォルスが隠ぺい魔法を掛けてくれた。
茂みの中に入って、あまり汚れたくなかったのだろう。
そもそも、フォルスからすれば隠れるまでもない相手なのだろうが。
俺たちの目の前をでかい、猪が目の前を通り過ぎていく。
背中にはゴブリンが数匹張り付いていた。
そして、後ろも何匹かのゴブリンが追いかけている。
凶悪な面をしてるな……俺の知ってるゴブリンと少し様子が違うが。
チラリとゴウエモンの方に目をやる。
「レッドキャップスか……」
「レッドキャップス?」
ゴウエモンさんが、少し嫌そうな表情を浮かべている。
「ゴブリンの中でも特に残虐な種族です。血を好み、いたずらに生物の命を奪うことも珍しくない、所謂害獣ですね」
そうか……強いのかな?
見た感じ、普通のゴブリンよりは強そうとしか感じないが。
「膂力自体はゴブリンと変わりませんが、素早さは遥かに上をいってますね。そして、知性も高く狡猾です。集団戦が得意で、数が増えるほど普通のゴブリンとの力の差は広がっていきます」
ちょっと、厄介なゴブリン程度かな?
「単体なら、新人でも狩れないことはないでしょうが、2匹いると新人が4人でも対処が難しいかと。3匹以上いるとC級以上のパーティ……10匹を超える群れともなるとC級上位が最低でも、相手の数の半分はいりますね」
なるほど。
いまここにいるのは、3人だから……で、あの猪に向かって行ってたのが8匹だから。
相手するのは厳しいかな?
「できれば、間引いておきたいところですが……」
ゴウエモンが俺とフォルスを見る。
フォルスは手伝う気はなさそうだな。
俺を見たゴウエモンが溜息を吐く。
「今回は見過ごすしかないですね」
「無理をしても、意味がないですからね……かなり離れたところに巣というか、村みたいなのがありますが」
「……ルーク様も気配探知が使えたんですか? だったら、村には近づかないルートで……」
「少しは間引いた方が良いんですよね?」
俺の言葉に、ゴウエモンが困ったような表情を浮かべる。
「まあ、奴らは人を襲うことも多いですから。森から出て、女性を攫うこともありますし」
「女性を攫う? 繁殖用にですか?」
「いえ、ただの慰み者ですよ……さんざん遊んだあとで、切り刻んでその生き血をすするのです。男は少しずつ素手で痛めつけて、なぶり殺しにすることが多いです。聞いた話だと、うまく手加減して、殺した奴が負けみたいなゲームをしているようだとか……」
うん、害獣どころの騒ぎじゃない。
凶悪な猟奇殺人集団じゃないかそれは。
ゴブリンが亜人か魔物かみたいな議論もあるが、どっちでもいい。
そんな集団は殲滅するしかないだろう。
「じゃあ、やっぱり間引くどころか、殲滅する方がいいですね」
「そうなのですが、奴らは集団戦を得意としておりまして……連携を取られるとなかなか対処が難しんですよ。下手に手を出したら、こちらが全滅する……ことは無さそうですが」
ゴウエモンが悔しそうにしているが、俺なら簡単にできそうだな。
そして、フォルスをチラリと見て、なんとかなりそうだと考えているのも分かる。
ただ、フォルスにどうやって協力してもらえばいいかが、分からないって顔だな。
頼み事するのも、気が引けるような存在に思えているのか。
間違いないけど。
「まあ、できることだけしましょうか」
「そうですね。それが冒険者としての長生きの秘訣です」
俺が諦めたと思ったのだろう。
ゴウエモンは苦笑いしながら、先へ進もうとする。
いや、出来ることならいっぱいあるんだけど?
流石フォルスは、俺が何かすると思ったのか横で楽しそうに見えているが。
ゴウエモンはちょっと、待とうか?
「ルーク様?」
「よっと……」
こっちは息をするように魔法が使えるからな。
魔力を大量のファイアーランスに変質させて、上空へと打ち上げる。
大体数にして、100発ほど。
それから集落に向かって、全て放つ
遠くから、爆音が聞こえてきた。
「む……無詠唱……というか、そういう次元の数じゃない……」
ゴウエモンの顔が少し青いけど、大丈夫かな?
