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第5章:巨人と魔王
第17話:鳥
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「グギャァ―!」
「グォー!」
外壁から一斉に広場に向かって攻撃が放たれる。
兵士達の多くがコンポジットボウのようなものを構え、一度同時に矢を放ったあとは順次打ち続けている。
ファンタジーのイメージとしては、木製の弓かボウガンのようなものをイメージしていたが.
まさか、竹に魔物の腱と鉄の板を組み合わせた複合弓があるとは思わなかった。
サイズも小型で連射がきく上に、威力は申し分ないようだ。
小さな魔物なら、貫通している矢もある。
「へえ、人間の武器も捨てたもんじゃないな」
「あー……あれは、私たちが提供したものです」
感心したように呟いたら、ゴタロウから冷静な突っ込みが。
「凄いなこの弓」
「威力、精度ともに今まで持った弓のなかでも最高だ」
「面白いように刺さってやがる」
兵士たちも変なテンションで、矢を連射しはじめた。
ノリノリで鼻唄混じりに撃ってるやつも……あっ、小隊長っぽい人に殴られてる。
余裕だなー。
「くっ……私だって」
ちょっと離れたところで、エルフっぽい狩人さんが自分の弓をジッと見て首を横に振っている。
へえ、やっぱりエルフってのは、べっぴんさんだな。
「武器の性能なんて、才能と経験の前には「ひゃぁ! スノウ・イル・ラビットが2匹まとめて串刺しだ!」」
「すげぇ!」
エルフの姉ちゃんがせっかく番えた弓矢を下にさげた。
戦意喪失かな?
「ええい、私に弓を貸せ! お前ら程度でそれほどの威力なら、私が撃てばきっともっと凄い威力が」
「おっ、エルフの姉ちゃんも気になった? この弓本当にすげーんだぜ!」
違った。
普通に、うちのゴブリン製の弓が撃ちたくなったらしい。
案外素直というか……
さすがエルフだな。
百発百中で、どんどん魔物の眉間に矢が生えていってる。
「あれ、終わった後で回収した方がよくないか?」
不安になったので、ゴタロウに確認する。
「大丈夫ですよ。我が国だと、ただの汎用性の量産型の弓ですし。狩りに、縁日の的当てに、儀式用にと。まあ、今回は魔物を狩るようなものかと思って用意しましたが、戦闘用は戦闘用でもっといいものがあります」
「そっか……そうなんだ」
「ええ、あれじゃあ、弟子クラスが造った胴丸すら貫けませんし」
「へぇ……」
なんだろう、俺が教えたのかな?
なんか、色々とテンション上がって、自慢げに知識を披露してた気がするけど。
ただ、あれって別に、深い部分までは話してないんだよな。
というか、話せないというか。
俺も聞きかじった半端な知識がほとんどだし。
よほど興味がないと、掘り下げることもしてないからなぁ。
まあ、考えても仕方ない。
下の様子はと……
「ん?」
魔物たちが悲鳴を上げて逃げ惑っているのを見ながら、何か引っかかるものを感じる。
明確に何がというわけじゃないが、違和感のようなものを覚える。
あまりに順調に行き過ぎているからか?
いや、違うな……
ここにきて魔物達の動きが、あまりにも野生動物のそれに似ている。
今までの行軍を見る限りではしっかりと統率が取れていたわけだし、指揮官のようなものがいるのかと思ったが。
それが魔物なのか、件の魔族なのか氷竜なのかはわからんが。
ただ町の中に侵入してから魔物の動きには、そのような傾向がみられない。
あるものは、来た道を戻ろうとし後続と衝突し仲間割れを起こし。
またあるものは、ひたすら国境を隔てる門に体当たりを始めている。
これが、違和感の正体か。
俺が顎に手を当てて訝しんでいると、隣から少しピリッとした空気を感じる。
ゴタロウの表情が少し堅い。
「お前、何かしたのか?」
急に問いかけられたゴタロウが、少しだけ緊張しているのがよく分かる。
いや、別にそんなに俺って怒りっぽくないんだけど?
というか、怒ったことないよね?
なんで、ちょっと不安そうなんだこいつ?
