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第5章:巨人と魔王
第11話:ランドールと鈴木
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「で、お前が会いにいったドラゴンはどうだったんだ? 仲良くなれたか?」
「おーい、酒もってこい!」
「おいっ!」
ランドールの今回の別行動の目的である、他のドラゴンについて聞いたら露骨に無視しやがった。
「おまえ、もしかして……」
「その顔をやめろ、鬱陶しい」
ニヤニヤとした視線を向けてやると、ランドールが手を顔の前でシッシと振ってきた。
こいつ……仲良くなれなかったな。
というか、もしかして揉めたりとか。
「あんな話の通じんやつとはな。フリザットって雌竜だったが、話しかけても無視しやがって」
「フリザット? 氷竜か?」
「うむ、わしがせっかく声を掛けてやったというのに、鼻で息を吹きかけられたわ! お陰で鼻の頭が凍ってしばらく真っ赤になってしまった」
「ははは、なんだ美人だったのか?」
「う……うむ。まあ、いくら美人とはいえあんな性格ではな。で、我がフリザリオン様と知り合いだというと、いきなり怒りだして。とんだお転婆だったわ」
「お前の言い方が悪かったんじゃんないのか? フリザリオンの知り合いだからって、上から目線で声をかけたり」
「普段通りの話し方だ。それと、フリザリオン様な? いくらお主でも、世界竜の一柱であるフリザリオン様を呼び捨てするのは、見過ごせん」
「まあ、俺は種族が違うから。お前だって、人間の王に様付けなんてしないだろう」
「そういうもんではない! 人の王と世界竜では格が違いすぎる。世界竜は神に等しい、世界創造の一端を担った凄い竜なのだぞ」
「ははは、なら大丈夫。俺、この世界の住人じゃないから」
「ぬぅ……自身の世界の神と同等と思え」
「あー、俺無神論者だから」
「どうなっとるのだ、お主の世界は」
「俺の国の話な」
うまい具合に、肝心な部分を話を逸らして躱された気がしないでもないが。
そこまで突っ込んでも、話が広がるとは思えんし。
「巨人どもに敬われておるからと、調子にのって。我だって、ゴブリンにコボルト、オークにオーガと多くの配下を持つというのに」
「いつから、お前の配下にオークやオーガが加わったんだ。そもそも、ゴブリン達は俺のだ」
「ケチケチするな」
ランドールが女性が持ってきた酒をひったくって、一気に飲み干す。
「おお、いい飲みっぷり! それにしてもあんたら、冗談にしても大きな声でとんでもないこと言ってるね。気でもくるってるのかい?」
どうやら、俺達の話を聞いて声を掛けるタイミングを逃したらしい。
というか、盗み聞きしてたのかよ。
なかなか、いい性格で。
「冗談ではない! 我は由緒正しき竜の末裔である」
「はいはい、なかなかいい男だけど、空想癖はいただけないかな?」
ランドールの言葉を受けて、女性が両手の平を上に向けて首を振ると笑いながら離れていく。
「あー、もう1杯頼む」
「あいよ!」
その女性の後姿におかわりを要求するランドールに対して、振り返りもせず手をヒラヒラと振って応える女性。
なんて店員だ。
まあ、場の雰囲気とは相まってるが。
「それよりも巨人族に敬われているって、もしかしてスタンピードと何か関りでもあるのか?」
「ああ? そんなことは知らん。ただ、一緒にいた魔族の男に、なにやら肩入れしているような感じだったな。我とお主みたいな関係かのう」
「いや、お前って俺に肩入れしてくれてんの? ただの友達くらいと思ってたんだけど」
「友達……そうか、お主は我のことそんな風に思ってくれてたのか」
「ニヤニヤするな気持ち悪い。まあ、こうやって差しで飲みあって、しょっちゅう一緒に居るんだ。友達でなければ、なんだろうな?」
「うむ、友だな」
「強敵って当て字になりそうだから、普通に言え。お前はそもそも強敵ではないし」
「酷いな……」
それにしても、魔族か。
魔族はあったことないな。
というか、ドワーフとかホビットとかもいるのかな?
