8 / 91
第1章:剣と少年
第8話:いざリンドの街へ!
しおりを挟む
「ニコさま! これ、みんなで集めたの」
森の入り口で、ゴブリンの子供が皮袋を手渡してくる。
中身は、様々な木の実が。
「わあ、こんなにたくさん。大変だったでしょ?」
「ううん、鈴木様の畑から採ってきたから」
「すぐ、集まったよ!」
「あっ……そう」
ランドールのスキルの中に、植物関連もあったので。
色々と、やってた。
子供達には好きに採っていいとは、言ってあったけど。
そして、子供たちの悪気無い言葉にニコがちょっとトーンダウン。
軽く威圧をぶつける。
「あっ、それでも大変だったよね? 有難うね」
「うん、ニコ様ちょいちょいグレプの実とデスキラーポイズンの実を間違えたりするから」
「自分で、何か採って食べちゃダメだよ?」
「お腹壊しちゃうよ?」
「はは……」
これは毒のある植物の擬態が見事なのか。
それとも、ニコに才能がないだけなのか。
いまだに採取の際に、色々とまずいものが混ざっていたり。
長老であるゴブスチャンからも採ったものを食べるときは、まずはゴブフィーナに毒見をさせるよう念を押されてた。
「我の鱗を持っていくか? 人間ってのは、こんなもんにアホみたいなお金を出すのだろ?」
「ありがとう」
ランドールはよく身体を家や、木にぶつける。
たまに鱗がはがれる勢いで。
「つっ!」
と、声にならない悲鳴をあげてるときはそういうとき。
箪笥の角に小指をぶつけた人みたいな反応だと思ったのは内緒。
その鱗を取っておいてくれたらしい。
うーん、ありがたい。
なんだかんだで、大荷物。
マジックバックや異空間収納とか、憧れる。
自分の身体よりおおきなリュックを背負ったゴブフィーナと、頭陀袋を持ったニコ。
絵面が気になるところだが。
ニコも、なんとなく気まずそう。
「ニコは繊細だから仕方ないよ。そのぶん、私が頑張る」
「はは」
そういって力こぶを作って見せるゴブフィーナ。
女の子らしく、ちょっとプニっとした二の腕……からは信じられないような膂力を発揮する。
具体的にいうと、バフ全乗せのニコに腕相撲で両手対片手で勝っちゃうくらい。
うーん、スキルってあんまり効果ないのかな?
過度の期待はしないでおこうと、思った出来事だった。
そしていよいよ出立。
なんだかんだで森の奥でお別れしたはずなのに、ゾロゾロと入り口までついてきてくれたけど。
今度こそ、本当にお別れ。
「じゃあ、皆さんお達者で!」
「我らは、いつまでも主とニコ様と共に」
「お二方の窮地にはたとえ世界の裏側であろうとも、馳せ参じましょうぞ!」
うん、本当にそうなりそうで怖い。
頭脳担当のゴブリンが、俺の絵空事の飛空艇やら飛行機を真剣に検討してたし。
設計図っぽいものもすでに……
あと、ランドールの飛行能力を向上するなんやかんやも着手してたようにも。
うんうん……俺は何も知らない。
ニコも何も知らない。
「うふふ、これでようやく2人きり」
「ではないよね?」
ニヘラと下心満載なゴブフィーナに対して、剣を掲げてみせるニコ。
「2人で1人ですわ! 雄々しくも猛々しい主様と、繊細でたおやかなニコ様……」
「あー……えっと……」
あんまり変なことをしたら、置いていくといえ。
「鈴木さんが、度が過ぎると置いていくって」
「あら、いけずですね」
いけずとか、どこで覚えたんだ?
まあ、良いか。
言葉に関してなんて今更出しな。
あっ、そうだった。
名前名前!
「あー、うん。あのゴブフィーナ」
「なんですか?」
「鈴木さんが、ゴブフィーナって人の前で呼んだら目立つから、今日からフィーナって呼ぶようにって言われた」
「フィーナ? 悪くないですわ!」
上機嫌に、フィーナと何度も呟きながら歩くゴブリンの後ろ姿を見て、ニコがほっこりしてる。
ほっこりしてるとこ悪いけど、見た目と違ってあいつまだ5歳だからな?
意思は強く持てよ?
しかし、この1年でだいぶ年相応になったかな?
いや、ちょっと大人びてきた気もするけど。
そうだな……
ニコの居た街に寄ってみるか?