一瞬口を開こうか逡巡したみたいなので、背中を押してやるか。
「悪いが眷属の感情の機微は、スキルのせいか敏感に感じることが出来るんだ」
暗に隠し事はするだけ無駄だと、伝えるだけだが。
「……はっ。差し出がましいとは思いましたが、フィーナを筆頭に魔法を得意とする同族に精神干渉を阻害する結界を張ってもらいました」
「最初は手だししないんじゃなかったのか?」
どうやら、フィーナ達が魔物を操っているであろう魔術を、阻害しているらしい。
広範囲にわたって張られているらしく、すっぽりと町ごとその結界の中に入っているらしい。
「何かまずい情報でも入ったか?」
「いえ、ただちょっと嫌な予感がしたものでして」
ゴタロウの嫌な予感か……そのこと自体が、すでに嫌な予感でしかない。
きっと、俺よりも勘は鋭いはずだ。
「このまま外壁で食い止めるぞ!」
重ねて確認しようと思ったが、指揮官の声に戦場に気持ちを引き戻される。
見ると馬鹿の一つ覚えみたいに、ひたすら壁に寄せて攻撃を続けるつもりらしい。
指揮官の合図に合わせて、次々と攻撃が放たれているのをどこか遠くの出来事のように眺める。
確かにいまはうまく行ってるけど、これで始末できるのは雑魚だけだろうな。
せいぜい数百匹を仕留めるのが、限界かもしれん。
相手も魔物達に指示が伝わらないことを知って、行動に移すかもしれんし。
魔物が殺到する門の方へと視線を移す。
同時に、ゴタロウは門から視線を逸らしていた。
ニコの視点で見ながら、俯瞰の視点でも周りは警戒して見てるからね。
俺に死角はないんだよ、ゴタロウ君。
だから、君の一挙手一投足はよそ見してても、まるっと分かるわけで。
門に何か?
「門に仕掛けは?」
「一応、強化魔法をかけてあります」
やっぱりか……
こいつ、他にもいろいろとやってそうだな。
質問すれば正直に答えてくれるが、聞かなければ言うつもりはないのだろう。
そもそもが、最初は人に任せるつもりだったから。
俺の意にそぐわないことで、引け目を感じているのだろう。
確かに俺の指示したことを守ってないという点だけ見れば、腹立たしく感じるかもしれないが。
そもそも人に任せるという方針は、大して意味がないんだよな。
俺の興味というか、実際に人が魔物に対してどのくらい強いのかの再確認のためであったわけで。
目下、俺の足りてないところは、この世界の人の強さを知らないことなんだよな。
味方に対して威力偵察というのも、どうかと思うけど。
「くっ!」
「上空だ! 魔法部隊は何をしている!」
「くそっ!」
そのままもう少し押し切るかと思ったが、周りが騒がしくなる。
いくつもの影が上空に現れ、こっちに向かって急降下してくるのが分かる。
「ちっ!」
すぐ横でジェラルドが舌打ちをして、剣を抜く。
さてと、飛べる魔物達が集団で襲い掛かってきたわけだが。
これも、当然予想の範囲内だ。
本来なら魔法部隊が上空を警戒して、魔法で迎撃する予定だったはずだが。
なんで、数人しか迎撃できてないんだ?
「ジェラルド!」
「マスターと、領主様は下がってください。さすがにスノーイーグルとアイスイーグルの群れに襲われたら、自分のことだけで手いっぱいです」
ジェラルドが2人に視線を向けずに、襲い掛かってきた鷲に斬りかかっている。
狙われた鷲は、軽く羽ばたいて簡単にその攻撃を避ける。
「ファイアーショット!」
直後、魔法が向かって放たれるが、それも氷の魔法を操る鷲の前にはあっさりと防がれる。
おいおい、大丈夫か?
真っ白な翼を広げ上空高く飛ぶと、雲に紛れて見えにくくなる。
よくよく目を凝らすと、雲の下にはさきほどよりもさらに多くの鳥が飛んでいるのが分かる。
色が微妙に灰色が掛かった白色なので下から見上げるとパッと見ではまったく分からないが、一度気付くと割とよく見える。
ただ、俯瞰の視点で高い位置から見ると丸見えなんだけどな。
「領主様、こっちへ!」
「うむ」
アルバがジェファーソンを引率する形で、その場から立ち去ろうとする。
すぐに騎士達が彼らの背後を受け持って、鳥たちの襲撃を受け止めている。
しかし、その動きはどこか拙い。
その点、冒険者は割とそつなく対応しているように見えるが。
「うわぁぁぁ!」
「ネーヤ!」
そっちに意識を取られていると、別の場所から悲鳴が。
すぐに視点を向けると、一人の兵士が鳥に蹴られて外壁から突き落とされていた。
その先は、広場に集まっている魔物の群れ。
地面まで数mはあるというのに、豹の魔物が飛び上がって首に食らいついて地面にもつれながら落ちていくのが見えた。
そして、一斉に魔物に襲い掛かられて、一瞬で人の形を失っていく。
あー、ちょっとテンション下がる。
人が死んで、ちょっとテンションが下がる程度なのか?
いくら金属だからって、人が死んでこの程度の感情しか湧きあがらないのは、まったく関りのない人だったからかな?
いや、でも彼にも家族がいるんだとか考えると、可哀そうには思える。
もう少し色んな感情が巻き上がって、これ以上犠牲を出さないみたいにモチベーションが上がるか、自分が使える手を全部使ってたらと後悔するかと思ったが。
「くそっ、だめだ! 数が多すぎる」
「攻撃の手を緩めるな! 門が突破されたら住人に被害が出るぞ!」
「すでに、鳥たちが町の中に入っていってます」
「くそがっ!」
余計なことを考えてる場合じゃないな。
あちらこちらで混乱が起こり、町の方でも騒がしい音が聞こえ始める。
とはいえ、よほどの馬鹿でもない限りは、建物の中に避難しているはずなので鳥の魔物にどうこうできるとは思わないが。
「どうしますか?」
「思いっきりがいいな」
「はっ?」
ゴタロウが俺の様子を窺うように問いかけてきたが、外壁に集まっている魔物の群れの向こうに視線をやって呟いた俺の言葉に、呆けたような声を出している。
「いや、本隊が動くぞ……総攻撃だ」
「まさか」
てっきり魔物の群れを使って、波状攻撃をしかけてくると思っていたが。
白い粉が吹きあがりながら、こちらに向かっているのを見て視線を寄せてみたら巨人どもまで走り出している。
鳥たちの奇襲でこちらが混乱に陥ったのが分かった瞬間に、動き始めたのか。
機を逃すつもりはないと……
そして、一際大きな影がその背後から飛び上がる。
「来るぞ! 氷竜だ!」
「アイスドラゴンだと!」
俺の叫び声にいち早く反応したのは、避難を始めたジェファーソンだった。
信じられないものを見るような視線を俺に向けているが、こんな状況で誰も嘘は言わないだろう普通。
失礼なやつめ。
「いいから、領主様は逃げてください」
「君も一緒に来るんだ!」
あら、優しい。
逃げるように促したら、俺も誘ってくれた。
「ふっ、安心してください。こっちもいろいろと手は打ってあるんで」
「ドラゴンだぞ! 普通、人でどうにかできる相手じゃない! それこそ、S級と呼ばれる冒険者が集まったパーティや、王都の第一騎士団が総動員で対処するような化け物だぞ」
「そんなに?」
「知らなかったのか?」
「いえ……」
俺の言葉に、ジェファーソンが驚いているが。
俺も驚きだ。
まさか、ドラゴンがそこまで強いとは……
じゃあ、俺ってどっかの国を相手取っても、一人で勝てるのか?
そんな気は、全然しないが。
「ジェファーソン様! 早く!」
アルバと、周囲の騎士達が焦った様子でジェファーソンをせかしているが。
当の方人はその声が聞こえないくらい必死な様子で、俺に近づいてきている。
「知らないとは思わなかったが、君がいてどうにかなる相手じゃない! 一緒に行くぞ」
「じゃあ、俺はその騎士団よりも強いってことか」
「何を言ってるのだね、そんなことより早く来るん……だ?」
俺を捕まえにきたジェファーソンから、一瞬で距離を取ると外壁の端に立つ。
「そんなところに立ってどうするんだ? 危ないから早くおりなさい」
ジェファーソンが不安げにこっちを見ているが、俺は微笑みを返す。
「危ないから、早くこっちに来なさい! 貴方が来ないと、領主様も逃げられないでしょう!」
アルバまでこっちに戻ってきた。
なんだかんだで、お人よしだ。
まあ、俺はC級冒険者になったばかりのニコの身体だし。
力に関しては、信用は無いのだろう。
「さっき落ちたものがどうなったか、見ていなかったのか!」
「まだ若いんだから、逃げても誰も文句言わないわよ」
2人が必死に説得を試みているが、こんな楽しいイベントを放り出して逃げるなんて。
もったいないお化けが出るわ。
といっても身体はニコのだから、一応パッシブスキルでもある硬化と超速再生、さらに自動回復を発動させる。
頭が潰されたり心臓が潰されたらどうなるか心配だが、本体が俺という扱いならなんとかなりそうな……普通にニコが死にそうな。
まあ、そんなことにならなければいいかな。
生命活動を完全に停止したら、この再生も自動回復も効果は発動しないみたいだから。
完全な即死攻撃だけ防げば良いか。
最悪心臓が止まっても、首を切られても数秒は生きられるみたいだし。
その間に回復すれば良いか。
「周りから文句が出なくても、ここで逃げ出すなんて俺は許せないかな」
「何を言ってるの!」
アルバがヒステリックな声で、怒鳴りつけてきたが。
「遊びじゃないのよ!」
「おいおい、これでもちゃんとした冒険者ですよ?」
「でも子供じゃないか」
いや、年齢的にも子供扱いされる年じゃないはずなんだけど。
ニコの見た目が幼いせいで、こういった扱いになるのだろう。
「ギャアアアア!」
「あっ!」
「キャァ!」
流石にガキが外壁の端に立ってたら、格好の餌食だわな。
ジェファーソンたちとやり取りをしている最中に、目ざとい鷹のような魔物が襲い掛かってきたので間合いをずらして攻撃を避ける。
そしてそのまま足を掴んで、一緒にフライアウェイだぜ!
「何を!」
「二コ君!」
2人が焦ってるが、こっちはこっちでやることが……マジかこいつ!
鷹の足にぶら下がっている状態だったが、こともあろうかこいつ壁に俺をぶつけるように加速しやがった。
一瞬早く足を放したら、逆に腕を掴まれてしまった。
「なめるな、ぼけが!」
ぶつかる瞬間、ひざをあげて足の裏を壁に当てる。
そのまま脚力と腹筋をフルで使って姿勢を保ち、お返しとばかりに全力で腕を振って鷹を壁にぶつけてやった。
「ざまあみろって、そりゃそうだわ」
ゴキっという音とともに、鷹の首が変な方向に曲がって地面に落ちていった。
これは、そうなるようにしたわけだから当然だな。
ただ、当然飛行手段を失った俺も落ちてしまうわけで……
結構な高さから。
はぁ……仕方ない。
自分を壁に突き刺して落下を止めると、土魔法で壁に足場を作りつつゆっくりと上がる。
下には魔物がひしめきあってるし、上から兵士たちが矢を撃ってるし。
流石に、自殺行為だわ。
それにしても、思わず笑みがこぼれる。
後ろの方に陣取っていたから、こっちから向かわないといけないかと思ってたが。
まさか、あっちからノコノコ出てくるとは。
町の外壁に視線を向けると、冒険者の狩人たちが空に向かって矢に袋をセットして放っていた。
上空でそれが弾けると、粉のようなものが一気に広がる。
そして、続けざまに火矢が放たれる。
その火は粉に燃え移ると一気に燃え広がっていくが、爆発するほどじゃない。
驚いた鳥たちが、煙の中をやみくもに飛んでいるのが分かる。
そして、魔法部隊から一斉に放たれる水系統の魔法。
誰もが寒冷地にいる魔物に、そんなの効くわけがないと言っていたが。
ゴタロウとフィーナが、一度だけでも試してくれと頼みこんでいた。
勿論、冒険者には事前にデモンストレーションも行っていたからな。
今更、その意味に首を傾げるやつはいなかった。
しばらくすると、上空から巨大な塊がたくさん落ちてくる。
あっ……
数が多すぎて、下にいる兵士達や冒険者が慌てて避けている。
ときおりよけきれずに盾で受けているが、当たり所悪いと死にそうだな。
落ちてきた塊の正体は、氷漬けの鳥たち。
氷の魔法や火の魔法をぶつけるよりも、圧倒的な水量で濡らして凍らせた方が早いかなと。
ただでさえこの地方は相当気温が低く昼間でも氷点下切るらしいから、上空はねえ?
一瞬とまではいかなくても、すぐに凍ってしまうのは誰でも分かる。
落下の衝撃で身体が変なの方向に曲がって死んだ鳥もいるけど、多くは綺麗な状況。
このまま保管して、後でゆっくりと処理したら美味しくいただけそうだね。
さてと、冒険者の皆と考えたトラップはまだまだあるけど、こっちはこっちでちょっと遊ばせてもらわないとね。
スタンピードは興味薄れてきたというか、人任せだけど……竜と魔族って。
是非、会いたいと思ったわけだ。
巨人はドラゴンの後ろを追いかけている形になってるけど、あっちはあっちでどうにかなるかな?
「グォー!」
外壁から一斉に広場に向かって攻撃が放たれる。
兵士達の多くがコンポジットボウのようなものを構え、一度同時に矢を放ったあとは順次打ち続けている。
ファンタジーのイメージとしては、木製の弓かボウガンのようなものをイメージしていたが.
まさか、竹に魔物の腱と鉄の板を組み合わせた複合弓があるとは思わなかった。
サイズも小型で連射がきく上に、威力は申し分ないようだ。
小さな魔物なら、貫通している矢もある。
「へえ、人間の武器も捨てたもんじゃないな」
「あー……あれは、私たちが提供したものです」
感心したように呟いたら、ゴタロウから冷静な突っ込みが。
「凄いなこの弓」
「威力、精度ともに今まで持った弓のなかでも最高だ」
「面白いように刺さってやがる」
兵士たちも変なテンションで、矢を連射しはじめた。
ノリノリで鼻唄混じりに撃ってるやつも……あっ、小隊長っぽい人に殴られてる。
余裕だなー。
「くっ……私だって」
ちょっと離れたところで、エルフっぽい狩人さんが自分の弓をジッと見て首を横に振っている。
へえ、やっぱりエルフってのは、べっぴんさんだな。
「武器の性能なんて、才能と経験の前には「ひゃぁ! スノウ・イル・ラビットが2匹まとめて串刺しだ!」」
「すげぇ!」
エルフの姉ちゃんがせっかく番えた弓矢を下にさげた。
戦意喪失かな?
「ええい、私に弓を貸せ! お前ら程度でそれほどの威力なら、私が撃てばきっともっと凄い威力が」
「おっ、エルフの姉ちゃんも気になった? この弓本当にすげーんだぜ!」
違った。
普通に、うちのゴブリン製の弓が撃ちたくなったらしい。
案外素直というか……
さすがエルフだな。
百発百中で、どんどん魔物の眉間に矢が生えていってる。
「あれ、終わった後で回収した方がよくないか?」
不安になったので、ゴタロウに確認する。
「大丈夫ですよ。我が国だと、ただの汎用性の量産型の弓ですし。狩りに、縁日の的当てに、儀式用にと。まあ、今回は魔物を狩るようなものかと思って用意しましたが、戦闘用は戦闘用でもっといいものがあります」
「そっか……そうなんだ」
「ええ、あれじゃあ、弟子クラスが造った胴丸すら貫けませんし」
「へぇ……」
なんだろう、俺が教えたのかな?
なんか、色々とテンション上がって、自慢げに知識を披露してた気がするけど。
ただ、あれって別に、深い部分までは話してないんだよな。
というか、話せないというか。
俺も聞きかじった半端な知識がほとんどだし。
よほど興味がないと、掘り下げることもしてないからなぁ。
まあ、考えても仕方ない。
下の様子はと……
「ん?」
魔物たちが悲鳴を上げて逃げ惑っているのを見ながら、何か引っかかるものを感じる。
明確に何がというわけじゃないが、違和感のようなものを覚える。
あまりに順調に行き過ぎているからか?
いや、違うな……
ここにきて魔物達の動きが、あまりにも野生動物のそれに似ている。
今までの行軍を見る限りではしっかりと統率が取れていたわけだし、指揮官のようなものがいるのかと思ったが。
それが魔物なのか、件の魔族なのか氷竜なのかはわからんが。
ただ町の中に侵入してから魔物の動きには、そのような傾向がみられない。
あるものは、来た道を戻ろうとし後続と衝突し仲間割れを起こし。
またあるものは、ひたすら国境を隔てる門に体当たりを始めている。
これが、違和感の正体か。
俺が顎に手を当てて訝しんでいると、隣から少しピリッとした空気を感じる。
ゴタロウの表情が少し堅い。
「お前、何かしたのか?」
急に問いかけられたゴタロウが、少しだけ緊張しているのがよく分かる。
いや、別にそんなに俺って怒りっぽくないんだけど?
というか、怒ったことないよね?
なんで、ちょっと不安そうなんだこいつ?
一瞬口を開こうか逡巡したみたいなので、背中を押してやるか。
「悪いが眷属の感情の機微は、スキルのせいか敏感に感じることが出来るんだ」
暗に隠し事はするだけ無駄だと、伝えるだけだが。
「……はっ。差し出がましいとは思いましたが、フィーナを筆頭に魔法を得意とする同族に精神干渉を阻害する結界を張ってもらいました」
「最初は手だししないんじゃなかったのか?」
どうやら、フィーナ達が魔物を操っているであろう魔術を、阻害しているらしい。
広範囲にわたって張られているらしく、すっぽりと町ごとその結界の中に入っているらしい。
「何かまずい情報でも入ったか?」
「いえ、ただちょっと嫌な予感がしたものでして」
ゴタロウの嫌な予感か……そのこと自体が、すでに嫌な予感でしかない。
きっと、俺よりも勘は鋭いはずだ。
「このまま外壁で食い止めるぞ!」
重ねて確認しようと思ったが、指揮官の声に戦場に気持ちを引き戻される。
見ると馬鹿の一つ覚えみたいに、ひたすら壁に寄せて攻撃を続けるつもりらしい。
指揮官の合図に合わせて、次々と攻撃が放たれているのをどこか遠くの出来事のように眺める。
確かにいまはうまく行ってるけど、これで始末できるのは雑魚だけだろうな。
せいぜい数百匹を仕留めるのが、限界かもしれん。
相手も魔物達に指示が伝わらないことを知って、行動に移すかもしれんし。
魔物が殺到する門の方へと視線を移す。
同時に、ゴタロウは門から視線を逸らしていた。
ニコの視点で見ながら、俯瞰の視点でも周りは警戒して見てるからね。
俺に死角はないんだよ、ゴタロウ君。
だから、君の一挙手一投足はよそ見してても、まるっと分かるわけで。
門に何か?
「門に仕掛けは?」
「一応、強化魔法をかけてあります」
やっぱりか……
こいつ、他にもいろいろとやってそうだな。
質問すれば正直に答えてくれるが、聞かなければ言うつもりはないのだろう。
そもそもが、最初は人に任せるつもりだったから。
俺の意にそぐわないことで、引け目を感じているのだろう。
確かに俺の指示したことを守ってないという点だけ見れば、腹立たしく感じるかもしれないが。
そもそも人に任せるという方針は、大して意味がないんだよな。
俺の興味というか、実際に人が魔物に対してどのくらい強いのかの再確認のためであったわけで。
目下、俺の足りてないところは、この世界の人の強さを知らないことなんだよな。
味方に対して威力偵察というのも、どうかと思うけど。
「くっ!」
「上空だ! 魔法部隊は何をしている!」
「くそっ!」
そのままもう少し押し切るかと思ったが、周りが騒がしくなる。
いくつもの影が上空に現れ、こっちに向かって急降下してくるのが分かる。
「ちっ!」
すぐ横でジェラルドが舌打ちをして、剣を抜く。
さてと、飛べる魔物達が集団で襲い掛かってきたわけだが。
これも、当然予想の範囲内だ。
本来なら魔法部隊が上空を警戒して、魔法で迎撃する予定だったはずだが。
なんで、数人しか迎撃できてないんだ?
「ジェラルド!」
「マスターと、領主様は下がってください。さすがにスノーイーグルとアイスイーグルの群れに襲われたら、自分のことだけで手いっぱいです」
ジェラルドが2人に視線を向けずに、襲い掛かってきた鷲に斬りかかっている。
狙われた鷲は、軽く羽ばたいて簡単にその攻撃を避ける。
「ファイアーショット!」
直後、魔法が向かって放たれるが、それも氷の魔法を操る鷲の前にはあっさりと防がれる。
おいおい、大丈夫か?
真っ白な翼を広げ上空高く飛ぶと、雲に紛れて見えにくくなる。
よくよく目を凝らすと、雲の下にはさきほどよりもさらに多くの鳥が飛んでいるのが分かる。
色が微妙に灰色が掛かった白色なので下から見上げるとパッと見ではまったく分からないが、一度気付くと割とよく見える。
ただ、俯瞰の視点で高い位置から見ると丸見えなんだけどな。
「領主様、こっちへ!」
「うむ」
アルバがジェファーソンを引率する形で、その場から立ち去ろうとする。
すぐに騎士達が彼らの背後を受け持って、鳥たちの襲撃を受け止めている。
しかし、その動きはどこか拙い。
その点、冒険者は割とそつなく対応しているように見えるが。
「うわぁぁぁ!」
「ネーヤ!」
そっちに意識を取られていると、別の場所から悲鳴が。
すぐに視点を向けると、一人の兵士が鳥に蹴られて外壁から突き落とされていた。
その先は、広場に集まっている魔物の群れ。
地面まで数mはあるというのに、豹の魔物が飛び上がって首に食らいついて地面にもつれながら落ちていくのが見えた。
そして、一斉に魔物に襲い掛かられて、一瞬で人の形を失っていく。
あー、ちょっとテンション下がる。
人が死んで、ちょっとテンションが下がる程度なのか?
いくら金属だからって、人が死んでこの程度の感情しか湧きあがらないのは、まったく関りのない人だったからかな?
いや、でも彼にも家族がいるんだとか考えると、可哀そうには思える。
もう少し色んな感情が巻き上がって、これ以上犠牲を出さないみたいにモチベーションが上がるか、自分が使える手を全部使ってたらと後悔するかと思ったが。
「くそっ、だめだ! 数が多すぎる」
「攻撃の手を緩めるな! 門が突破されたら住人に被害が出るぞ!」
「すでに、鳥たちが町の中に入っていってます」
「くそがっ!」
余計なことを考えてる場合じゃないな。
あちらこちらで混乱が起こり、町の方でも騒がしい音が聞こえ始める。
とはいえ、よほどの馬鹿でもない限りは、建物の中に避難しているはずなので鳥の魔物にどうこうできるとは思わないが。
「どうしますか?」
「思いっきりがいいな」
「はっ?」
ゴタロウが俺の様子を窺うように問いかけてきたが、外壁に集まっている魔物の群れの向こうに視線をやって呟いた俺の言葉に、呆けたような声を出している。
「いや、本隊が動くぞ……総攻撃だ」
「まさか」
てっきり魔物の群れを使って、波状攻撃をしかけてくると思っていたが。
白い粉が吹きあがりながら、こちらに向かっているのを見て視線を寄せてみたら巨人どもまで走り出している。
鳥たちの奇襲でこちらが混乱に陥ったのが分かった瞬間に、動き始めたのか。
機を逃すつもりはないと……
そして、一際大きな影がその背後から飛び上がる。
「来るぞ! 氷竜だ!」
「アイスドラゴンだと!」
俺の叫び声にいち早く反応したのは、避難を始めたジェファーソンだった。
信じられないものを見るような視線を俺に向けているが、こんな状況で誰も嘘は言わないだろう普通。
失礼なやつめ。
「いいから、領主様は逃げてください」
「君も一緒に来るんだ!」
あら、優しい。
逃げるように促したら、俺も誘ってくれた。
「ふっ、安心してください。こっちもいろいろと手は打ってあるんで」
「ドラゴンだぞ! 普通、人でどうにかできる相手じゃない! それこそ、S級と呼ばれる冒険者が集まったパーティや、王都の第一騎士団が総動員で対処するような化け物だぞ」
「そんなに?」
「知らなかったのか?」
「いえ……」
俺の言葉に、ジェファーソンが驚いているが。
俺も驚きだ。
まさか、ドラゴンがそこまで強いとは……
じゃあ、俺ってどっかの国を相手取っても、一人で勝てるのか?
そんな気は、全然しないが。
「ジェファーソン様! 早く!」
アルバと、周囲の騎士達が焦った様子でジェファーソンをせかしているが。
当の方人はその声が聞こえないくらい必死な様子で、俺に近づいてきている。
「知らないとは思わなかったが、君がいてどうにかなる相手じゃない! 一緒に行くぞ」
「じゃあ、俺はその騎士団よりも強いってことか」
「何を言ってるのだね、そんなことより早く来るん……だ?」
俺を捕まえにきたジェファーソンから、一瞬で距離を取ると外壁の端に立つ。
「そんなところに立ってどうするんだ? 危ないから早くおりなさい」
ジェファーソンが不安げにこっちを見ているが、俺は微笑みを返す。
「危ないから、早くこっちに来なさい! 貴方が来ないと、領主様も逃げられないでしょう!」
アルバまでこっちに戻ってきた。
なんだかんだで、お人よしだ。
まあ、俺はC級冒険者になったばかりのニコの身体だし。
力に関しては、信用は無いのだろう。
「さっき落ちたものがどうなったか、見ていなかったのか!」
「まだ若いんだから、逃げても誰も文句言わないわよ」
2人が必死に説得を試みているが、こんな楽しいイベントを放り出して逃げるなんて。
もったいないお化けが出るわ。
といっても身体はニコのだから、一応パッシブスキルでもある硬化と超速再生、さらに自動回復を発動させる。
頭が潰されたり心臓が潰されたらどうなるか心配だが、本体が俺という扱いならなんとかなりそうな……普通にニコが死にそうな。
まあ、そんなことにならなければいいかな。
生命活動を完全に停止したら、この再生も自動回復も効果は発動しないみたいだから。
完全な即死攻撃だけ防げば良いか。
最悪心臓が止まっても、首を切られても数秒は生きられるみたいだし。
その間に回復すれば良いか。
「周りから文句が出なくても、ここで逃げ出すなんて俺は許せないかな」
「何を言ってるの!」
アルバがヒステリックな声で、怒鳴りつけてきたが。
「遊びじゃないのよ!」
「おいおい、これでもちゃんとした冒険者ですよ?」
「でも子供じゃないか」
いや、年齢的にも子供扱いされる年じゃないはずなんだけど。
ニコの見た目が幼いせいで、こういった扱いになるのだろう。
「ギャアアアア!」
「あっ!」
「キャァ!」
流石にガキが外壁の端に立ってたら、格好の餌食だわな。
ジェファーソンたちとやり取りをしている最中に、目ざとい鷹のような魔物が襲い掛かってきたので間合いをずらして攻撃を避ける。
そしてそのまま足を掴んで、一緒にフライアウェイだぜ!
「何を!」
「二コ君!」
2人が焦ってるが、こっちはこっちでやることが……マジかこいつ!
鷹の足にぶら下がっている状態だったが、こともあろうかこいつ壁に俺をぶつけるように加速しやがった。
一瞬早く足を放したら、逆に腕を掴まれてしまった。
「なめるな、ぼけが!」
ぶつかる瞬間、ひざをあげて足の裏を壁に当てる。
そのまま脚力と腹筋をフルで使って姿勢を保ち、お返しとばかりに全力で腕を振って鷹を壁にぶつけてやった。
「ざまあみろって、そりゃそうだわ」
ゴキっという音とともに、鷹の首が変な方向に曲がって地面に落ちていった。
これは、そうなるようにしたわけだから当然だな。
ただ、当然飛行手段を失った俺も落ちてしまうわけで……
結構な高さから。
はぁ……仕方ない。
自分を壁に突き刺して落下を止めると、土魔法で壁に足場を作りつつゆっくりと上がる。
下には魔物がひしめきあってるし、上から兵士たちが矢を撃ってるし。
流石に、自殺行為だわ。
それにしても、思わず笑みがこぼれる。
後ろの方に陣取っていたから、こっちから向かわないといけないかと思ってたが。
まさか、あっちからノコノコ出てくるとは。
町の外壁に視線を向けると、冒険者の狩人たちが空に向かって矢に袋をセットして放っていた。
上空でそれが弾けると、粉のようなものが一気に広がる。
そして、続けざまに火矢が放たれる。
その火は粉に燃え移ると一気に燃え広がっていくが、爆発するほどじゃない。
驚いた鳥たちが、煙の中をやみくもに飛んでいるのが分かる。
そして、魔法部隊から一斉に放たれる水系統の魔法。
誰もが寒冷地にいる魔物に、そんなの効くわけがないと言っていたが。
ゴタロウとフィーナが、一度だけでも試してくれと頼みこんでいた。
勿論、冒険者には事前にデモンストレーションも行っていたからな。
今更、その意味に首を傾げるやつはいなかった。
しばらくすると、上空から巨大な塊がたくさん落ちてくる。
あっ……
数が多すぎて、下にいる兵士達や冒険者が慌てて避けている。
ときおりよけきれずに盾で受けているが、当たり所悪いと死にそうだな。
落ちてきた塊の正体は、氷漬けの鳥たち。
氷の魔法や火の魔法をぶつけるよりも、圧倒的な水量で濡らして凍らせた方が早いかなと。
ただでさえこの地方は相当気温が低く昼間でも氷点下切るらしいから、上空はねえ?
一瞬とまではいかなくても、すぐに凍ってしまうのは誰でも分かる。
落下の衝撃で身体が変なの方向に曲がって死んだ鳥もいるけど、多くは綺麗な状況。
このまま保管して、後でゆっくりと処理したら美味しくいただけそうだね。
さてと、冒険者の皆と考えたトラップはまだまだあるけど、こっちはこっちでちょっと遊ばせてもらわないとね。
スタンピードは興味薄れてきたというか、人任せだけど……竜と魔族って。
是非、会いたいと思ったわけだ。
巨人はドラゴンの後ろを追いかけている形になってるけど、あっちはあっちでどうにかなるかな?
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