精霊はどうだろう。
色々なファンタジーな種族がいそうで、旅のしがいがある。
「で、その魔族は何者なんだ?」
「知らんな。竜同士の会話に口をはさむような、愚か者では無かったのは確かだ」
「本当か?」
「……本当だ」
嘘っぽいな。
こいつ、嘘吐くの下手だな。
「ただ、フリザットの竜の加護以外にも何か秘密がありそうな雰囲気はあった。かなりの魔力を持っているのは確かだったな」
「いくつぐらいの魔族だったんだ?」
「100歳はいってないだろうな。人でいうところの20歳前後くらいか」
100歳で人の20歳前後って、魔族も長生きなのか?
そもそも、魔族って。
「魔族も獣人と変わらんよ。色んな種族がいる……悪魔系から獣魔族系、はては魔人まで。寿命もピンキリだな。あの男は、魔人だから500歳から2000歳くらいは生きるだろう」
「それでも、幅が広いんだな」
「うむ、獣魔族系は50歳から800歳くらいが多いか? 悪魔系は500歳から永遠に生きる者もいる」
魔族でひとくくりにしても、そんなに種族が枝分かれしてるのか。
「ダークホビットや、ダークエルフも魔族の一種だな」
なんていうか、人と魔族って似たり寄ったりなんだろう。
で、肝心なスタンピードに関することは。
「で、そいつら巨人族を使って、何かしようとしてなかったか?」
「ん? ああ、なんか探し物があると言ってたな。剣か槍か斧か杖か……たぶん武器だとは思うが、それがなんなのかは分かっていないようだったぞ? 詳しくは知らん。まともに会話も成り立たんかったからな。思い出しても腹の立つ女だった」
ポンコツだな。
シノビゴブリンに頑張ってもらいたいところだが、竜が相手だとちょっと厳しいか?
もしかしたら、すでに調べに行ってるかもしれんが。
あんまり危険なようだったら、無理はしないで欲しいな。
「まーた、お客さん方が夢物語みたいなことを言ってら。冒険者なのかもしれないが、そんな伝説のおとぎ話みたいなことばかり話して楽しいのかね? 楽しいんだろうね」
はは。
本当に豪快なお姉さんだ。
こっちが答える前に、自身で完結させてるし。
まあ、嫌いじゃないけど。
「女、先ほどから無礼ではないか」
「おい、酔いすぎだぞ? 普通に考えて、知らん人が聞いたら荒唐無稽な話だ。しょうがないだろう」
「おっ、坊やも含みをもたせた言い方するね。若いうちからそんなんじゃ、親御さんも将来が不安じゃないかい?」
「あー、親はいないから、心配ご無用」
「じゃあ、なおさら心配だね」
親無し子に親の話題振って、申し訳ないとも思わずにこの言いっぷり。
本当にカラカラとした性格なのだろう。
「大丈夫、これでもそこそこやるからさ」
「へぇ、見かけによらないもんだね。言ってることが、本当なら」
「おい、こやつは我よりも強いぞ?」
「ははは、あんたがどれほどのもんか分かんないから、それじゃ何とも言えないよ。いいから、飲んで食べる」
「待て女! 話は終わって……行ってしまった」
「今日は、女難だなランドール」
「ふん、人の女なんぞ物の数にも入らんわ」
ランドールがそっぽむいて、酒をあおっている。
なんだかんだで、メンタルに来てるな。
「~~~~~」
「ご機嫌だな」
ランドールが理解できない言葉で歌いながら歩いているのを、横目で見る。
何がほろ酔い程度にしか、アルコールを入れないだ。
途中何度かお姉さんに突っかかられて、休憩のお姉さんがテーブルに割ってきて盛り上がって。
しかもアホみたいに、おだてられてガバガバ酒を飲んで。
途中から他のテーブルの客まで混じって、酒をご馳走してくれたし。
それで千鳥足で歌いながらヨタヨタ帰ってたら、世話ないな。
見事にお姉さんの思惑通りに、凄い金額を請求されたが。
それでも、かなり割り引いてもらってたのは分かる。
「大将があんたの飲みっぷりに気をよくして、だいぶ色付けてくれたからね」
って言ってたけど、あれだけ飲んでこれは確かに安いか。
軽くなった財布を振りつつも、ニコに内緒のゴブリン王国の献上金だから旅費には手を付けてないし。
他の客も結構、払わされてたし。
大将の顔見たら、かなり儲かったんだろうな。
帰るときに、他の客がザワザワしてたのは面白かったな。
「樽2つ分くらいの酒飲んでるのに、腹が出てない……だと?」
って、これは俺も不思議だったな。
トイレにいったわけでもないし。
「ターラリラっと」
「さっきから、なんの歌を歌ってるんだ?」
上機嫌に踊りながら歌って歩くランドールに、聞いてみた。
不思議なメロディで、それでいて元気が出る気がする。
「知らん……母上が、我が眠るときにいつも歌ってくれていた歌だ」
子守歌か?