ゴブリンの方は……うーん、3分の1くらい生き残ってるな。
大体、残りは40匹くらいか。
「お見事です」
フォルスが誉めてくれるが、俺は納得いってない。
もう少し倒せるかと思ったのに。
「いや、80匹しか駆除できなかった……40匹くらいは……混乱しているな。もう一回打ち込むか? しかし、走り回っているのに当てるのは、少し骨だな」
「えっ? あ……ルーク様は、剣士や騎士では?」
「うん? 私は魔法職だよ?」
俺の言葉に、ゴウエモンが口を大きく開けている。
なるほど、犬歯が狂暴な形をしている。
ワーウルフというのは、本当だったのか。
「こっちの方がよかったか……」
「な、なにを」
俺が地面に手を付けるのをみて、ゴウエモンが心配そうな表情を浮かべている。
何を心配しているのか知らないが、そんな大したことをするつもりはない。
「いや、集落に100本ほど、アースニードルを打ち込んだ。これで残りは10匹だが……土の棘に阻まれて身動きが取れなくなっている……放っておいても死ぬだろうが、ダメ押しをいっとくか」
「今度は?」
「アースニードルを全て砕いて、ストーンショットを放っただけだ。うん、最後の一匹がいま死んだな」
「……」
「いや、嘘だ」
「からかったのですか?」
俺の言葉に、ゴウエモンが眉を寄せつつもため息を吐いている。
最後の一匹というのが嘘だっただけで、冗談を言ったつもりもからかったつもりもないのだが。
「まだ、集落の外に20匹ほど残っているな……先の8匹と同様に狩りに出てた連中か」
「そ……そういう意味ですか」
「で、もれなくこっちに向かってきているが」
いうよりもはやく、茂みからまずは8匹のレッドキャップスが飛び込んできた。
目を血走らせ、手に持ったナイフを光らせながら。
飛び掛かってきたのは悪手だったな。
狡猾だと聞いていたんだがな。
俺はそのまま魔力をウィンドカッターへと変質させて、レッドキャップスの方へと飛ばすと、もれなく首を切り飛ばすことができた。
流石に視認した状態だと、問題ないな。
これ、まともに対峙しても、負ける気がしない。
アルトでも、どうにかできるだろう。
ゴウエモンの方に振り返ると、次の団体がすぐそばに迫っているところだった。
うん、この距離ならこっちもいけそうだ。
念のために、クイックを使ってと……
「ゴウエモン先生、しゃがんで」
「大丈夫ですよ、もう殺してます」
反対側から来た12匹もすでに森から飛び出してきたので振り返ると、ちょうどゴウエモンの背後に1匹迫っていた。
すぐに、同じようにウィンドカッターを放とうとしたら、ゴウエモンが落ち着いた様子で微笑んでいる。
「お見事」
次の瞬間、レッドキャップスが2匹ほどゴウエモンに斬りつけて、追い越してきたが。
2匹とも着地した瞬間に、不自然に足を滑らせて倒れていった。
そして攻撃されたはずの彼は、微動だにしていない。
自身の時間速度を3倍にしていたおかげで、かろうじて捉えることができたが。
アルトには劣るが、それに近い速さでゴウエモンが斬撃を放っていた。
見れば2匹とも腕と足がなくなっており、すぐそばでは足首から下だけが地面に立っている状態。
まさか着地で足を滑らせたわけじゃなく、斬られていたのか。
そして、首ではなく、顔が上あごから上の部分で斬り飛ばされていたのには驚いた。
硬い頭骨ごと、斬ったのか?
膂力もアルトに近いものがありそうだな。
そしてその光景に、残りの10匹のレッドキャップスが足を止めた。
そのまま動かないレッドキャップスの群れに、俺は思わず息をのんだ。
すでに、全員が絶命している。
表情も普通というか、凶悪な表情そのままに。
流石に、今回は目でとらえることすらできなかった。
どんだ、隠し玉をもっているようだ。
思わずゴウエモンの方を見たら、彼も驚いていた。
お前じゃないのかよ。
フォルスの方を見る。
微笑んでいた。
お前かよ!
「私だけ、見せ場がないのもと思いまして」
そう言って、フォルスが手を振ると、そよ風が通り抜けた。
お前闇の神だろう……そんな風の神様みたいことしなくても。
そして、レッドキャップスたちが、糸の切れた操り人形のようにその場に崩れ落ちる。
「主を不快にさせたので少しは反省させようかと思ったのですが、嬲るのは性に合わないので命だけ刈り取っておきました」
怖いよ。
その、一瞬で命を刈り取るのが優しさだとでもいわんばかりの、慈愛に満ちた表情が余計に。
なんだろう、神としては当然の感覚なのだろうか。
「ルーク様が心配でついてきたのですが……ただの、お節介だったみたいですね」
ゴウエモンがガックリと肩を落としていたので、その肩を優しくたたく。
「私もお節介で森の奥に、葉っぱを取りに来ただけですから……それに、いろんな話が聞けて、楽しいですよ?」
「まさか、冗談じゃなく本当にピクニック気分なのですね」
大きくため息を吐くゴウエモンに、思わず苦笑いしてしまった。
フォルスが、なぜ頷いているのかが分からないけど。
2
お気に入りに追加
1,538
あなたにおすすめの小説
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。
次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。
時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く――
――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。
※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。
※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。

転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる