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第5章:巨人と魔王
第1話:顛末報告
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「また、よく分からないことになってますね」
ギルドで受付に、依頼の結果報告をしたらサブマスの部屋に連れていかれた。
そして、ベクターさんに再度報告。
ベクターさんが、首を傾げているが。
まあ、あの時のニコの説明じゃ受付の女の子も理解できないのは、当然か。
「えっと、シャバニの村の異変終わった……です。オーガいたんで、えっと、送ってから仲良くなったので、たぶん、もう……大丈夫……かな?」
「はっ? えっと、依頼の報告書は?」
「えっ? あっ、あれ? あった、これ」
なんか、ぎこちないけど自分の言葉できちんと説明できている。
ちょっと、感動。
「はあ……ちょっと、解決の方法が分からないのですが?」
「オーガいたから……家に送ったの? ダメだった?」
「いえ、報告書にはシャバニの村の村長さんのサインがあるので、完了扱いですが……オーガを送った?」
「うん! お父さんとお母さんが、喧嘩してた……で家出してたらしい」
「余計に分からなくなった……」
ニコの説明に、お姉さんが頭を抱え始める。
「誰がですか?」
「リュウキ君ですよ?」
「唐突に人名が……そんな人、今までの話に出てこなかったでしょう」
「あっ、村にいたオーガの子供の名前」
「はあ?」
「でね、なんか修羅場っていう状況になってたみたい」
「修羅場?」
「鈴木さんがそう言ってた」
「鈴木さん?」
あっ、だめだこれ……ニコがパニクって、もう思いついた先から言葉にし始めてる。
「ヨウキさんが、浮気を疑われてて……えっと? 不倫っていうの? 僕のお母さんとお父さんみたいな関係」
「ちょっとちょっと! 重い!」
「えっ? 分かりやすいかと思って」
「いや、私はニコさんの家庭環境知りませんから! というか、こんな子供の口から衝撃的な出生の秘密聞きたくなかった……」
「でね「まだ、続けるの?」」
「お父さんが、お母さんに暴力を振るってて「誰の?」」
「リュウキ君の」
「良かった……いや、良くない!」
「うちは、お父さんだけは……優しかったから」
「お父さんだけとか、切ない!」
「お母さん死んじゃったし……」
「もう無理、誰か!」
「でね「まだ、続けるのっ!?」」
こんな調子で、二コの報告をただただ聞いていた受付のお姉さんの忍耐力に、ちょっとだけ感心した。
そして、ニコの後ろの冒険者の団体……最初は、早くしろよとイライラしてたみたいだけど、途中から聞き入ってた。
むしろワクワクしてたな。
少し、ギャラリーも出来てたし。
主に、お姉さんの突っ込みの声に引き寄せられた感じか。
声でかかったし。
すぐ後ろの冒険者が話終わったあとで、物語みたいな冒険ウラヤマシスとか言ってたけど。
中身日本人とかじゃないよね?
少しだけ、周囲のニコに向けられる視線が柔らかくなったのは良いことか、悪いことか……
これが、ペーター君だったらもう少しまともに話せたんだろうけど。
あっ、ペーター君はギルド職員の傍らで、討伐系の依頼をバイト代わりに受け始めたらしい。
主にB級冒険者の手伝いとして。
どうも、ニコにあっさりとやられたせいで、冒険者熱が再燃したらしい。
ペーター君も冒険者あがりだったみたいだからね。
普通に試験を受けてギルド職員になるものもいれば、冒険者を引退してなるものもいる。
冒険者と職員の二足の草鞋を履いている人もいる。
なるほど、だからどこのギルドも必ず職員が複数人いるのかと。
で、きっちり最後まで聞いたくせに、受付のお姉さんが匙なげてベクターさんに再報告。
「まあ、オーガと縁を持った人の記録は、過去にも多くありますからね」
「みたいだね! リュウキ君の先祖様も人間なんだって! 他にも、人間を祖先に持ってたオーガが何人かいたよ」
ベクターさんの言葉にテンションが上がって、子供みたいな話し方になってるな。
この辺りは、気を付けさせないと。
相手、サブマスだし。
「まあ、無理やり攫われて、子供を産まされてしまった話もありますが」
「リュウキ君の場合は男の人だったよ! どっちも一目惚れだってさ」
「はぁ……オーガの見方がだいぶ変わってしまいましたが、何はともあれ有難うございました」
「いえ、こちらこそ、気を使ってもらってありがとうございます」
なんとか、ベクターさんには理解してもらえたみたいだ。
本当に良かった。
「あっ、ということはニコさんは、オーガとも仲良くなったんですか?」
「うん! いつでも来て良いって言われました! あと、ランドールが何人か配下に加えたって言ってました」
「その人は本当に何者なんですか! 世界征服とか考えてたりしませんよね?」
「うーん……オーガの人達は良い人ばっかりだったから、大丈夫だと思う……あっ! オーガが人のところに行ったら殺されるのに、人がオーガのところに来て殺されたからって野蛮な扱いされるのは心外だって、怒ってる人いました」
「まあ……一理ありますか。冒険者ギルドのサブマスとしても、人としても認めたくありませんが」
「しかも、こっちは人が礼儀をもって訪れたら無下には扱ってないのに、そっちは話も聞かずに問答無用に殺しにかかってくる人間は野蛮だとも」
「いや、まさかオーガがそこまで、話が通じる種族と思ってませんよ! 魔物のくくりですし」
一応、オーガに人と魔物の橋渡しになってくれと頼まれたとベクターさんに説明したら、苦笑いされてた。
それは、大変な期待ですねとも言われてたが。
その後、宿に戻って楽な格好になったニコは、フィーナ達と夕飯に。
ビルビングの屋敷に。
事の顛末を聞いたビルビングに、またも夕飯に誘われたからだ。
「当然、食事は済まされましたよね?」
「えっ、これからだけど」
「チッ!」
と迎えに来たリャーマと、慣れてきたやり取りをしていたが。
「おや、こんなところに街で一番とうたわれるパン屋のパンと、屋台のシチュー、それに鳥の串焼きに、新鮮野菜が」
どこから取り出したのか、大きなバケットが。
いや、ぴったり目の執事服なのに。
いきなり、出てきて俺もびっくりした。
バケットの中にはパンと、木の器に盛られたシチュー、それと木のプレートには鳥と野菜が。
「ちょっと、そこのテーブルで小腹を満たしてもらってきて「お前というやつは……」
そして、そんなリャーマの後ろには、怒れるビルビング。
毎度思うが、もう最初から自分で迎えにきたらいいのに。
轟音を響かせるビルビングの拳を、器のシチューを揺らすことなくよけるリャーマにちょっと興味が。
ニコと、どっちが強いかな?
そして、ビルビングの屋敷で夕飯。
ちなみにリャーマが持ってきてた差し入れも、そのテーブルに並べられていた。
話終わったあとで、リャーマが「そのオーガは、いつこの町を襲いにくるのですか? この屋敷までの手引きはお任せを」と言って、ビルビングと喧嘩になっていた。
なんで、こいつはクビにならないのだろう……
ギルドで受付に、依頼の結果報告をしたらサブマスの部屋に連れていかれた。
そして、ベクターさんに再度報告。
ベクターさんが、首を傾げているが。
まあ、あの時のニコの説明じゃ受付の女の子も理解できないのは、当然か。
「えっと、シャバニの村の異変終わった……です。オーガいたんで、えっと、送ってから仲良くなったので、たぶん、もう……大丈夫……かな?」
「はっ? えっと、依頼の報告書は?」
「えっ? あっ、あれ? あった、これ」
なんか、ぎこちないけど自分の言葉できちんと説明できている。
ちょっと、感動。
「はあ……ちょっと、解決の方法が分からないのですが?」
「オーガいたから……家に送ったの? ダメだった?」
「いえ、報告書にはシャバニの村の村長さんのサインがあるので、完了扱いですが……オーガを送った?」
「うん! お父さんとお母さんが、喧嘩してた……で家出してたらしい」
「余計に分からなくなった……」
ニコの説明に、お姉さんが頭を抱え始める。
「誰がですか?」
「リュウキ君ですよ?」
「唐突に人名が……そんな人、今までの話に出てこなかったでしょう」
「あっ、村にいたオーガの子供の名前」
「はあ?」
「でね、なんか修羅場っていう状況になってたみたい」
「修羅場?」
「鈴木さんがそう言ってた」
「鈴木さん?」
あっ、だめだこれ……ニコがパニクって、もう思いついた先から言葉にし始めてる。
「ヨウキさんが、浮気を疑われてて……えっと? 不倫っていうの? 僕のお母さんとお父さんみたいな関係」
「ちょっとちょっと! 重い!」
「えっ? 分かりやすいかと思って」
「いや、私はニコさんの家庭環境知りませんから! というか、こんな子供の口から衝撃的な出生の秘密聞きたくなかった……」
「でね「まだ、続けるの?」」
「お父さんが、お母さんに暴力を振るってて「誰の?」」
「リュウキ君の」
「良かった……いや、良くない!」
「うちは、お父さんだけは……優しかったから」
「お父さんだけとか、切ない!」
「お母さん死んじゃったし……」
「もう無理、誰か!」
「でね「まだ、続けるのっ!?」」
こんな調子で、二コの報告をただただ聞いていた受付のお姉さんの忍耐力に、ちょっとだけ感心した。
そして、ニコの後ろの冒険者の団体……最初は、早くしろよとイライラしてたみたいだけど、途中から聞き入ってた。
むしろワクワクしてたな。
少し、ギャラリーも出来てたし。
主に、お姉さんの突っ込みの声に引き寄せられた感じか。
声でかかったし。
すぐ後ろの冒険者が話終わったあとで、物語みたいな冒険ウラヤマシスとか言ってたけど。
中身日本人とかじゃないよね?
少しだけ、周囲のニコに向けられる視線が柔らかくなったのは良いことか、悪いことか……
これが、ペーター君だったらもう少しまともに話せたんだろうけど。
あっ、ペーター君はギルド職員の傍らで、討伐系の依頼をバイト代わりに受け始めたらしい。
主にB級冒険者の手伝いとして。
どうも、ニコにあっさりとやられたせいで、冒険者熱が再燃したらしい。
ペーター君も冒険者あがりだったみたいだからね。
普通に試験を受けてギルド職員になるものもいれば、冒険者を引退してなるものもいる。
冒険者と職員の二足の草鞋を履いている人もいる。
なるほど、だからどこのギルドも必ず職員が複数人いるのかと。
で、きっちり最後まで聞いたくせに、受付のお姉さんが匙なげてベクターさんに再報告。
「まあ、オーガと縁を持った人の記録は、過去にも多くありますからね」
「みたいだね! リュウキ君の先祖様も人間なんだって! 他にも、人間を祖先に持ってたオーガが何人かいたよ」
ベクターさんの言葉にテンションが上がって、子供みたいな話し方になってるな。
この辺りは、気を付けさせないと。
相手、サブマスだし。
「まあ、無理やり攫われて、子供を産まされてしまった話もありますが」
「リュウキ君の場合は男の人だったよ! どっちも一目惚れだってさ」
「はぁ……オーガの見方がだいぶ変わってしまいましたが、何はともあれ有難うございました」
「いえ、こちらこそ、気を使ってもらってありがとうございます」
なんとか、ベクターさんには理解してもらえたみたいだ。
本当に良かった。
「あっ、ということはニコさんは、オーガとも仲良くなったんですか?」
「うん! いつでも来て良いって言われました! あと、ランドールが何人か配下に加えたって言ってました」
「その人は本当に何者なんですか! 世界征服とか考えてたりしませんよね?」
「うーん……オーガの人達は良い人ばっかりだったから、大丈夫だと思う……あっ! オーガが人のところに行ったら殺されるのに、人がオーガのところに来て殺されたからって野蛮な扱いされるのは心外だって、怒ってる人いました」
「まあ……一理ありますか。冒険者ギルドのサブマスとしても、人としても認めたくありませんが」
「しかも、こっちは人が礼儀をもって訪れたら無下には扱ってないのに、そっちは話も聞かずに問答無用に殺しにかかってくる人間は野蛮だとも」
「いや、まさかオーガがそこまで、話が通じる種族と思ってませんよ! 魔物のくくりですし」
一応、オーガに人と魔物の橋渡しになってくれと頼まれたとベクターさんに説明したら、苦笑いされてた。
それは、大変な期待ですねとも言われてたが。
その後、宿に戻って楽な格好になったニコは、フィーナ達と夕飯に。
ビルビングの屋敷に。
事の顛末を聞いたビルビングに、またも夕飯に誘われたからだ。
「当然、食事は済まされましたよね?」
「えっ、これからだけど」
「チッ!」
と迎えに来たリャーマと、慣れてきたやり取りをしていたが。
「おや、こんなところに街で一番とうたわれるパン屋のパンと、屋台のシチュー、それに鳥の串焼きに、新鮮野菜が」
どこから取り出したのか、大きなバケットが。
いや、ぴったり目の執事服なのに。
いきなり、出てきて俺もびっくりした。
バケットの中にはパンと、木の器に盛られたシチュー、それと木のプレートには鳥と野菜が。
「ちょっと、そこのテーブルで小腹を満たしてもらってきて「お前というやつは……」
そして、そんなリャーマの後ろには、怒れるビルビング。
毎度思うが、もう最初から自分で迎えにきたらいいのに。
轟音を響かせるビルビングの拳を、器のシチューを揺らすことなくよけるリャーマにちょっと興味が。
ニコと、どっちが強いかな?
そして、ビルビングの屋敷で夕飯。
ちなみにリャーマが持ってきてた差し入れも、そのテーブルに並べられていた。
話終わったあとで、リャーマが「そのオーガは、いつこの町を襲いにくるのですか? この屋敷までの手引きはお任せを」と言って、ビルビングと喧嘩になっていた。
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