にしては、眠気を誘うようなゆったりとしたメロディとは程遠い気がしないでもないが。
取り合えずご機嫌なこいつは放っておいて、帰ったらゴタロウに相談だな。
もしかしたら、今回のスタンピードが人為的なものだとしたら、そのフリザットてのと魔族が怪しいからな。
ただ、虎の尾を踏まないように、慎重に対応しないといけないかもしれない。
ポンコツのランドールでもそこそこ強いんだ。
普通の竜なら、どれほどのものかはやってみんと分からんからな。
「フンフンフーン」
「近所迷惑だから、もう少し静かに歌えない?」
「フォーンフォーン」
聞いちゃいない。
次の日、頭を押さえて呻く姿を見て、竜って大したことないなと思ったのは秘密だ。
「酒臭いです! 近づかないでください!」
「耳元で騒ぐな、頭に響く」
フィーナにキンキン声で注意されて、眉を寄せて情けない顔してるランドールにため息しかでない。
ゴタロウの表情も、心なしか呆れの色を含んでる。
ニコだけが心配して、水とか運んでいた。
「お主だけだ! 我に優しいのは」
「痛いし、臭いよ」
「ニコ、困ったことがあったら我に言うのだぞ! 我はお主の味方だ」
まだ、酔ってるのかな?
「おーい、酒もってこい!」
「おいっ!」
ランドールの今回の別行動の目的である、他のドラゴンについて聞いたら露骨に無視しやがった。
「おまえ、もしかして……」
「その顔をやめろ、鬱陶しい」
ニヤニヤとした視線を向けてやると、ランドールが手を顔の前でシッシと振ってきた。
こいつ……仲良くなれなかったな。
というか、もしかして揉めたりとか。
「あんな話の通じんやつとはな。フリザットって雌竜だったが、話しかけても無視しやがって」
「フリザット? 氷竜か?」
「うむ、わしがせっかく声を掛けてやったというのに、鼻で息を吹きかけられたわ! お陰で鼻の頭が凍ってしばらく真っ赤になってしまった」
「ははは、なんだ美人だったのか?」
「う……うむ。まあ、いくら美人とはいえあんな性格ではな。で、我がフリザリオン様と知り合いだというと、いきなり怒りだして。とんだお転婆だったわ」
「お前の言い方が悪かったんじゃんないのか? フリザリオンの知り合いだからって、上から目線で声をかけたり」
「普段通りの話し方だ。それと、フリザリオン様な? いくらお主でも、世界竜の一柱であるフリザリオン様を呼び捨てするのは、見過ごせん」
「まあ、俺は種族が違うから。お前だって、人間の王に様付けなんてしないだろう」
「そういうもんではない! 人の王と世界竜では格が違いすぎる。世界竜は神に等しい、世界創造の一端を担った凄い竜なのだぞ」
「ははは、なら大丈夫。俺、この世界の住人じゃないから」
「ぬぅ……自身の世界の神と同等と思え」
「あー、俺無神論者だから」
「どうなっとるのだ、お主の世界は」
「俺の国の話な」
うまい具合に、肝心な部分を話を逸らして躱された気がしないでもないが。
そこまで突っ込んでも、話が広がるとは思えんし。
「巨人どもに敬われておるからと、調子にのって。我だって、ゴブリンにコボルト、オークにオーガと多くの配下を持つというのに」
「いつから、お前の配下にオークやオーガが加わったんだ。そもそも、ゴブリン達は俺のだ」
「ケチケチするな」
ランドールが女性が持ってきた酒をひったくって、一気に飲み干す。
「おお、いい飲みっぷり! それにしてもあんたら、冗談にしても大きな声でとんでもないこと言ってるね。気でもくるってるのかい?」
どうやら、俺達の話を聞いて声を掛けるタイミングを逃したらしい。
というか、盗み聞きしてたのかよ。
なかなか、いい性格で。
「冗談ではない! 我は由緒正しき竜の末裔である」
「はいはい、なかなかいい男だけど、空想癖はいただけないかな?」
ランドールの言葉を受けて、女性が両手の平を上に向けて首を振ると笑いながら離れていく。
「あー、もう1杯頼む」
「あいよ!」
その女性の後姿におかわりを要求するランドールに対して、振り返りもせず手をヒラヒラと振って応える女性。
なんて店員だ。
まあ、場の雰囲気とは相まってるが。
「それよりも巨人族に敬われているって、もしかしてスタンピードと何か関りでもあるのか?」
「ああ? そんなことは知らん。ただ、一緒にいた魔族の男に、なにやら肩入れしているような感じだったな。我とお主みたいな関係かのう」
「いや、お前って俺に肩入れしてくれてんの? ただの友達くらいと思ってたんだけど」
「友達……そうか、お主は我のことそんな風に思ってくれてたのか」
「ニヤニヤするな気持ち悪い。まあ、こうやって差しで飲みあって、しょっちゅう一緒に居るんだ。友達でなければ、なんだろうな?」
「うむ、友だな」
「強敵って当て字になりそうだから、普通に言え。お前はそもそも強敵ではないし」
「酷いな……」
それにしても、魔族か。
魔族はあったことないな。
というか、ドワーフとかホビットとかもいるのかな?
精霊はどうだろう。
色々なファンタジーな種族がいそうで、旅のしがいがある。
「で、その魔族は何者なんだ?」
「知らんな。竜同士の会話に口をはさむような、愚か者では無かったのは確かだ」
「本当か?」
「……本当だ」
嘘っぽいな。
こいつ、嘘吐くの下手だな。
「ただ、フリザットの竜の加護以外にも何か秘密がありそうな雰囲気はあった。かなりの魔力を持っているのは確かだったな」
「いくつぐらいの魔族だったんだ?」
「100歳はいってないだろうな。人でいうところの20歳前後くらいか」
100歳で人の20歳前後って、魔族も長生きなのか?
そもそも、魔族って。
「魔族も獣人と変わらんよ。色んな種族がいる……悪魔系から獣魔族系、はては魔人まで。寿命もピンキリだな。あの男は、魔人だから500歳から2000歳くらいは生きるだろう」
「それでも、幅が広いんだな」
「うむ、獣魔族系は50歳から800歳くらいが多いか? 悪魔系は500歳から永遠に生きる者もいる」
魔族でひとくくりにしても、そんなに種族が枝分かれしてるのか。
「ダークホビットや、ダークエルフも魔族の一種だな」
なんていうか、人と魔族って似たり寄ったりなんだろう。
で、肝心なスタンピードに関することは。
「で、そいつら巨人族を使って、何かしようとしてなかったか?」
「ん? ああ、なんか探し物があると言ってたな。剣か槍か斧か杖か……たぶん武器だとは思うが、それがなんなのかは分かっていないようだったぞ? 詳しくは知らん。まともに会話も成り立たんかったからな。思い出しても腹の立つ女だった」
ポンコツだな。
シノビゴブリンに頑張ってもらいたいところだが、竜が相手だとちょっと厳しいか?
もしかしたら、すでに調べに行ってるかもしれんが。
あんまり危険なようだったら、無理はしないで欲しいな。
「まーた、お客さん方が夢物語みたいなことを言ってら。冒険者なのかもしれないが、そんな伝説のおとぎ話みたいなことばかり話して楽しいのかね? 楽しいんだろうね」
はは。
本当に豪快なお姉さんだ。
こっちが答える前に、自身で完結させてるし。
まあ、嫌いじゃないけど。
「女、先ほどから無礼ではないか」
「おい、酔いすぎだぞ? 普通に考えて、知らん人が聞いたら荒唐無稽な話だ。しょうがないだろう」
「おっ、坊やも含みをもたせた言い方するね。若いうちからそんなんじゃ、親御さんも将来が不安じゃないかい?」
「あー、親はいないから、心配ご無用」
「じゃあ、なおさら心配だね」
親無し子に親の話題振って、申し訳ないとも思わずにこの言いっぷり。
本当にカラカラとした性格なのだろう。
「大丈夫、これでもそこそこやるからさ」
「へぇ、見かけによらないもんだね。言ってることが、本当なら」
「おい、こやつは我よりも強いぞ?」
「ははは、あんたがどれほどのもんか分かんないから、それじゃ何とも言えないよ。いいから、飲んで食べる」
「待て女! 話は終わって……行ってしまった」
「今日は、女難だなランドール」
「ふん、人の女なんぞ物の数にも入らんわ」
ランドールがそっぽむいて、酒をあおっている。
なんだかんだで、メンタルに来てるな。
「~~~~~」
「ご機嫌だな」
ランドールが理解できない言葉で歌いながら歩いているのを、横目で見る。
何がほろ酔い程度にしか、アルコールを入れないだ。
途中何度かお姉さんに突っかかられて、休憩のお姉さんがテーブルに割ってきて盛り上がって。
しかもアホみたいに、おだてられてガバガバ酒を飲んで。
途中から他のテーブルの客まで混じって、酒をご馳走してくれたし。
それで千鳥足で歌いながらヨタヨタ帰ってたら、世話ないな。
見事にお姉さんの思惑通りに、凄い金額を請求されたが。
それでも、かなり割り引いてもらってたのは分かる。
「大将があんたの飲みっぷりに気をよくして、だいぶ色付けてくれたからね」
って言ってたけど、あれだけ飲んでこれは確かに安いか。
軽くなった財布を振りつつも、ニコに内緒のゴブリン王国の献上金だから旅費には手を付けてないし。
他の客も結構、払わされてたし。
大将の顔見たら、かなり儲かったんだろうな。
帰るときに、他の客がザワザワしてたのは面白かったな。
「樽2つ分くらいの酒飲んでるのに、腹が出てない……だと?」
って、これは俺も不思議だったな。
トイレにいったわけでもないし。
「ターラリラっと」
「さっきから、なんの歌を歌ってるんだ?」
上機嫌に踊りながら歌って歩くランドールに、聞いてみた。
不思議なメロディで、それでいて元気が出る気がする。
「知らん……母上が、我が眠るときにいつも歌ってくれていた歌だ」
子守歌か?
にしては、眠気を誘うようなゆったりとしたメロディとは程遠い気がしないでもないが。
取り合えずご機嫌なこいつは放っておいて、帰ったらゴタロウに相談だな。
もしかしたら、今回のスタンピードが人為的なものだとしたら、そのフリザットてのと魔族が怪しいからな。
ただ、虎の尾を踏まないように、慎重に対応しないといけないかもしれない。
ポンコツのランドールでもそこそこ強いんだ。
普通の竜なら、どれほどのものかはやってみんと分からんからな。
「フンフンフーン」
「近所迷惑だから、もう少し静かに歌えない?」
「フォーンフォーン」
聞いちゃいない。
次の日、頭を押さえて呻く姿を見て、竜って大したことないなと思ったのは秘密だ。
「酒臭いです! 近づかないでください!」
「耳元で騒ぐな、頭に響く」
フィーナにキンキン声で注意されて、眉を寄せて情けない顔してるランドールにため息しかでない。
ゴタロウの表情も、心なしか呆れの色を含んでる。
ニコだけが心配して、水とか運んでいた。
「お主だけだ! 我に優しいのは」
「痛いし、臭いよ」
「ニコ、困ったことがあったら我に言うのだぞ! 我はお主の味方だ」
まだ、酔ってるのかな?
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