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第6章:動き出す世界
第4話:ご都合侵入者回
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「マスター……人間の団体がダンジョンに近づいてます」
「凄いな! 改造が終わったこのタイミングでか?」
「全く、運の悪い方達ですね」
突如、クロノが侵略者の登場を告げる。
本当にたまたまなのかこいつが足止めしてたのかは知らないけど、このダンジョンの性能を知るいい機会だ。
「敵は300人規模ですね。一個大隊とギリギリ呼べる程度ですね」
「多くね?」
「分けて、侵入させますか?」
「いや、全員纏めてで良いけどさ」
折角の獲物なんだから、そんな勿体ない事しないよ?
むしろまとめて相手した方が、威力偵察には調度良いだろうし。
というか、そいつら能力的にはどうなんだろ?
「概ね雑魚ですが、5人程桁違いの人間が混ざってますね。およそレベル200~700くらいかと」
「A級冒険者からSS級冒険者くらいか……強いかどうかいまいち分からん」
たしか100を越えると超越者とやらで、A級なんだっけ?
でもって、300から500がS級?
それ以上がSS級だったと思う。
うん、あんま興味無かったから覚えてない。
「まもなく入り口に到着しますが?」
「お前さ……もうちょっと、早く教えてくれない? まあ、良いけどさ。全員入ったら1階層に転移させて」
「分かりました」
取り敢えず2階層から30階層までの魔物に侵入者が来ることを伝えて、スタンバイ。
5分くらいして最初の1人が侵入。
「ここが、例のダンジョンか」
「本当にこんなところにダンジョンが」
先頭は騎士の恰好をした男性だ。
それに付き従うようにして、またも騎士鎧の男性が入って来る。
声の感じ先に入ってきた方は、割と歳がいってそう。
後の方は、若い感じ?
老練の凄腕騎士団長と、期待のホープみたいなコンビかな?
ウェッジとビックスとかって名前じゃないと良いけど。
「隊長、全員無事洞窟内に入りました」
「ここまでは、何も無しか……かえって不気味だな」
「まあ、心配すんなって。俺様が居るんだ、ボスだろうがマスターだろうがこの剣の錆にしかなんねーよ」
おお、なんか偉そうで強そうなやつが出て来た。
頬に十字傷のある、黒髪の優男だ。
口調があれだけど、剣の腕はそこそこありそうだな。
「ふんっ、ここまでまだ実力を見せてもらってないんだがな……A級冒険者とやらが、どれほどのもんか早く見せて貰いたいもんだ」
「あー、他の化け物みたいな4人はともかく、俺一人でこの騎士団くらいなら簡単に制圧できると思って貰って良いぜ?」
「ほうっ……わしは、レベル350の騎士だがA級冒険者ってのはそれよりも強いのか?」
「ごめん、たぶんおっちゃんのが強いわ」
素直だ。
A級ってことはレベル300以下だもんね。
まあ、レベル差が全てとは思わないけど。
「対人戦ならね。ただ、魔物相手なら素人は引っ込んでてもらいたいけどな」
「魔物退治も騎士の立派な仕事だぞ?」
「じゃあ、俺もういらねーじゃん!」
あっ、キレた。
なんで、こいつ連れて来たんだ?
まあ、良いや。
取りあえず、お出迎えっと。
クロノに頼んで、集団の先頭に転移してもらう。
「ようこそお越しくださいました。我がダンジョンに」
「誰だ!」
まあ、待て。
今から自己紹介するところだから。
「私がこのダンジョンのマスターの、クラタです」
もう、人間と全面戦争の予定だから正体ばれても良いか。
さよなら、メイベルたん。
後で、ちょっと会いにいってみるけど。
「ほうっ? じゃあ、貴様を倒したら全て終わるって訳だ」
「なんだ、普通の人間っぽいな。こんな奴が、あちこちのダンジョンを取りまとめた会長なのか?」
十字傷の男と隊長が腕を組んで、こっちを見つめてくる。
あんまり、見つめちゃイヤン。
「……」
クロノさんや?
突っ込んでもええんやで?
「じゃあ、とっととこいつ倒して、ダンジョンコアまでのんびり散歩と洒落込むか!」
――――――
のちにこの遠征に参加したジョージ・ホーランド(37歳)はこう語った。
「A級冒険者のウィードさんがマスターを名乗る男に斬りかかったと思ったら、そのまま横を走り抜けてガクっと崩れ落ちたんですよ。
一瞬何が起こったのか、みんな分かって無かったんじゃないですかね?
