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第1章:ジャストール編
第2話:マーケスト転生? 再誕?
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「旦那様、立派な男の子です」
「ただ、これは……魔力量が桁外れすぎます」
「このままじゃ、暴発します!」
「くっ、キャロライン耐えてくれ。ここは、わしが抑える! すぐに魔法を使えるものを集めろ」
瞼が開かない。
何も見えないけど、周りが騒々しいことだけはわかる。
魔力……
魔力と言っておるな?
邪神にこの世界に連れてこられたのじゃが、本来の人生をやり直すとかなんとか。
『おい、カイ! 魔力を抑えよ』
邪神がわしの脳内に直接語り掛けてくる。
『身体の中心に何か違和感がないか? なんか、感じるものがあるであろう? ほれ、何度も体験させてやったあれじゃ!』
いわれてみれば、ポカポカと温かいなにかが。
いや、熱い?
うむ、徐々に熱を増していってる感じか。
「くっ、まずいオーバーヒートが始まった」
「旦那様!」
「すぐに手伝ってくれ」
周囲にドタドタと人が集まってくる。
「その前に浄化をかけないと、おぼっちゃまに変な病気が」
「それどころではないだろう!」
女性の焦った声に対して、旦那様と呼ばれた男性が怒鳴りつけているのが聞こえてきた。
一大事であるのかもしれぬが、女性としては気になるものかもしれない。
新生児に対して、外から人が何人も近づいてくる。
気が気でないのも納得できる。
しかし、生命の危機でもあるわけだし。
『ほれ、意識すれば動かせるであろう?』
邪神の声に言われて、なんなくその熱を帯びたものに意識を集中させる。
なんじゃろうな、身体の一部のように動かせる気がしてきた。
いけるな。
わしの意識に合わせて、プルプルと揺れるように動いてるのが分かる。
『まずは熱を増しながら膨張しているそれを、その状態で留めるのだ』
とりあえず、これ以上膨らまぬようにギュッと押さえつけてみるか。
うむ、問題なくできてる気がするな。
「膨張が止まった? 今がチャンスだ!」
「魔力を封じましょう」
「くっ、それしか方法がないか」
周りにも伝わったようだ。
その反応で、わしの試みが成功したことが分かる。
で、この後はいかすれば……
『すぐに、そのまま抑え込んで小さくし……なんだ、理解が早いではないか』
邪神に言われるより先に、その塊を小さくするよう意識する。
熱も冷ますようなイメージで。
だてに年は食っておらんよ。
『この世界では、まだ0歳だぞ?』
そうか、そうなのか。
まあ、前世でずっとその話は聞いてきたからな。
「まってください、魔力が収縮を始めました」
「ばかな、この大きな魔力だぞ? いまこうやって、わしらが留められているのですら奇跡だというのに」
「熱も引いていきます」
「これは……お坊ちゃまが操作している?」
「ありえぬ……いや、うちの子は、天才か!」
わからんが、これでいいようじゃ。
それにしても、父親と思われる男性はなんというか……良い親になりそうじゃな。
『ふむ、これまでに話してこなかった詳しいことはまた後程語るとして……フリだけでも泣いておいた方がいいのではないか?』
また、意味の分からぬことを。
ふむ、確かに言われたとおりに泣いた方がいいかもしれんな。
「しかし、おぼっちゃまが産声を上げておりません」
「なっ、もしかして……」
「なんとしても……ぬっ、まだ息はあるぞ!」
産声が聞こえないと、それは不安じゃろう。
目もあけることもできぬし、とりあえず手を動かしてみようと思うが気付かれるかもわからぬしな。
『お前は、いま赤子としてここに誕生したのだ! 赤子のフリをせよと言っておるのだ』
もう理解しておるよ。
ちょっとは、考える時間をくれてもよかろうに。
せっかちな奴じゃ。
「お父様?」
「……」
わしの発した声に、周囲が静寂に包まれるのが分かる。
とりあえず、語り掛けてみたが。
『ばか! いきなりしゃべる赤子がおるか!』
わかっておる。
まあ、ちょっと試しただけじゃ。
「産声でしょうか?」
「何を言ったかは分らんが、何か意味のある言葉だったような。わしのことを呼んだような」
「ええ……と」
ん? どういうことだ?
向こうの言ってることは分かるが、こっちの言葉は伝わらぬようだ。
『あれだ、周囲の言葉を理解できるように直接言葉に乗せた意思をイメージとして受け取れるようにしてやったのだ。まあ、カイがしゃべる分に関してはこれから覚えていってくれ』
そう言ってきた邪神が、ポツリと言葉をしゃべられるようにしておかなくてよかったと言っていた。
なるほど、挑戦状じゃな?
「パパ?」
「……そうだが?」
パパは通じるのか。
うむ、よかった。
一発で、言葉によるコミュニケーションに成功してやったぞ?
『よくはないだろう、よくは……』
目が開けられないので、何が起こっているかわからぬが屋敷が上に下にの大騒ぎだったことだけは分かった。
うむ……こんにちは赤ちゃん。
私が……なんだ?
「ただ、これは……魔力量が桁外れすぎます」
「このままじゃ、暴発します!」
「くっ、キャロライン耐えてくれ。ここは、わしが抑える! すぐに魔法を使えるものを集めろ」
瞼が開かない。
何も見えないけど、周りが騒々しいことだけはわかる。
魔力……
魔力と言っておるな?
邪神にこの世界に連れてこられたのじゃが、本来の人生をやり直すとかなんとか。
『おい、カイ! 魔力を抑えよ』
邪神がわしの脳内に直接語り掛けてくる。
『身体の中心に何か違和感がないか? なんか、感じるものがあるであろう? ほれ、何度も体験させてやったあれじゃ!』
いわれてみれば、ポカポカと温かいなにかが。
いや、熱い?
うむ、徐々に熱を増していってる感じか。
「くっ、まずいオーバーヒートが始まった」
「旦那様!」
「すぐに手伝ってくれ」
周囲にドタドタと人が集まってくる。
「その前に浄化をかけないと、おぼっちゃまに変な病気が」
「それどころではないだろう!」
女性の焦った声に対して、旦那様と呼ばれた男性が怒鳴りつけているのが聞こえてきた。
一大事であるのかもしれぬが、女性としては気になるものかもしれない。
新生児に対して、外から人が何人も近づいてくる。
気が気でないのも納得できる。
しかし、生命の危機でもあるわけだし。
『ほれ、意識すれば動かせるであろう?』
邪神の声に言われて、なんなくその熱を帯びたものに意識を集中させる。
なんじゃろうな、身体の一部のように動かせる気がしてきた。
いけるな。
わしの意識に合わせて、プルプルと揺れるように動いてるのが分かる。
『まずは熱を増しながら膨張しているそれを、その状態で留めるのだ』
とりあえず、これ以上膨らまぬようにギュッと押さえつけてみるか。
うむ、問題なくできてる気がするな。
「膨張が止まった? 今がチャンスだ!」
「魔力を封じましょう」
「くっ、それしか方法がないか」
周りにも伝わったようだ。
その反応で、わしの試みが成功したことが分かる。
で、この後はいかすれば……
『すぐに、そのまま抑え込んで小さくし……なんだ、理解が早いではないか』
邪神に言われるより先に、その塊を小さくするよう意識する。
熱も冷ますようなイメージで。
だてに年は食っておらんよ。
『この世界では、まだ0歳だぞ?』
そうか、そうなのか。
まあ、前世でずっとその話は聞いてきたからな。
「まってください、魔力が収縮を始めました」
「ばかな、この大きな魔力だぞ? いまこうやって、わしらが留められているのですら奇跡だというのに」
「熱も引いていきます」
「これは……お坊ちゃまが操作している?」
「ありえぬ……いや、うちの子は、天才か!」
わからんが、これでいいようじゃ。
それにしても、父親と思われる男性はなんというか……良い親になりそうじゃな。
『ふむ、これまでに話してこなかった詳しいことはまた後程語るとして……フリだけでも泣いておいた方がいいのではないか?』
また、意味の分からぬことを。
ふむ、確かに言われたとおりに泣いた方がいいかもしれんな。
「しかし、おぼっちゃまが産声を上げておりません」
「なっ、もしかして……」
「なんとしても……ぬっ、まだ息はあるぞ!」
産声が聞こえないと、それは不安じゃろう。
目もあけることもできぬし、とりあえず手を動かしてみようと思うが気付かれるかもわからぬしな。
『お前は、いま赤子としてここに誕生したのだ! 赤子のフリをせよと言っておるのだ』
もう理解しておるよ。
ちょっとは、考える時間をくれてもよかろうに。
せっかちな奴じゃ。
「お父様?」
「……」
わしの発した声に、周囲が静寂に包まれるのが分かる。
とりあえず、語り掛けてみたが。
『ばか! いきなりしゃべる赤子がおるか!』
わかっておる。
まあ、ちょっと試しただけじゃ。
「産声でしょうか?」
「何を言ったかは分らんが、何か意味のある言葉だったような。わしのことを呼んだような」
「ええ……と」
ん? どういうことだ?
向こうの言ってることは分かるが、こっちの言葉は伝わらぬようだ。
『あれだ、周囲の言葉を理解できるように直接言葉に乗せた意思をイメージとして受け取れるようにしてやったのだ。まあ、カイがしゃべる分に関してはこれから覚えていってくれ』
そう言ってきた邪神が、ポツリと言葉をしゃべられるようにしておかなくてよかったと言っていた。
なるほど、挑戦状じゃな?
「パパ?」
「……そうだが?」
パパは通じるのか。
うむ、よかった。
一発で、言葉によるコミュニケーションに成功してやったぞ?
『よくはないだろう、よくは……』
目が開けられないので、何が起こっているかわからぬが屋敷が上に下にの大騒ぎだったことだけは分かった。
うむ……こんにちは赤ちゃん。
私が……なんだ?
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