「えっ? ロブスレーの街にですか?」
そんな名前だったのか。
まあ、どうでも良いけどさ。
ああ。
いまのお前なら、いろいろとけじめをつけられるんじゃないか?
俺の言葉に、ニコがしばらく黙って考え込む。
そして、顔をあげる。
「いや、このままリンドの街を目指します」
そうか。
表情を見る限り、もしかしたらとっくに振り切ったのかもしれないな。
こうして成長を目の当たりにすると、目頭に熱いものが。
目頭無いけど。
そして目尻に光るものが。
目尻も無いけど。
でも、たぶん光ってるはず。
鉄っぽいし。
光を反射して。
「ニコ! 野兎」
「うんうん、可愛いね」
「えっ?」
ニコが可愛いと言ったときにはすでに、フィーナが石をぶつけて仕留めていた。
「いや、晩御飯」
「うん……そうだよね」
大丈夫だろうか?
色々と不安になってきたけど、フィーナのお陰でなんとかなるだろう。
それにフィーナを連れてきたのには、他にも理由があるし。
ドリーミーなフィーナは、竜すら眠らせる睡眠誘導スキルを持ってるのだ。
いや、あれはまあランドールがかかりにいってるとこがあったけど。
地竜のランドールが寝付きが悪い時に頼りにするほどの、睡眠スキル。
人がくらえば、もはや昏睡レベルのスキル。
万が一のときは、それでニコを眠らせるよう指示してある。
俺が身体を動かせるようにするためだ。
ふふ、万が一の時は敵に使った方がよくないですか? と冷静に言われてしまった。
……そうだよね。
でも、もしかしたら睡眠耐性が凄く高い敵が出てくるかも。
その耐性を余裕で突き抜ける?
……いや、ゴーレムとか。
それでも? まあ、少し黙れ。
取り合えず、そういうことだから!
主従の立場を全力で使わせてもらった。
パワハラとか言わない!
とりあえずなんかあったら、遠慮せず使えといってある。
本当に使ってくれるか、いまいち不安だけど。
「ここが人の街……」
「村だけどね」
リンドの街までは。テトの森から徒歩で4日はかかるとのこと。
だから、適度な場所にある村や町を中継していくように、工程を組んだ。
ゴブスチャンが。
優秀。
どうやって、周辺地図をゲットしたかは知らない。
聞かない。
「色々としょぼい」
「村だからね……」
フィーナが辛辣な言葉を投げかけているが、ニコが苦笑いで誤魔化している。
この村がしょぼいんじゃなくて、森の奥地に出来た集落が規格外とだけいっておこう。
洗浄機能付き水洗トイレを、機械文明がほぼ発達してない世界の村に期待しないでほしい。
地中落下式のトイレに、フィーナがあからさまな嫌悪感を抱いている。
もしかして、ホームシックに陥ったりしないよね?
お尻を拭く葉っぱも固そうだったので、洗浄魔法を使った?
もともと垂れ流しのゴブリンが偉く出世したもんだ。
でも気分的にあれだから、洗浄魔法かけても形だけでも拭いてほしい。
洗浄魔法を疑ってるわけじゃない。
なんとなく、気分の問題。
「えー! お風呂無いんですか?」
「はは、えらく上等なお客様だ。すまんな、お湯と桶なら貸し出してるから、それと布で身体を拭いてくれ」
宿の受付でお風呂が無いときいて、フィーナが凄く不満そう。
お湯と桶の貸し出しも有料。
「お風呂無いのが悪いのにお湯に金を取るなんて」
「まあまあ」
部屋でぷりぷりとまだ文句を言っているフィーナを、ニコがなだめている。
まあ仕方ないので、ニコが寝たあとで俺が用意しよう。
「ごはん食べに行こうか?」
「うん、人の食べるご飯ってどんなのかな? 鈴木様の料理とどっちが美味しいかな?」
「あー……はは」
このフィーナの発言にも、ニコが苦笑い。
たぶん俺が指示しながらゴブリンコックとか、ゴブリンシェフが作った料理の方が美味しいと思う。
この世界の料理を俺も見たことなかったけど、ニコの反応で分かってしまった。
いや、ゴブリンのロハスな生食に、ニコのお腹が心配になって教えたのだが。
よくよく考えると、悪食のスキルでどうにかなったかもしれない。
そんな悪食のゴブリンたちも、今じゃグルメ気取りだからな。
「なんか……楽しくない」
「む……村だから」
ニコが村をディスってるように聞こえてきたが、仕方ないか。
村の酒場で出された料理に、目を輝かせてフィーナだったけど。
一口食べた瞬間に顔が死んでた。
レディの顔じゃないぞ。
気を付けろ。
ちなみに人間基準で考えると、凄く美少女なフィーナ。
そりゃ、ニコの理想の女性になれるように願って進化してるからな。
それなり以上。
ニコの理想が高すぎるってのも、あるかもしれない。
ニコに身の程を知れ! と言いたいが。
結果、理想の女性と結婚できそうだぞニコ。
良かったな!
ゴブリンロードだけど。
だから、酒場でもナンパされた。
ニコと楽しくおしゃべりしてる最中に。
酔っ払いに。
料理に期待できないかわりに、ニコと2人きりの時間を楽しもうとした矢先に。
「あら、このカップ壊れてたのかしら?」
「ひっ」
水の入った木のカップを握りつぶした瞬間に、酔っ払いはどっかいったけど。
「すげーな嬢ちゃん!」
「へえ、やるじゃん!」
「マスター、あの嬢ちゃんにこれを!」
「俺からは、これをご馳走だ!」
不安そうに成り行きを見ていた周りは、大盛り上がり。
結果大量の食べ物や飲み物が貢がれて。
フィーナがかなりげんなりしていたのが、雰囲気で伝わった。
なんとか、笑顔でお礼が言えたのはあとで褒めておこう。
そして人の料理の味を知っているニコが、頑張ってほとんどの料理をやっつけたとだけ。
「く……苦しい」
「初夜が、全然ロマンチックじゃない」
何を期待したのかしらないが、ニコにそんな度胸はない。
あと、こんだけお腹がパンパンの状態だと、仮に健全でちょっと積極的な野郎でもね……
夜の運動はお休みすると思う。
ニコが寝たあとで、村の外で魔法でお風呂を作ってやったらご機嫌になったけど。
俺が魔法使えない問題は、最初の街で出会った親切なおじさんのお陰で解決したとだけ。
あの、おじさんっていったらダメージ受ける変なおっさんのお陰。
森の入り口で、ゴブリンの子供が皮袋を手渡してくる。
中身は、様々な木の実が。
「わあ、こんなにたくさん。大変だったでしょ?」
「ううん、鈴木様の畑から採ってきたから」
「すぐ、集まったよ!」
「あっ……そう」
ランドールのスキルの中に、植物関連もあったので。
色々と、やってた。
子供達には好きに採っていいとは、言ってあったけど。
そして、子供たちの悪気無い言葉にニコがちょっとトーンダウン。
軽く威圧をぶつける。
「あっ、それでも大変だったよね? 有難うね」
「うん、ニコ様ちょいちょいグレプの実とデスキラーポイズンの実を間違えたりするから」
「自分で、何か採って食べちゃダメだよ?」
「お腹壊しちゃうよ?」
「はは……」
これは毒のある植物の擬態が見事なのか。
それとも、ニコに才能がないだけなのか。
いまだに採取の際に、色々とまずいものが混ざっていたり。
長老であるゴブスチャンからも採ったものを食べるときは、まずはゴブフィーナに毒見をさせるよう念を押されてた。
「我の鱗を持っていくか? 人間ってのは、こんなもんにアホみたいなお金を出すのだろ?」
「ありがとう」
ランドールはよく身体を家や、木にぶつける。
たまに鱗がはがれる勢いで。
「つっ!」
と、声にならない悲鳴をあげてるときはそういうとき。
箪笥の角に小指をぶつけた人みたいな反応だと思ったのは内緒。
その鱗を取っておいてくれたらしい。
うーん、ありがたい。
なんだかんだで、大荷物。
マジックバックや異空間収納とか、憧れる。
自分の身体よりおおきなリュックを背負ったゴブフィーナと、頭陀袋を持ったニコ。
絵面が気になるところだが。
ニコも、なんとなく気まずそう。
「ニコは繊細だから仕方ないよ。そのぶん、私が頑張る」
「はは」
そういって力こぶを作って見せるゴブフィーナ。
女の子らしく、ちょっとプニっとした二の腕……からは信じられないような膂力を発揮する。
具体的にいうと、バフ全乗せのニコに腕相撲で両手対片手で勝っちゃうくらい。
うーん、スキルってあんまり効果ないのかな?
過度の期待はしないでおこうと、思った出来事だった。
そしていよいよ出立。
なんだかんだで森の奥でお別れしたはずなのに、ゾロゾロと入り口までついてきてくれたけど。
今度こそ、本当にお別れ。
「じゃあ、皆さんお達者で!」
「我らは、いつまでも主とニコ様と共に」
「お二方の窮地にはたとえ世界の裏側であろうとも、馳せ参じましょうぞ!」
うん、本当にそうなりそうで怖い。
頭脳担当のゴブリンが、俺の絵空事の飛空艇やら飛行機を真剣に検討してたし。
設計図っぽいものもすでに……
あと、ランドールの飛行能力を向上するなんやかんやも着手してたようにも。
うんうん……俺は何も知らない。
ニコも何も知らない。
「うふふ、これでようやく2人きり」
「ではないよね?」
ニヘラと下心満載なゴブフィーナに対して、剣を掲げてみせるニコ。
「2人で1人ですわ! 雄々しくも猛々しい主様と、繊細でたおやかなニコ様……」
「あー……えっと……」
あんまり変なことをしたら、置いていくといえ。
「鈴木さんが、度が過ぎると置いていくって」
「あら、いけずですね」
いけずとか、どこで覚えたんだ?
まあ、良いか。
言葉に関してなんて今更出しな。
あっ、そうだった。
名前名前!
「あー、うん。あのゴブフィーナ」
「なんですか?」
「鈴木さんが、ゴブフィーナって人の前で呼んだら目立つから、今日からフィーナって呼ぶようにって言われた」
「フィーナ? 悪くないですわ!」
上機嫌に、フィーナと何度も呟きながら歩くゴブリンの後ろ姿を見て、ニコがほっこりしてる。
ほっこりしてるとこ悪いけど、見た目と違ってあいつまだ5歳だからな?
意思は強く持てよ?
しかし、この1年でだいぶ年相応になったかな?
いや、ちょっと大人びてきた気もするけど。
そうだな……
ニコの居た街に寄ってみるか?
「えっ? ロブスレーの街にですか?」
そんな名前だったのか。
まあ、どうでも良いけどさ。
ああ。
いまのお前なら、いろいろとけじめをつけられるんじゃないか?
俺の言葉に、ニコがしばらく黙って考え込む。
そして、顔をあげる。
「いや、このままリンドの街を目指します」
そうか。
表情を見る限り、もしかしたらとっくに振り切ったのかもしれないな。
こうして成長を目の当たりにすると、目頭に熱いものが。
目頭無いけど。
そして目尻に光るものが。
目尻も無いけど。
でも、たぶん光ってるはず。
鉄っぽいし。
光を反射して。
「ニコ! 野兎」
「うんうん、可愛いね」
「えっ?」
ニコが可愛いと言ったときにはすでに、フィーナが石をぶつけて仕留めていた。
「いや、晩御飯」
「うん……そうだよね」
大丈夫だろうか?
色々と不安になってきたけど、フィーナのお陰でなんとかなるだろう。
それにフィーナを連れてきたのには、他にも理由があるし。
ドリーミーなフィーナは、竜すら眠らせる睡眠誘導スキルを持ってるのだ。
いや、あれはまあランドールがかかりにいってるとこがあったけど。
地竜のランドールが寝付きが悪い時に頼りにするほどの、睡眠スキル。
人がくらえば、もはや昏睡レベルのスキル。
万が一のときは、それでニコを眠らせるよう指示してある。
俺が身体を動かせるようにするためだ。
ふふ、万が一の時は敵に使った方がよくないですか? と冷静に言われてしまった。
……そうだよね。
でも、もしかしたら睡眠耐性が凄く高い敵が出てくるかも。
その耐性を余裕で突き抜ける?
……いや、ゴーレムとか。
それでも? まあ、少し黙れ。
取り合えず、そういうことだから!
主従の立場を全力で使わせてもらった。
パワハラとか言わない!
とりあえずなんかあったら、遠慮せず使えといってある。
本当に使ってくれるか、いまいち不安だけど。
「ここが人の街……」
「村だけどね」
リンドの街までは。テトの森から徒歩で4日はかかるとのこと。
だから、適度な場所にある村や町を中継していくように、工程を組んだ。
ゴブスチャンが。
優秀。
どうやって、周辺地図をゲットしたかは知らない。
聞かない。
「色々としょぼい」
「村だからね……」
フィーナが辛辣な言葉を投げかけているが、ニコが苦笑いで誤魔化している。
この村がしょぼいんじゃなくて、森の奥地に出来た集落が規格外とだけいっておこう。
洗浄機能付き水洗トイレを、機械文明がほぼ発達してない世界の村に期待しないでほしい。
地中落下式のトイレに、フィーナがあからさまな嫌悪感を抱いている。
もしかして、ホームシックに陥ったりしないよね?
お尻を拭く葉っぱも固そうだったので、洗浄魔法を使った?
もともと垂れ流しのゴブリンが偉く出世したもんだ。
でも気分的にあれだから、洗浄魔法かけても形だけでも拭いてほしい。
洗浄魔法を疑ってるわけじゃない。
なんとなく、気分の問題。
「えー! お風呂無いんですか?」
「はは、えらく上等なお客様だ。すまんな、お湯と桶なら貸し出してるから、それと布で身体を拭いてくれ」
宿の受付でお風呂が無いときいて、フィーナが凄く不満そう。
お湯と桶の貸し出しも有料。
「お風呂無いのが悪いのにお湯に金を取るなんて」
「まあまあ」
部屋でぷりぷりとまだ文句を言っているフィーナを、ニコがなだめている。
まあ仕方ないので、ニコが寝たあとで俺が用意しよう。
「ごはん食べに行こうか?」
「うん、人の食べるご飯ってどんなのかな? 鈴木様の料理とどっちが美味しいかな?」
「あー……はは」
このフィーナの発言にも、ニコが苦笑い。
たぶん俺が指示しながらゴブリンコックとか、ゴブリンシェフが作った料理の方が美味しいと思う。
この世界の料理を俺も見たことなかったけど、ニコの反応で分かってしまった。
いや、ゴブリンのロハスな生食に、ニコのお腹が心配になって教えたのだが。
よくよく考えると、悪食のスキルでどうにかなったかもしれない。
そんな悪食のゴブリンたちも、今じゃグルメ気取りだからな。
「なんか……楽しくない」
「む……村だから」
ニコが村をディスってるように聞こえてきたが、仕方ないか。
村の酒場で出された料理に、目を輝かせてフィーナだったけど。
一口食べた瞬間に顔が死んでた。
レディの顔じゃないぞ。
気を付けろ。
ちなみに人間基準で考えると、凄く美少女なフィーナ。
そりゃ、ニコの理想の女性になれるように願って進化してるからな。
それなり以上。
ニコの理想が高すぎるってのも、あるかもしれない。
ニコに身の程を知れ! と言いたいが。
結果、理想の女性と結婚できそうだぞニコ。
良かったな!
ゴブリンロードだけど。
だから、酒場でもナンパされた。
ニコと楽しくおしゃべりしてる最中に。
酔っ払いに。
料理に期待できないかわりに、ニコと2人きりの時間を楽しもうとした矢先に。
「あら、このカップ壊れてたのかしら?」
「ひっ」
水の入った木のカップを握りつぶした瞬間に、酔っ払いはどっかいったけど。
「すげーな嬢ちゃん!」
「へえ、やるじゃん!」
「マスター、あの嬢ちゃんにこれを!」
「俺からは、これをご馳走だ!」
不安そうに成り行きを見ていた周りは、大盛り上がり。
結果大量の食べ物や飲み物が貢がれて。
フィーナがかなりげんなりしていたのが、雰囲気で伝わった。
なんとか、笑顔でお礼が言えたのはあとで褒めておこう。
そして人の料理の味を知っているニコが、頑張ってほとんどの料理をやっつけたとだけ。
「く……苦しい」
「初夜が、全然ロマンチックじゃない」
何を期待したのかしらないが、ニコにそんな度胸はない。
あと、こんだけお腹がパンパンの状態だと、仮に健全でちょっと積極的な野郎でもね……
夜の運動はお休みすると思う。
ニコが寝たあとで、村の外で魔法でお風呂を作ってやったらご機嫌になったけど。
俺が魔法使えない問題は、最初の街で出会った親切なおじさんのお陰で解決したとだけ。
あの、おじさんっていったらダメージ受ける変なおっさんのお陰。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
全校転移!異能で異世界を巡る!?
小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。
目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。
周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。
取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。
「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」
取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。
そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる