チュートリアルと思ったらチートリアルだった件

へたまろ

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第3章:ダンジョンリフォームと初めての突撃お宅訪問!

第1話:通販カタログ見てると時間を忘れる件

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『ようやく、真面目に仕事をする気になりましたか』
「えー、だって他にすること無いし」

 3回くらい脱走を試みたが、すぐに転移で連れ戻されたので流石に諦めた。
 というか、本当はかまってちゃんじゃないのかこいつ?

 まあ、俺がいないと何も出来ることないだろうし。
 気持ちは分からなくも無いが。

『別に、ダンジョン内の管理だって仕事だもん……空調の調整や、魔物達の餌の管理とかあるし……』

 なんか、一瞬可愛くない存在から切ない可愛らしい愚痴っぽいのが聞こえたが。
 負け惜しみっぽいし、見なかったことにしよう。

 本当に刹那の一瞬。
 俺の鍛え上げられた動体視力で、どうにか捉えられるほどの速度で流れていった。

 俺でなきゃ見逃しちゃうね。

『なんだって良いですよ? ダンジョンを強化するつもりなら』

 これでもお家だからね。
 多少は過ごしやすくしたいし。
 まだ見ぬ嫁の為に、先に新居を用意するのは悪くないと思うんだ。

『……』

 なんとか言ってくれないかな?
 やる気なくなっちゃうよ?

 はいはい、分かりましたって。
 手元にカタログが現れる。
 溜まったボーナスポイントで交換できるもの一覧が載っているカタログだ。
 ちなみに、回収した魔力でも増築や魔物の強化が出来るらしい。
 ちなみに、俺がポイントを使って手ずから強化するのに、一体一体屈服させないと従魔にならないらしい。
 それ、なんてクソゲ?

『しつこいですよ? その考えを簡単に免罪符変わりに使ってると、いつか痛い目見ますよ?』
「はいはい、お前は本当に五月蠅いな! お前はおかんか」
『音声は出てないと思いますが?』

 くそっ、ああ言えばこう、こう言えばああ……
 なんて、意地の悪い奴だ。
 とはいえ、このカタログ見るの結構好きなんだよね?
 ん? なんか、付箋っぽいのが所々貼ってある。

『……』

 チラッとセーブポイントを見ると、目を反らされた気がする。
 うん、なんだろう。
 石ころと通じ合う気は無いんだけどね。
 なんとなく、分かっちゃうんだよね。

 なになに……
 魔王風玉座……30ポイント
 金の枠に真っ赤な生地の背もたれに茨の冠を被った髑髏が乗っかってて、足は黒い箱型で金の龍の意匠。
 肘置きは蛇を象ってますと。
 各世界の魔王の椅子を手掛け、多くの魔王に支持を受けている匠の1人ロダン作。
 
 要るか!
 大体玉座なんか作ってどうするんだよ。
 誰が座るんだ?
 牛男用か?
 あいつ、未だに反抗期なんだけど?
 そんな奴の為に……なになに、俺が座る椅子?
 いや、普通にカッシーナの椅子とかで良いんだけど。
 というか、さらに言えばフジ医療器のマッサージチェアとかがベストかな?
 一応、地球産品コーナーとかあるんだからさ。
 駄目?
 ポイントがもったいない?

『まあ、頑張ったらいつか自室に用意しましょう』

 やべ、ちょっとやる気出た。
 たまに、デレるから嫌いになれないんだよな。
 ツンツン!
 セーブポイントを指で突っつく。

『イラッ!』

 うん、文字だけどなんかあれだ。
 気持ちは良く分かった。

「ちなみに、いまポイントどんくらいあるの?」
『3万ポイント弱です』
「結構あるね……」

 フジ医療器のマッサージチェア……300ポイント。
 魔王の椅子の10倍だけど、全然余裕だよね?

 てか、魔王の椅子安すぎじゃね?
 いや、マッサージチェアが高いのか?
 最新式っぽいし。

 ちなみに家庭的イナダの赤い流れ星モデルのマッサージチェアは800ポイントだった。

 ……魔王の椅子。
 てか、ロダンさん……
 
 まあ、取りあえず部屋から手を付けるか。
 寝室とリビングは欲しいだろ?
 トイレとお風呂はあるから、台所かな?
 ほらっ、いつか嫁に来てくれる子が気に入ってくれるようにホーローのシステムキッチンとか?
 駄目?
 要らない?
 嫁は来ない。
 失礼だぞお前!
 飯は私が用意する……なんだ、嫉妬か。

『……』

 無視しないで?
 ツンツン!

『怒!』

 ごめんなさい。
 まあ、でも台所くらいあった方が良いだろ?
 その方が家っぽくて、俺も落ち着くし。

『ダンジョンに何を求めているのですか?』
「出会……やめとこう、これ言っちゃ駄目なやつだ」

 さてと、冗談はさておき子供部屋は何部屋くら……カタログ消さないで。
 ちょっと、楽しくなってきたところだから。
 ごめん、悪ふざけが過ぎた。
 謝るから。

『実際問題、階層は増やした方が良いと思いますよ? 10階層単位で、1000ポイントです』
 
 なんか、異常に安いと思うんだ。
 いや、他のに比べたら高いけど。

 マッサージチェアのせいかな?

『ボス魔物とセットで1050ポイント、ボス悪魔とセットなら1200ポイント、大罪シリーズは1400ポイントですよ?』

 最後のは惹かれるな。
 あれだろ?
 アスモデウス級って事だろ?
 うん、レベルアップが捗るな。
 
 しかし管理人ボス付きのワンフロア……かなり広大な土地が、マッサージチェアと大差ないとか。

 それも置いておこう。

 ちなみにマッサージチェアと天秤にかけてるのは、口に出さないけど。

 そんなことよりも、罠セットが凄く気になるんだけど?
 特に、レーザーとかって光属性じゃないの?
 取りあえず設置して、試してみたいんだけど?

『はあ、真面目に考えてますか?』
「勿論! 俺の強化が、一番このダンジョンの繁栄に役立つと思うんだけど」
『本音は?』
「耐性コレクターとして、新しい物は取りあえず試した……待って、分かった分かった! それも後回しにするから!」

 取りあえず、次の付箋は……壁?
 なになに、うん地獄絵図シリーズ?
 馬鹿じゃないの?
 そんなの壁紙にしてどうすんの?

 こいつ、趣味悪いよな?

『……ズーン』

 おお、凹んだ。
 こいつでも、ショック受ける事あるんだ。

「アウーン!」

 ファングがタックルしてくる。
 おお、もうそんな時間か!
 一応、このダンジョン内の時間経過が分かる時計を渡された。
 今まで腹時計でなんとなく時間の感覚を得ていたが、ちょっと便利。
 時間が止まったダンジョンの、時間が分かる時計。
 不思議アイテムだと思ったら、普通の時計らしい。
 ダンジョン産のアイテムでボス以上のキャラが持っているらしい。
 ダンジョン内の時間確認専用で、逆にダンジョンの外では時が止まると。
 よく分からないな。

「本来なら、ボスを集めて会議とかも行いますから」

 そういうものなのか?
 俺は、ボスたちとコミュニケーションすらまともに取れてないが。

「てか、時計渡すの遅くね?」
『忘れてました』

 どうだか。
 ちょいちょい、こいつは隠し事をしてる気がする。

『女性は秘密が多いものです』

 ほらっ……
 セーブポイントが女性っていうのも、いま初めて知ったし……
 嘘吐けや!
 おまえ、石じゃねーか!
 究極のジェンダーレスだろうが。

『失礼ですよ? 夫婦石とか聞いたことないですか?』

 小ばかにされた気がして、ちょっとイラっとした。
 思いっきり殴ってみたが、手が痺れただけ。
 いつか、罅くらい入れてやる。

 取りあえず、食肉のページを開いてファングに選ばせる。
 結局、何も進まなかった。
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