どのように、崩れ落ちたかって?
なんて言ったらいいんだろ……
人形劇とかって見た事あります?
そうそう、マリオネットを使ったあれ。
あれでさ、糸を切るって聞いた事無い?
こう、ハサミでチョキンと。
丁度、そんな感じで関節を不自然な方向に折り曲げて崩れたんだよ。
あっ、駄目だこれって思いました。
ここだけの話ですよ?
あまりの不気味さに、わたしちょっとチビッちゃいましたもん」
――――――
「なんだ、せっかちな奴だな。ルールくらい説明させろよ! まあ、こいつは脱落だな」
取りあえず、クロノに外にポイさせる。
「なっ、ウィード!」
隊長さんが驚きに目を見開かせているけど、まだまだ始まったばかりだからね。
「どけっ!」
「ほうっ?」
と思ったら、後ろの集団から1人の男性が飛び出してくる。
手には槍を持ってるところを見ると、それを使って跳躍したのかな?
取りあえず、槍をこちらに向けて振って来たので軽く後ろに跳んで躱すと、蹴りを入れる。
やるねえ。
すぐに地面に突き立てた槍を引き抜いて、蹴りを受けきった。
「くっ、化け物め」
まあ、凄い勢いで吹っ飛んでいったけどね。
壁にぶつかる前に自力で止まっただけでも立派立派。
「話を聞けよ! ここから先に進みたかったら俺に1発当てれば良い。 そしたら、最上階で待っててやるからさ」
そう言ってニヤリと笑ったら、目の前の隊長さんもニヤリと笑った。
なんで?
「一発当てるだけで良いんだな? よしっ、お前ら全員突っ込め!」
そういうと、戦闘に並んだ10人に指示を飛ばす。
ズルいな。
10人掛かりで挑んだら、1発くらい当たるだろうってか?
そうは、問屋が卸さんよ?
取りあえず、地面を蹴って先頭の……あー、両サイドが先頭?
真ん中が、一番遅い?
そうか、そうやって囲い込む気なのね。
なかなか、良く訓練されてるね。
先頭が二人も居るし……じゃあ、真ん中の君から。
一番遅い真ん中の騎士を殴り飛ばして、その両横の騎士を回転蹴りで吹き飛ばすと巻き添え喰らって数人が吹っ飛んでいく。
そいつらも退場で。
「なっ! 早すぎるだろ?」
「あー、余計な事考えてると、怪我するよ? まあ、怪我で済めば良いけどさ」
取りあえず呆けてる隊長さんに一当て、おお、ちゃんと防いだよこの人。
まあ、10%形態だしね。
取りあえず合格っぽいから、次々行こう!
集団の真ん中に飛び込んで、回転しながら蹴るわ殴るわで雑魚どもを散らしていく。
回転の遠心力で吸い寄せられた騎士が、次の瞬間には壁や天井に叩きつけられてクロノによって外にポイされていく。
おおよそ、200人くらい吹き飛ばしたところで、次の騎士を殴ろうとした俺の手が止まる。
「キャッ!」
目の前に迫りくる拳に対して、ヘルム越しでも思わず目を閉じたのが分かる。
そして、拳圧で吹き飛ばされるヘルム。
露わになる顔。
「メイベルたん?」
「たん? というか、クラタさんダンジョンマスターだったんですか?」
「はいっ終了! 残りの皆は合格ね! おいっ、クロノ! メイベルと俺をマスター部屋に転送しろ」
「はあ……なんで人間まで」
「おまっ、一緒に居るの知ってて黙ってたろ? 良いから取りあえず、頼む」
「はいはい」
取りあえず、クロノが俺とメイベルを転移で運んでくれる。
良かった。
これで、誤解を解く時間が稼げる。
他の連中?
良いの良いの、このダンジョンの有効性を知るために、あえて有象無象の雑魚を散らしただけだから。
残ってるのは、ちゃんとそこそこだと思うし。
「助かったのか?」
「もう、帰りたい」
「ここを頑張って最後までいったら、またあいつと戦うの?」
「無理じゃね?」
なんだか、大分心が砕けてるような気がするけど、もう少し楽しんでってよ。
「取りあえず、進めるだけ進んで無理だと判断したら戻ろう」
隊長さんまで弱気だった。
頑張れ!
「凄いな! 改造が終わったこのタイミングでか?」
「全く、運の悪い方達ですね」
突如、クロノが侵略者の登場を告げる。
本当にたまたまなのかこいつが足止めしてたのかは知らないけど、このダンジョンの性能を知るいい機会だ。
「敵は300人規模ですね。一個大隊とギリギリ呼べる程度ですね」
「多くね?」
「分けて、侵入させますか?」
「いや、全員纏めてで良いけどさ」
折角の獲物なんだから、そんな勿体ない事しないよ?
むしろまとめて相手した方が、威力偵察には調度良いだろうし。
というか、そいつら能力的にはどうなんだろ?
「概ね雑魚ですが、5人程桁違いの人間が混ざってますね。およそレベル200~700くらいかと」
「A級冒険者からSS級冒険者くらいか……強いかどうかいまいち分からん」
たしか100を越えると超越者とやらで、A級なんだっけ?
でもって、300から500がS級?
それ以上がSS級だったと思う。
うん、あんま興味無かったから覚えてない。
「まもなく入り口に到着しますが?」
「お前さ……もうちょっと、早く教えてくれない? まあ、良いけどさ。全員入ったら1階層に転移させて」
「分かりました」
取り敢えず2階層から30階層までの魔物に侵入者が来ることを伝えて、スタンバイ。
5分くらいして最初の1人が侵入。
「ここが、例のダンジョンか」
「本当にこんなところにダンジョンが」
先頭は騎士の恰好をした男性だ。
それに付き従うようにして、またも騎士鎧の男性が入って来る。
声の感じ先に入ってきた方は、割と歳がいってそう。
後の方は、若い感じ?
老練の凄腕騎士団長と、期待のホープみたいなコンビかな?
ウェッジとビックスとかって名前じゃないと良いけど。
「隊長、全員無事洞窟内に入りました」
「ここまでは、何も無しか……かえって不気味だな」
「まあ、心配すんなって。俺様が居るんだ、ボスだろうがマスターだろうがこの剣の錆にしかなんねーよ」
おお、なんか偉そうで強そうなやつが出て来た。
頬に十字傷のある、黒髪の優男だ。
口調があれだけど、剣の腕はそこそこありそうだな。
「ふんっ、ここまでまだ実力を見せてもらってないんだがな……A級冒険者とやらが、どれほどのもんか早く見せて貰いたいもんだ」
「あー、他の化け物みたいな4人はともかく、俺一人でこの騎士団くらいなら簡単に制圧できると思って貰って良いぜ?」
「ほうっ……わしは、レベル350の騎士だがA級冒険者ってのはそれよりも強いのか?」
「ごめん、たぶんおっちゃんのが強いわ」
素直だ。
A級ってことはレベル300以下だもんね。
まあ、レベル差が全てとは思わないけど。
「対人戦ならね。ただ、魔物相手なら素人は引っ込んでてもらいたいけどな」
「魔物退治も騎士の立派な仕事だぞ?」
「じゃあ、俺もういらねーじゃん!」
あっ、キレた。
なんで、こいつ連れて来たんだ?
まあ、良いや。
取りあえず、お出迎えっと。
クロノに頼んで、集団の先頭に転移してもらう。
「ようこそお越しくださいました。我がダンジョンに」
「誰だ!」
まあ、待て。
今から自己紹介するところだから。
「私がこのダンジョンのマスターの、クラタです」
もう、人間と全面戦争の予定だから正体ばれても良いか。
さよなら、メイベルたん。
後で、ちょっと会いにいってみるけど。
「ほうっ? じゃあ、貴様を倒したら全て終わるって訳だ」
「なんだ、普通の人間っぽいな。こんな奴が、あちこちのダンジョンを取りまとめた会長なのか?」
十字傷の男と隊長が腕を組んで、こっちを見つめてくる。
あんまり、見つめちゃイヤン。
「……」
クロノさんや?
突っ込んでもええんやで?
「じゃあ、とっととこいつ倒して、ダンジョンコアまでのんびり散歩と洒落込むか!」
――――――
のちにこの遠征に参加したジョージ・ホーランド(37歳)はこう語った。
「A級冒険者のウィードさんがマスターを名乗る男に斬りかかったと思ったら、そのまま横を走り抜けてガクっと崩れ落ちたんですよ。
一瞬何が起こったのか、みんな分かって無かったんじゃないですかね?
どのように、崩れ落ちたかって?
なんて言ったらいいんだろ……
人形劇とかって見た事あります?
そうそう、マリオネットを使ったあれ。
あれでさ、糸を切るって聞いた事無い?
こう、ハサミでチョキンと。
丁度、そんな感じで関節を不自然な方向に折り曲げて崩れたんだよ。
あっ、駄目だこれって思いました。
ここだけの話ですよ?
あまりの不気味さに、わたしちょっとチビッちゃいましたもん」
――――――
「なんだ、せっかちな奴だな。ルールくらい説明させろよ! まあ、こいつは脱落だな」
取りあえず、クロノに外にポイさせる。
「なっ、ウィード!」
隊長さんが驚きに目を見開かせているけど、まだまだ始まったばかりだからね。
「どけっ!」
「ほうっ?」
と思ったら、後ろの集団から1人の男性が飛び出してくる。
手には槍を持ってるところを見ると、それを使って跳躍したのかな?
取りあえず、槍をこちらに向けて振って来たので軽く後ろに跳んで躱すと、蹴りを入れる。
やるねえ。
すぐに地面に突き立てた槍を引き抜いて、蹴りを受けきった。
「くっ、化け物め」
まあ、凄い勢いで吹っ飛んでいったけどね。
壁にぶつかる前に自力で止まっただけでも立派立派。
「話を聞けよ! ここから先に進みたかったら俺に1発当てれば良い。 そしたら、最上階で待っててやるからさ」
そう言ってニヤリと笑ったら、目の前の隊長さんもニヤリと笑った。
なんで?
「一発当てるだけで良いんだな? よしっ、お前ら全員突っ込め!」
そういうと、戦闘に並んだ10人に指示を飛ばす。
ズルいな。
10人掛かりで挑んだら、1発くらい当たるだろうってか?
そうは、問屋が卸さんよ?
取りあえず、地面を蹴って先頭の……あー、両サイドが先頭?
真ん中が、一番遅い?
そうか、そうやって囲い込む気なのね。
なかなか、良く訓練されてるね。
先頭が二人も居るし……じゃあ、真ん中の君から。
一番遅い真ん中の騎士を殴り飛ばして、その両横の騎士を回転蹴りで吹き飛ばすと巻き添え喰らって数人が吹っ飛んでいく。
そいつらも退場で。
「なっ! 早すぎるだろ?」
「あー、余計な事考えてると、怪我するよ? まあ、怪我で済めば良いけどさ」
取りあえず呆けてる隊長さんに一当て、おお、ちゃんと防いだよこの人。
まあ、10%形態だしね。
取りあえず合格っぽいから、次々行こう!
集団の真ん中に飛び込んで、回転しながら蹴るわ殴るわで雑魚どもを散らしていく。
回転の遠心力で吸い寄せられた騎士が、次の瞬間には壁や天井に叩きつけられてクロノによって外にポイされていく。
おおよそ、200人くらい吹き飛ばしたところで、次の騎士を殴ろうとした俺の手が止まる。
「キャッ!」
目の前に迫りくる拳に対して、ヘルム越しでも思わず目を閉じたのが分かる。
そして、拳圧で吹き飛ばされるヘルム。
露わになる顔。
「メイベルたん?」
「たん? というか、クラタさんダンジョンマスターだったんですか?」
「はいっ終了! 残りの皆は合格ね! おいっ、クロノ! メイベルと俺をマスター部屋に転送しろ」
「はあ……なんで人間まで」
「おまっ、一緒に居るの知ってて黙ってたろ? 良いから取りあえず、頼む」
「はいはい」
取りあえず、クロノが俺とメイベルを転移で運んでくれる。
良かった。
これで、誤解を解く時間が稼げる。
他の連中?
良いの良いの、このダンジョンの有効性を知るために、あえて有象無象の雑魚を散らしただけだから。
残ってるのは、ちゃんとそこそこだと思うし。
「助かったのか?」
「もう、帰りたい」
「ここを頑張って最後までいったら、またあいつと戦うの?」
「無理じゃね?」
なんだか、大分心が砕けてるような気がするけど、もう少し楽しんでってよ。
「取りあえず、進めるだけ進んで無理だと判断したら戻ろう」
隊長さんまで弱気だった。
頑張れ!
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